東洋医学の体力貯金」カテゴリーアーカイブ

4)東洋医学の体力貯金  陰維脈 胃腸の力

3)陰維ワールド

さて、陰陽の『維脉』維脉の維には「つなぐ、網」などの意味があります。つまり全身の陽気をつないでラップするような役割と、全身の陰気をつないでいきます。大きな枠での陰気陽気のくくりは生命そのものを維持させるということにもつながっていきます。

陰維ワールドの描く世界

陰維脈の描く世界は、いうなれば胃腸の力です。衝脈という生命力がしたから突き上げる絡脉と一対二なりひとつの経絡をつくっています。面白いのは総穴、心と胃腸は一体でありことがわかります。

陰維の総穴であり、心包の絡穴でもある内関が陰維脈を代表する脈です。胃腸や心に関係する脈なのに手にあるところが面白いですね。手というものの位置関係が面白さを増します。

これは中村歯科医院さん(http://4618nakamura-dental.com/info/あなたの握力はどのくらいですか?/)のサイトで紹介されていた握力と噛む力そして健康に関するデータです。

手の力は噛むという胃腸の力に関係性があり、それらが新血管疾患のリスク、心筋梗塞のリスク、脳卒中のリスクとの関係があるというのも面白いですよね。胃腸の力、噛む力、それが手の力と関係するんです。

さて、陰維ワールド。宋穴は内関PC6であり、郄穴は築賓KI9です。
郄とは間隙(かんげき、すきま)のことです。かく経絡の経気が深く集まる部位とされています。ちなみに、陰維の郄穴である築賓の主治は解毒、疝気(せんき、下腹の痛み)、脚気とされています。鍼灸としては解毒穴で有名ですね。郄穴は内臓疾患に対して疼痛緩和の作用が気滞Sれます。やはり築賓も陰維脈を流れる経絡部位の疼痛緩和に役立つと考えて良さそうですね。

この陰維ワールドと関係が深いのが衝脈です。衝脈の宋穴は公孫。足の太陰です。手の厥陰心包の子午は足の陽明その裏の足太陰の脾にあるわけです。内関ー公孫というと奇経八脉をツナグ経穴として有名ですが、この内関ー公孫は陰維と衝脈を結ぶと言う意味でも裏を建てていく非常に重要なポイントにもなりますね。衝脈についてはのちほど。

2)東洋医学の体力貯金 貴絡ワールド

東洋医学では、身体の中の状態を独特な生命観で見ています。
五臓六腑と言う概念が基本で、肝、心、脾、肺、腎、胆、小腸、胃、大腸、膀胱 三焦、(心包)という12の臓腑で考えていきます。

そして臓腑が身体のなかの機能であれば、と経絡というその機能を運ぶ道路という概念があります。運河のようなものでしょうかね。

肝という臓腑があり、手足末端も含めて考えてく運河に足の厥陰肝経という経脉があるというイメージです。

また、12経絡のあらわす正経いがいにも、奇経という身体のネットワークを考えます。正経という十二経絡は体表に流れる概念として
考えられ、もう一つの奇経は中心軸がありバネのように軸となり、コートのように体表を覆うものと考えられます。
米山宣言!

私は五臓、貴絡ワールドを中心に、気血の概念、気の昇降出入の概念を使い、言葉を複雑にしすぎることなく、イメージがしやすい身体の捉え方をするようにしています。

言葉が複雑だと、言葉の解説になりがちだからです。

大切なのは、言葉の解説ではなく、目の前のその人を見ることです。

五臓と、貴絡ワールド。そして気血のありよう。私の軸足としていきます。

この正経と奇経。これもまたまた専門家の間でも議論がわかれるところで、その細かい議論はその道の達人にお任せして(^^ゞ、
私としては、普段の生活に使う生命力が流れる臓腑を正経、そして内側で貯蔵庫のように体力貯金をするところを奇経と考え、
貴重なネットワークとして貴絡ワールドとして捉えています。

私は、臓腑経絡、また正経の治療に関しては、西洋医学やその他の医療、手当てがよく効くと思います。しかしながら、生命力の貯蔵である奇経八脉の充実は、一番大切でありながら、なかなか手が届かないところです。私の治療ではこの体力貯金を目指していきたいと思っています。

