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不妊相談:よい卵を移植しているのに妊娠出来ません、どうしたらいいでしょうか?0316

不妊治療は、人によって課題となるテーマが大きく違います。

経済的要因だったり、
病院選び、
なにをしていけばいいのかといったことなど、
なかなか的が絞りきれませんね。

今回は、タイミング、人工授精とステップアップし、その後体外受精にすすみ、
良好胚を何度も移植しているのに妊娠しないというご相談です。

こういったケースでは、妊娠歴があり、受精障害がなければ、体外受精そのものがストレスになっている場合も多いので、ステップダウン(高度生殖医療などをやめて、医療介入の程度を低くする)も考えられます。

しかしながら、過去に一度も妊娠したことがなく、受精障害など体外受精で大きく救われる要因があるカップルの場合は、やはり体外受精、顕微授精という高度生殖医療という選択は、間違っていないと思います。

今回は、受精卵がそれなりにでき、胚盤胞もでき、移植をなんどかしているのに、なかなか妊娠しないというカップルのご相談です。

悩むときには、まずこのように、ご自身にとって何が必要か考える必要がありますね。

良好胚移植でも着床のみ。体調アップで妊娠、

☆ご相談:よい卵を移植しているのに妊娠出来ません、どうしたらいいでしょうか?

36歳から妊娠を希望しています。

大きな問題はなかったので、タイミングで1年間、人工授精を半年ほど試したものの妊娠しませんでした。

体外受精にステップアップして、採卵を2回し、いくつもの非常にグレードのよい卵はできているのですが、ちょっと妊娠反応が出る程度で終わってしまっています。

年齢も38歳になってしまい、精神的にもいろいろと考えてしまいます。
どうしたら良いでしょうか?

今までの不妊治療歴
30歳 子宮内膜症がみつかる
35歳 病院でのタイミングを始める1年、男女とも大きな問題はないといわれる
36歳 人工授精を3回おこなう。クロミッド、デュファストン、プラノバール、ゴナールなどを使う
36歳 体外受精を行う、3つ採卵出来た。新鮮胚にて移植→妊娠出来ず。残りの二つは胚盤胞まで培養したが途中で止まってしまった。
37歳 採卵、胚盤胞にて非常によいグレードの卵が2個できた。移植→ほんの少しだけ着床反応があったものの妊娠は継続出来ず。

 

☆ご相談にお答えして:不妊カウンセリング

妊娠をご希望になり、体外受精までステップアップなさっていること。
良好胚ができ、移植もスムースで、着床の反応はでるものの、妊娠が継続出来ないということですね。

年齢要因もあがってきて、早く治療を前に進めたい、出産したいというご希望ですね。
治療を続けられてもう2年、年齢要因もあがってきてしまっていますし、精神的な不安が出てくるのもあたりまえだと思います。
一緒に考えていきましょう。

☆☆胚盤胞まで出来ていると言うことは、自信をもって進もうということです。

胚盤胞まで到達出来る採卵が出来ているのですから、自信をもってすすみましょう。

 現時点で、ちゃんと胚盤胞まで到達出来る卵が出来ていますね。これは非常にありがたいことです。まず、ご自身で確認納得して頂き、不必要な不安を持たないようにされた方がよいかと思います。自信を持って前にすすみましょう。

☆☆ストレスタイプ、リラックスして気の巡りをよくしましょう

 お身体を拝見すると、身体のボディーの部分(体幹)は、それなりに暖かく良い感じです。それに比較して手足は冷えています。そして手のストレス反応のツボががっつり出ています。

 これは、身体の緊張状態があり、気血の巡りが悪くなっているということが考えられます。緊張をゆるめ、全身の気血の巡りをあげていきましょう。このためには鍼灸やお灸でのセルフケアが効果的です。

また、一日のお仕事がかなりハードですね。疲労は身体のストレス状態をアップさせます。疲労を取る、疲労を溜めないというのは大きなポイントですね。

☆☆血流の課題、血の巡りをよくしていきましょう

お身体を拝見していると、この血流の問題は、血液凝固系の亢進の課題をもっているのではないかと思われます。いまのところ病院では検査をすすめられていないようですが、私は、不育症、着床障害などの検査をしてみてもいいのではないかと思います。

☆☆ステップダウンも心の中でアリかもしれませんね。

基本的に、いままで一度も妊娠したことがない。採卵して顕微授精の適応となる場合がおおいということで、体外受精を含む高度生殖医療が最適解ではあると思います。この提案を前提としながらも、体外受精の治療を意識しながらも、自然妊娠を意識した日々をおくることを提案します

