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母乳がよい!GABAとラクトフェリンの違い:京都女子大学のセミナーから⑥

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑥です。

 

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

YouTubeは京都女子大学 食事でこんなに変わる、脳の発達や病気

ブログでは、①、②、③、④、⑤ととりあげています。

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脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑥です。

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食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

 

 

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑥です。

YouTubeの18.33から最後のまとめとなっています。学生さん向けのセミナーなので、栄養学の発展について、また面白さについて述べられています。私もこの臨床研究と基礎研究の違いは面白かったです。どうしても、基礎研究の部分や介入試験などは臨床では出来ない部分。学術研究を期待します。

 

☆過去は変えられない、お母さんを責めないで

 低体重で生まれると、iqが低く、多動などの問題をもつかの黄精が高い

 妊娠中に魚を沢山食べたり、母乳育児だと子供のIQが高くなる

 →でも、母乳中のどの成分がよいかは不明

基礎研究(辻先生の研究室)

 低出生体重自と同じ症状のモデルラットを開発した

辻先生は、ここで、いままで人工乳やお母さんが魚を食べないという状態の方々へのフォローを話しています。

栄養学は進歩している、こういったデーターはいままでなかった。かえって昔は魚が水銀を含んでいて危険だと言われ妊婦は食べないようにという警告もあった。だから皆さんのお母さんのせいではないんですよ。

では、基礎研究の話しをしますね。と、お話をつづけられています。

 

☆脳の興奮性を増すグルタミン酸、抑制する増すGABA

スライド33(20.01)では、大脳皮質感覚野の脳地図を出しています。

 

ラットの足。この図は人間の図もよくみかけますね。

親指を刺激すると、脳のある部分が電気的に活性化する。

人差し指を刺激すると隣が反応する。

低出生時で生まれると、感覚野がいびつになり、小さくなる。

これはフランスのジャッコラビコックの研究です。

☆神経伝達物質、グルタミン酸とGABA

そして、スライドの34(21.07)からは、具体的な栄養素でお話が続きます。

細胞と細胞の間はやりとりしている。そのやりとりに神経伝達物質がかかわる。

神経伝達物質としての、グルタミン酸とGABA
低出生体重だと興奮性を増すグルタミン酸が↑、抑制するGABAが↓

低出生体重だと神経細胞の興奮性が増して、抑制性が減るということです。

また、スライド35(21.58)では、脳内物質の分布を可視化し、抑制性神経伝達物質であるGABAは視床下部に集まり、低出生体重で多動のラットでは、GABAの集積がみられないんです、つまりあまり分布がみられないということがわかって何匹もやってみたんですというお話がされています。(再現性が大事なので)

スライド37だと、正常体重で生まれたラットの視床下部にはGABAが視床下部にあるが、低出生体重のラットではほとんどわからないと。

☆低出生体重が多動などの障害をおこす機序(22.44

スライド38では、低出生体重が多動などの障害をおこす機序を図で説明しています。つまり

低出生体重

まず感覚が変わる→大脳感覚野での配置が変化する

次に→神経細胞の興奮性が増して、抑制性が減る

特に→GABA(抑制性神経伝達物質)が視床下部で減る

このような機序で多動がおこると考えられています。

(他の研究室では他の機序も説明しているのでこれはひとつです。)

では、最後に治療の話しをします。

 

☆治療は母乳、ラクトフェリン

治療には母乳がよいとお話しされ、ラクトフェリンという成分が非常に大きな役割を果たしているとされています。

·母乳と人工乳の違い

人工乳と母乳の違いを比べ、牛乳で少なく母乳で多いものをさがされています。
また、新生児を対象とする実験は非常に難しい。人の臨床試験の難しさは格別。そして母乳だと非常に研究がしやすいという利点はあるとのこと。だから母乳がよいという実験はしやすいんですねえ。このあたり、他の物をよいものとし難い点もみえてきますね。

つまり、母乳以上によいものがあったとしても、その実験は難しいわけです、倫理的に。

母乳の成分:ラクトフェリンについて

1)牛乳には少ない。母乳に多い。
2) →血管endothelial cell内皮細胞のトランスサイトーシスによって、blood-brain barrierを容易に通過

