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質問にお答えして:卵子の質はよくなるのでしょうか?

このご質問を初めていただいた時に、『卵子の質をあげると言うことは、生命力そのもの、その人の生命の質をあげるということ。可能なんだろうけど、かなり困難ではないのだろうか。そう簡単に『はい、出来ます』とはいえない』と思いました。

 

そして、この方と二人三脚し、鍼灸治療をし、生活の改善をするなかで、
何度も、
何度もやった体外受精での卵の質という壁を乗り越え、
無事に第一子、そして残った凍結胚で第二子をご出産になりました。

ときおり、年賀状などでお二人のお子さんの成長を拝見させていただきますが、
頼もしく、かわいく、ヤンチャに成長なさっていて、
あのときのこの患者さんの真摯な思いが通じ、
人生を大きく変えた症例だと私の胸に深く刻まれています。

そして、その後、多くの患者さん達がやはり

『卵の質をあげることはできる、人生の扉を開け前に進むことは出来る』と私に教えてくださりながら、家族と過ごす人生をあゆまれています。

 

☆体外受精をしていて卵の質という課題に引っかかったら

子供が欲しいと思っている方に届けたい。

『卵の質が悪い』ということで、体外受精が前に進んでいかないのならば、
ただただ、同じ事を繰り返さないでください。

注射の種類を変えた、
薬を変えてみた、
病院を変えた、
漢方を飲んだ。
サプリも飲んだ

それだけの足し算では、あなたの身体の質を上げることにつながっていないケースを
私は多く見ています。

当院は鍼灸院です。提供できる施術は鍼灸です。
しかしながら単に鍼灸をすればいいのではない、
卵の質をあげるには、トータル的なアドバイスをしながら、
その人に必要なこと、
やめた方が良いこと、
ポイントとして絞ることを
東洋医学的な四診を通じた不妊カウンセリングを行い、
『何をすべきか、何をやめるべきか』を明確にしていたら進む必要があると
つよく、
つよく、
強く感じています。

 

☆☆ある培養師さんが説明なさっていたこと

ある培養師さんが患者さんに『今回の体外受精で出来た卵の質がよくないですねえ・・』という説明の中、卵の質ということを説明してくださいました。

排卵誘発剤で改善できるのは、
「卵の成熟度(を上げること)」
です。成熟度があがれば、受精率が高くなります。つまり未成熟の卵では受精しにくいということです。

 この説明はとてもわかりやすく、私も大きく頷いてしまいました。

☆☆卵の質がわるいまま、体外受精の回数を使ってしまわないで!

 

保険適応の場合回数制限があります。
40才以下の方であれば、3回、
40才以上の方であれば1回、

採卵して卵の質が悪いというところで引っかかったら、若い方であれば3回、40代以上であれば1回で、続けて採卵せずに、卵の質を上げる努力を織り込みましょう。

 

☆☆年齢要因は大事、
でも、卵の質が改善できないままでは結局前に進まない!

確かに年齢要因は大事です。
決定的な要因となることがおおいです。
しかしながら、卵の質が改善できないままでは、結局前にすすまず、
保険適応の回数などすぐに終了してしまいます。

 

☆☆卵の質を改善するための東洋医学的不妊カウンセリング

卵の質で引っかかったら、東洋医学的な不妊カウンセリングを受け、何をすべきかと明確にして不妊治療を前に進めてください。

年齢要因は本当にだいじです。
あなたの貴重な時間を無駄にしないために、
まず取り組むべき事は、あなたの身体の状態を知ることだと思います。

 

 

体外受精をしていますが、妊娠出来ません。どうしたらいいでしょうか? 41歳出産 0307

女性の人生のなかで妊娠だけを考えれば、20代での挑戦がベストでしょう。

でも、パートナーとの出会い、仕事との兼ね合いなどを考えると、

『いまはムリ、でもいつかは・・』と思われることも理解できます。

妊娠ってひとりじゃできないし、また自分自身の体調のコントロールも年齢を重ねるほど
難しくなります。

いまだ、と思ったときには、腹を括って取り組んでください。
きっと扉が前に開くと思います。

さて、今回のご相談です。

 

☆体力がないです、体外受精しても妊娠出来ません。どうしたらいいでしょうか?

