不妊:相談 病院通いが辛い 無月経 高プロラクチン血症 冷え 0057

体調が悪くなると、生理が来なくなる方もいらっしゃりますね。無月経は長期間放置すると月経の再開すら難しくなります。生理が3ヶ月以上止まったら婦人科受診をお勧めします。

また、無月経や早発月経の専門家のドクターから、『2年以上の放置で自力排卵への治療がかなり困難になる』ということも伺っております。確かに無月経期間が長くなるとなかなか自力排卵がおきなくなってしまいますね。生理が止まったら婦人科を受診し、原因を明らかにして対処をしておく必要があります。ピルなどをみて月経をおこしておくケースもよくみます。

無月経、生理の乱れについてはこのサイトのアニメがわかりやすかったです。
ちかえレディースクリニック
ケーススタディになっていて、わかりやすいですねえ。

40才以下で無月経を『早発閉経』といいます。早発閉経では聖マリアンナ医科大学が有名です。またこちらで長年専門家をなさっていたドクターが開いていらっしゃるローズクリニック。こちらの石塚先生のご提案に過去何度もはっとすることがありました。早発閉経では相談してみる価値はあるのかなと思います。ただ石塚先生もだいぶお年ではあるのかな。

ただし、やはり早発閉経や長期にわたる無月経の状態を治療するのは非常に難しいです。無月経は放置しない、専門クリニックへの受診、妊娠を急ぐというのは鉄板の対応です。ローズクリニック

さて、妊娠を希望して病院を受診しても、なかなか思い道理に治療が進まないこともあります。

不妊の場合は、生理をおこすことではなく、排卵ー受精ー妊娠 この一連の流れで妊娠することが目標ですね。

生理というのは、しっかりとした排卵があることによって、高温期が作られ、妊娠しなかった場合に高温期を作っているホルモンであるプロゲステロンが出なくなり消退出血がおこり出血することです。無月経というのはつまり、卵子が作られておらず排卵がないということです。

今回は、20代と年齢的にはお若いのですが、無月経になりやすく、病院での治療をしてもらっていますが、なかなかうまくいかず、かえってストレスを感じ、体調も悪化してしまっている症例です。一緒に考えていきましょう。

☆ご相談:無月経状態です。妊娠希望。でも、病院がよいが辛いです。

いま、自力では生理がこない状態です。

妊娠を希望していて、病院では高プロラクチン血症と診断されています。脳の下垂体腫瘍(プロラクチノーマ)などが原因ではないとして、対処療法としてカバサールを服用していますが、いまひとつ効いている感じがしません。ときにどうしても生理がこず、ピルを使って月経をおこしましょうといわれることがあります。

排卵をおこす薬を飲んでも、なかなか卵胞が育ちません。がんばって排卵することもありますが妊娠でき状態が続いています。また何度も通院しても、結局排卵が起こらないこともあります。

2年ほど前からとても体が冷えるようになりました。冷え性や肩こりがつらいです。ときに強いだるさや不整脈もあります。食欲もありません。手足がとてもひどく冷えて感覚もないほどです。

妊娠をしたい、不妊を治療したいという強い気持ちはありますが、こんなに体調が悪いまま妊娠していいのかという不安もあります。

どうしたらいいのでしょうか?

 

☆ご相談にお答えして。少しお休みしてみましょうか。

妊娠したいというご希望と、病院に通っても妊娠できまい事。そして体調そのものが悪くて日々が辛いということですね。がんばっているのに前に進まない状態辛いですねえ、とてもよくわかります。

東洋的な観点からお話しを伺い、お身体を拝見しますと、全身のパワー不足(気虚)の状態が根深いように思えます。生理が来ると言うことは全身の余力です。余力がないために、生殖機能までを充分に整えることができないのでしょう。つまり排卵をおこすほど身体の力に余力がないということです。