脳の中にはなかなか成分は行ききにくいですね、blood-brain barrier(血液脳関門)があります。

そのなかで、ラクトフェリンは届きやすいという点が、GABAとの違いとなってきます。
そして、ラクトフェリンは内臓脂肪を減らしやすいと言うことでいまはサプリまででているので手軽にとることができる。

ここで先生は、ラクトフェリンについて、赤ちゃんの脳障害、行動障害によいということがわかれば、すぐに人に応用出来るという可能性を秘めているとされています。ラクトフェリンの摂取を現段階で赤ちゃんの脳障害、行動障害の治療に結びつけられてはいないということなのでしょう。

 

☆まとめ 妊娠中や赤ちゃんの栄養はとても大切

臨床研究では、妊娠中や赤ちゃん時代の栄養は脳の健やかな発達にとって重要である。

基礎研究では、低出生体重児が多動となるのは脳内の抑制性神経伝達物質の減少がひとつの原因です。(2627

母乳の有効性は明確なので、母乳の成分を用いた治療法開発をおこなっている。

最後のスライド(26:40)栄養学の発展には、臨床研究と基礎研究の両方が必要である。

臨床研究では、観察研究と、介入研究との違いを考慮して結果を解釈することが重要である。以上です、これで栄養学に少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。

 

☆98才の隣のおじいちゃんは毎日タバコを吸っている、
だからタバコが健康によい???

ここまでの、辻先生のお話を聞いていると、この話しがおかしいのがわかります。
つまり、臨床としてみれば、

・98才で元気に生きている長寿のおじいちゃんがいる。

・毎日ぷかぷかタバコを吸っている

・だから、タバコを吸うと98才まで生きられる!

ってな論理は大間違いなわけです。

・98才で元気に生きている長寿のおじいちゃんがいる。

この事実に基づき、もっと大規模なデーターをあつめ、同じく長寿グループでのタバコを吸っている率を見るべきでしょうし、同じ対照群でタバコを吸っているグループと吸わないグループのデータ。そして介入実験までするということが求められるといういお話をされているわけです。

世の中には、このような話しは山ほどあります。
私自身も、自分自身の体験から、自分によい、患者さんによいといったことを
お話ししています。それはかなり用心深くしなければならないという戒めだと感じます。

栄養や健康に関する介入は、非常に難しい側面があります。
用心深くしながらも、
私達の生活を前向きに押し進めてくれる可能性のあることを
体験をもとにしながら知り、前に進めていきたいと思います。

ありがとうございました。
それにしても、栄養学の実験、論理って面白いですねえ。
栄養という成分分析しやすいものでも
こんなに研究、観察を積み上げていくことが必要なんですね。

庭の金柑、だんだん色付いてきました。どんな栄養が喉にいいのかな(*^_^*)

akiko yoneyama

 

胎児と栄養、やはり魚:京都女子大学のセミナーから⑤

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑤です。

 

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

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脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその⑤です。

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食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

 

多動の障害や低くなったIQをどうやったら治せるのか?

臨床の話しに戻ります。
どうやったら、低くなったIQや多動の障害を治せるのか?栄養が少し足りないからというお話が始まります。

そして栄養が足りないからIQが低くなったり、多動になるのであれば、治すのも栄養で治せないかと言うことが考えられますということで、論文のデーターをだしています。

そして人を対象とした論文でその答えが見つかっていますとされ、アメリカ食品医薬品局の報告書(8:41)2014をだしています。

 

魚なんですねと思いますが、一筋縄ではいかない論理展開です(^_^;)

魚を食べる人と食べない人の比較

19枚目のスライドでは、魚をほとんど食べない人から食べる人まで10項目で並べたんですと説明(左端の欄) 

 

魚を食べる上位5%は一週間に360グラム(12.7オンス)食べていた

その生まれた子供→ほとんど食べない人を0として、妊娠中にお母さんがたべればたべるほど、IQがあがる

データー的にいうと、3.9上がる。

そして20枚目のスライドでは、魚の摂取とIQというタイトルで、
妊婦が週に2回シーフード(230グラムから340グラム)を食べると、子供のIQ33上昇すると、お話しされています。