39歳です。
28歳で結婚しました。夜勤が忙しく、仕事中心の毎日でとても妊娠がを
考える余裕もなく、35歳過ぎてからなんとなく妊娠を意識し、37歳から本格的に考えはじめタイミングを取りました。

39歳から体外受精に挑戦し、1回目は採卵し2個卵子がとれ、一個初期胚で移植しましたが妊娠出来ませんでした。

3ヶ月後、クロミッドを飲み、採卵周期に向かいましたが2つしか卵はとれず、受精はしたものの、胚盤胞にはならず、治療周期は終了となりました。

20代からの仕事が激務で、毎日を過ごすのが精一杯という感じです。
ただ、自分自身の人生を生きることを考えたら、子供が欲しいです。

どうしたらいいでしょうか?

 

☆私からのお返事:身体全体のパワーをつけて、妊娠に挑戦しましょう

 

体外受精をしているけどなかなか治療が前に進まないというお悩みですね。

お身体の状態を拝見していると、身体全体のパワー不足が明瞭です(気虚)。

胃の状態などそれぞれは大きな問題を感じさせませんが、身体の中心となる生命の余力(東洋医学の世界では腎気)が不足しているため、余力がなく、精一杯に毎日が回っているという印象です。
このため、末端まで陽気が巡らず足先の冷えとなっていますし、首肩周りは頑張っての日々があるので、気の滞りができています。

いま、ご自身の人生を考えて、『子供が欲しい』ということであれば、ここは腹を括って、自分自身のタメに養生すると決めましょう。それが余力をうみ、子宮卵巣の力となり、子供を持つという道につながると思います。

受精卵がそれなりに出来ているので、全体のパワーアップができれば、なんとか妊娠ー出産へとつながるのではないかと思います。現在39歳ならば、時間はあります。焦らずに前に進みましょう。

 

☆☆不妊治療を前に進めるために

 

・受精卵が出来ている状態なので、大きな妊活上の問題はない
・身体の余力をつける。
・体外受精を繰り返すのをいったんやめる。

年齢要因的に、『早く』と思うのはよくわかります。
ただ、今の忙しい生活に、病院受診、鍼灸治療とでかけることを重ねても、かえって負担がますだけです。

受精卵が出来ている、そして移植しても妊娠にたどり着かないときには、その原因を考えるべきです。お身体を拝見すると、東洋医学で言うところの『気虚』全身の弱りが明瞭です。まずここを育てなければ、妊娠という生命の余力でおこることはかないません。余力ができて初めて妊娠がスムーズにいくのです。

とにかく、腹を括って、『身体の余力貯金』をしましょう。
ここがクリアできれば、生殖医療も上手く前に進めると思います。
そしてここがないままに、繰り返しても、ただただ、疲弊し、ジリ貧になるだけです。

 

☆☆東洋医学的な診立て

・弁証
腎虚を中心とした気虚肝鬱
・論治
益気補腎
・治療方針
気虚を救うために、腎気を中心にそこあげする。初診で手を入れていく中で、脾胃の弱さの経穴が出てきているので、愁訴としては脾胃の弱さは感じられないが、脾腎を中心に全身の体力をあげることを目標にする。

 

☆治療経過

 

週に1回の鍼灸治療、食事生活の養生、毎日のお灸養生を始める

☆初診の鍼灸治療、セルフケア

鍼灸初診
手足:右外関(TE5)ー右臨泣 三陰交(SP6)、陰谷(KI10)、曲泉(LR8)
腹部:中注(KI15)、関元(CV4)
背部、厥陰兪(BL14)、右心兪(BL15)、右胆兪(BL19)、胃兪(BL21)、腎兪(BL23)、次髎(BL32)

セルフケア
三陰交(SP6)右が2左が1
右の外関(TE5)、右陽池(TE4)、中注(KI15)、関元(CV4)、
胃兪(BL21)、腎兪(BL23)、次髎(BL32)

 

☆体外受精、妊活経過

2ヶ月後
いままで胃に重いと思っていた漢方薬をやめてみる。

4ヶ月後

体外受精ー採卵 3つとれた。1つ胚盤胞の凍結が出来た。

5ヶ月後ー移植(採卵移植を勧められたが、採卵と凍結は分けたらとアドバイス。)周期に入っていたが忙しく病院にいけず。

6ヶ月後、生理三日目の数値がよかったので、採卵にしようと思ったら排卵済み。

7ヶ月後、採卵してみることになった→3つとれた。良好胚が凍結出来た。

8ヶ月後
6回目のー凍結胚移植ー妊娠判定陽性 鍼灸治療の頻度をあげる
妊娠判定陽性でました!

