妊娠は不思議なものですねえ。
いつもそう思わずにはいられません。
今回の症例、39歳での無事の自然妊娠、そして出産へとつながりました。
しかしながら、妊娠の希望がスタートしたのは34歳。
一人目の妊娠出産は31才の時で妊娠を希望してすぐに妊娠出産なさっています。
そして34才、妊娠を希望しながらもなかなか妊娠が成立せず。
37才でやっと成立した妊娠も心拍確認にいたらず流産。
振り返れば39才での自然妊娠、出産に致るには長い道のりがあったのです。
37歳での鍼灸治療開始。
この年齢だと、年齢要因的にも妊娠が難しくなり始めています。
体調的な問題と、年齢要因。
この両輪を考えていきながらも、どういった選択をすべきなのか。
症例を通じ、一緒に考えていきましょう。
☆妊娠を考えるときの要因
妊娠したいと思い、1年以内に医療介入せずに妊娠する。
これが大多数の人の流れです。
流産があったり、何度かはタイミングが合っていたのに妊娠しないということも
ある程度あたりまえのことではあります。
ちょっと昔までは、この1年以内が2年以内という時期もありました。
現在では、妊娠したいと思い始めるスタートが遅いので、1年以内ということになっていますね。
それほど妊娠に年齢は大切です。
☆☆基本的なチェックは早めに
いままで一度も妊娠したことがないという場合は、やはり適切な医療介入をすべきケースが多いと思います。
また案外多い要因として男性側要因。
基本的な妊娠に関するチェックは早めに受けましょう。
☆☆1度妊娠経験がある場合(流産も含む)。
1度妊娠経験があり、出産もしている場合や、流産になり出産にいたらなかったなどさまざまなケースがあるかと思います。
妊娠する力があるということは、妊娠した時と同じ体調であれば、妊娠できる可能性が高いこと。
また、受精、着床までは自然な形で出来るカップルであるということですから、
『体外受精すれば大丈夫』とはならない場合が多いことを考えておきましょう。
こういったふたりめ不妊や、流産御妊娠しにくいと言ったケースは、多くの場合身体の力を落としたことが原因になってることが多いです。
まず体調の底上げを考えていきましょう。z
また流産要因についても、体調との兼ね合いで考えていきましょう。
☆☆年齢要因についての考え方
年齢要因は非常に大きな要因です。
ただ、医療介入によっては救えない要因でもあります。
なるべく治療を急ぐことがとても大切。
その上で、妊娠が成立している人の場合は、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療が必須にならない場合があるということも、考えておきましょう。
☆☆☆凍結は時間をお金で買えるという発想もあり。
流産が多いタイプの方の場合、妊娠のチャンスが複数回あることが大切です。
しかしながら、年齢要因が上がってきている場合は、その妊娠のチャンスそのものが少なくなってしまっています。
こういったときに、高度生殖医療を使い、凍結胚を作っておくと言うことが年齢要因を救うことにもなる場合があります。現在の保険制度では、貯卵はできませんが、ご自身の状況によっては、この発想をもつこともありではないかなあと思うことがあります。それほど年齢要因というのは大きな要素ですね。
☆症例から学ぶ:体調の回復によって自然妊娠、39才での出産に至る道のり。
・妊娠と、体調はどこまで回復させれば良いのか?
・年齢要因との兼ね合いは?
・生殖医療の介入はいつにすべきか?
迷いが多いですね。
この症例は、せっかく成立した妊娠が流産につながり、その流産によって生命力をもう一段落としてしまうという悪循環になってしまっていました。
そのため体調の回復そのものにかなり時間を要し、年齢要因と重なってくる時期(30代後半)となってしまいましたが、ご本人のご希望により、鍼灸のみの不妊治療継続となり少し時間はかかりましたが、無事の妊娠、出産とつながりました。
このあたり、どのような選択でいくのかは迷うところですが、生殖医療は、ご夫婦のご希望にそうのが一番だと思っています。一緒にだいぶ悩みましたが、良い流れになって私も嬉しいです。
☆ご相談:37才です、なかなか妊娠できません。どうしたらいいでしょうか?
31才の時に一人目を自然妊娠、出産しています。
産後に体調を大きく崩し、腰痛や、眼の疲れやすさ、疲労感を強く感じます。
34才から二人目の妊娠を希望し、37才で1度妊娠出来たのですが、心拍確認は出来ず流産してしまい、その後は下腹部に痛みを感じたり、寝つき、寝起きが悪い状態が続いています。
冷えについて。とても気になります。お尻やふくらはぎなど下半身に冷えを感じ、足下が寒いなあと思うことがよくあります。
☆ビッグママ治療室からのお返事
31才の時に自然妊娠し、出産。また37才でも自然妊娠をされているのに、流産。とても残念でしたね。
お身体の状態を拝見したり、お話を伺うと、妊娠に一番大切な、生命の土台の力(腎気)が不足しているのではないかなと思います。
もともとこの生命力の土台の力(腎気)が不足し、その土台の力(腎気)の力の上でなりたつ女子胞(子宮)の力が足りず不妊、流産へつながっていると思われます。
そして、出産や流産はこの腎気や女子胞(子宮)の力をとても使いますので、この出産、流産後に妊娠しずらくなるという悪循環もよくおきてしまうのです。
またもともとの血流の悪さも、妊娠にしずらさ、そして着床障害、流産へとつながっています。
しっかりと生命の土台の力(腎気)をつけ、身体を温煦(暖め養う)する力をつけることが、血流アップにつながります。血流がよくなるような身体作りをしていくことが、ポイントになると思います。
一人目を自然妊娠された方は、お体の手入れによって二人目も同じ経過で妊娠されることが多いです。
一緒にがんばっていきましょう。
☆☆東洋医学的な方針
<弁証論治>
弁証:腎虚を中心とする全身的な気虚
論治:補腎益気
<治療指針>
腎の温陽を中心に、まずは腎気の立て直しを図る。また補腎下焦による腎の根を付けつつ、元々弱い肺気も同時に補うことで、肝気が収まりやすくなるようにしたい。
脾気の弱りに関しては、食事量など自己養生で注意を促したい。
☆治療経過
37才 ビッグママ治療室初診
週に2回程度の鍼灸治療を始める、自宅での養生
1年:体調が回復するもののなかなか妊娠せず、西洋医学的なアプローチもお勧めするが、ご本人の希望や仕事の忙しさにより、鍼灸のみでの不妊治療継続。
1年半:無事に自然妊娠、39才にて出産
「立派な胎盤!」と助産師さんたちにいわれましたとのこと。
おめでとうございます。
☆あとがき
しっかりと体調をあげることが自然な妊娠につながりましたね。
流産後の体調不良の回復が大きなテーマであり、それなりの回復をするものの年齢が38才を超え、通常であっても妊娠が成立しにくい状況が重なってきましたので、西洋医学的な不妊治療も平行することをお勧めしましたが、ご本人の仕事の忙しさや判断もあり、そのまま鍼灸のみでの体調管理となりました。
この年齢要因がある場合の選択は迷いも大きくなりますが、妊娠する力のある方の場合、医療介入が答えではないことも多いので、腹を決めて前に進むことも必要なことがありますね。