胎児と栄養、やはり魚:京都女子大学のセミナーから⑤

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑤です。

 

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

YouTubeは京都女子大学 食事でこんなに変わる、脳の発達や病気

ブログでは、①、②、③、④ととりあげています。

その①https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/4655

その②https://bigmama-odawara.jp/blog/?p=4661&preview=true

その③https://bigmama-odawara.jp/blog/?p=4672&preview=true

その④https://bigmama-odawara.jp/blog/?p=4689&preview=true

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑤です。

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食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

 

多動の障害や低くなったIQをどうやったら治せるのか?

臨床の話しに戻ります。
どうやったら、低くなったIQや多動の障害を治せるのか?栄養が少し足りないからというお話が始まります。

そして栄養が足りないからIQが低くなったり、多動になるのであれば、治すのも栄養で治せないかと言うことが考えられますということで、論文のデーターをだしています。

そして人を対象とした論文でその答えが見つかっていますとされ、アメリカ食品医薬品局の報告書(8:41)2014をだしています。

 

魚なんですねと思いますが、一筋縄ではいかない論理展開です(^_^;)

魚を食べる人と食べない人の比較

19枚目のスライドでは、魚をほとんど食べない人から食べる人まで10項目で並べたんですと説明(左端の欄) 

 

魚を食べる上位5%は一週間に360グラム(12.7オンス)食べていた

その生まれた子供→ほとんど食べない人を0として、妊娠中にお母さんがたべればたべるほど、IQがあがる

データー的にいうと、3.9上がる。

そして20枚目のスライドでは、魚の摂取とIQというタイトルで、
妊婦が週に2回シーフード(230グラムから340グラム)を食べると、子供のIQ33上昇すると、お話しされています。

妊婦が週に2回シーフード(230グラムから340グラム)を食べると、子供のIQ33上昇する!ううむです。

辻先生の一人突っ込み

ちょっと待った!確かシーフードには水銀などもあり妊婦は控えた方がよかったんじゃなかったですか~という一人突っ込みに、先生は最近分かったことなんですよ、お母さんを恨まないでね(^_^;)と話していました。うううむ。ただし、マグロは、注意が今でも必要ですよね。(きはだまぐろ、びんなが、めじまぐろ、ツナ缶はOKです)

詳しくは厚生労働省のお魚について知って置いて欲しいことというりんくがありますので、参考になさってくださいね。

☆生まれたときに低出生体重児だったらどうすればいいのか。

ただし、これは生まれる前の話し。産まれたときに低体重だった場合はどうすればいいのかという話しが続きます(10/13)

イギリスの研究 早産児300人に7才時点でIQテスト

22枚目のスライドでは、母乳で育った子供は人工乳で育った子供よりもIQが83高かったとされています。偏差値で56の違いです。

じゃあ、みなさん、お母さんが母乳で育ててくれたらIQ83もたかったのかと考えちゃいますよね。でも、それだけでは論文データとしてはダメなんです。(10.13

 

☆観察研究だけではダメ、母乳で育てたら=OKとはいえない。

これは観察研究なので、母乳で育てたら83高いとはわからない。

そもそも、母乳と人工乳で育てようと思ったお母さんは違う。

母乳を選んだ人は、母乳だけの影響かどうかわからない。

最近ではこれだけのデーターだけでは信頼されない!

最近ではこんな論文では信頼されないんです、補正が必要です。

☆補正10項目を入れた母乳栄養と知能、30才の収入の相関関係をみる

家族の月収、両親の学歴、妊娠中の喫煙、母親の年齢、妊娠前のBMI、分娩様式、在胎週数、出生体重、一家の資産至数、祖先(ヨーロッパ系、アフリカ系、先住民系の割合)この10項目の補正をいれてデーターをみていきます。

結論として、(12.36

25枚目のスライドで、母乳栄養の期間

1ヶ月未満 基準
3ヶ月
6ヶ月
12ヶ月

の期間を区切り、母乳で育てた期間が長いほどIQが上がるとしています。
また、30才時点での月収もあがるとしています。でも、まだ観察研究

☆介入試験をせねば、信頼出来るデーターとはならない。

介入試験をせねば! 信頼出来るデータとはならないという説明です。さすが大学の先生、そんじょそこらの、『これをすればバッチリ!』系のお話とは違います。

コインをふって、表がでたら強制的に母乳で育ててくださいと振り分ける。
コインの表裏。

そういった強い介入する。

これで、母乳群と人工郡かがわかれる。

母乳栄養に関する大規模無作為割り付け試験のスライドで、ベラルーシの赤ちゃん17000人。6才児にIQテストをおこなったということを説明し、母乳で育った子供は、6才児にIQ59高かったとしています。

これで、母乳がよいということが結論づけらたとしています。

これはすごい研究だけど、倫理的にできるのか?と。お話ししながらこの実験の経緯を説明されています。そして、結論として、母乳をすごく推奨するとのこと。

また、スライド28(16.15)は、生後10ヶ月から4才までの健康な乳幼児133人において、大脳白質の体積をMRIで計測

母乳対人工乳大脳白質が増えるとの結論を述べています。

☆スライド29(16.53)では、母乳のどの成分がよいのか?

母乳にはいっぱいの栄養素が入っている
多価不飽和脂肪酸→子供の脳の発達によいのではないかというお話をされています。

また、そのなかで次のスライドでは、ω−3脂肪酸(魚などに多く含まれる)の話しをされ、ドコサヘキサエン酸(DHA) エイコサペンタエン酸(EOPA)、Ω−6脂肪酸などの話題を出され、さて、本当にこれはいいのか?ということでの検討がなされているとしています。

多価脂肪酸の説明です。このあたり、私の頭には難しい〜。

そして、スライドの31番目では、沢山の論文がある。すべてまとめて再解析しているということで、次のお話になります。

 

補充による有用性は認めない!

·早産児に対する長鎖多価不飽和脂肪酸の補充

·正期産児に対する長鎖多価不飽和脂肪酸の補充

補充による有用性は認めなかった

なんと!これら多価脂肪酸を補充してもダメなんですねえ。さすがデーターに裏付けられた論文の世界。厳しい現実をちゃんとつきつけていますねえ。