不妊治療は、どうやって進めればいいのか。多くの人が悩みます。
ネットを検索して、あれこれと答えを見つけるというのも一つの手です。
しかしながら、人によって”状態”、”条件” がかなり違うのが現状です。
選んでいるクリニックでも”選べる範囲”がかわります。
どの様に考えたら良いのか、私の不妊カウンセリングを通じて一緒に体験してみて下さいね。
45才の不妊治療、難しい課題は一杯です。でも、少ない可能性であっても、その可能性をあげ、
妊娠、出産に結びつけられた方は大勢いらっしゃります。今回は不妊カウンセリングという点に
絞ってご紹介いたします。
☆不妊治療、病院選び、培養途中で停止で移植できず。転院するも空砲続き。45才
相談:45歳女性、44才から始めた不妊治療で暗礁にのりあげています。
41歳で結婚後、自然に妊娠するのかと思いそのまま経過。44歳の時にAクリニックにて体外受精。3個受精したものの胚盤胞にならず終了。転院Bクリニック、1回目、2回目空砲のみ、3回目排卵済みで採卵できず。どうしたらいいでしょうか?
不妊カウンセラーからの11のアドバイス
不妊カウンセラーの米山から、11のアドバイスを贈ります。
1:この1年が不妊治療のラストチャンス。
腹を括りましょう。不妊治療は限界があります。44才でスタートされています。短期決戦、とにかくこの1年、ご自身の中の優先順位1位にしましょう。
2:現状を大切に。採卵できていればチャンスあり。
いま、卵胞が出来てきて、採卵できていること。FSHも15−20の数字であることから、しっかりと採卵しましょう。FSHがこれぐらいの数字ならば複数の卵胞が出てくることも期待できます。胚盤胞に拘らず、移植できる状態(凍結)にしましょう。
卵胞が出来ることへの期待は、”マメな身体作り” につきます。
3:確率の説明で選択をしない。
確率はあくまでも確率。今の自分に必要なこと、出来ること、チャンスへの対応を考える。
厳しい言い方ですが、一般論で確率が高いと言うことを選択しても、その土俵に乗れなければ確率はゼロです。つまり移植しなければ妊娠の可能性は0です。
確率が低い中で、選択しうることをする。やってみて結果がでている人を何人もみています。やってみなければわかりません。ただ、やらなければ可能性は0です。
4:確率だけで話をすれば、45歳での不妊治療そのものが確率が低いのは事実である。
事実は事実として受け止めましょう。しかしながら同じ45才でもまったく採卵できない人もいれば、自然妊娠し、出産する人もいるのも事実です。確率と事実の間をどう考えるかは、その人次第です。私ならば、この1年と決めて迷わずやってみます。
5:Aクリニックのやり方が向いている人もいるー向かなければ転院を。
Aクリニックは非常に評判が良く、実績もあるクリニックです。多くの方が妊娠、出産されています。信頼が出来るクリニックです。クリニックとしては間違いのないところです。
ただ、卵胞が多く出来る人に向いていると私は思います。
比較的多めの薬剤を使い、ガッツリやっていくやり方です。この場合、若い方や卵胞が沢山できる人には非常に効率がよいやり方です。ただし、その俎上にのれない人であれば、移植にたどりつけず、妊娠の可能性が0になってしまいます。
卵巣の予備能があってこその誘発。誘発は数を増やすことではなく、もともとある卵胞の淘汰によって消える卵胞を少なくしているだけ。生理三日目の卵胞数が少なければ、いくら排卵誘発剤を使っても増やすことはできないし、排卵誘発剤は使えないと思ってよいのかと思います。
転院を考えてよいかと思います。
6:空砲はどうしても出来てしまう。
卵胞の成長は生理三日目にあったものが、一番大きなものがのこり、残りのものが淘汰されるという自然の流れがあります。
空砲は、大抵一番大きい卵胞に生じてしまい、そのため、空砲の卵胞によってEの値があがり、2番目、3番目の卵胞が成長してくれません。この2番目3番目の卵胞が消えないようにするのが、排卵誘発剤ですが、血流が少ないと効き目が悪いです。
2番手、3番手の卵胞の発育を助け、”粒ぞろい”の卵胞の成長をさせていくのがコツです。
しっかりと血流をあげ、2番目、3番目の卵胞の成長を促すには鍼灸の治療が効果的なので、採卵の前周期から、排卵確定のスプレキュアやHCGの注射の前までこまめに治療の頻度をあげ、卵胞を育てましょう。
7:年齢要因をカバーするために、採卵優先で。
45才ならば、とにかく採卵です。毎月の採卵をしっかりと確保していく。移植すると2,3ヶ月は採卵できなくなります。このあたりをしっかりと考えましょう。確かに移植しなければ妊娠しません。ただ、移植の回数を確保するのも不妊治療で結果を出すにはとても大切です。時期を考える。順番を考える。大事です。
8:生殖医療の基本は、介入が少ないこと。
生殖医療の基本は介入が少ないこと。1度は凍結をはさまない、新鮮胚の移植もしましょう。これは、『この採卵が最後だ』と決めたときに行うのがよいかと思います。
9:凍結は年齢要因、時間を助けてくれる技術
凍結は時間を助けてくれるもの。上手に活用するのがコツです。二人目のお子さんを若いときの凍結胚の移植で出来ればベストです。
10:やるべき事を整理しよう。優先準備を意識しよう。
ご自身がやるべきこと、できることをしっかりと整理しておくことが必要です。1年後は出来なくなっていることも多いのが不妊治療です。
妊娠は生命の余力で営まれます。妊娠しなくてもしても、日常には差し障りがない。日常で精一杯だと生殖にまわる余力が生まれない。
11:転院は、”なんのために転院するのか” 必ず整理すること。
人にとってベストでも、あなたにとってベストとは限らない。
クリニックの転院は、よく考えて。そのクリニックの特徴をいかすこと。制限を知ること。
Aクリニックは、通院頻度は高いものの、培養の技術が高い、ドクターの技術が高く非常に良い。ただし、凍結胚に対する制限があるので、胚盤胞にならない現状では移植に結びつかないかもしれない。
現時点で、採卵は継続しながら(時間がもったいないので)、気になるクリニックがあれば初診を受けてみてください。具体的なところはアドバイスします。薬剤を多く使うタイプは向かないと思います。移植に制限の多いタイプのクリニックも向かないですね。
まとめ:やれることを腹をくくってやろう!
以上、いまの現状とお身体をみてのアドバイスです。
このぐらいの状態だと、出産までこぎつけられるケースを何例もみてきました。
やれることはやってみましょう。