12週、体重が妊娠前より減ってしまっている。めまい
15週、血糖値がやや高めで、食事を減らすように指導された
(食事を減らすよりも、胃腸の力をあげることで、血糖値のコントロールをしていく)
20週から 腰が痛い 光がまぶしい、身体がきつい

いろんなことがありましたが、なんとか無事に出産までたどりつき、3000㌘弱のしっかりしたお子さんを出産。

おめでとうございます。

イラスト ツボ セルフケア

☆まとめ

体外受精をして、受精卵ができるということは、妊娠まであと一歩です。
胚移植をして結果が出ないときには、体外受精を繰り返すよりも、一歩待ってご自身の
生活を見直し、体力貯金をアップし、卵巣子宮のパワーアップをはかるほうが
結果的に近道だったということはよくあります。

あせらずに、ご自身の状況をよくみて、治療を前に進めていくことが大事だと思います。

仕事のきつさ、そしてもともとの体力のなさなどがあり、ムリをして頑張ってということが
あたりまえになっている生活をなさっていられました。

そして妊娠を気に、その『ムリをして頑張る』だけが乗り切り方ではない。
自分自身の身体、そして自分自身にやどった赤ちゃんの身体をまもるために、
社会的な要求に距離をおくことも大切だと思います。

ご出産本当におめでとうございます。
家族ができ、大事にされているごようす。本当にうれしいです。

 

2)妊娠初期を乗り切り、繰り返す流産から出産を。30代後半での繰り返す流産  0127

流産についての概要をおはなしさせていただきました。

概要の1)はこちら→1)『普通』にすごす『Stay home』が教えてくれた繰り返す流産を切り抜ける方法

ポイントは2つ血流と、子宮(女子胞)の不安定さです。

さて、具体的な症例からお話ししていきましょう

☆☆ご相談:心拍確認が出来ない流産を2回もしています。

 

 

最初の妊娠は、妊娠希望をしてから1年後やっと授かったと思い、病院へ行き胎嚢がみえました。

しかしながら8週になっても心拍が見えずそのまま出血がはじまってしまいました。

二回目は半年後の37歳の時、このときも同じように心拍が見えないまま出血ー流産となってしまいました。

流産後1ヶ月たつのに、出血がすっきり止まりません。

妊娠もなかなかしにくく、はじめの妊娠は1年ほどたってやっとできた妊娠。そして今回も半年たってやっと妊娠したのに、どちらも心拍確認ができず流産と言うことで本当にがっかりしています。

もしかしたら不育症なのかと悩みますが、病院の先生は問題ないとおっしゃります。

どうしたらいいのでしょうか?

また、小学校のときから、手足にしもやけができ、昔から足先がとても冷えます。頭痛も結構ひどく、肩こりになりやすいです。いつもなんとなく残尿感があります。

疲労感が強く辛いことが多いです。月経周期が長めで生理が遅れることはよくあります。

☆いままでの経過、時系列

・高校時代から左側頭部頭痛
・36歳妊娠希望ー1年後妊娠−8wで流産
・37歳 流産から半年後妊娠ー心拍見えず流産
・流産後1ヶ月たってもなかなか出血が止まらない

 

☆私からのお返事
:身体の余力がをつけることで妊娠を継続させていきましょう

なかなか妊娠しにくいなか、せっかく妊娠できたのに、2回も連続して8wでの流産、本当に辛かったでしょう、残念でしたね。

また流産後の出血も止まらないというのは身体がだいぶ弱ってしまっているのかとも思います。

残念でしたね。

次の妊娠では一緒に頑張って是非出産まで到達できるようにしていきたいですね。

☆お身体を拝見して

お身体を拝見すると、もともとのベースとなる生命力(腎気)が弱めであると思います。

そのために冷えがきつかったり、残尿感があったり、月経周期が長めでつかれやすかったりしていると思います。

腎気は全身の生命を下支えする縁の下の底力を発揮してくれる存在です。そしてこの腎気が、子宮(女子胞)を養い、赤ちゃんをしっかりと受け止め受容できる身体となるのです。

