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2013 中医学会 特別講演  肝木の人間観−2

肝木の人間観

『東洋医学で人を診る』ときに、大きなイメージとなる生命観を掴むことが大切です。その前提となる東洋医学的生命観は、脾胃を中心とする生命観であったり、
天地人三才による生命観であったり、いろいろな生命観がありますね。古来より、
人間をよく診ようとした人たちはいろいろな生命観を使って診ようとしてきました。

 

私はこの肝木の生命観を前提とし、目の前の患者さんを拝見していくことが多いです。
とくに、ストレスや、その方の土台となる生命力が問題となりやすい不妊治療では、
とても使い勝手の良い生命観です。

 

肝心脾肺腎この五臓、五臓各々があって一本の木になっているのではなく、
一本の木をしっかりとよく診ようとしたときに五臓という概念を使っているのだという前提に
立つことが大切です。

脾土 豊かな大地
腎水 こんこんとわく泉
肺  そよぐ風
心  あふれる光り

 

そして、豊穣の土壌に渾渾と湧く泉、脾腎の大地にしっかりと根(肝陰)を張り、風がそよぎあふれる光りが降り注ぐ天空にむかって枝葉(肝陽)を広げる、そんな一本の木のありようを人間としてみていきます。

 

弁証論治は細かく見ることによって、パーツがバラバラに存在しているように思え、論理の追求に走りがちですが、人間がひとくくりの存在であることをしっかりと意識し、目の前の患者さんの理解にすすんでいきたいものです。

 

鍼灸重宝記(本郷正豊)を現代の目で読み直す試み

鍼灸重宝記(本郷正豊)を現代の目で読み直す試み

先日、ある先生方とお話をしていて、自分の立ち位置が非常に明確になったお話があります。
鍼灸治療は、治療を受けていて、その終わり方がいろいろあります。
最後に坐位にして、パンパンって言う感じで、サラッと気を払う治療法を伺い、
私はその底辺にながれる考え方の大きな違いを感じ、戸惑いました。
そして、いろいろな立ち位置の先生方とざっくばらんに話していて、私は、この
本郷正豊の世界に重心があるのだなと気がつきました。
また、中医学を中心とした臓腑経絡学も必須です。
それらを念頭においた私の臨床。
その根底にある、本郷正豊の世界を、臨床歴30年に達しようといういま、
再び読み直し、学び直してみようと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

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本郷正豊の生きていた臨床の世界

江戸時代の鍼灸家・本郷正豊は、どのような臨床の世界を生きていたのでしょうか。
その著作『鍼灸重宝記』を読み、手を動かしながら考えていくことで、彼が見ていた景色に少しでも近づけたら嬉しいなと思っています。

「江戸時代の日本語だから、そのまま読めるよ」という方もおられるかもしれませんが、私にはなかなか“難解モード”でして(笑)、現代語に整えながら進める方が理解しやすく感じています。

今回は、特に**後半の〈鍼灸諸病の治例〉**を中心に読み解いていきます。
もし興味があれば、一緒に通読していくのも面白いかもしれません(^^)

読み進める際の基本的な視点としては、中医学の臓腑・経絡・気血の概念をベースにしながら、現代の臨床と照らし合わせつつ考えていきたいと思っています。
(生命観に関するより詳しい部分は、私のホームページ内の「生きていること ― 東洋医学的生命観」をご覧いただければ幸いです。)

その日暮らしの五臓、生活防衛資金の一源三岐②

人がいきるっていうのを、東洋医学ではごじょごじょと難しい単語を使いますが、

お金の流れで表現してみます。続きです

自転車操業的五臓の発想の中でも腎は余力の積み増し

 五臓は自転車操業といいました。脾胃を中心とし、肝気が気の昇降出入をおこない、肺気が助けます。

そのなかで、腎は少し毛色の違う臓腑ですね。五臓の中で、ほかの4臟を下支えする役割をもちます。土台なんですね。まあ日々を支える生活防衛資金が腎と考えます。

例えば睡眠の時には、気が納まる必要があります。この納まるところが腎。呼吸も納まる必要がある、納まるところが腎です。いろんなものの受け手になっているわけです。

気が納まり睡眠

ここが余力である一源三岐の発想や、奇経八脉の発想につながるポイントの場処となります。

生活防衛資金が貯められたら、余力は投資に回し複利の効果で大きくしていく発想が人生を豊にします。この発想が臍下丹田を充実させる、奇経八脉の充実をといった発送になります。

そもそも、日々が自転車操業では余力の積み増し、貯金や投資なんて無理です。まず生活防衛資金を貯金できる日々にすべきです。

その上で、貯金が生活防衛資金の要件をみたしたら、投資に手を出すべきなのです。

このあたりを、むちゃくちゃに考えるから、日々が自転車操業のまま、貯金の積み増し、投資に手を出すなんて言う、それってムリゲーなことを思っちゃうわけです。

まず、日々の充実! 余力を生活防衛資金レベルで貯める! そのあと投資(生殖)なんです。

 