今の状況のまま、体外受精を中心にした日々をおくるのはかなり負担が大きいと思います。少し気持ちを切り替え、まず体調をよくすることに意識を集中してみてはいかがでしょうか?。体調が整い、自然妊娠がかなえば自然妊娠、そうでなくても体外受精での治療に大きく貢献出来る時間が過ごせると思います。

治療を休みなく続けて採卵なさっていますね。体外受精や顕微授精などの高度生殖医療受精までステップアップなさっていると、自然妊娠なんて無理と思いがちです。ただ、現状は振りかけ受精でも良好胚ができています。大きな不妊の要因もないとすると、身体の緊張が主因かもしれません。

この場合、採卵をどんどん継続するよりも、一休みしてちょっと心身共にリラックスをお勧めします。

今のご年齢、状況であれば、気持ちがあせるようならば3ヶ月、まあいいやあと思うのならば6ヶ月。この期間は自然妊娠への挑戦であり、体調を整え、体外受精再開時に向けての身体作りでもあります。当院ではこの期間に、それまでの妊娠歴や不妊治療歴がどうであれ、無事に妊娠、出産なさる方がおおぜいいらっしゃります。それほど、緊張や疲労は大きな課題ということです。

また2ヶ月前には、採卵のために卵巣を8つ刺していますよね。これは、ずーっと昔は卵巣のドリリングといって、排卵障害などで自然妊娠しにくい方への一つの治療法になっていました。この効果が期待できるのが約半年間。『この半年間はちょっと病院通いを休憩しながら、体調を整えることも、決して妊娠をあきらめたわけじゃないんだ。』こう考えてみるのもよいのかなと思います。実際に、これで妊娠なさる方もすごく多いんですよ。

年齢要因がだんだん迫ってくる年齢になると、いろいろあせりますよね。

休憩をするのも大事。そしてその休憩を効率よくするのが不妊治療を成功させる鍵です。この体調を整える時間が、結果的に、良好な卵を作ることに貢献し、自然妊娠をする場合もありますし、また自然妊娠をしなくても、体外受精をしてみると、今まで以上にグレードのよい卵がとれ、妊娠につながるという事も多いです。

一緒に前へすすみましょう。

☆治療経過

週に1,2回のペースで鍼灸治療スタート。
2ヶ月後、3ヶ月後、採卵→あまりよい卵ができず。
7ヶ月後、採卵→凍結 よいグレードの卵が出来た
10ヶ月後移植、妊娠→無事の出産

初診時の鍼灸治療
右の外関(TE5)、陽池(TE4)、左大都(SP2)左公孫、両三陰交 右足三里(ST36)
中脘(CV12)、気海、関元(CV4)
肺兪(BL13)、左脾兪、胃兪、腎兪(BL23)、次髎(BL32)
+毎回の治療後にセルフケアポイントを指示

☆着床したら安静を!

妊娠反応が出たときに、とにかくこの1ヶ月安静を!とお願いしました。
病院では、『普通にしていてよい』という指示が誰にでもなされますが、
人によって安静が必要な方がいらっしゃります。
いままで着床するけれど継続出来ないという要因があります。
とにかく1ヶ月安静にしてみてください<(_ _)>

安静としっかりと鍼灸治療にくわえ、セルフケアのお灸、温灸をおこない、無事に妊娠初期を超え、ご出産なさりました。

あとがき

無事にご出産、赤ちゃんを迎えることが出来て本当によかったなと思います。

不妊治療をすすめていると、妊娠しないからという理由でステップアップされ、体外受精へ。胚移植しても妊娠しないから繰り返す。グレードが悪いから誘発方法を変えてみるなど、無限ループに陥ってしまうことがありますね。

こんなときに、『不妊の原因は?』『病院を変えたら?』『もっと検査してみては』『薬があわないのでは?』ということも当然考える要因にはなります。しかしながら、その部分を追求しすぎて悪循環に陥ってしまうことも多々あります。

 妊娠にはあたりまえの淘汰のプロセスもありますし、またシンプルに健康状態がよいと妊娠しやすいということもあるかと思います。

考え込まずに、一歩引いて、『妊娠』とか、『不妊治療』にだけ注目するのではなく、体調全般をあげていくということが、結果的に、不妊治療を前に進め、結果につながる治療となることができるのかなと思います。逆に言えば、体調が悪ければ、前に進まないのも不妊治療なのです。

また、ご自身について、『何が一番の課題なのか』をいったん医療的な不妊治療だけからの視点から引いてみることも大事だと思います。案外、気がつかないポイントに道が開けるヒントがあります。

アンケートにお答えして

妊娠12週のアンケートにお答えして。
アンケートへのご記入、ありがとうございました。

採卵をしていて、いままでのよりも、数が増え、グレードがあがっていけたこと、よかったなあと思います。血流をあげ、セルフケアのお灸も取り入れて継続、努力なさった結果だと思います。

