「痛み」という症状は、なんとなく解決してしまうこともありますが、
いろいろな要因で悪化していくこともあります。
私がしているのは『東洋医学で人を診る』ということです。
東洋医学の人間観を使って、
・目の前の方の歩んできた現在にいたる過去
・現時点の分析
上記2点をしっかりみていきます。
そのうえで、生き生きと人生を歩んでいける未来のためにはどうしたらいいのかということをかんがえていきます。
実際の症例から考えていきましょう。
今回の症例は、50代の女性。いろいろなご苦労があり、下肢の傷みが発症。
その後どんどん状態が悪くなり、眠れないほどになっています。
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☆痛みを悪化させてしまった要因。
この方の痛みを悪化させてしまった要因
・家族関係のストレス
・仕事のストレス大きなイベントでの疲労
・疲労による体重減少
・足によいということで進められたプールや体操
痛みは、もともとの器質的な課題があり、整形外科ではヘルニアと診断され治療を受けてきています。
大きく分けると、
1)器質的な要因(ヘルニア)
2)精神的な要因
3)全身の体力的な要因
この3つともに今回の症例は該当しています。
痛みと言えば、1)の部分は整形外科などでとってくれるレントゲンや画像診断ではっきりと診断がつくぶぶんであり、その診断にもとづき対応がきまります。
ただ、この方の場合は、2)や3)の要因が大きく関係しています。
☆身体の一番弱いところに症状は集中する
痛みを悪化させるストレス、全身疲労があります。
確かにこの症例の場合でも、ヘルニアがもともとあり、整形外科でも手術を進められています。
しかしながら、悪化要因は、ストレスや体重減少など、局所の足の課題はあるにしろそれだけではありません。
精神的な負担や、全身疲労といった全身の弱りが生じることによって、
身体の中の一番の弱点が症状となってあらわれるのです。
この方の場合では、足の痛みの悪化です。
身体の中で一番弱かった足の痛みが症状としてご本人の大きな負担となっています。
☆『運動は単なる疲労の積み増し』になることもある
そしてこのケースでは、弱った局所をかえって傷めることになってしまったことが悪化を強く押し進めています。
ときに、
体力がない→運動して体力をつけよう
痛みがある→体操して血流をよくして解決しよう
ということがおこなわれます。
これはまず全身と局所の問題を考える必要があります。
全身がとても弱った虚弱の状態で、運動をしたり、体操をしたりすると、より全身が弱り症状が悪化することがあります。
つまりその方にとって、『運動は単なる疲労の積み増し』だったわけです。
☆東洋医学的な解決:胃腸の力を増し、暖め養い痛みを取りましょう。
この方の下肢痛は、東洋医学で言う痺症のカテゴリー。つまりひつこく長く続く痛みとなります。
痛みの原因に身体そのものの弱りなどがあるということです。
局所である右の足だけの問題ではないところに痛みが長く続く原因があるということです。
東洋医学的な証立てとしては
弁証論治:脾虚、経絡経筋の冷え、弱り
治療方針:益気補脾 下肢の経筋経絡の温陽通絡
まず、胃腸のパワーをupさせて、身体の力を充実させます。
その上で、傷めた右足の経絡を暖め養い、力がその経絡に流れるように導きます。
☆5診ほどでぐっとよくなった治療経過
5診ほどで、痛みは非常によくなり、長くあるくことができるようになった。
その後、月に1,2回のお体のメンテナンス的な治療を続行。
よかったですねえ。あまりがんばりすぎないで〜と申し上げましたが(^_^;)
雪かきをしても大丈夫だったと楽しそうにお話しくださいました。
☆ご本人へのアドバイス
”もともと土台のしっかりした丈夫なお体だと思います。
しかしながら、数々の日常的なストレスにより胃腸に負担がかかり、
身体の力を落としてしまったことが、一番の問題だと思われます。
胃腸の状態をよくすることが、足の痛みの軽減、全身状態の好転、
季節の変わり目に体調が悪くなってしまってい状態の改善につながります。
食後におなかが脹らない程度の食事量になるように気をつけ、
間食もできるだけ控えるようにしてみてはと思います。
便通がすっきりとすることが目安です。
また、冷えや、弱った下肢に強い負担をかけるのは、症状を悪化させます。
まず冷やさないように注意し、全身状態をよくすることで、痛みの改善を
図りましょう。”