不妊:新陳代謝の調整で妊娠率up、流産率↓のお話し

不妊:TSH甲状腺刺激ホルモンでわかる、新陳代謝の調整のお話し。

ある患者さんが、伊藤病院を受診され、パンフレットをもらってきました。

写真:
伊藤病院

伊藤病院はむかーしはこのパンフレットの類いがとても充実していました。病院に行くのは面倒だけど、東京の原宿だから楽しいしと仰りながらパンフレットを私にも見せてくれる方が大勢いらっしゃりました。ふむふむなどと読ませていただいてわかりやすさに納得。

最近はメインのパンフレットの他1,2種類があるのみだそうです。ちょっと寂しいですね。まあ時代の流れ、インターネットや本で読んでねということでしょうね。

もうだいぶ前、体外受精でながらく日本一有名と言われる新宿の加藤レディースクリニックに通っていた患者さんが、『伊藤病院に行くように言われました』ということをおっしゃり、だんだん不妊治療をする人にTSHを測りコントロールするというメソッドが確立していったように思います。この新宿のクリニックでのやり方を横から20年ぐらい眺めていますが、統計的なデーターを集め、確立すれば広げていくという感じがします。

あ、ヨネばあちゃん、少し思い出話を。

以前に、移植時のPは十分と言うことでホルモンを何ら補充せずに移植し、4,5回移植してもダメという方がいらっしゃりました。当時の加藤レディースクリニックでは、『不要と思われるものは足さない』という方針が明確。でも、今でも思い浮かぶのですが、その人の基礎体温表の高温期は、胚盤胞移植時がピークになり、あとはするっと下がる方だったのです。今では標準的にデュファストンがでるようですが、当時は『その当日のPが10以上あれば足さない』何度かクリニックを変えては?と申し上げたのですが、その方はやはり体外受精ならばKLCがよいというご家族の意見もあり、何度か採卵ー凍結胚移植を繰り返したものの、一度も着床しないまま、治療そのものを終了されました。良好胚が出来ていたので、今ならば着床障害や、ホルモン値の課題をもう少し強く助言できるのになあと時にその方のお顔を思い浮かべます。このお話はKLCで伊藤病院の話題が出る前の出来事です。だいぶ古い話しになります・・・。高温期

 

さて、この甲状腺は、食事に含まれるヨウ素を材料にして甲状腺ホルモンを合成しています。この甲状腺ホルモンは新陳代謝の過程を刺激したり、促進したりします。また妊娠中の胎児の脳も含めた身体発育にも大きく関与します。

この甲状腺ホルモンが一定の値をキープできるようにするのが、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。つまりこのホルモンが甲状腺を刺激してホルモンの分泌を促すわけです。

ホルモンって、身体の中では

刺激ホルモンが分泌→本体のホルモンが分泌される

こんな流れです。

つまり甲状腺刺激ホルモンであるTSHが高いと甲状腺から出ているホルモンが足りないというわけです。

 

このパンフレットの中にある、妊娠を考える方、妊娠初期の方のTSHを2.5以下にコントロール維持することで流産を減らすということが、統計をとるうちにはっきりしてきたのかなと感じました。さすが加藤さま!(と、多くの方が呼んでいますね。私もそう思うことがたびたびあります)。実績を踏まえての前進なのでしょう。

TSHの正常値

 

甲状腺の機能低下と流産、早産の関係も明確なようで、妊娠してからもこのコントロールを行ってもらう方が最近は多くいらっしゃります。以前はわからなかったことが、検査項目になり、わかってきたということかなと思います。発展していることがいっぱいありますねえ。

 

さて、ヨウ素は、体内では作られず食物から摂取するミネラルです。ただし、逆にヨウ素を過剰に摂取すると甲状腺ホルモンが減ってしまいます。ヨウ素を含む食品は注意です。

 

ヨウ素で注意するのは昆布です。昆布はダントツにヨウ素が多いです。昆布の食べ過ぎには注意ですね。昆布だしも控えるのがよいかと思います。また改装が好きならばひじきはちょっと控えましょう。

昆布

のり、わかめ、めかぶ、もずくなどの海藻は制限する必要はないです。
ただし、イソジンのうがい薬はヨウ素が含まれていますので、使わない方がよいとのことです。

日本人は海藻類が大好きです。この中で、ヨウ素に注目した場合は昆布の摂取を控えると言うことが大事です。

妊娠を考える方。不妊治療中の方。甲状腺が気になる場合にはこの伊藤病院で1度見ていただくのもよいかもしれません。朝一番で初診の門をくぐれば、お昼までには結論がでて全て終了ってな感じで帰ってくる方が多いですよ。ご参考まで。