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4)不妊治療における”冷え”と血流(不妊鍼灸セミナー用)

4)不妊治療を通して感じた”冷え”の問題

ここからはちょっと専門的な話しになります。
鍼灸師向けセミナーの内容レベルなので、ご参考までということで読み進んでいただければと思います。

 

”冷え”という言葉が、案外大ざっぱに使われているなと感じるにいたったのは、不妊治療の取り組みを通じてです。

不妊治療困難事例の解決には”冷え”の理解がカギ

困難事例の不妊状態の方は、問題が非常に多く絡んでいる場合があります。”冷え”も、ストレスタイプの”冷え”や、臓腑の温養する力不足、そして西洋医学的に問題としなければならない血液凝固系の問題まで”冷え”というカテゴリーに入ってくるんだなという認識が私の”冷え”への取り組みを変えて行きました。

結論:
”冷え”という課題を読み解くことが、問題を解決していく糸口となる。

さて、もう少し細かくお話ししますね。

※スライド2

”冷え”が不妊に影響があるということは、漠然とイメージがわくかなと思います。

確かにそうかなという感じから、もう一歩踏み込んで”冷え”を考えた私のシュミレーションがこの図です。

まず、生理周期そのものから、排卵期、高温期、着床、妊娠判定から妊娠初期の手入れをしっかりすることが、不妊治療に非常に有効であると言う手応えはもっていました。「なかなか妊娠が継続出来ない」「着床障害」「9週の壁が越えられず流産してしまう」これらの訴えが、丁寧な治療を行うことで解決していったのです。

そして、出産を迎えた患者さんからのメールで、

「胎盤が大きいって言われました」

あ「3000㌘越えのしっかりとした赤ちゃんで育てやすいです」

「第一子は妊娠中毒症などでトラブル続きで小さい赤ちゃんでしたが、今回は順調な上、十分の大きさで生まれてくれました」

との声が相次いだのです。

また、不妊治療歴をみていると、「不育症」の検査をした方がよいのではと思えるかたや、第一子の妊娠経過をみると、やはり「不育症が潜んでいるのでは」などと思うことがありました。

そして、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療受精を受けている方をみていて、妊娠の継続が難しそうな感じ、着床の問題があるのではと思う方に、不育症の定義をみたしていなくても、不育症の検査を受けることをアドバイスしたりする中で(不育症専門クリニックのドクターに年齢要因がある方や可能性がある方の受診については問い合わせ、了解をいただいております。不育症の要件を満たさない場合は、受診申込時に問い合わせをしてください)、不育症の診断がつく方が多くいらっしゃるという経験を重ねていきました。

体表観察でおかしいな?と思った方に受診を進めて、「あなたには出ないと思ったのにねえ」などというドクターからのコメントを頂きながらも、しっかりと不育症の診断がついた方もいらっしゃります。

この”冷え”と、”血液凝固系の亢進”については、詳しくは

不育症 反復流産、死産、着床障害 杉ウイメンズクリニック

http://www.sugi-wc.jp/index.html こちらのサイトをご覧になり、本も参照していただければと思います。

※スライド3

☆血流の改善と運動がつながらない事への気づき

お体を拝見して、実際に皮膚の状態、温度感を見る中で、「血流の改善」ということが大きなテーマとして浮上してきました。

この血流の改善というと、すぐに

「運動すれば良いですか?」などという質問をいただきます。

確かに、一義的に健康になることに「運動」は欠かせません。血流の改善にもつながると思います。

しかしながら違う!と、お体をみていて思うのです。

運動してます、マラソンします、という方のお腹が冷え冷え。

皮膚の状態が、体幹と末端が違う。あきらかに末端まで滋養が届いていない

妊婦さんで「歩いてきました〜」という方の子宮(女子胞)が血流不足で固いというのを、何人も拝見しました。

こういった状況から、

・西洋医学の必要性
・お体の手入れの進め
・妊娠初期の乗り切り方

などなどを考えるにいたりました。

”冷え”は、血液が巡らず、”その場”を暖め養うことが出来ていない状態です。しかしながら、足先や手先がいつも温かいというのもおかしな話しで、寒いときにはぎゅっとちぢこまり、体温が逃げてしまわないようにするのは大切です。”冷え”をそのまま体幹に持ち込まれても困ります。

つまり、”冷え”そのものよりも、血液が届いて暖め養うことが出来ない状態が結果的に”冷え”という訴えになっているのだと気がついたのです。

そして、
問題は”冷え”ていることではなく、血流がないということ。

また、”どこを養いたいのか”ということを考えない血流対策は、目的をもった治療においては大きな遠回りになりかねないと言うことに気がつきました。

一義的には運動は血流の改善に役立ち、健康度をあげます。

しかしながら、不妊治療などで、子宮(女子胞)の力を養いたいときには、養いたい場処の血流をあげ、暖め養っていくことが必要なのです。

ここが”冷え”という課題から、あなたの問題を解決していくコツとなります。