症例:辛い頭痛肩こり、妊娠中で薬がのめません。(0170)

妊娠している女性の身体は、赤ちゃんをしっかりと落とさないように守るために気が上に上りがちになります。このためより頭痛や肩こりは悪化しがちになり、またその影響で胃腸の状態も悪くなり、食欲不振や便秘などの胃腸症状もあらわれやすくなります。

これらは当たり前で、赤ちゃんをしっかりと守ることが第一優先になっている時期には仕方がないとも言えますね。

あかちゃんをしっかりと守るために気が上向きのベクトルを取りやすくなっているわけですから、その集まっている気を症状を取るために気を大きくめぐらせることは出来ません。症状が辛いからといって、症状のある部位にマッサージなどを行って全体をめぐらせてしまえば、赤ちゃんを守ろうとしている身体の状況までも崩してしまうからです。

妊娠中は、辛い症状をとるということよりも、『辛い症状を出してしまうお身体そのもの』をよりよい状況にし、『辛い症状』と感じなくても、ちゃんとしっかり守り育てることのできる余力をつけることが大切なのです。ご自身の余力をつけご自身がゆっくりと無理なく気血がめぐるようにするということなのですね。

治療としては遠回りにはなりますが、妊娠中であり赤ちゃんがすこやかに成長していくといことを第一に考え、その上で今の状況が少しでも改善していくようにと願っています。

この症例の患者さんは、とても辛い頭痛、肩こりで困っていらっしゃいました。頭痛や肩こりを目標とせず、余力のない胃腸、足腰の状況を改善させ、冷えの入り込みを温め養っていくことで、背部腧穴の状態がよくなり、頭痛肩こりも驚くほどよくなりました。

ひどい寒がりで、治療を受けていても寒い寒いと
強く訴える方だったのですが、このところそういったことを訴えなくなり、最終的には全く感じなくなられました。これは冷えの入り込み(風邪の内陥)が上手に抜けていったと思われます。

この風邪の内陥が抜けることと、余力が少し付いたことで、頭痛、肩こりの改善となりました。これは妊婦さんに限らず、頭痛肩こり治療の基本であるともいえます。肩や頭部に問題があるのではなく、支える素体の問題、そして冷えの入り込みの問題が身体丈夫の症状となっているということです。

人間の身体。面白いですねえ。

妊娠中 頭痛 肩こり 冷え性 薬が飲めない(0170)