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4回にわたるIVF-ETの失敗、温め養い身体の力をup! 43歳出産(0011)

不妊治療に体外受精や顕微授精などの高度生殖医療が保険適応になって1年が経ちましたね。

体外受精や顕微授精などの高度生殖医療をすれば、妊娠出来るのではという思いは、誰にでもあるかと思います。

☆前に進まない不妊治療、そしてストレス

しかしながら、良好胚がとれても、妊娠に結びつかない。
そもそも卵子が取れない。
受精しない、受精してもよい凍結胚にならない。

そんなことが続くと、気持ちも落ち込んでしまいますね。

保険適応になっている体外受精や顕微授精などの高度生殖医療。
しかしながら回数制限があります。

うまくいかない→再度挑戦という繰り返しで、同じ事ばかりしていては、
あっというまに、回数が制限に到達してしまいます。

1,2回やってみて、上手く行かないときには、もう少し振り返って、

妊娠そのものの力を底上げしていきましょう。

今回は、42歳という年齢も高め、すでに4回の体外受精に挑戦し残念ながら結果が出ず。
もう一回再挑戦したいと言う方のお話です。

 

☆ご相談内容:42歳です、不妊治療が前に進みません。

 

42歳です 身長158センチ、体重50㎏ 派遣社員として毎日勤務

妊娠したいことと、首や肩の辛さが悩みです。

冷えについては、子供の頃から手足は冷えるなという感じで、足のしもやけは20代になっても続き、冬はとくにつらく、痔にもなってしまいます。

40歳ぐらいから(不妊治療をはじめたころから)首の後ろが緊張して前頭部に痛み、だんだん痛くなっている。また同じ頃から尿切れが悪い感じがしています。

☆普段の状態について

クーラーで体調が悪化
腰から下が冷える
便通は1日1回、小便は10回夜間排尿はない。
寝つきは普通、寝起きはよい、疲れが残ることが時々ある。

☆婦人科的な状態

28日で生理が来ていたが、不妊治療開始後は不規則になってしまっている。
生理前にイライラ、生理がくると腰、下腹部に鈍痛、腫れ、前頭部の頭痛
小指大の塊がまじり、量はとても多い

 

☆不妊治療歴

38歳で結婚し、二年ほど自分たちでタイミングをとっていましたが、妊娠しませんでした。
40歳
・一般的な検査(卵管造影、ホルモン値、精液検査など問題なし)
半年ほどタイミング法(HCGと黄体ホルモン剤並用)-妊娠せず。

41歳
・人工授精をするよりも、体外受精にステップアップした方がよいといわれ、体外受精にステップアップ。
採卵ー移植ー妊娠するものの心拍確認できないままの繋留流産。
凍結胚盤砲移植ー妊娠出来ず。

42歳
・病院を変えてみた。腹腔鏡をし、人工授精を4回するも妊娠せず。
・体外受精に再挑戦。採卵ー凍結胚盤砲移植、妊娠出来ず。

 

☆ご相談にお答えして:不妊カウンセリング 東洋医学的診立て

妊娠したいというご希望ですね。
また、不妊治療もいろいろなことを試されいままで頑張ってきていらっしゃったんだなと思います。

お話を伺うと、40歳頃から不妊治療をスタートすると同時に首などの辛さがめだってきていますね。

☆☆薬や医療介入で身体の力が落ちてしまう悪循環について。

不妊治療をしていると、薬を使ったり、周期に合わせていろいろな医療介入があります。

生殖医療というのは、東洋医学で言うところの、日々の生活を底ささえする腎に負担がかかります。
そして子宮(女子胞)は、腎に支えられています。

腎の力がおちると、その腎に養われている子宮(女子胞)の力も落ちてしまうと言うことです。

Iさんの場合は、不妊治療はそれなりに成立していますが、この腎の力がかなり落ちてしまっているかと思います。そして、この腎気の落ち方が非常にきついため、全身の気虚(生命力不足)さえも招いてしまっています。

夜に布団に入っても身の置き所のない感じで寝付けないという状態というのは、気が裏に帰ろ(これが寝るということです)うとするとき、帰るべき腎陰も肝陰も(つまり腎の力)が不足しているため、納まり所がなくなっていることをしめしています。

