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不妊相談:「必要十分な鍼灸、養生の量」で妊娠へつながった症例0136

不妊治療において、身体作りや養生がとても大切です。

確かに高度生殖医療などが決め手となることも多いと思いますが、
逆に言えば、何度高度生殖医療をしても、”卵の質が悪い” ”良好胚を移植しても妊娠しない”
”着床しても継続出来ない” ”原因はない”のに妊娠できないというように、西洋医学的な
医療介入が結果につながらないことも多いのが現実です。

こういったときに、養生や身体作りがとても大切となります。
鍼灸治療自宅養生睡眠漢方薬などその必要量をしっかりと満たすことで、妊娠、出産につながることがよくあります。

この症例のYさんは、”やるべきときに、やるべきことをしっかりとやる”ことを気負わず出来る
素晴らしい女性です。そして、これぐらい”十分な刺激量でおこなう”ことが大切なのかが
わかる症例となりました。

当院での治療方針がかわったわけではなく、ご本人が身体作りのための養生としての刺激量を『ある程度』から『必要十分な量』まであげることで結果につながったということです。

 

さて、Yさんの物語の世界の扉をあけましょう

☆ご相談:妊娠できません、どうしたらいいでしょうか?

32才です。
30才から妊娠したいと思い不妊クリニックにて治療を受けてします。
検査などをして取り立てて原因になることはないと言われています。

20代後半から仕事が忙しくなり体調がぐっと悪くなった気がします。
血圧も低く(60−90)、生理周期も伸びてしまい、疲労感が残るようになりました。
転職し、仕事は楽になったものの通勤距離が伸びてしまい体調は回復していません。

早く子供を授かりたいと思っています。どうしたらいいでしょうか?

 

☆不妊カウンセリング 身体作りの提案

病院での検査では問題ないと言われながらも、なかなか妊娠しないというお悩みですね。

妊娠には、生命力の余力が必要です。つまり身体にそれなりの余裕があって初めて成立するわけです。

ただ、女性のタイプにはふたつあります。
1)余裕がないから次の世代で!タイプ。
このタイプは、ご自身の身体に余裕がないとかえって次の世代にいきましょう!というスイッチが入る方です。母体側がどうであれ次の世代を生み出そうと身体のスイッチが入ります。

2)余裕がないから、生殖は少しお休み
このタイプは、ご自身に余裕がないと生理の周期が伸びたり、なかなか妊娠しなくなるなど、いまが余裕がないから生殖などは後回しでというタイプです。

Yさんは、

2)の余裕がないから生殖まは少しお休み、いまが精一杯で生殖まで手が回らないから、妊娠はちょっと待ってね

という身体のタイプだと思います。

お話しを伺いますと、日々のお仕事、生活、趣味などがとても盛りだくさんですね。30代前半、一番充実した世代ですから納得の出来るところです。しかしながらお身体を拝見しますと、

・踵に感じる冷え
・関元(CV4)、腎兪(BL23)、大腸兪(BL25)、湧泉など生命の余力を示す経穴が力がない。
・生理周期のおくれ、生理の塊、舌の瘀斑、少腹急結、歪舌
・大椎の冷え、陶道の発汗

上記などから、素体の弱りがあり、気血の巡りが悪いこと、そして滞りが少し病的に変化しはじめ瘀血という東洋医学で言う血の滞りを感じさせるポイントも出現し始めているという状況です。

30代前半、お若いです。
しっかりとご自身の養生に取り組み、不妊治療を一歩前にすすめましょう。

私からの提案をしますね。

患者さんへの提案:
1)週に1度以上の頻度での鍼灸治療
2)毎日の自宅施灸
3)十分な睡眠
4)漢方薬の服用

漢方薬は薬局や専門病院への受診をお勧めします。
私がYさんだったら、生薬タイプの八味地黄丸などを選ぶかなと思いますが、具体的なところは、薬局や専門クリニックで相談してみて下さいね。

東洋医学的な見たて。
腎虚 肝鬱瘀血
益気補腎 疏肝理気 活血化瘀

治療方針、まず第一に腎気をあげることを中心の課題とする。
瘀血や肝鬱は、腎気がたつことによって解消しない場合には手を加える。

治療経過:妊娠にたどりついた2段階の道のり

初診:
左外関、三陰交、右臨泣 復溜 中注 関元
大椎温灸 腎兪(BL23)、大腸兪(BL25)

