不妊カウンセリングの勧め: AMHと卵の質 体外受精で暗礁に!0314

不妊カウンセリングの勧め;どうしたらいいか迷ったときに。
赤ちゃんが欲しいという方のカウンセリングをしています。

『赤ちゃんが欲しい』『不妊治療をしています』『なにをしても妊娠しません』『年齢であせります』『体外受精をしているのに上手くいきません』

様々なお悩みがありますね。

今日は、そんな久美子さんのお悩みを皆さんと一緒に考えていきましょう。

運動

ご相談:
39才になりました。
36才で結婚してから、すぐに自然妊娠しました。子宮の中に胎膿はみえ、一度は心拍が見えました。が、そのまま繋留流産となり、手術を受けました。

 

流産の手術後からはタイミングを数回、人工授精は6回おこないました。
でも、一度も着床もしていませんし、妊娠もしていません。

ドクターから高度生殖医療へのステップアップの提案があり、夫婦で話し合い体外受精・顕微授精をすることになりました。しかしながら、空砲や変性卵が多くなかなかよい卵がとれす、何度も排卵誘発などの方法を変えながら、すでに採卵を4回もしていますが、『AMH(☆)卵巣年齢が高いです』と言われ続けています。☆AMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)

4回の採卵で卵子がとれたのは2個だけ、胚盤胞まで培養し凍結することになりましたが、ひとつは途中でとまってしまい、ひとつだけ胚盤胞になりました。次の周期で凍結胚盤胞移植を自然周期にておこないましたが、着床すらしなかったとのことです。妊娠できなかった理由は、胚移植した『卵の質が悪い』という説明を受けました。

流産するまでは生理周期は28日、流産してからは35日から40日ぐらいになっています。小さな塊も多く混じります。生理痛はあまりありませんが、最近は重い痛みがだらだらと続きます。流産後からは生理の始まる前に茶色のおりものがでて、それから生理になります。

むかしから頭痛があり、肩こりもひどいです。
頭痛がひどいときには吐いてしまうこともあります。不妊治療を続けるうちに頭痛もひどくなり、目の奥が痛み、側頭部がズキズキすることもあります。疲れたり精神的な疲労も頭痛や肩こりが悪くなるきっかけとなっている気がします。

手足の冷えも気になります。冬になると靴下をはいて足を温めないととても眠れません。氷のように冷たい感じがするほどです。

私がとくに気になっているのは、
1)卵巣年齢が高いと言われていることへの不安。
2)卵子の質 受精卵の質をあげること
3)身体の冷え
4)婦人科疾患は手術など対応をした方がよいのか。

どうしたらいいでしょうか。
私になにか出来ることはあるのでしょうか?

あれこれ悩みます

ビッグママからのお返事
いままで、沢山頑張ってきましたね。
ご夫婦で一生懸命取り組んでいらっしゃることよくわかります。
お話しをお伺いさせていただき、一緒に考えてみまししょう

 

 

現在の不妊治療歴からの状況
年齢:39才女性

妊娠歴:36才で結婚後すぐに妊娠、1度心拍がみえたものの2回目は確認できず繋留流産となる。

婦人科疾患:婦人科疾患(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣膿腫、子宮ポリープ、卵管癒着)などの可能性があるものの、大きな問題はないと思われるので、体外受精へのステップアップを提案される。

高度生殖医療(体外受精・顕微授精・胚移植・凍結)へのステップアップ。
4回採卵するも、空砲、変性卵が多く、採卵できたのは2個だけ、凍結胚盤胞まで培養が出来たのが1個だけ。

基礎体温表:低温期が長めで、高温期が短い、途中でいったん下がってしまう。

まず、大きな点は
☆一度自然妊娠している  

一度自然妊娠しているということは、女性側に妊娠する力があるということです。また男性側にも大きな問題はないと考えてもいいかと思います。

『自然妊娠している』という事実は大きいです。
高度生殖医療が一番救ってくれるのは、キャッチアップ障害などの精子と卵子の出会いに障害がある場合です。この障害は基本的にはないと考えられます。

それでは、なぜ妊娠することができないのか?と考えれば、考えるポイントは3つ

1)流産後から子宮を中心とする生命力を落としている
2)婦人科疾患ができやすい骨盤内の状況(血流が悪い可能性)
3)年齢要因
4)卵の質
5)卵巣年齢が高い

ではそれぞれについて考えましょう。

1)流産後から子宮を中心とする生命力を落としている
この流産後から妊娠できない、また一人目を出産してから妊娠できないというふたりめ不妊は同じカテゴリーと考えられます。

子宮、卵巣そのものに大きな問題はないが、子宮卵巣を下支えする生命力(東洋医学の世界では腎気といいます)が不足してしまい、しっかりとした妊娠の成立、維持にならないということです。