 

☆子宮(女子胞)だけではなく、全身状態の体力不足、余力不足が子宮への養い不足となっている

イラスト

子宮(女子胞)というのは、赤ちゃんの孵卵器です。その孵卵器の性能がちょっとだけ不安定ならば、孵卵器そのものをしっかりと養い守る必要があります。Uさんのお身体は、孵卵器そのものを守る全身状態が、気虚気味(パワー不足)であることが問題です。全身が気虚気味パワー不足であるので、孵卵器も不安定になり流産となってしまうわけです。妊娠は、女性にとって身体の余力でおこなわれます。余力がないと、どうしても不安定な子宮(女子胞)となるわけです。身体全体に余裕をもち、子宮(女子胞)の生命力が安定するようにしっかりとがんばっていきましょう。また強いストレスも子宮(女子胞)に負担となります。ストレスも鍼灸で調整していきましょうね。

・弁証 腎虚を中心とした気陰肝鬱 風邪の内陥 女子胞の力不足
・論治 益気補腎 疎風散寒 温養女子胞
・治療方針 腎気を中心に気虚気味の素体をたてなおし、パワー不足となっている女子胞を暖め養う。また素体に負担となっている風邪の内陥を払うことを急務とする。

 

☆治療経過、妊娠、出産まで。

治療経過

週に1度の通院、毎日の指導に基づいた自宅施灸

初診
左外関(TE5)左陽池(TE4)、左公孫(SP4)、足三里(ST36)、三陰交、下脘(CV10)、関元(CV4)、
胃兪(BL21)、左腎兪(BL23) 中膂兪(BL29)
セルフケア:下脘(CV10)、関元(CV4)、左外関(TE5)、足三里(ST36)、三陰交。腎兪(BL23)、胃兪(BL21)、中膂兪(BL29)

 

1ヶ月後、今回の生理もだらだらはつづいている
3ヶ月後、生理のだらだらが減ってきた
4ヶ月後、妊娠成立

妊娠 手入れ 棒灸

 

4ヶ月後に妊娠。

妊娠中も週に1,2度のペースで鍼灸治療を継続

8w つわりがきつい→つわり治療

19w 喉に違和感があり、空気が上がる感じで食事が通りづらい

23wから逆子ー27wまで。28wで治る

30w やっと妊娠前から体重が4キロ増えることが出来た

 →間食も小さな食事として、食事回数を増やすように指導

30w 再び逆子に

31w 治ってきた感じ、お腹が突き上げて苦しい。

33w 赤ちゃんが小さめと言われた

34w 頚管長短め、ウテメリン処方された

35w 頚管長大丈夫と言われた

37w 2600㌘はあると言われて安心

38w 1㎝頚管が開いた

39w 無事に3000㌘弱の赤ちゃんを出産

おめでとうございます。

☆あとがき、無事の出産よかったですねえ。

流産というのは、辛い出来事ですね。しかも、やっとの思いで妊娠して2回も連続と言うこと。本当に辛かったと思います。

お話しを聞いていて、ご本人の辛さが痛いほど伝わってきました。

妊娠や妊娠継続について、色々な情報をお探しになっていらっしゃるようでしたが、なかなかご本人にぴたっとくる情報がないようでした。そのこともご本人の迷いや悩みを大きくされていました。

インターネットでの検索は一般論や、様々な情報は提供されますが、実際のご本人にとって

必要な情報であるのかは判断が難しいところですね。

今回のケースは、不安定な子宮(女子胞)の状態と全身のパワー不足がリンクしていました。つまり、子宮や流産のことだけを考えるのではなく全身の生命力から考えることが大事なケースであったわけです。

妊娠中も一筋縄ではいかず、いろいろなことがおこりました。もともとストレス状態になりやすいという状況があり、気が登りやすい方の妊娠でしたのでつわりもきつかったです。妊娠中は赤ちゃんを守るために、普通の状態でも気が上向きに傾きます。その上向きのベクトルに加え、ご自身の性質もくわわるとなかなか大変になります。この上向きの気を引き下ろすことは流産につながってしまいますので妊娠中の身体の手入れとしては禁じ手です。つわりは辛くとも、つわりを中心に考えずに、やはりご自身の生命力をつけることをしていくことが体調管理のコツなのです。