胃腸の力不足、土台の力(腎気)の不足によって、全身の気虚が引き起こされ生理の不順、女子胞力(子宮の生命力)の不足を引き起こしていますから、急がば回れで、まず体調を整えていくことにしましょう。お若いのですからあせらず、少しずつ体力を回復させ、生理の問題も解決していくようにしていきましょうね。

☆東洋医学的な弁証論治

・弁証 気虚 腎陽虚 衝任脉の虚。

・論治 健脾温腎

・治療方針 脾気をたて、腎気を温陽し身体を温める力をつけていくこと、 そして、気虚を解決し、衝任脉を健やかにしていくことを目標とする。

方針:

生命力の土台の力(腎気)がかなり不足してしまっています。また、胃腸の力も弱いために、食物からエネルギーを受け取り体を温め養う力も不足気味です。

現時点で自力で生理がこない、妊娠したいという希望があるため婦人科での治療をしていますが、まだ年齢がお若いのですから少し心身をやすめるためにも通院をやめて月経の様子を見ながら判断してもよいのではないかと思われます。

 

☆西洋医学の不妊治療について

 

西洋医学の不妊治療は、高プロラクチン血証の薬やそのほかのホルモン剤などを服用なさったうえに、タイミング指導による不妊治療をなさっていらっしゃりますね。だいぶ頑張っていると思います。

ただ、ちょっとだけ疲れちゃいましたね。それもよくわかります。

妊娠のことを直接的に考えるのは少しお休みしてはいかがでしょうか?。妊娠の事ばかり考えてだいぶ煮詰まっていると思います。

身体をしっかりさせ、気持ちも心も充実させ体力をとりもどし、自力で生理がくるように、そして基礎体温がしっかりと2層を描くように、半年程度を目安にしながら鍼灸だけで頑張ってみましょう。 

治療に対して反応が悪かったり、やはり無月経が3ヶ月以上続くようでしたら、妊娠のための治療という主軸を少し棚上げして、無月経のための調整(ピルの服用など)をドクターに相談してみましょう。無月経を放置をしないということは大切で、それだったら不妊治療をということになると思いますが、不妊治療まで踏み込むと気持ちと身体がまた参ってしまうと思います。西洋医学的には保存的な考えをし、東洋医学的には身体の底力をあげるという両建てである程度の期間を過ごしてみることをお勧めします。

身体の状態がそれなりに安定し、生命力がついてこれば、不妊治療もスムーズに進みます。20代とお若いのですからその期間を1年程度は考えてもよいかと思います。

 

☆身体の手入れと、妊娠、出産 治療経過

鍼灸治療 治療頻度週に1−2度。

左の陽池外関(温灸ーしっかり) 左右三陰交ー足三里(鍼、温灸)左公孫ー大(SP2)

肺兪温灸 脾兪(BL20) 三焦兪 腎兪(BL23) 次髎(BL32) 大巨(ST27)、臍、関元(CV4)

毎日の養生

・養生お灸を鍼灸治療に従って毎回印をつけたところにおこなう

・食事を充実させる。タンパク質、ビタミンの摂取をきにかける

・太陽の光を浴びながら歩くことを生活の中に取り入れる

経過:

治療開始半年後:全体に体調がよくなる。気持ちも明るくなってきた。

10ヶ月後:生理が多少の遅れはあるものの整ってきた。高温期もしっかりしてきた。

1年後:ほぼ生理の問題は解決、体調も非常に良好になった

1年2ヶ月目:高温期が続きそのまま妊娠ー無事に出産

3年後、無事に第二子も出産

☆あとがき:

高温期が続き、生理予定日から2週間たったところで病院の受診をお勧めしました。

『ちゃんと治療しなければダメだよ』ととても気にかけていいてくださったドクターは、以前のカルテをめくりながら、生理不順や高プロラクチン血症の状態を確認して、

『あなたが自然妊娠出来たの?』と驚いていたそうです。

今回のケースでは

1)年齢が20代と若かったこと

2)ご本人に体調そのものが悪くて、まず妊娠よりも体調をあげたい

こんな思いがあったので、ゆっくりとあせらず落ちついて身体作りに取り組むことができました。結果的にこの急がば回れの作戦がスムーズにふたりめのお子さんまで授かる方法となったと思います。