つまり、流産や出産によって、子宮卵巣のパワー(女子胞力)が低下してしまい、妊娠できないと言うことです。

おの女子胞力(子宮卵巣のパワー)の低下による不妊は、体外受精などの高度生殖医療で救われる部分ではありません。ご自身の生命力をあげることこそが大切なことです。

二人目不妊、何度も重ねた体外受精、体調管理で仕切り直し(44歳出産)

2)婦人科疾患ができやすい骨盤内の状況(血流が悪い可能性)

冷えがつらいと仰っていますね。お身体を拝見すると、末端の冷えの状況はかなりきついです。経穴の状態から見ても、足腰の血流不足は明瞭です。

十分な血流がないと、卵巣子宮などもともと気血の動きが活発なところでは『血の滞り』を産みやすく、子宮内膜症、卵巣嚢腫などの原因ともなってきます。

子宮血流を充分に出せるような身体作りを意識して状況の改善が必要だと思います。

子宮内膜症、チョコレート嚢胞、多難の不妊治療(43歳出産)

3)年齢要因

初めての妊娠が36才ですね。やはり37.5才までは自然妊娠が成立しやすいなと思います。現時点で39才という年齢は年齢要因的な不妊も引き起こし、より問題を困難にしている印象はあります。採卵しても卵胞数が少ないと言うことも年齢要因との兼ね合いもあるでしょう。

しかしながら、血流をあげる、身体全体の手入れをするということが追いつかない年齢ではありません。当院では一度妊娠している39才の方ですと。かなり手応えのある治療が成立し、妊娠、出産まで至る方も多いです。

自然妊娠している方なので、体外受精が必須であるとは思いませんが、年齢要因が高い場合は、体外受精も取り入れ、『凍結技術』を使うことで年齢を買うという発想を持つこともアリなのかと思います。自然妊娠への挑戦を意識しながらも、高度生殖医療が進めるという二本立てのスタンスがよいのかなと思います。

このときに、身体作りをしっかりと行うと、自然妊娠の可能性も高まりますし、高度生殖医療を行ったときの『薬の効き』もよくなり、『採卵数のアップ』『卵の質の改善』もよくみられます。

40代からの不妊治療。年齢要因と負担の大きな治療(45歳出産)

4)卵の質
年齢要因の話とも重なりますが、『卵の質』をあげることは可能です。
しかしながら年齢要因的に落ちていく『卵の質』の部分もあります。つまりよい卵が出てくる可能性が低くなるということです

35才であれば生理3日目に出てくる卵胞が7つ程度あり、その中の一つが選ばれて排卵するわけです。これが年齢が高くなれば、生理3日目に出てくる卵胞が2つか3つ、ときには1つだけということになり、そもそも選ばれる数が減り、卵の質が低下するということにも繋がるわけです。

しかしながら、一つ一つの『卵の質』をあげることは可能だと思っています。
東洋医学的な見たて、体表観察に基づき、お身体作りの提案をさせていただき、
食事睡眠の改善(食事生活記録の提出をお願いしています)、養生鍼灸を取り入れていただくことで、30代の時の卵よりも40代の時の卵の方が培養資さんに『よいグレードの卵です』と言われることが増えたという方は大勢いらっしゃります。ただし、この努力は何か1度すればよいというものではありません。日々の積み重ねとなります。またこの『卵の質改善』への努力によって、『体調がよくなった』『体力があがった』『血流がよくなり、風邪を引かなくなった』というお声は沢山頂きます。

少し年齢の高めの妊娠出産となるわけです、お父さんお母さんはしっかりとご自身の体調をよくして、子育てをがんばりたいですね(^^)

卵の質について→ビッグママ治療室

5)卵巣年齢が高い

最近はAMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)により、卵巣年齢の高さを指摘される方がおおくいらっしゃります。
今回のケースでも、3)年齢要因、4)卵の質ということは、もともと卵巣年齢が高いという問題とも深く繋がります。卵巣年齢がもともと高いために、30代であっても、いろいろな誘発を行うものの、卵の数がでてこないということにつながり、エントリーする卵が少ないので、質を問われるとみんな脱落してしまうということになってしまいます。

卵巣年齢が若く、沢山の卵が誘発できれば、ある程度の淘汰のプロセスがあっても、移植できる良好な卵に出会えるチャンスがふえるわけです。

しかしながらAMHが高いと言うことが、すぐに閉経してしまうとか、39才で採卵できた卵の年齢が47才だということではありません。

日本産科婦人科学会のAMHに関する公式見解(生殖・内分泌委員会からの報告)では、以下の様に述べられているとのことです。

副田翔(不妊治療専門医)のブログから紹介させて頂きます。

是非ご確認ください。
・AMHは卵子の質とは関連しない
・AMHの測定値は個人差が大きく、若年女性でも低い場合や、高齢女性でも高い場合があり測定値から卵巣年齢の推定はできない。
・測定値と妊娠する可能性をイコールと判定するのは難しい。
・測定値が低い場合でも、閉経が早いという断定はできない。