また、食事を改善出来たことも大きな要因だと思います。どうしても、日常はいままでの習慣の延長になってしまいますが、カウントしてみることでご自身の過不足が可視化され、3食取ること、果物を取ることもできたことが、体調をupさせることにつながったのかなと思います。

不妊治療は案外、スケジュール的なこと。どういう優先順位をもってすすむのがよりベターなのかを考えることも、ワンチャンスを活かす事になると思います。

私のアドバイスを素直に取り入れてくださり、一緒に治療を進められたこと、そして結果につながったこと。私もとっても嬉しいです。よかったですねえ。

良好胚を何度移植しても妊娠出来ません、どうしたらいいでしょうか?【case:0331】

不妊治療は様々な要因で前に進まないことがありますね。

30代半ばの女性、体外受精にステップアップ。
1度の採卵で数多くの卵ができ、胚盤胞も多く凍結ができています。

しかしながら、なかなか結果がでず、すべて妊娠反応が出なかったということで
どうしたらいいのか道に迷ってしまってのご相談でした。

この症例の患者さんからのアンケート

☆ご相談:早く妊娠したいです。体外受精をしていますが、一度も妊娠反応がでません、どうしたらいいでしょうか?

 

早く妊娠したいと思っています。
体外受精に進み、9個採卵出来、良好胚が胚盤胞で凍結できました。
もうすでに4個移植しましたが、一度も着床したことがありません。
どうしたら着床、妊娠、出産できるのでしょうか?

 

☆ご相談にお答えして

妊娠出来る可能性の高い胚盤胞を何度も移植しているのに、
一度も妊娠反応がでたことがないのですね。
それはとても辛いですね。一緒に考えていきましょう。

まず、卵の状態はよいようですね。年齢的にも35才の卵であれば、大きな問題はないのではないかと思います。まあ、このあたりは確率の問題なのでなんともいえないところですが、現段階では卵側の要因は除外してよいと思います。

一度も着床していないということから、着床障害の問題を考えるべきかと思います。
様々な検査がありますが、お勧めするのは血流問題の課題解決と、子宮内膜炎の問題でしょうか。

血流は血の巡り。今お身体を拝見していて
・ストレスによる気の停滞
・上焦(身体の上部)での心熱
・胃腸の力の弱さ

ストレスによる気血の阻滞が身体の上部では肩こりなどになり、中部、下部ではオ血内湿という不要な物の排泄が上手く行かないという状態になっているのかと思います。そしてこの状態が妊娠に大事な子宮(女子胞)の力、そして子宮(女子胞)の力の支えとなる腎気を落としています。

良好胚が出来ると言うことは、それなりに妊娠する力があなたにはあるということです。
ストレスを溜め込まず、気血の巡りをよくし、妊娠へ一歩前に進みましょう。

また血流という点で、足先の冷たさは少しきついと思います。これは不育症である血液凝固系の亢進という状態に該当する可能性を感じますので、不育症のクリニックに着床障害の問題で検査を受けてみるのもよいかと思います。がんばっていきましょう。

・弁証 腎虚肝鬱 心熱オ血
・論治 益気補腎 疏肝理気

☆☆妊娠へむけての具体的なアドバイス

1)ストレスをコントロールし、気血の巡りをよくするためにも、
鍼灸治療と自宅でのセルフケアお灸をしていきましょう

2)血の巡りをよくする、ビタミンACEの摂取を心がけましょう。

3)足の交代温冷浴をしましょう。

4)胚移植をしてから、着床、妊娠判定、2回目の心拍確認ができ、妊娠10週を越えるところまでは、しっかりと鍼灸治療を週に3回程度いれて、赤ちゃんの袋に血流が届き、充分大きな胎盤が出来るようにしていきましょう

☆治療経過、着床、妊娠、出産へ

不妊鍼灸治療開始
移植周期スタート
胚盤胞移植→妊娠せず。
今までと違い、内膜は厚くなっているといわれたが、結局妊娠出来なかった。
→アドバイス、不育症クリニックを受診して着床障害の検査をお勧めする。
→着床障害の判定と、子宮内膜炎の指摘があった。抗生剤を飲んでラクトフェリンを摂取

移植周期スタート
胚盤胞移植→妊娠 少し動くと出血がある。
出血はあるものの、妊娠している。その後も少し動くと出血や茶オリはあるものの、鍼灸とアスピリンは継続

39週にて、無事に3000㌘越えのベビちゃんを出産。おめでとうございます。

☆あとがき

長い道のりでしたね。しっかりと前に進まれてたくましいお母さんになりました。
子育て楽しんでくださいね(^^)

 

この症例の患者さんからのアンケート