妊婦が週に2回シーフード(230グラムから340グラム)を食べると、子供のIQ33上昇する!ううむです。

辻先生の一人突っ込み

ちょっと待った!確かシーフードには水銀などもあり妊婦は控えた方がよかったんじゃなかったですか~という一人突っ込みに、先生は最近分かったことなんですよ、お母さんを恨まないでね(^_^;)と話していました。うううむ。ただし、マグロは、注意が今でも必要ですよね。(きはだまぐろ、びんなが、めじまぐろ、ツナ缶はOKです)

詳しくは厚生労働省のお魚について知って置いて欲しいことというりんくがありますので、参考になさってくださいね。

☆生まれたときに低出生体重児だったらどうすればいいのか。

ただし、これは生まれる前の話し。産まれたときに低体重だった場合はどうすればいいのかという話しが続きます(10/13)

イギリスの研究 早産児300人に7才時点でIQテスト

22枚目のスライドでは、母乳で育った子供は人工乳で育った子供よりもIQが83高かったとされています。偏差値で56の違いです。

じゃあ、みなさん、お母さんが母乳で育ててくれたらIQ83もたかったのかと考えちゃいますよね。でも、それだけでは論文データとしてはダメなんです。(10.13

 

☆観察研究だけではダメ、母乳で育てたら=OKとはいえない。

これは観察研究なので、母乳で育てたら83高いとはわからない。

そもそも、母乳と人工乳で育てようと思ったお母さんは違う。

母乳を選んだ人は、母乳だけの影響かどうかわからない。

最近ではこれだけのデーターだけでは信頼されない!

最近ではこんな論文では信頼されないんです、補正が必要です。

☆補正10項目を入れた母乳栄養と知能、30才の収入の相関関係をみる

家族の月収、両親の学歴、妊娠中の喫煙、母親の年齢、妊娠前のBMI、分娩様式、在胎週数、出生体重、一家の資産至数、祖先(ヨーロッパ系、アフリカ系、先住民系の割合)この10項目の補正をいれてデーターをみていきます。

結論として、(12.36

25枚目のスライドで、母乳栄養の期間

1ヶ月未満 基準
3ヶ月
6ヶ月
12ヶ月

の期間を区切り、母乳で育てた期間が長いほどIQが上がるとしています。
また、30才時点での月収もあがるとしています。でも、まだ観察研究

☆介入試験をせねば、信頼出来るデーターとはならない。

介入試験をせねば! 信頼出来るデータとはならないという説明です。さすが大学の先生、そんじょそこらの、『これをすればバッチリ!』系のお話とは違います。

コインをふって、表がでたら強制的に母乳で育ててくださいと振り分ける。
コインの表裏。

そういった強い介入する。

これで、母乳群と人工郡かがわかれる。

母乳栄養に関する大規模無作為割り付け試験のスライドで、ベラルーシの赤ちゃん17000人。6才児にIQテストをおこなったということを説明し、母乳で育った子供は、6才児にIQ59高かったとしています。

これで、母乳がよいということが結論づけらたとしています。

これはすごい研究だけど、倫理的にできるのか?と。お話ししながらこの実験の経緯を説明されています。そして、結論として、母乳をすごく推奨するとのこと。

また、スライド28(16.15)は、生後10ヶ月から4才までの健康な乳幼児133人において、大脳白質の体積をMRIで計測

母乳対人工乳大脳白質が増えるとの結論を述べています。

☆スライド29(16.53)では、母乳のどの成分がよいのか?

母乳にはいっぱいの栄養素が入っている
多価不飽和脂肪酸→子供の脳の発達によいのではないかというお話をされています。

また、そのなかで次のスライドでは、ω−3脂肪酸(魚などに多く含まれる)の話しをされ、ドコサヘキサエン酸(DHA) エイコサペンタエン酸(EOPA)、Ω−6脂肪酸などの話題を出され、さて、本当にこれはいいのか?ということでの検討がなされているとしています。

多価脂肪酸の説明です。このあたり、私の頭には難しい〜。

そして、スライドの31番目では、沢山の論文がある。すべてまとめて再解析しているということで、次のお話になります。

 

補充による有用性は認めない!

