4)妊娠の継続を願う、あれこれの対策 NK細胞活性など

不育症関連のお話、続けます。

いろいろな話しがあり、迷いますよね。

免疫療法の治療成績

このNK細胞活性と流産については、不育症を扱う先生方の間でも、見解がわかれるとこ
ろであり、 このあたりはクリニックによってかなり考え方、取り扱いが違うところで
はないかと思います。

どちらの考え方も読めば納得しますが、比較検討して結論を患者側が出すということは
、どちらの先生を信じるかというような、信心をするような境地になってしまうのでは
ないかと思います。まあ、これはどんな医療でも立ち位置、考え方でおこることで、患
者の選択ということになるんですけどねえ・・・。

とある先生がこの検査には根拠がないとしてあげられている論文があります。

 

NK細胞を標的とする不妊症や不育症の治療:否定的見解

NK細胞を標的とする不妊症や不育症の治療に科学的根拠はない、英国研究者が警鐘
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/346288.html

現時点で(2023/09/15)で、ググると杉ウイメンズクリニックのWEBサイトではアップデートされた情報がありました。

NK細胞活性が異常低値で悩んでいる方へ。NK細胞活性検査を土日に採血した場合は、検査に回るまでの間に細胞が死んでしまうので、平日に再検査をお願いして下さい。
http://www.sugi-wc.jp/news_disp.cgi?news_no=0&id=1553851611_004AB1

この検査は、お勧め出来ないという論文もあるし、検査そのものがかなり難しいということですね。

 

NK細胞を標的とする不妊症や不育症の治療:そうであってもやってみたい場合

 

それでも、やってみたい。自分自身には有効であるのではないかという意見もそれはそれでありなんだろうなあとは思います。

先般も連続して、東京のとある有名クリニックでピシバニールの注射を受ける方がいらっしゃりました。結果にどうむすびつくのかという疑問はありながらも、できることはやってみたいというお気持ちはなっとくできるところです。

難しいですねえ。

 

不妊治療第1世代、神奈川レディースクリニックの見解

神奈川レディースクリニックでは、いろいろと考え方が示されていました。

流産を繰り返さず、出産へと導くために。
http://www.klc.jp/cure/cure3.html

私は長らく不妊治療に携わっています。
不妊治療は、体外受精の始まりによって大きく変革しました。
その前後の変化を知っている先生方を私は第1世代と勝手に呼んでいます。

この第1世代の先生方は、『不妊』に対して強い、熱い、情熱をもっていらっしゃいました。
今の先生が情熱がないということではないのですが、自費の高額な治療を、患者さんと
必死な思いで挑戦する、しつづける。これがどんなに負担か、そしてどんなに辛いか。

そして次の1回の治療が扉をあけ、人生を変えるかもご存じ。そんな先生方の
情熱を感じることがこの第1世代の先生方にはあったような気がします。
この神奈川レディースの小林先生は、そんな情熱を感じさせる先生です。
もう、お亡くなりになっていらっしゃりますが、加藤レディースクリニックの加藤先生も
私の中で患者さんのやりとりの沢山のエピソードの思い出があります。
新宿でまだ一軒家のクリニックだった頃からビルに移られてのこと。
食事チケットを配りながら、患者さんを応援など、微笑ましく、そして患者さんに
頑張ってほしいという願いがはしばしから伝わってきました。

加藤レディースクリニック:加藤 修先生

 

★ピシバニールが効いた? 効かない? 難しいねえ。

 

さて、NK細胞活性で使うピシバニール。かなり痛い注射らしく、つらかったというお声
を聞きます。それでも効いてくれればなんていうことはないということですね。

私にとっては忘れられない症例があります。爪の根元が赤黒く、これはなんらかの血液
凝固系の検査でひっかかるのではと思ったのですが、杉ウイメンズクリニックの検査で
は、まったくの白。通院、治療の必要なしとの診断でした。しかしながら検査のあと12
週の流産があり、「今わかっている検査の範囲外の出来事かもしれないね、次回の妊娠
時にはフォローしていきましょう」という結論になりました。

そして次回の妊娠時の前に、他院にてNK活性の診断を受け、ピシバニールを使い無事に妊娠出産されました。何度もの流産の後ですが、無事の経過となりました。

不育症の治療は、次回無治療であってもかなりの数字で妊娠ー出産に結びつきます。つ
まり、その治療が有効であるかどうかを本当に検討するのはなかなか難しいことなので
す。

でも、患者にとっては、「その治療が有効であるかどうか」よりも、「いま、子の
妊娠を継続させたい」という一点につきるわけで、私はいろいろ対応してダメなときの
次の一手を求めることを否定はできません。

2016年2月14日の杉先生のTh1/Th2、NK細胞活性検査についてのインフォメーションです
。ご参考まで。
http://www.sugi-wc.jp/news_disp.cgi?news_no=0&id=1456305506_002FFC

 

まあ、一番大切なのはリラックスかも。
リラックスの達人、ギルバルスに教えてもらいましょう!

イラスト