不妊:相談  体外受精/顕微授精で凍結胚盤胞移植までしたのに。どうしたら?

不妊:相談  体外受精/顕微授精で凍結胚盤胞移植までしたのに。どうしたら?

東京には不妊治療で有名と言われるクリニックが沢山ありますね。
最近では、タレントのキンタロー。さんがご自身の体験をテレビで話され話題になっています。

キンタロー。不妊

東尾理子さんが教えてあげたクリニックはリプロダクション東京

ここは今一番有名という感じでしょうかねえ?

培養技術においては不妊専門家も注目していらっしゃり、不妊クリニックから紹介されたという方もいらっしゃいますね。当院でも何人かの方が通院なさっておられます。ここでしか出来ないこと、ここの技術が必要な方というのは確かにいらっしゃると思います。

そして、そういった有名クリニックの力がどうしても必要なケースはありますが、西洋医学的な高度な技術をもってしても、妊娠は『ご自身の生命力』がキーポイントになるケースもあります。

この見極めが本当に大切だなと思います。
ただただ、やみくもに有名クリニックの技術の追求だけではお金だけがどんどんかかってしまい、経済的な理由での治療中断になりかねません。

今回の症例は、非常によく研究なさり、行動力のあるBさんのお話しです。力のあるクリニックを選ぶこと、その上で自分に必要なことを振り返ってみること、そして前に進んでいくことが必要なんだなと改めて私に教えてくれた症例です。

ご相談

友達に聞いて、不妊治療に一番実力があるといわれているクリニックに20代の頃から通っていますが、なかなか妊娠できません。

クリニックではタイミングと人工授精を半年間行いました。その後高度生殖医療にステップアップ。体外受精を行うことになりましたが、主人に問題はないということなのに体外受精では上手く受精できず顕微授精にて受精卵ができました。しかしながら移植するものの妊娠できませんでした。2度めも卵は顕微授精にて一つ凍結することができ、次周期に凍結胚盤胞移植をおこないましたが妊娠にいたりませんでした。

日本で一番有名なクリニックで1年以上かけて治療しているのに、なぜ妊娠できないのでしょうか? どうしたらいいんだろうかと考え込んでしまっています。

子宮内膜症がひどく、卵巣に嚢腫があるともいわれていますので高度生殖医療の適応であるとのことで、今後もARTをしていくことに異論はないのですが、自分の冷え性や体力のなさもきになります。私はどうしたらいいんでしょうか?

ご質問にお答えして

不妊治療は病院選びが確かに大切です。新宿にあるこの有名クリニックは当院でも通院なさっている方も多く、確かに実力のあるクリニックですね。

そのクリニックで、この若い年齢での治療が上手く行っていないと言うときには、やはりご自身のお身体作りに注目を向けてみるのはよいかと思います。

クリニックの先生が仰った、
『卵の質は体外受精で用いる薬によってあげることは出来ない』

この言葉は、本当に不妊治療に携わっていると実感のある言葉だと私も思います。

お身体を拝見しますと、お身体を拝見しますと、東洋医学で言うところの腎気不足が明瞭です。

仕事の忙しさでストレス状態を引き起こし(肝鬱)そのストレス状態が腎気(生命の土台)に負担となるという悪循環になっています。

腎気とは生命力を底支えするものです。年齢がわかく、高度生殖医療を用いれば、ちゃんと移植出来る受精卵ができるもの、やはり年齢がお若いと言うこと、また妊娠する条件は整っているカップルであると言うことだと思います。

しかしながら、年齢の割に採卵の数が少ない、移植しても着床の数値は低く継続できないというこの状況は、今ひとつご自身の生命力が足りないという東洋医学でいうところの腎気が不足していることによっておこっていると考えられます。

これは体外受精や顕微授精などの高度生殖医療の治療によって救われる部分ではないのです。

一生懸命東京に通い、体外受精を繰り返しても妊娠や妊娠継続にいたらず、いたずらに月日が過ぎ、金銭の負担が増すばかりという状況に陥っているのではないでしょうか。

高度生殖医療を使い、体外受精や顕微授精などを有名クリニックでおこなえば、なんとかなるのではないかというお気持ちは十分理解できます。

しかしながら、やはり、『卵の質は体外受精で用いる薬によってあげることは出来ない』

というドクターのコメントは至極もっともだと思うのです。ここは腹をくくって、生命力をあげ、子宮卵巣を中心とする女子胞力を増すことでしか解決し得ないと思います。

解決への提言
1)鍼灸治療を、頻度をあげて取り入れる(週に2回をお勧めします)
2)毎日の自宅施灸
3)仕事の見直し(現状の仕事ぶりでは腎気の積み増しはかなわない)
4)睡眠、食事の改善。

年齢がお若いのです、少し腹を括って頑張ってみましょう。
・弁証 腎虚肝鬱 女子胞力の不足
・論治 益気補腎 温養女子胞
・治療方針 腎気をあげる。腎気とともに脾気を養い、女子胞を温養し妊娠し継続する力を補う。

治療経過
初診後も仕事を継続、始めのころはご自身に生命力をあげるという意味はなかなか伝わりにくかったと思います。確かにご自身の生活があり、やれる範囲でやっていくということもある意味あたりまえの事ではあります。

しかしながら、月に3回ぐらいのペースで鍼灸に通っていただき、採卵し凍結胚を移植したところ初めてよい数字での妊娠になりましたが、子宮外妊娠となってしまいました。これは受精卵をしっかりと受け止める女子胞力が今ひとつ不足していると起こる場合があります。

ここから、ご本人の金曜日お待ちしております(^^)>ビッグママ治療室・予約担当が座ったような気がしました。いままでよりも3倍の頻度で鍼灸にいらっしゃり、食事や睡眠もきをつけられ、仕事も上手にコントロールできるようになってきました。

初診から1年後 週に1,2回のペースでの移植周期(約1ヶ月間に10診)今までよりも3倍鍼灸治療を増やす。

そして取り組んだ胚移植。前回の子宮外妊娠となってしまった時の残りの凍結胚盤胞です。この移植で無事に妊娠。子宮の中に胎膿を確認できました。

妊娠6wで卵巣嚢腫が5㎝を越えて破裂の危険性を指摘された、お食事内容を具体的に伺うと、豆乳を毎日200cc飲んでいるとのこと。エストロゲン依存性疾患の場合は、豆乳がときに病気を勧めることがあります。妊娠中なので影響は判然とはしませんが、やめるようにおすすめしました。このあとも妊娠12wまで週に2回ペースで鍼灸治療を継続しました。

そして長い旅になりましたが、無事に正規産にて元気な男の子を34歳で出産。おめでとうございます。本当によかったですね。頑張った甲斐がありました。

ビッグママ治療室

不妊カウンセリング学会