つまり、AMHが悪くてもすぐに閉経するとはいえないし、個人差が大きい。また質とも関連しないということですね。

私の鍼灸治療室にいらっしゃる方は、ほとんど『AMHは45才以上と言われました』という方ばかりです。そんな方々ばかりですが、一緒に二人三脚でなんとか乗り越え、出産にたどり着いた方も大勢いらっしゃります。

AMH検査で、37才なのに47才の卵巣年齢だと言われました(39歳出産)

 

急がば回れ、しっかりと身体作りして前に進みましょう。
きっときっと前に道は開いていきます。

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さて、具体的な卵の質を上げるコツをお話ししておきますね。

 

卵の質をあげるコツ

不妊治療をしていると、体外受精で胚を取り出し、培養師さんから受精卵を眺めながら、
『卵の質が悪い』といわれ、考え込んでしまうことも多いかと思います。

グレードの高さも気になりますよね。

よいグレード、スピードの速い受精卵。
これが妊娠にいたるためのポイントであることは確かでしょう。

そしえつい『卵』のために何をしたらいいのかということを考え込んでしまいますよね。

私はこの『卵の質』という問題は、卵だけの問題ではなく、その方そのものの体力、
余力が反映されるものだという経験を多くしています。

つまり、体力があがり、生命力に余力がでて、皮膚の艶があがり、皮膚の質感がたかまり、
まるで、安物の風船が、お高い風船になるがごとくの質感になってくると、
採卵して『グレードのよい卵が出来ました』という報告を多く頂くようになります。

つまり、生命力があがることが、
自然に卵の質もあがるということです。

 

上手に体力をつけ、妊娠へつなげるコツ;
1)お食事や運動、少量頻回。
2)ご自宅で毎日養生お灸をする
3)少量頻回の鍼灸治療 少しずつ、受け取れるキャパシティーの範囲で。
4)急がば回れ
5)不妊カウンセリングを受ける

 

さて、具体的に卵の質をあげるにはどうしたらいいのでしょうか?

運動!

体力をつけるというとすぐに『運動を』とお考えになる方が多いのですが、小さい子供に無理に運動させても身体が壊れるだけです。これと同じで、生命力が貧弱な方が、運動の負荷をかけても、ただただ疲労に繋がるだけで体力の向上にはつながりにくいのです。

自由にのびのびと全身で遊ぶように楽しく過ごしながら、すこしづつ負荷を増やし体力を
Upさせることが大切です。

食事!

食事の改善、サプリの摂取が身体の状態の改善に繋がらない場合:
人には、受け取れるキャパシティーがあります。
このキャパシティーを越えていると、せっかくよい栄養を取りこんでも、
通り抜けていくだけになってしまいます。

栄養もご自身の胃腸がちゃんと受け取れる範囲で肉、魚、野菜などご自身の血肉になる食べ物をしっかりと食べることが大事です。

長い不妊治療、40歳からの身体作り・食事改善で妊娠(43歳出産)

食事は、食事バランスガイドが鉄板です。
まずカウントしてみて、ご自身の状態を客観的に目で見てから、どうしていくということを考えましょう。

食事バランスガイド

 

養生鍼灸
不妊治療の場合は、最低でも週に1度、実践的効果的な治療をスピードをもって進めるのならば週に2度の鍼灸治療がお勧めです。

また、自宅でお灸をしていただくこと、とても有効です。私の治療院では、せんねん灸などのお灸の他、棒灸などしっかりとお体を温めることのできる温灸なども指導させていただき、毎日の習慣にしていただいています。この毎日の養生お灸は本当によく効きます。

お灸をしよう!

不妊カウンセリング

早く早くと焦ってしまうお気持ちはよくわかります。でも、急がば回れです。特に高度生殖医療は金銭的な負担が多いです。ただやみくもに回数を重ねると、経済的な理由から治療が進められないと言うことになってしまいます。何をすればいいのかが迷ったら不妊カウンセリングをお勧めします。

赤ちゃんを授かった後、しっかりとはぐくみ力強く出産出来る身体作りにつながると考えていただければと思います。

東洋医学的不妊カウンセリング

体外受精を何度もしても妊娠しないという方へのアドバイスをまとめてあります。

体外受精の周期に入っている方への、身体のフォロー – 不妊!大作戦