·早産児に対する長鎖多価不飽和脂肪酸の補充

·正期産児に対する長鎖多価不飽和脂肪酸の補充

補充による有用性は認めなかった

なんと!これら多価脂肪酸を補充してもダメなんですねえ。さすがデーターに裏付けられた論文の世界。厳しい現実をちゃんとつきつけていますねえ。

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーから④

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその④です。
③が少し長くなったので補足の④となります。

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☆脳の形態:低出生体重ラットの脳は小さく、大脳白質の体積は減る

 

 

15枚目のスライドです。ラットでの脳の大きさを比較しています。

脳の形態について、低出生体重の脳は小さく、大脳白質の体積は減ると語っています。これはなかなか唸ってしまいます。血流が悪く低栄養になり小さく産まれると言うことは脳の形態にも差を生じると言うことをお話ししています。

スライドの中では、

底出生体重ラットの脳は小さく、大脳白質の体積は減る

ということが示され、脳がほんの少し小さいということが、どういうことなのかということを、

大脳白質とは神経細胞と神経細胞をつなぐ、神経線維が通っている部位である。

上記のような説明をしています。

人のMRIでも、同じ。大脳白質が小さい。

脳が小さくなると言うことは、大脳白質が小さいと言うことを意味するというお話です。

大脳白質って何?大脳の白質と灰白質

→大脳の表面は神経細胞が集まっており灰白質と呼ばれます。その奥にある、神経細胞からの命令 を伝える神経線維が束となって走行している部分が大脳白質です。つまり神経線維の束がある場処が大 脳白質ということです。

整理すると、
:灰白質→脳の表面、神経細胞があるところ
:白質→灰白質の内側、神経細胞の連絡路(軸索)

☆子宮血流の低下がもたらす低出生体重モデル動物の特徴4

16枚目のスライドでは、子宮血流の低下がもたらす低出生体重モデル動物の特徴を4つあげています。

血液の流れを減らし=栄養を減らす:子宮血流の低下

この子宮血流の低下がもたらす4つの結果は、

1:低体重で生まれる

2:多動

3:社会性が低下

4:大脳白質の体積が減る

低出生体重児であることのリスクについて、脳が小さいと言うことからわかることをこのように分析し、京都女子大学の辻先生は語っているということです。

日本でいわれる、『小さく産んで大きく育てる』という言葉は、こういったリスクに踏み込んだ言葉ではなく、ただ、小さく産んでも大きく育てればいいんだよと言う言葉だと思います。
それは確かに、

 分娩は先ず第一に安全であること。(母子の生命がかかっていますからね!)

 その上で、母子共に健康であること。

その安全であることが、低体重児とされるほど小さくでもいいに直結しているのならば、ここは少し考えて、『小さく産んで大きく育てる』という言葉をもう一度考えてみるべきではないかと思います。

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーから③

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその③です。

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

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ADHDになりやすい!?低体重児のリスク

8枚目以降のスライドでは、低出生体重児のリスクとして、ADHDになりやすいというお話をなさっています。

8枚目のスライドでは、

注意欠陥多動性障害について簡単に説明されています。

多動、不注意、衝動性などをがあげられていらっしゃいます。

9枚目のスライドでは、

出生体重が軽いほどADHDになりやすいといことが、フィンランドのデーターで語られています。そしてなぜこんなことがおこるのか?、どうすればいいのか?という問題提起をされています。

10枚目のスライドでは、私が前回も指摘させていただいた、血流の話しです。

 

☆子宮血流が足りないとどうなるのか?

