原先生の情熱。社会的卵子凍結をやめた理由

ふと、検索をしていたら、はらメディカルの記事にいきあたり、原利夫先生が昨年お亡くなりになっていることをしり驚きました。享年64,突然のことだったとのことです。

私は神奈川県小田原で不妊治療に長らくたずさわっています。

体外受精の黎明期から、成熟期、そして現在に至るまでの大きな変化に驚くことが多いです。

最近はクリニックが増えたので、ここからはらメディカルまで通われる方もいらっしゃらなくなっていたのですが、はらメディカルの丁寧な不妊治療は時に困難事例に大きな希望をもたらすことはわかっていました。ユニークで情熱的な治療です。その先生が・・と思うとただ驚きだけが胸に迫ります。

浅田レディースクリニックの院長先生が偲んでの記事の中で

『内科医だったころ、“人とはこんなにあっけなく死んでしまうのか”

ということと、逆に“こんなに長くいきることができるのか”という

両方の経験をしました』

はら先生のお考えをよく示しているのにこの、

卵子凍結に対する、社会的卵子凍結をやめた理由はよく示していると思います。

http://coffeedoctors.jp/news/2164/

卵子凍結は確かに年齢要因に対して大きな安心となります。

しかしながら、結果として本当に妊娠には繋がりにくいというのも事実でしょう。

それは、生殖医療そのものの成績からも明らかだと思います。

不確実なものを行い安心し、結果として妊娠できないという事実になる。

そんなかえってご本人の人生にとって足かせになってしまうようなことはしないという

はら先生らしいお考えにほっとしました。

患者さんへの気遣い、チーム医療的な発想は、こんな地方にいる小さな私の心にも響いていました。

体外受精黎明期のドクターたちの様々なエピソードは、いまとは違う、

『目の前の患者さんの妊娠を強く願う』という患者さんの人生を応援する視点からしか

発想の出来ない有り様だと思います。

そんなドクターがひとりでも多くいることを、願ってやみません。