妊娠中も色々な事がありましたが、無事に充分な大きさの赤ちゃんにめぐりあえたこと、ご本人のコツコツと重ねられた努力とご家族の協力のたまものだと思います。おめでとうございます。

イラスト ビッグママ

42歳、何度も体外受精をしていますが不妊治療が前に進みません。0182

不妊治療のご相談を多くお受けしていると、あらためてそのご努力に頭が下がる思いをすることがあります。

そして、また”なかなか前に進まない不妊治療”に対して感じるストレスも

ひとそれぞれなんだなあとも思います。
大きく感じる人、小さく感じる人。

この不妊治療そのものがストレスになってしまい前に進まないケースも多く拝見してきました。
それぐらい、ストレスは強敵ですし、また逆に強敵にするかどうかはその人しだいともいえるのかなと。

今回は、その道筋を伺うと、ここまで・・・すごいと思いつつ、それを困難とかストレスとかと大きくせずに、淡々となさることをするという態度に強いと思いました。

そうなんです、ストレスに振り回されない人は、強いです。
その強さは、結局、不妊治療を前にすすめるものです。

強いというとパワフルとか、力強いというイメージがありますが、
強さというのは柔らかさで、柔軟に淡々とするべきことを積み重ねてする。その継続性が結果的に強さになると感じます。

今回は、うーんと唸らせられてしまう不妊治療であるのに、淡々と前に進み、結果として妊娠、出産にたどりついた症例です。

☆不妊治療をしていますが、良好胚ができず治療が前にすすみません。

42歳です。
31歳から妊娠を希望し、4年かけ9回目の胚移植でやっと妊娠出来、39歳で出産しました。

その後、40歳からふたりめの子供を希望し、体外受精をしています。

1度は妊娠はしたものの心拍確認後の流産となってしまいました。

採卵を繰り返していますが、なかなか移植出来る良好胚が出来ません。
また第一子の経過で途中から高血圧になってしまったことも不安です。

なんとか、妊娠、出産したいです。どうしたらいいでしょうか?

繰り返す採卵、不妊不育、妊娠高血圧を乗り切り無事の出産(43歳出産)

☆お身体の状態について

主訴:不妊 腰痛 便秘

・子供の頃から便秘がちで、薬を服用していた。いまでも、薬を並用しながら便秘とつきあっている、硬めの弁でお腹が張って痛いことが多い。

・仕事をするようになって、疲労がたまると腰が痛い

・食欲は普通、少し不規則で空腹感はあり、おいしく食べられる。

・睡眠状態はよく、翌日に疲れが残ることもめったにない。

☆婦人科の状態について

・生理の状態は28日型で5日間ぐらい出血。体調不良はめったにない。

・排卵時に卵巣のあたりが痛い

・39歳第一子妊娠

・42歳ー妊娠、心拍確認後に流産

☆不妊治療歴

31歳 妊活スタート ホルモンの状態、卵管、卵巣などの基本的な項目は問題なし。

35歳 医療介入での妊活スタート

〜38歳、不妊クリニックにて、採卵を繰り返し、4回ほど全く着床反応がない。

 不妊クリニック転院や採卵を繰り返し、4回目の凍結胚盤砲移植で妊娠

39歳: 妊娠中高血圧になり、少し小さめの赤ちゃんながら無事に出産。

40歳 妊活再スタート 体外受精再スタート

41歳 1回目胚移植にて着床反応あるものの妊娠までにはいたらず。

42歳 2回目妊娠ー7wで心拍確認後流産。

☆ご相談にお答えして:
子宮(女子胞)を支える力をあげ、妊娠、出産に向けて進みましょう

体外受精を繰り返しているのに、なかなか胚移植出来る卵にならない、またせっかく移植し妊娠出来たのに、心拍確認後に流産になってしまったとのこと。本当に残念でしたね。

第一子も、31歳から35歳までは病院へ通いながらの不妊治療をおこない、その上で、体外受精にステップアップし、かなりの採卵回数を重ねた上での妊娠、出産とのこと。

本当に頑張って前に進んでいらっしゃったのですね。

☆お身体を拝見して。

今回の心拍確認後流産は本当にお辛かったと思います。

流産は女性にとって、大きな気血の傾きとなります。お身体を拝見すると、やはり子宮(女子胞)への負担が大きいことや、元々の腰痛や年齢要因からも東洋医学で言うところの生命の土台の力である腎気がかなり落ちてしまっていることや、便秘がちなお身体、舌の状態や、お身体にでている反応などから、気の滞りを持ちやすく(気滞)その滞りが少し根深く血の滞り(オ血)まで引き起こしている可能性がうかがえます。

