質問にお答えして:
お問い合わせを頂きました。
『私は体外受精で胚移植をしました。もうすぐ判定日です。ネットで三陰交は女性に良いので、ここにお灸をするとよいと紹介されていました。三陰交にお灸するとよいのでしょうか?』
実はこの類いの質問、よく受けます。
こういった質問をいただくと、鍼灸ってむずかしい〜でも面白い〜とも思います。
三陰交が女性に良いツボ、安産のツボと言い切ってしまうのはわかりやすくていいのですが
真逆なことも起こるのがツボです。
とくに手足末端のツボは、身体の弱った人の場合はそちらに引っ張るということになります。
つまり、子宮から足先に引っ張るです。
繋留流産や堕胎の時などに使う発想も同じです。
せっかくの体外受精で移植した胚、そんなことになってもいいんでしょうか。
女性によいとされるから使ってみましたというのは、ちょっと怖いですねえ。
三陰交というツボ、足の内側にあります。
そしてそのツボの効能もあれこれあります。
1)補う使い方として
・健脾統血、補血、育陰
2)身体から出す方法として
・活血化瘀 疏肝 湿を捌く
この二つ、方向性として真逆なんですよね。
つまり、1)は身体の力を補う方向性、2)は身体の中からいらないものを出す方向性。
いったいどっちやねんと思うのですが、技術者の力量、そしてその人の身体の状態によって
かわってしまうのです。
たとえば、非常に身体が充実している人であれば、1)でも2)でもよく効きます。
疲れ気味で気が上逆して上実下虚(上の方が実して、下の方が空虚)、つまりのぼせて顔は熱いのに足は激冷えというタイプの方もいらっしゃいます。
こういったときは、動かしたい方向に動くようにお膳立てをしてやっていきます。
ご質問のお答えとしては、
『胚移植をしたあとであれば、一般的には三陰交にお灸はしないほうがよいですよ』
ということですね。
ちなみに、通院中の患者さんであれば、逆に三陰交を使うケースもあります。
妊娠しない原因が、強いストレスがあって気が滞っているのに、子宮の方に回ってこないという感じだと、三陰交を使ったりしますね。
これはその方のお身体を拝見した上で、他の経穴との組み合わせなどにもよるのです。ですので、ご自身が養生としてやるのならば、やめたほうがいいのかなと思います。
ご参考まで。
三陰交という経穴について、とてもよく解説してあるなあと思いました。世の中ステキな先生が多いですねえ(*^^*)