ご相談にお答えして:急ぐべきか、急がざるべきか、医療介入のありよう。

相談にお答えして:急ぐべきか、急がざるべきか、医療介入のありよう。

質問
32歳です、結婚は29歳、子供を欲しいと半年ほど前から思って、夫婦でタイミングを取っていませんがなかなか妊娠しません。
すぐにでも授かりたいと思うので、体外受精をしたいと思いますが、
不安もあります。どうしたらいいでしょうか?

日本生殖医学会のwebにこんな言葉があります。

”それぞれの患者さんの状況に合わせた治療選択が重要であり、治療を徐々にステップアップするだけでなく、早期に体外受精をすすめることも選択肢の一つになります。”

これは、本当にもっともなことで、私は目の前に現れた患者さんにとって、『どうか、ひとりは赤ちゃんを抱けますように』といつも強く願っています。

そのときに、この上記のアドバイスがピッタリとなる方がいらっしゃる場合に、一刻も早い体外受精をお勧めします。迷っている方にドンと背中を押すことも多いです。

ただ、この状況であるのかどうかの判断がとても難しいですね。

まず、この状況である大事な要因は年齢です。
年齢が40歳を超えていれば、日本生殖医学会のお話しはもっともだと思います。

しかしながら、タイミングをとりだして半年であれば、ご自身の不妊状態が体外受精によって解決するものかどうかということも大きなポイントとなります。

たとえば虫垂炎の手術が適応ならば、これにより手術後などダメージがともないますが、ほぼ大半の人が虫垂炎という課題は解決します。

不妊の場合には、ここが非常にあいまいです。

現時点で妊娠していない=体外受精での解決しか道はない

ということではないわけです。
ご自身の状況に寄って大きく変化します。

当院では、
体外受精(高度生殖医療、顕微授精、凍結胚移植など)を何度もやりました。それでも妊娠しませんというご相談を多く頂きます。そしてとりあえず、薬などを長期で使い身体も心も疲れているので、体調を整えながら次の一手を考えましょうと半年程度の医療介入の休憩を取っている間に、自然妊娠する方を多く見ております。

なかなかまわりの人には相談できないことが多い不妊治療の世界です。
不妊カウンセリング学会という学会もあり、講師をさせていただき、その難しさをお話しさせていただくこともあります。

自分自身で答えがでないときは、ご相談いただければと思います。

症例を紹介しておきますね。
AIH、ICSI、凍結胚盤胞移植するも妊娠せず、自然妊娠したい弁証論治