外関ー臨泣: 少陽の枢をたて、腎の陽気をアップさせる。
復溜 中注 関元:  腎の陽気をアップさせる
大椎:肺気を救い、腎への負担を取る
腎兪(BL23)、大腸兪(BL25) 腎気をアップさせる

 

初診から3ヶ月目までの様子と結果
やったこと:
・1から2週間に1度の鍼灸治療を受ける
・2,3日に一回程度 ウチダの八味丸Mを服用
・時々自宅施灸
・夜の1時過ぎに寝る。

結果:朝の目覚めがよい、17日かかっていた排卵が13から14日目でおこる。夕方に疲れを感じない。
:体外受精では1個しか採卵できず移植するも妊娠できなかった。

4ヶ月目以降、10ヶ月目の様子と妊娠につながった結果
やったこと:
・週に1度以上の頻度で必ず鍼灸治療を受ける
・毎日自宅施灸
・毎日漢方を規定量しっかり飲む
・11時には寝る。

結果:朝の疲労感が違う、朝から動ける、腰痛を感じなくなってきた。体外受精で8個採卵が出来5個受精、2つグレードの良い胚盤胞が出来た。胚移植し妊娠出産。

結果を表にまとめてみました。

治療方針がただしく、養生の方針が正しければ、それなりの結果は出ます。体調も良好な変化はしています。ただ、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療受精をしてみると、結果は歴然。同じ治療方針で十分な刺激量、十分な養生をおこなっていくことで無事の妊娠、出産につながりました。

まとめ:養生を不妊治療の結果につなげるために

身体作りは、『ある程度』行えば、それなりの結果は出ると思います。
体調がそれなりによくなったというのは、不妊という明確な課題がなければOKだと思います。

しかしながら、はっきりとした結果を求める場合は、
『必要十分な養生の量』が必要です。

Yさんのすごいところは、しっかりと腹をくくり、いままでと明確に違う養生の量をまもり、結果につなげたことです。これはもうご本人の努力のたまものとしかいいようがありません。

さすが!と頭が下がりました。

胎盤形成時期への鍼灸アプローチ しっかりとした胎盤と3000㌘越えの赤ちゃん0327

昨今、赤ちゃんが小さいという問題はよく語られるようになりました。

これは、YouTubeで見ることができます。

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

これは京都女子大学辻雅弘先生の講演で、赤ちゃんが小さいと知能の低下と関連するというお話で、お母さんは十分体重を増やししっかりと栄養をとりましょうというお話です。

☆小さい赤ちゃんはなぜ生まれる?

小さい赤ちゃんが生まれる理由は多くあります。もともとの個性ということもありますし、母体側、胎児側、そして胎盤、臍帯などの理由もあります。

小さい赤ちゃんの話はこの講演での話しのよううに、母体側の体重の側面がひとつ。そして胎盤血流問題のと二つの側面があるのではないかと私は妊婦さん達をフォローする臨床を通じて感じます。

☆私が妊婦さん達の鍼灸治療を通じて感じる赤ちゃんが小さい理由2点

・母体の瘠せ。

・血流の悪さ、胎盤。

この二つの課題について、症例を通じながら具体的におはなししていきましょう。

母体の瘠せについては、こちらで説明しています。
→やせた方の妊娠、体調をupさせ出産へ(BMI15.6)
 https://bigmama-odawara.jp/old/YASE.HTM

今回はもう一つの課題、血流の悪さ、胎盤の課題です。
この症例のNさんは、十分に胎盤が育ち、大きな赤ちゃんを出産することができ、とても喜んでいらっしゃりました。それでは、Nさんのお話です。

☆胎盤形成時期への鍼灸アプローチ しっかりとした胎盤と3000㌘越えの赤ちゃん。

 

当院には、不妊不育という二つの課題で来院される方がおおくいらっしゃります。

もともとは不妊の方が中心でしたが、臨床を勧めるうちに『不妊』と言う中に、かなり『血流の課題』『血液凝固系の亢進』など、不育症と重なる課題を多くもつ方がいらっしゃるのに気がつきました。