妊娠と言うことを考えると、どうしても体調全体を無視して、『早く妊娠したい!』排卵をおこそう、ホルモンの数字を整えようということになりガチだと思います。

その『早く早く治療!』をして、スムーズに行けばいいと思います。スムーズにいくケースも多いと思います。しかしながら、スムーズに進まないときは、一歩引いて全体をみて考えるのもとてもよいかと思います。

第一子を出産後、産後の養生のお手伝いもさせていただきました。その後体調が非常によくなりよいリズムにスムーズにはいっていくことができ、第二子も自然に授かることができ、元気なお母さんになられました。

 

この症例の方は実はこの方のお父さまからのご紹介でした。お父さまご自身が腰痛で当院を受診され、『どこに行ってもこの腰痛はなおんないから、まあ適当にやってよ』という気楽な感じで定期的に受診され、結果的に『いままでで一番いい治療のような気がする』と仰って下さいました。

腰痛治療も、腰痛に注目した治療は、腰痛が腰の問題だけで起こっている場合は余り効かないという結果になるようです。『腰痛』という症状に拘らず、『体調全体をあげ、体力がついてくると、自然に腰痛も気にならなくなる』という状態が、『腰痛の治療』ではないかと思います。局所の腰そのものの弱さがあれば、やはり疲れたときや、腰を使いすぎたときなどには症状が出ると思います。しかしながら生命力が充実していれば、腰の状態を自力で回復する力がついてくるのです。

不妊治療も同じです。『不妊』と的を絞っても、ご本人の力が不足していれば、次、次とトラブルがでます。その様々なトラブルというなの症状に対処していてはきりがないし、前に進まないのです。

お父さまがそんなご自身の体験から、娘さんのことを紹介して下さったのかなと思います。本当に良かったですねえ。このお父さまは建築関係の仕事をなさっていらっしゃり、娘さんご夫婦のおうちを建てられました。よかったですねえ(^^)。

お父さまとのあれこれの雑談を思い出します。

『二世帯住宅難かダメ! 壁一枚でもいいから二軒はわけること。人生なにがあるかわからないから、一つの玄関に二つの台所、二つの風呂なんていう売るときになってどうしようもないような家は建てちゃダメ』

『吹き抜けはだめ、音が丸聞こえ。予想外に音が響いて寂しい思いをすることがある』

『住宅ローンは限りなく低く。1円でも借金するならば贅沢と思える部分は全部削りなさい。お金を払い終わってからいつでも手はいれられるんだから。』

3つめのアドバイスは私自身が家を建てるときにとっても役立ちました。実は私の家はかなりの長い間納戸にドアはなく、作り付けのクローゼットなどもなく、食器棚はリサイクルショップで買った2万円のもの、風呂、キッチンなどの什器も全部一番安いものでOKという選択をしたのです。このおかげでローンが非常に少なく繰り上げ返済で10年程度で終わり、その後に納戸のドアをつけたりしました。10年たったら家族構成が変わっていて(息子や娘が独立)、子供部屋もなにも作り付けのものがなかったのですんなりと他の目的で使うことができています。あのとき住宅メーカーのアドバイス道理『住宅ローンはとりあえず借りられるだけ借りる』ということをして、設備機器や作り付けのものを作っていたら、大変な金額の借金を背負っていたと思います。よかったあ!

ビッグママ治療室
https://bigmama-odawara.jp/

不妊カウンセリング学会
https://www.jsinfc.com/

食事バランスガイド
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-007.html

日本生殖医学会
http://www.jsrm.or.jp/index.html

Q&A
http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa01.html

続発性無月経の鑑別
http://hospi.sakura.ne.jp/wp/wp-content/themes/generalist/img/medical/jhn-cq-tsukuba-150925.pdf