もともと、冬になるとしもやけができたり、痔の悪化があるということより、腎の陽気不足(腎の温める力の側面)を思わせる素体が、不妊治療の負荷のため、かなり腎気の虚そのものが明瞭になり、本来腎気が必要とされる妊娠が遠くなってしまい、不妊状態がより深くなるという悪循環が生じています。

そして、腎気の不足が招いた肝気の鬱滞による首肩の痛みという状態を引き起こしていると思われます。

☆東洋医学的な診立て

・弁証:気虚まで進んだ腎虚肝鬱
・論治:益気補腎 疏肝理気
・治療方針
腎気をたてることを中心とする必要に応じて肝鬱を払う

☆☆医療介入のデメリットを受け入れメリットをいかして妊活を前に進めよう

薬を多く使う不妊治療は、どうしても身体の負担にはなります。しかしながら、その薬は妊娠に向けての力強いサポートにはなります。不妊治療のメリットを受け止められる身体の状態が、ご自身の健康度をあげ、不妊治療を前に進めていくコツになると思います。

また、身体の力をあげることは、妊娠が成立後も、しっかりと子宮(女子胞)をサポートし、無事の出産につながる力強い支えとなります。

 

☆☆不妊治療について

・採卵ができ、受精卵ができ、着床までも成立しているということは、もう一工夫で妊娠ー出産まで行く可能性のたかいカップルだと思います。
・不妊治療と同時にでてきている身体の愁訴をケアすることが結局不妊治療を前に進めていくことになります。
・年齢要因が厳しい状態です。身体の力をつけることと、年齢的な卵子の課題は、凍結などの技術の力を借りて乗り越えるということも視野に入れてよいかと思います;

☆☆Iさんの妊活を前に進めるための5つのコツ

具体的に提案させてください。

1)睡眠をしっかりととる(お肌の綺麗になるといわれる午後10時から2時までの睡眠は特に大切です)
2)からだの力を落とさないため、間食は控えましょう
3)あまりストレスをためず、やれることをしたらあとは考えすぎずにのんびりすごしましょう。
4)毎日歩くことを生活の中に取り入れましょう。
5)ご自宅で毎日、セルフケアのお灸をしましょう

 

 

☆☆治療経過

初診:左陽池(TE4)、外関(TE5)、右公孫(SP4) 復溜(KI7)
大巨(ST27)、関元(CV4)、
脾兪(BL20)、右三焦兪(BL22)、左腎兪(BL23) 次髎(BL32)

セルフケア
大巨(ST27)、関元(CV4)(温灸、お灸)
脾兪(BL20)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)

 

☆首の痛みがきついときなどは、上背部の肺兪、大椎、列缺(LU7)などを使用していった。

☆☆体外受精への再挑戦

4ヶ月後5回目のIVF-ETに挑戦し、妊娠。
体外受精胚移植時の鍼灸
1) 肺兪温灸
2) 右胃兪、左脾兪、腎兪、
大腸兪次髎(灸頭鍼)
(申脉温灸+ミニ灸)
3)右外関ー陽池
曲泉ー陰陵泉(パイオネックス+ミニ灸)
三陰交針+ミニ灸
4)臍温石

鍼灸

 

☆☆妊娠〜出産までの治療

妊娠初期は週に3回、その後もも週に1−2度の治療間隔で継続し、無事に自然分娩にて出産43歳。

妊娠中の鍼灸
1)腹部棒灸 臍、大巨(ST27)、関元(CV4)、中注(KI15)など
足三里 陰陵泉 ミニ灸など
2)胆兪 脾兪 胃兪 三焦兪 腎兪 次髎など 鍼して温灸

臍 イラスト

 

☆あとがきにかえて

 

無事に43歳での出産となりました。
おめでとうございます。
本当によかったですねえ。

不妊治療は、年齢要因が重なればあせるのはあたりまえだと思います。
そして妊娠への挑戦は、どんな方法でも結局は月に1度程度でてくる排卵にあわせるしかなく、
あっというまに、年月がすぎさってしまいますね。

また身体に負担のかかる治療ですので、不妊という観点からでは治療になっても、
健康という側面には負担でしかないということも事実です。
その折り合いをつけながら、ご自身の体調をupさせていくなかで、
妊娠、出産という道もあるのかなと思います。
そんなお手伝いをさせていただくことができて、とても嬉しいです。