不妊:相談 『卵の質をあげるにはどうしたらいいのでしょうか?』①
さて、実際の治療が始まってからの経過をお話ししていきましょう。
ご相談:
30才の時に卵管狭窄と言うことで手術を受けました。その後妊娠をしないのでステップアップし、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療を繰り返していますが、妊娠できません。
採卵は10回以上していますが、空砲や変性卵ばかりで卵が採れたのは4回だけ。前回の採卵も3つ卵胞がでてきましたが、1つは変性卵で2つは空砲でした。そして採卵できた4回の卵もすべて、『卵子の質が悪い』ということです。
病院の先生からは、夫の精子は問題がない。卵胞はあり、数も出るが、卵の質が悪いために妊娠につながらないと言われています。年齢が若い(32才)のに卵の質が悪いと何度も言われました。そして『卵子の質は薬では改善できない』とも言われ、絶望的な気持ちです。
卵子の質はよくなるのでしょうか?
私からのお返事
年齢が若いのに体外受精をしてもなかなか妊娠できないというお悩みですね。
西洋医学的な大きな問題はないのかと思います。また問診上はさしたる問題がなく、ご自身では体調不良と感じることはないということですね。
東洋医学的な方法を使い、脈や舌、お腹や身体にある経穴をみることを総合しながらお身体を拝見していきますと、身体の充実度が不足しているために、生命の土台の力(腎)が弱く、全身をしっかりと温め、養うことができていないことが明瞭です。
また、全体に皮膚が薄い感じがあります。この状態は、体外受精をしてなかなかよい卵子ができないという方によく診られる状態です。つまり、身体の余力がないために、全体に薄っぺらくなってしまっているのです。これがさしたる問題は感じないのに、体外受精を行うと、『卵子の質が悪い』という言葉につながってくる所見です。
食べ物をしっかり消化吸収し栄養滋養を受け取り、身体に配分できるような力をupしていきましょう。そして皮膚や身体の隅々までまでしっかりと養えるような身体に余力をつけるようにしていくことができると、『卵子の質』もあがります。地道な道にはなりますが、卵胞が出来ていると言うことは、生殖の力はあると言うことだと思います。採卵を繰り返すよりも、いまはご自身の生命力をupさせることに集中しましょう。
東洋医学的な見たて
・弁証 腎虚を中心とした気陰両虚 肝鬱化火 風邪の内陥
・論治 益気補腎 疏肝理気 疎風散寒
・治療方針 第一に風邪の内陥を取り去り肺気への負担をとる。
また肺気そのものをたてることと、腎の陽気を温養することで脾胃を助け、結果的に肺気への充分な養いが届くようにする。五臓の充実により、任衝脉の充実となるようにしていく。
治療の提案
1)週に2回の治療院での施術
2)毎日の自宅でのお灸
3)散歩などの運動、
4)お肌が綺麗になると言われている時間である10時から2時の睡眠
5)食事バランスガイドに従った、食事の改善
などをお勧めします。
気負わず、力を抜いてはじめましょう。
治療経過
週に2回の鍼灸治療開始
自宅施灸は毎日
不妊クリニックの受診はお休みする。
5ヶ月後 不妊クリニック受診
卵巣の数字悪く調整周期となる。
6ヶ月後(30診後) 採卵、多精子受精、未熟など移植できず。
2周期あける。
8ヶ月後(50診)採卵、グレード1,3の胚盤胞になる
(初めて、グレードの良い卵と言われる)
64診後 移植
67診後 妊娠 hcg50以上あると
妊娠中も鍼灸治療継続。出産にて終了。
無事に3000グラムオーバーのべびちゃんを出産、おめでとうございます。
長らくの「卵の質」を克服するための旅、ベビちゃんとめぐりあって終わりました。
でも、実は嬉しい続きがあります(^^)
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