1)東洋医学の体力貯金 後天の精と先天の精 貴絡ワールド

1)東洋医学の体力貯金 後天の精と先天の精 貴絡ワールド

体力という言葉から思い浮かべることはさまざま。

私は身体の余力、底力というイメージを持っています。

東洋医学では、肝心脾肺腎の5つの臓腑で身体の状態を考えていきます。

この中で、胃腸を中心に、食べて、排泄してと日々を生きるのが、

胃腸の力です。東洋医学の言葉では後天の精といいます。

そして生まれつき備わっている力、日々の余力から積み増していく底力を先天の精といい腎が中心となります。

体力をあげようというと、運動や筋トレを思い浮かべる人が多いかと思います。

またご飯をいっぱい食べて体力をつけようという発想も理解出来ます。

この先天の精である腎と同じような考え方をしていくのが、奇経と言うシステムです。

東洋医学ちょっと複雑なのですが、正経と奇経というシステムをイメージしていて、

この先天の精である底力や余力に関するシステムをこの奇経のシステムとも重ねています。

私たちは毎日生きています。

日々を生きていく私たちには、生命力があります。

それは、今この瞬間に、足を動かし、手を動かす生命力です。

これは基本の生命力であり、五臓や正経のイメージするところ。

そしてもう一つ、底力や余力にかかわる体力貯金のような生命力も考えられています。

なにかあったときに、それを引き出し、なんとか乗り切るための体力貯金です。

この体力貯金が日々をスムーズそして臨機応変、何かあったときに対応して余力をもって生きて行くにはとても大切です。

お金で言うと、

日々のフローは後天の精である胃腸の力が中心。

貯金はなにかあったときに対応する余力、先天の精である腎や奇経が中心

日々はなんとか自転車操業のようにしていても過ごせます。

ただ、何かあったときのダメージをかわす。

妊娠ー出産など個人の生命とは直接関係のない命の営み

大きな厄災から身を守る。

こんなためには、東洋医学の体力貯金はとても大切なのです。

私はこの東洋医学の体力貯金を貴絡ワールドと名付けています。

奇経絡脈というのは血管とも、神経とも重なるような違うような。

命のネットワークのことです。つまり貴重なネットワークというイメージで奇絡ワールドという言葉を考えました。

東洋医学の体力貯金、貴絡ワールドのお話しをしていきましょう(^^)

ところで、この奇経は古くから色々な考察を重ねられています。

古典については専門家の先生方にお任せすることとし、私が日々の臨床の中で感じられたことを中心に考察をしていきたいと思います。

私が岡本一抱のイメージとして胸に刻んでいるのは

・陽維は諸陽を維ぎ(つなぎ)

・陰維は諸陰を維ぎ(つなぎ)

・督脉は背部で諸陽を都べ(すべ)

・任脉は腹部で陰経を養い

・衝脉は上下全身に衝通して十二経の海となり

・陰陽の蹻脉は左右陰陽の主となり

・帯脉は諸経を束ねて乱さないようにしているものです。

という言葉です。つまり奇経を十二経を束ね統合しひとつの命としてつないいでいるとイメージしています。

3)東洋医学の体力貯金 生命の貯蔵庫奇経、8つのワールド

さて、貴絡ワールドは以下の8つで構成されています。

1)陰維脈・陽維脉
2)陰蹻脉・陽蹻脉
3)衝脈 任脉 督脉 帯脉

さて、お念仏のように先ずこの言葉

・陽維は諸陽を維ぎ(つなぎ)
・陰維は諸陰を維ぎ(つなぎ)
・督脉は背部で諸陽を都べ(すべ)
・任脉は腹部で陰経を養い
・衝脉は上下全身に衝通して十二経の海となり
・陰陽の蹻脉は左右陰陽の主となり
・帯脉は諸経を束ねて乱さないようにしているものです

陽維脈はもろもろの陽が交わるところからおこり外くるぶしから衛分を上行
陰維脈はもろもろの陰が交わるところからおこり、内くるぶしを営分を上行
→この二つは身体の基本的な枠組みである網維をつくる。

陽蹻脉は踵におこり、外くるぶしを巡って身体の両側を上行。
陰蹻脉は踵におこり、内くるぶしを巡って身体の内側を上行
→このふたつで、身体のバネをつくり動きをよくします。

上記4つは、踵からおこり、全身を纏います。

そして以下の4つは、臍下丹田からおこり胸中で終わります。
督脉は会陰におこり、身体の後ろをいき、陽脉の総監督です→陽脉の海
任脉は会陰におこり腹を巡って身体の前に行き、陰脈の総監督です→陰脈の海
衝脈は会陰におこり、臍を挟んでいき上に突き上げ、諸脉の総監督となります→十二経脉の海
帯脉は横に腰を巡り諸脉を束ねて引き締めます。

奇経と通補、肝腎との深い関係。奇経に病があるということは裏の位置に病があるということです。肝心要という言葉に近いかな。少しずつ学びを掘り下げていこうと思います。

5)東洋医学の体力貯金 陽気のラップ、陽維脈

4)陽維ワールド

わて、前回の陰維ワールドに続き、今回は陽維ワールドです。

全身を陽気の網でくるむというイメージかな。この陽維と陰維が一体となって、生命のもっとも基本的な枠組みを作っています。すなわち、陰維脈が胃腸の力、そして生きているという暖かさである陽気でからだをラップする陽維脉のふたつが合わさり、全身の生命の枠を作っていると言うことです。生命は一体であり、その中心を体幹部で考えていきます。すなわち臍下丹田から立ち上る生命です(衝脈中心)。生命そのものは足の先まで一括りの生命です。その一括りの生命のシンプルな枠組みが陰陽維脉とイメージできるかなと思います。

陽維脉は足太陽の金門穴よりおこり、外踝の後ろをめぐり、足太陽と足少陽の間を上行し、肩関節の後方を経て、首の後ろ両側へ斜めに行きます。後頭骨の下で左右両経があわさりひとつとなります。風府穴にて左右両経に分かれ、平行に風池穴を経て側頭骨をのぼり頭頂両側をめぐり額の眉弓上に至ります。

この風池穴は面白いですね。手足少陽と陽維脉があわさります。手足少陽というヤンチャな経絡が陽の網でたばねられるイメージかなと感じました。

また、外関も陽気のラップである陽維脉の宋穴らしく、しっかりと全身を温煦したいときに上焦の経穴として陽池とともに使うことが多いです。
そういえば手には陽池陽谷陽谿と3つ陽のつくツボがならびます。陽気と手首は関係が深いですね。