果物冷える説への疑問
食事については、いろいろな思いもあり、本当にコメントは難しい分野だなと
常々思っています。
ですので、当院では、食事のアドバイスを求める人には、
1週間分の食事生活記録を書いてもらってからという大原則があります。
それをみると、その人がこの食事になっている、背景、
食事を中心とした家族との有り様、
現在の忙しさ、食に対する思いなどが
非常によくわかります。
☆食事バランスガイド
そしてそれを踏まえ、原則として、日本人のための食事摂取基準にもとづいた、
食事バランスガイド(厚労省と農水省のサイトにあります)のカウント数を
目安にご自身での自覚をもって、生活食事の改善をしていただいております。
☆食事生活記録をみて
さて、そんな食事生活記録。本当に何枚見たのかというぐらい、
ファイルで何冊もになっている記録です。
いままで、果物の食べ過ぎという状況はみたことがありません。
食事摂取基準的には手のひら二つ分。
つまりミカンならば2個、リンゴならば半分で1ですから1個で1日分です。
果物って、季節性があります。
たとえば、今年は柿が豊作でしたねえ。
そういうときに、柿の食べ過ぎになって、お腹が冷えて〜という
ことはあります。
ただ、たとえば、甘いものや糖質のような食べ過ぎをみることは
私が記録を拝見している限りはほぼ出くわすことがないのです。
☆果物を食べない人二つのタイプ
そして果物は全く食べていない人がいます。
案外多いですね。
そういった人に、なぜ食べてないの?と伺うと、
答えは二つです。
1)果物を買う習慣がない。
2)果物は冷えると聞いたので、食べないようにしている。
どちらかの答えがほとんど。
1)の方は、そもそも果物は買う習慣がなく、食べることもない。いままでの生活習慣的にそうだったという方。
2)の方は、『冷えるからやめたほうがいい』ということだから、冷えるものはやめてますと。
☆果物を買う習慣がない方へのアドバイス
1)の方の場合は、果物は買おうよ〜とアドバイスします。
スーパーに行くと一番初めにあるよね。冷蔵しなくてもいいし、便利だから買っておこうよ。そして手のひら2つ分食べようよで、まあ話しは終わりです。
そして果物を食べるようになると、確実に健康度はupします。
さすが、食事バランスガイドと思いますし、日本人のための食事摂取基準だなあと
納得。
☆果物は冷やすからという方へのアドバイス。
2)の方の場合は、『果物冷える説』については、棚上げです。
冷えると信じていらっしゃる方は、
その背景がいろいろあります。
また、そういった力強い説をおっしゃる方も存じています。
漢方家、東洋医学系の方からのアドバイスでも、果物は冷えるという話しは
多いですね。
だから、冷やす冷やさないについては、私はノーコメントです。
☆☆果物は冷やすから食べない、それならば代替案を
私から、果物は冷やすから食べないとおっしゃる方へのアドバイスは、
果物で採れる栄養素について、代替案を考えておきましょうということです。
『それじゃあ、果物で採れるはずの栄養を、ほかの食品からとるように心がけてね』
そして、このときに、ミカンやリンゴの食品成分表をお見せしています。
果物を避けるのはご自身の判断だからOKです、でもやめるだけじゃなくて、代替品は考えてねと。
そうすると、これがなかなか高いハードルだとおわかり頂けます。
そして、じゃあ食べようかな〜となる場合が多いです。
食べて冷えるのかというと、冷えないんですよね、別に。
うーんと唸っちゃいますが、そこはもう突っ込まないです。
☆果物冷える説への疑問
私は、この果物冷える説。いまひとつ、わからないです。
先般もそういった講義があり、果物冷えるから控えるようにと言う説明がありましたが、いまひとつ私にはピントきませんでした。
リンゴ1個食べているからその人の食事は冷える食事だと言うお話でしたが、
リンゴ1個というのは、食事バランスガイド的には、手のひら二つ分で
1日分として、過不足のない十分量です。
これで、冷えると言ってしまったら、世の中は冷える食べ物を食べている
人だらけということになりますねえ。
☆食事記録と、お身体を拝見することから思うこと。
食事記録をみていて、体表観察とつきあわせて、冷えるということと、果物の摂取がつながらないと私は思っています。
☆☆液体での摂取は要注意。
一点注意がいるかなと思うのは、液体の形での摂取です。
確かに果物をジュースの形でとっているかたに、食物繊維を含む、まるごとの形で食べていただくと、体調の改善、冷えの改善というのは遭遇するケースが多くあります。
しかしながら、食物繊維も含む形での摂取をして、果物で冷えるという状況をみたことがないのです。(食事バランスガイドの基準量の範囲での話しです)。
☆食事を改善すると、やっぱり健康改善。
また、食事って面白くて、夫婦でいると、ダンナさんのほうが、変わるのが早かったりします。男は素直だ。食事バランスガイドに従って、主菜が増え、果物などを摂取ということを始めると、風邪を引かないとか、疲労感が減るなどの変化が、あります。果物も、バランスガイドの量を食べて、返って体調悪化というのは、私が見る限り遭遇していないのです。
食べ物は個別具体的に、人によって食べられるものが違うのはよく理解できます。
ただこの根強い果物冷える説、今ひとつ、私が見ている、食事生活記録をベースにしている分には、あてはまる事例に遭遇したことがないんです。こういったことって、どこか原点的なものとか、論文的なものってあるのでしょうか?。なんか、いつもわからんなーってな感じです。