次世代につなぐ生殖の力を支える腎、その命を注ぎ込む任督衝脈

子宮を支えるのは腎です。
子宮に生命力を注ぎ込むのは、任督衝脈です。
任督衝脈に気血を注ぎ込むのは肝心脾肺の臓腑です。

腎 生命は立ち上る

人間には、生命力の有余を大きく蓄える流れが用意されています。一源三岐と呼ばれる衝脉、任脉、督脉です。この一源三岐の経絡は女性においては直接的に子宮に注ぎ入り、有余の生命力を注ぎ込みます。生殖を支える大いなるエネルギーとなるわけです。

日々をしっかり生きて、毎月投資して、生活防衛資金を貯める。
蓄っていけば複利の法則で伸びていきます。
お金も、身体も、日々を楽しく生きると同時に投資してのばしましょ(^^)

その日暮らしの五臓、生活防衛資金の一源三岐①

人がいきるっていうのを、東洋医学ではごじょごじょと難しい単語を使いますが、

お金の流れで表現してみます。

 

日々が生きて行くには、フローのお金(自転車操業的お金)

人間が日々生きていくには、五臓の働きが必要です。

五臓のありよう

 

日々を生きて行くには、今日のお金が回ればOKです。

江戸っ子じゃ〜宵越しの金はもたねえ!とお金を使い切るのがかっちょいいってのありますよね。

食べて寝て、今日を生きるのには、今日の生きる分だけ食べて寝る。
これだけで充分だったりします。
なんとか、毎日が自転車商業的に回る感じです。

自転車操業(4臟)の日々と、生活防衛資金(腎)

 

投資の世界でよくいわれます。生活防衛資金を残して、投資せよと。

この生活防衛資金は五臓の中では腎です。腎は自転車操業の4臟を下支えする臓腑であり、

生活防衛資金です。

そしてこの、なんとか日々をやり過ごしていく発想に、投資的な発想が一源三岐の発想です。

つまり、五臓の働きの余力を貯金しておくようなスペースとして任脉、督脉、衝脉ほか全て合わせて奇経八脉があるのです。そしてこの投資が複利の効果をもち、生殖をにない、私達の日々のブレをカバーしてくれますし、いざというときの支えとなります。

 

日々を自転車操業的に生きるのが五臓のありよう。その上で生活防衛資金を貯めて、余力をもっていきるためのありようが奇経八脉です。

 

 

 

 

 

 

妊活にはこの余力、投資資金が大事なのです。

日々の自転車操業的な五臓の働きから余力を積み増しし生活防衛資金として腎気の支えを補強し、任督衝という投資によって余力の気血を注ぎ込む。そんな発想が余裕ある身体を作ります。

生活防衛資金がないのに、大きな資本が必要な状況(妊娠)になってしまうと

この、余力であるという発想をもつことが、子宮を中心とする女性の生理、生殖を考えるときのポイントです。

生活防衛資金、つまり生命力に余力があれば、スムーズに生殖のリズムを乗り越えられますが、余力がなければそもそも成り立たなかったり、余力のない中では、本体に大きく負担がかかり課題として残ってしまうことがあります。

余裕のない子宮

余力、生活防衛資金の積み増しの発想が必要なんです。
投資と一緒と考えていただければわかりやすいです。

東洋医学の学び1:気の昇降出入は人間理解のポイントです。

東洋医学で人を診るときのポイントはベクトルです。

一括りの人間は、五臟をもち、相互に関係性をもっています。
基本的に五臓を主る、肝、心、脾、肺、腎と5つの臓腑のありようをかんがえていくわけです。

この五臓にどのような関係性があるのか、しっかり押さえることが
人間理解の始まりです。

肝だけがあるわけでも、
心だけがあるわけでも、
腎だけがあるわけでもなく、

ひとつの命として存在する私達の中に五臓という場を設定して、
その相互の関係性を考えるというのははじめの一歩だと私は思っています。

その関係性を考えるときにポイントとなるのが、ベクトル。

ベクトル=方向性と大きさ

東洋医学の用語は独特です、言葉として西洋医学と重なりますが、この概念的な使い方が
独特。私はそれぞれの役割をもった五臓の場を、方向性と大きさというベクトル関係で理解することで、ひとくくりの生命を理解し、眺めています。

 

さて、
上下の位置にあるものとして
1)肺と肝。 肺気は降り、肝気は昇るです。
2)心と腎 これは火と水(心火と腎水)。腎水は心火を抑制し、心の火は水を温めます。心と腎は互いに助け合います

イラスト 肺 肝 心 腎

肺肝 心腎のベクトル

 

中焦にあって、昇降の枢紐となります。前段の心肺の気の下降を助けます
3)脾胃 脾は昇り、水穀の整備を輸送。 胃は降を主り水穀の下行を助ける

この、脾胃の動きがしっかりしていると、食べ物を滋養として受け取り、いらないものを排泄しするというプロセスがしっかりと出来、生命力がupします。胃袋の力ですねえ。

 

4)一源三岐 衝脈を中心として任、督。そして上焦の華蓋としての肺

これは、五臓の概念にひとつ奇経という概念を組み合わせています。生命の余力をためる貯蔵庫である奇経を組み合わせることでより理解が深くなりますが、ここは基本からもう一歩踏み込んだところです。

女性の卵巣、子宮などの骨盤内臓器。そして生殖の力はこの生命の余力である一源三岐衝脉を中心とする力のアップが求められます。つまり、日常的な生命力アップにくわえて、もう一段、身体の余裕をつけると言うことが必要になるわけです。

 

上記4点がポイントとなります。