2)妊娠初期を乗り切り、繰り返す流産から出産を。30代後半での繰り返す流産  0127

流産についての概要をおはなしさせていただきました。

概要の1)はこちら→1)『普通』にすごす『Stay home』が教えてくれた繰り返す流産を切り抜ける方法

ポイントは2つ血流と、子宮(女子胞)の不安定さです。

さて、具体的な症例からお話ししていきましょう

☆☆ご相談:心拍確認が出来ない流産を2回もしています。

 

 

最初の妊娠は、妊娠希望をしてから1年後やっと授かったと思い、病院へ行き胎嚢がみえました。

しかしながら8週になっても心拍が見えずそのまま出血がはじまってしまいました。

二回目は半年後の37歳の時、このときも同じように心拍が見えないまま出血ー流産となってしまいました。

流産後1ヶ月たつのに、出血がすっきり止まりません。

妊娠もなかなかしにくく、はじめの妊娠は1年ほどたってやっとできた妊娠。そして今回も半年たってやっと妊娠したのに、どちらも心拍確認ができず流産と言うことで本当にがっかりしています。

もしかしたら不育症なのかと悩みますが、病院の先生は問題ないとおっしゃります。

どうしたらいいのでしょうか?

また、小学校のときから、手足にしもやけができ、昔から足先がとても冷えます。頭痛も結構ひどく、肩こりになりやすいです。いつもなんとなく残尿感があります。

疲労感が強く辛いことが多いです。月経周期が長めで生理が遅れることはよくあります。

☆いままでの経過、時系列

・高校時代から左側頭部頭痛
・36歳妊娠希望ー1年後妊娠−8wで流産
・37歳 流産から半年後妊娠ー心拍見えず流産
・流産後1ヶ月たってもなかなか出血が止まらない

 

☆私からのお返事
:身体の余力がをつけることで妊娠を継続させていきましょう

なかなか妊娠しにくいなか、せっかく妊娠できたのに、2回も連続して8wでの流産、本当に辛かったでしょう、残念でしたね。

また流産後の出血も止まらないというのは身体がだいぶ弱ってしまっているのかとも思います。

残念でしたね。

次の妊娠では一緒に頑張って是非出産まで到達できるようにしていきたいですね。

☆お身体を拝見して

お身体を拝見すると、もともとのベースとなる生命力(腎気)が弱めであると思います。

そのために冷えがきつかったり、残尿感があったり、月経周期が長めでつかれやすかったりしていると思います。

腎気は全身の生命を下支えする縁の下の底力を発揮してくれる存在です。そしてこの腎気が、子宮(女子胞)を養い、赤ちゃんをしっかりと受け止め受容できる身体となるのです。

 

☆子宮(女子胞)だけではなく、全身状態の体力不足、余力不足が子宮への養い不足となっている

イラスト

子宮(女子胞)というのは、赤ちゃんの孵卵器です。その孵卵器の性能がちょっとだけ不安定ならば、孵卵器そのものをしっかりと養い守る必要があります。Uさんのお身体は、孵卵器そのものを守る全身状態が、気虚気味(パワー不足)であることが問題です。全身が気虚気味パワー不足であるので、孵卵器も不安定になり流産となってしまうわけです。妊娠は、女性にとって身体の余力でおこなわれます。余力がないと、どうしても不安定な子宮(女子胞)となるわけです。身体全体に余裕をもち、子宮(女子胞)の生命力が安定するようにしっかりとがんばっていきましょう。また強いストレスも子宮(女子胞)に負担となります。ストレスも鍼灸で調整していきましょうね。

・弁証 腎虚を中心とした気陰肝鬱 風邪の内陥 女子胞の力不足
・論治 益気補腎 疎風散寒 温養女子胞
・治療方針 腎気を中心に気虚気味の素体をたてなおし、パワー不足となっている女子胞を暖め養う。また素体に負担となっている風邪の内陥を払うことを急務とする。

 

☆治療経過、妊娠、出産まで。

治療経過

週に1度の通院、毎日の指導に基づいた自宅施灸

初診
左外関(TE5)左陽池(TE4)、左公孫(SP4)、足三里(ST36)、三陰交、下脘(CV10)、関元(CV4)、
胃兪(BL21)、左腎兪(BL23) 中膂兪(BL29)
セルフケア:下脘(CV10)、関元(CV4)、左外関(TE5)、足三里(ST36)、三陰交。腎兪(BL23)、胃兪(BL21)、中膂兪(BL29)

 

1ヶ月後、今回の生理もだらだらはつづいている
3ヶ月後、生理のだらだらが減ってきた
4ヶ月後、妊娠成立

妊娠 手入れ 棒灸

 

4ヶ月後に妊娠。

妊娠中も週に1,2度のペースで鍼灸治療を継続

8w つわりがきつい→つわり治療

19w 喉に違和感があり、空気が上がる感じで食事が通りづらい

23wから逆子ー27wまで。28wで治る

30w やっと妊娠前から体重が4キロ増えることが出来た

 →間食も小さな食事として、食事回数を増やすように指導

30w 再び逆子に

31w 治ってきた感じ、お腹が突き上げて苦しい。

33w 赤ちゃんが小さめと言われた

34w 頚管長短め、ウテメリン処方された

35w 頚管長大丈夫と言われた

37w 2600㌘はあると言われて安心

38w 1㎝頚管が開いた

39w 無事に3000㌘弱の赤ちゃんを出産

おめでとうございます。

☆あとがき、無事の出産よかったですねえ。

流産というのは、辛い出来事ですね。しかも、やっとの思いで妊娠して2回も連続と言うこと。本当に辛かったと思います。

お話しを聞いていて、ご本人の辛さが痛いほど伝わってきました。

妊娠や妊娠継続について、色々な情報をお探しになっていらっしゃるようでしたが、なかなかご本人にぴたっとくる情報がないようでした。そのこともご本人の迷いや悩みを大きくされていました。

インターネットでの検索は一般論や、様々な情報は提供されますが、実際のご本人にとって

必要な情報であるのかは判断が難しいところですね。

今回のケースは、不安定な子宮(女子胞)の状態と全身のパワー不足がリンクしていました。つまり、子宮や流産のことだけを考えるのではなく全身の生命力から考えることが大事なケースであったわけです。

妊娠中も一筋縄ではいかず、いろいろなことがおこりました。もともとストレス状態になりやすいという状況があり、気が登りやすい方の妊娠でしたのでつわりもきつかったです。妊娠中は赤ちゃんを守るために、普通の状態でも気が上向きに傾きます。その上向きのベクトルに加え、ご自身の性質もくわわるとなかなか大変になります。この上向きの気を引き下ろすことは流産につながってしまいますので妊娠中の身体の手入れとしては禁じ手です。つわりは辛くとも、つわりを中心に考えずに、やはりご自身の生命力をつけることをしていくことが体調管理のコツなのです。

妊娠中も色々な事がありましたが、無事に充分な大きさの赤ちゃんにめぐりあえたこと、ご本人のコツコツと重ねられた努力とご家族の協力のたまものだと思います。おめでとうございます。

イラスト ビッグママ