1)東洋医学の体力貯金 後天の精と先天の精 貴絡ワールド
体力という言葉から思い浮かべることはさまざま。
私は身体の余力、底力というイメージを持っています。
東洋医学では、肝心脾肺腎の5つの臓腑で身体の状態を考えていきます。
この中で、胃腸を中心に、食べて、排泄してと日々を生きるのが、
胃腸の力です。東洋医学の言葉では後天の精といいます。
そして生まれつき備わっている力、日々の余力から積み増していく底力を先天の精といい腎が中心となります。
体力をあげようというと、運動や筋トレを思い浮かべる人が多いかと思います。
またご飯をいっぱい食べて体力をつけようという発想も理解出来ます。
この先天の精である腎と同じような考え方をしていくのが、奇経と言うシステムです。
東洋医学ちょっと複雑なのですが、正経と奇経というシステムをイメージしていて、
この先天の精である底力や余力に関するシステムをこの奇経のシステムとも重ねています。
私たちは毎日生きています。
日々を生きていく私たちには、生命力があります。
それは、今この瞬間に、足を動かし、手を動かす生命力です。
これは基本の生命力であり、五臓や正経のイメージするところ。
そしてもう一つ、底力や余力にかかわる体力貯金のような生命力も考えられています。
なにかあったときに、それを引き出し、なんとか乗り切るための体力貯金です。
この体力貯金が日々をスムーズそして臨機応変、何かあったときに対応して余力をもって生きて行くにはとても大切です。
お金で言うと、
日々のフローは後天の精である胃腸の力が中心。
貯金はなにかあったときに対応する余力、先天の精である腎や奇経が中心
日々はなんとか自転車操業のようにしていても過ごせます。
ただ、何かあったときのダメージをかわす。
妊娠ー出産など個人の生命とは直接関係のない命の営み
大きな厄災から身を守る。
こんなためには、東洋医学の体力貯金はとても大切なのです。
私はこの東洋医学の体力貯金を貴絡ワールドと名付けています。
奇経絡脈というのは血管とも、神経とも重なるような違うような。
命のネットワークのことです。つまり貴重なネットワークというイメージで奇絡ワールドという言葉を考えました。
東洋医学の体力貯金、貴絡ワールドのお話しをしていきましょう(^^)
ところで、この奇経は古くから色々な考察を重ねられています。
古典については専門家の先生方にお任せすることとし、私が日々の臨床の中で感じられたことを中心に考察をしていきたいと思います。
私が岡本一抱のイメージとして胸に刻んでいるのは
・陽維は諸陽を維ぎ(つなぎ)
・陰維は諸陰を維ぎ(つなぎ)
・督脉は背部で諸陽を都べ(すべ)
・任脉は腹部で陰経を養い
・衝脉は上下全身に衝通して十二経の海となり
・陰陽の蹻脉は左右陰陽の主となり
・帯脉は諸経を束ねて乱さないようにしているものです。
という言葉です。つまり奇経を十二経を束ね統合しひとつの命としてつないいでいるとイメージしています。