☆不妊と血流問題

この血流問題は、不妊治療を考える上で大きなポイントとなります。

つまり、妊娠をするには血流、それも子宮血流をどうのように十分に行き渡るようにするかがポイントなのです。

この子宮血流をあげるという鍼灸アプローチが、結果的に『胎盤が大きい』『妊娠中のトラブルを防ぐ』ということにつながることを臨床を通じて順次知ることとなりました。

・不妊
・着床障害
・妊娠初期
・妊娠9週の壁
・不育症
・お母さんの瘠せ

これらをしっかりとアプローチしていくなかで、

出産報告に、『胎盤が大きいと言われました』という報告を多く頂くことにつながりました。

今回は、第一子と第二子で大きな違いがあった症例です、

☆第一子のご出産が小さい赤ちゃんであった方のケースからわかること。

私は第一子が小さかった方や、出産時に血流に関するのではないかと思われるトラブルがあった方には、不育症の検査をお勧めしています。

そして、この不育症の検査のうち、『血流の問題』『血液凝固系の問題』で多くの方が問題を指摘され、不育症対策をして第二子への妊娠、出産につながり、第一子とは違う安定した出産につながったという報告をよく伺うことにつながりました。

☆不育症の検査を考えるとき

不育症の検査は、適応である場合に勧められます。ただ、私は流産を2回しているなどの適応を満たしていなくても、お身体を拝見してきっと引っかかるなと思った方には、検査をしている病院で相談してみてねとお話をしお勧めしています。

この不育症の検査は、

・自費で費用が高い

・産科の先生に指摘されなかった

上記のこともあり、全員が受けるということにはつながってはいません。

☆☆体外受精や顕微授精などの高度生殖医療受精と血液凝固系の検査

確かに自費の不育症の検査は高額で、病院で勧められることが少ない検査です。
しかしながら、受けて頂いた方は、かなりの確率で問題が指摘されています。

このことは、体外受精など高額の費用が掛かっている方には結果的にとても感謝されています。

それは体外受精をして心拍確認後の流産を2回してからの不育症の課題への挑戦となると、時間もお金も膨大にかかるからです。とくに治療が40代にさしかかっていれば時間は取り戻せません。

これらの経験と、私が『もしかして、血流の問題をもっているのでは?』と思った方の妊娠をフォローさせて頂くことが多くなるにつれ、確実に不妊、胎盤、赤ちゃんの大きさに確実につながることもわかってきました。

☆胎盤形成期の鍼灸アプローチ

今回は、第一子の経過と、体表観察から血液凝固系の亢進を感じました。しかしながらご本人が妊娠初期への鍼灸のアプローチをしっかりすることで対応したいということで、不育症の検査をうけたり、薬剤などを用いずに、妊娠、出産をなさいました。そして結果的に2回の出産に大きな違いを感じられてたということがあった症例です。

☆不育症や、血流問題は絶対要因ではありません。

不育症や、血流問題は絶対要因ではありません。

ただし、この課題へのアプローチを十分にしておくことは、不妊の解決。そして安定した妊娠経過につながり、『十分な大きさの赤ちゃん』につながるんだということは何度も経験させていただいております。

☆症例:胎盤形成時期への鍼灸アプローチ、妊娠出産へ。

☆☆主訴

不妊、不育、なかなか妊娠できず、妊娠しても流産になってしまいます。35才です。第一子は妊娠を希望してほどなく自然に授かりました。

☆☆流産を3回

第二子を希望して3年たちます。その間に流産を2回、化学流産を1回しています。

病院ではよくあることといわれ、特段の問題を指摘されず、様子をみていますが、この1年は妊娠すらできなくなっています。

☆☆第一子の妊娠の経過、妊娠中毒症

第一子は途中から妊娠中毒症に近い症状が出現し、いろいろなトラブルがありましたが、病院の対応もよく、なんとか無事に少し小さめの赤ちゃんを出産することができました。

☆☆現在の状況

足はとても冷えて、身体の芯から冷える感じがあります。またしもやけもできます。

風呂上がりや、寝入りばなに急にぐっとした冷えを感じることがあります。

この半年は特に冷え感がつよく、足首、腰の冷えを強く感じています。ふとしたきっかけでおこった肩の痛みもなかなか治らず、なんだか体中がぎくしゃくしているかんじです。

早く妊娠したいと思っています。また妊娠したら流産をせずに生みたいと思っています。

どうしたらいいでしょうか?