☆☆東洋医学的な治療方針
・弁証 腎虚を中心とした肝鬱瘀血
・論治 益気補腎
・治療方針

 腎気を補うことで、ご本人のもっている生殖の力をあげ、バックアップしていく。
瘀血に関しては、胚ができていること、着床もできているので、大きな問題としない、補腎をすることで、自然な経過として肝鬱瘀血の部分は解決していくのではないか、その上で必要な場合は考える。

☆不妊治療についての4つのアドバイス

1)今のクリニックがあっているので、継続して採卵を。

2)妊娠に必要な身体の余力をupしていく(鍼灸+セルフケア)

3)妊娠が成立したら、血圧や体調に気をつける積極的に鍼灸をしていく。

4)年齢要因は気になるが、充分妊娠、出産出来る状況。

不妊治療歴は長いものの、第一子のプロセスを拝見すると、現在通院中のクリニックのやり方が基本的にご本人にあっていると思います。転院することなく、信頼し継続していいかと思います。

また、今回は流産になってしまってとても残念なのですが、基本的な卵の状態や、妊娠する力そのものはある方だと思います。年齢要因などは気になりますが、同じクリニックで、迷わず、採卵をされるのがよいかと思います。しかしながら、少しお身体の疲れが目立ちます。妊娠は身体の余裕が非常に大切。育児で大変かとは思いますが、鍼灸治療をとりいれ、またご自身のケアも取り入れていきましょう。

一つ気になるのは、第一子の妊娠中にかなり腎臓に負担がかかった状態になり、少し小さめでのご出産になったことです。これはご自身のお身体の状態をあげること。また特に妊娠初期の血流をあげ、胎盤などの状態をよくすることで、妊娠後期の状態を改善出来て行ければと思います。

☆治療経過

初診
右外関陽池(TE4)、右臨泣、右足三里(ST36) 三陰交(SP6)
大巨(ST27)、関元(CV4) 肺兪、腎兪(BL23)、大腸兪(BL25)、次髎(BL32)、
→セルフケア 大巨(ST27)、関元(CV4)(しっかりと)右の外関陽池(TE4)

以降週に1−2回の鍼灸治療+セルフケア

・初診から3ヶ月続けて採卵ー空砲や未成熟が多いー少し休んでみたらとアドバイス。

・5ヶ月目 採卵ー培養途中で止まる。

・6ヶ月目 採卵ー凍結胚盤砲が出来た。

・8ヶ月目 移植ー妊娠
移植時の鍼灸
百会、三陰交(SP6)、陰陵泉(SP9)、右足三里(ST36)、右内関(PC6)
肺兪、胃兪(BL21)、腎兪(BL23)、次髎(BL32)

妊娠時の鍼灸(なるべく週に3日以上の鍼灸治療)
臍、中注(KI15)、大巨(ST27)、関元(CV4)、腎兪(BL23)、脾兪(BL20)、次髎(BL32)などの棒灸

妊娠30週 血圧がじりじりとあがってきた トコちゃんベルトをするようにアドバイス
妊娠32週 赤ちゃん下がってる?ートコちゃんベルトをして、少しあがる。
妊娠36週、少しタンパクがでる。第一子のときよりも良好に経過

予定帝王切開の日までしっかりとお腹にいてくれて、無事に出産。体重もしっかりとあり、元気に産まれほっとしていますとメール。

無事の出産、おめでとうございます。

☆あとがき、ご本人の淡々とした努力に頭がさがります<(_ _)>

年齢が高いこと、何度も体外受精、採卵を繰り返すものの良好胚がとれず移植に結びつかないこと、第一子の妊娠経過が厳しかったことなど、42歳での挑戦には多くの壁がありましたが、ご本人のあまり構えずに、そしてやることはすっとなさるという感じで、無事に良好胚がとれ、妊娠、出産につながったと思います。

ご本人、淡々とした努力がしっかりと実を結び、本当によかったなあと思います。

出産報告のメールで、『生まれるまで、ハラハラしながら過ごしていましたが』とありましたが、そう仰りながらも、すうっと落ちついた態度で、淡々と日々をすごし、セルフケアをなさるお姿が印象的でした。

ご出産、おめでとうございます。

よかったですねえ。

イラスト

妊娠中の体調ケア:免疫力がアップしますように! 0308

妊娠中のトラブル、いろいろありますね。

妊娠中は服薬は出来れば避けたいと思う方も多いと思います。
しっかりと飲まなければいけない薬は飲んでいただき、
それ以外は出来れば体力をアップさせることで解決して行ければいいですねえ。

このアンケートの方(8−2)は、妊娠21週目からのケアです。
ご本人の感想として
『風邪などに対する免疫力が上がったように感じます』とのコメントをいただきました。

また、鍼灸治療については、
『最初はとても不安に感じていた張りですが、回数通ううちに身体も楽になり、精神的な安定も得られるようになり、とても感謝しています』とのコメント。

うれしいですねえ。
妊婦さんの施術は、基本的に無理せず、出来る範囲でというのがビッグママ治療室の考え方です。
しかしながら、『妊娠は老化のシュミレーション』といわれるぐらい、妊娠は身体に負担となります。

まあ、確かに歯が悪くなったり、髪が抜けたりと老化そのものですね。

今日は少し妊婦さんの鍼灸治療に関して紹介させて頂きます。

☆妊娠20週からのケア

・風邪を引きやすい
・吐き気、頭痛が辛い
・花粉症などの症状がつらい

☆☆妊婦さんへの治療方針

 

赤ちゃんはお腹のなかでよく動いて成長します。
そして出産のその日までお母さんのお腹の中にしっかりと留まり日々をすごしていくわけです。
つまり、子宮(女子胞)が赤ちゃんを支え、上向きのベクトルを保ちながら日々をすごすのです。

お母さんがちょっと疲れていたり、下向きのベクトルがでがちな状況の時に、子宮(女子胞)は赤ちゃんを守り、赤ちゃんが安定を保つために強い上向きのベクトルを出します。これがつわりや逆子の状態です。

また赤ちゃんを守ることが最優先となりますから、お母さん自身をまもる表面の気(肺気、衛気)が不足したり、上向きベクトルが強いことによって、吐き気や頭痛などになったり、花粉症もきついですね。

また、血流が足りなかったりするとお腹が硬くなります。ゆとりがなくなっちゃいますね。

妊婦さんへの治療では、症状にかかわらず、血流をあげお腹を柔らかくゆったりさせること。そして適度な上向きのベクトルをもつようにと調整します。適度というのは、「上向きベクトル」は赤ちゃんが保つために必要なことですからね。

 

☆鍼灸治療の目的について:

1)身体の疲労をとる。全身の血流を改善し、健康度をupさせる
2)子宮(女子胞)の血流を改善し、柔らかいお腹を作る
3)強い上向きのベクトルがあれば調整する。

 

☆妊婦さんの鍼灸治療の実際:

20週ごろ:
1)大巨(ST27)、臍 棒灸
左外関(TE5)、足三里(ST36)、陰陵泉(SP9) お灸
2)胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)などはりしてお灸

25週ごろ:静脈瘤のお灸を加える。
臍、大巨(ST27)、関元(CV4)
胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)

30週ごろ:
耳の辛さがある:聴宮、首のスジバリにパイオネックス
臍、大巨(ST27) 関元(CV4)
脾兪(BL20)、三焦兪(BL22) 次髎(BL32)

 

☆☆鍼灸治療解説

基本的に上向きベクトルを出すようにしていきます。
そしてその方の弱りに対して、補うようなアプローチを主にとっていきます。

妊娠初期であれば、お臍は鉄板。後期になってくると、背中を中心にしていきます。
静脈瘤は、その部位を軽ーく触れて一番弱りを感じるところに隔物灸をしています。

コメント イラスト

あとがき:

妊婦さんの治療は無理せず、結果をあまり意識せず。
それでも十分効いてくれるのが妊婦さんの治療であり、効き過ぎ注意が一番大事です。