☆ビッグママからのお返事

なかなか第二子の妊娠にいたらない。また妊娠しても流産が多いというお悩みですね。

流産も何度もなさり、小さなお子さんを育てながらの日々は大変だったと思います。

東洋医学的なお体の状態を拝見しますと、

1)身体の土台となる底力(腎気の力)が不足気味であること

2)土台の力が不足気味であるので、身体が気を張って頑張って日々を過ごそうとしているので、気の鬱滞状態を招いている。

つまり、土台の力不足(腎気不足)があることそのものがまず妊娠を主る女子胞(子宮)の力の不足となります。

その上で、土台の力不足だと、全身の生命活動を支えるために、気を張り頑張って身体は生命力を偏らせて日々を過ごしていきます。必要とされるところに集まり、その集まりがなかなか解消されないという状態になるのです。

土台の力不足と気の停滞は、上実下虚という、身体の上部はのぼせがちなのに、足腰は冷えているという状態を引き起こし、より妊娠を遠ざけます。

また、この足腰の冷えが、妊娠の継続も妨げる原因となります。

・弁証 陽虚を中心とした腎虚 肝鬱 心熱
・論治 温陽補腎 疏肝理気、
・治療方針 基本的に温陽補腎を中心とするが、上焦に熱が籠もりがちになることが多ければ理気、清熱も適宜加えていく。

☆☆不妊カウンセリング

 流産の回数や、第一子の妊娠中の途中経過から、不育症の検査を受けることも検討してもよいのではないか。(→ご本人から検査は希望しない)

 不妊治療そのものは、もともと妊娠する力がありますから、あせらずに半年ほどは体調をあげることに専念しましょう。

年齢要因もありますので、36才ぐらいを目処には体外受精などを考えてもいいのかと思います。

☆治療経過、6ヶ月ほどで自然妊娠、無事な出産へ

初診:

1:右足三里(鍼+お灸)、左陽池、外関、復溜(鍼+お灸)照海、太谿温灸
中脘、気海温灸
2:身柱温灸
3:左三焦兪、右胃兪、腎兪 次髎
自宅施灸指示 右足三里、復溜 左外関、陽池、中脘、気海
週に1度、6ヶ月ほどで自然妊娠。

妊娠後は、週に3回の施術に切り替え。胎盤形成期の鍼灸アプローチをしっかりとおこなう。
自宅養生も指導。

☆出産へ

10ヶ月後、第一子のようなトラブルもなく無事に出産。

助産師さんから非常に立派な胎盤とほめられ、第一子の時よりも700グラム以上大きい3000㌘を越えた赤ちゃんを出産。

第一子の時は出産後の自分の体調が非常に悪く辛い時間が長かったが、今回は子供が大きいのに、自分の体調は非常によかった。

妊娠初期の手入れがこれほどまでに、赤ちゃんや出産の経過に影響するものなのかと驚きましたというメールを出産報告と共に頂きました。

☆第一子と第二子の体重差700グラム以上はどうして?

無事に妊娠、そして心配なさっていた流産をすることなくのご出産に繋がり本当によかったなと思います。

また、メールで『この子は肌つやもよく、ちょっと小さめの第一子の1ヶ月検診の時の大きさで生まれてきてくれました』という報告は印象的でした。第一子と第二子の体重の差が700グラム以上あったということです。

妊娠初期の胎盤形成期をしっかりと鍼灸でケアすることは、妊娠の経過そのものを安定させますし、また充分な大きさで赤ちゃんが生まれてきてくれるということは、赤ちゃんそのものにも大きなプレゼントになりますし、お母さんにとってもとても育てやすいと思います。

☆☆『胎盤がしっかりと大きいと言われました』という多くのお声

『胎盤がしっかりと大きいと言われました』というお声は本当に多くの患者さんの出産報告で頂いています。

はじめは、無事の出産の結果だなと思っていたのですが、妊娠初期の手入れをしっかりとなさった方からそのお声が多く聞かれることに気がつき、『胎盤形成時期の鍼灸治療』のよさを実感しています。

妊娠初期の手入れは、妊娠が継続出来ない方や、流産を繰り返しているという方におこなっていましたが、結果的にそれが、『しっかりとした胎盤作り』につながり、流産の危険性を下げ、充実した胎盤から栄養をしっかりと受け取れる環境で育つ赤ちゃんという流れになってきていると思います。

また、充分な大きさの赤ちゃんを産むと言うことが、赤ちゃんの成長にはとても大きな助けとなります。是非、実践してみてくださいね。

いやいや、つきちゃんお灸も冷えにいいですよ。