 

少し栄養が足りないラットを作る。

体内に同時に宿っている10匹のラット。その10匹のラットを、子宮動脈を調整して血流の状態をわけます。すなわち、半分のラットには通常の血流、残りの半分のラットには血流を悪くするわけです。

この実験で低出生体重児を作るために、栄養そのものを変えるのではなく、血流を変えています。

つまり、

血流が悪い=栄養が行かない=低栄養=低出生体重児

ということですね。この実験、同じラットですので、血液成分的には同じですが、血流という血液の量の多寡によって高栄養と低栄養になるということが示されていると私は思います。

これは私にとっては非常に大きなポイントだと思われました。すなわち、

血流をあげるということが、『小さい赤ちゃんを予防する』ことにつながるのだということは、鍼灸、お灸、セルフケアが非常に役立つということを示唆していると思われるからです。

これは、今まで私が、胎盤形成期の鍼灸アプローチをしっかりとしていた患者さんから、

『赤ちゃんが3000グラムを超えていました!』

『胎盤が大きいって助産師さんに言われました』

こんな報告を多く受けていました。
なぜ、妊娠初期の鍼灸治療でのフォローをしっかりとなさったかたから、今回の辻先生のYouTubeは、このようなお声を多く頂くのかという大きな手がかりとなりました。やはり、胎盤形成期の鍼灸アプローチは非常に有効なのです。しっかりと鍼灸治療でのケアと、ご自宅でのセルフケアを行っていただきたいと切に願っております。

 

☆正常体重児と低体重児のオープンフィールド実験

11枚目ではオープンフィールド実験がおこなわれています。

正常体重で生まれたラットと、低体重で出生したラットを比較しています。

小児期、思春期と行動の違いをみていっています。

14枚目のスライドでは、三部屋式社会性行動試験をおこなっています。

普通の体重で生まれたラットは新しい物に興味を示し、低体重のラットは示さない社会性がないという評価が示されるというお話です。

ちょっと長くなりすぎたので、ここでいったんお仕舞いにしますね。
④に続きます。

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーから②

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその②です。

→その①はこちら

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

タイトルは食事、実験は血流

このYouTubeをみつけたときには、食事で脳の発達や病気がかわるのかーと思いながら見始めま した。

しかしながら、胎児の場合は母親の食事というよりも、子宮血流の多少ではないかと思われました。

なぜならば、10枚目のスライドで、ラットの子宮動脈を半分はそのまま、半分は血流を低下させた状態を作り、低出生体重児の問題を語っているのです。

ラットでの子宮血流調整実験時間は5:39のところです。

これは、『同じ栄養』であっても、『血流が悪い』と低栄養になり、低体重児になるということを語っているのではないかと思うんですよね。だから血流が大事。その上で栄養豊富な血流が大事という話ではないのかなと思いました。

ちょっと前に戻りますね。

低体重とIQの関係

2枚目、3枚目のスライドでは、

食事や生まれてきたときの体重でIQや行動をお話になっていて、

5枚目のスライドでは、IQの差を述べられています。 

 

IQの差 生まれたときの体重

    2500−3000  3000−3500  3500−4000

19才  少しIQが低い    標準    少しIQが高い

この状態が、19才でも、28才でも、50才でも続くと言うことです。

このデータは2500グラムからだが、YouTubeの講義の中では、2500グラム以下だとIQ6違ってくるとお話しされています。

 

そしてスライドの7では、先進国で低出生体重児が増えてグラフが右肩上がりになっている。特に日本のグラフがすごいですね。ぐぐぐっと右肩あがりになっていて、日本ではでいま10人に一人が2500グラム以下の低出生体重児だということです。

このグラフ先進国とのことですが、スペインとフィンランドだけは読めるのですが、他の文字がいまひとつ文字化けして読めないです。どの国のグラフなんでしょうかねえ。

そして

☆低出生体重児が生まれる理由

→辻先生は出産時の女性の痩せ、痩せ願望をあげています。

極端な栄養障害ではなく、少し栄養がたりないでも出生体重に影響がある。

これは私も臨床で強く感じます。体重が増えることを極端に嫌う方が多いこと。そして産科の検診でも『体重は増えなくたって良い』といわれたり、少しでも体重の増加が急だと『体重気をつけて!』という厳しめの指導が入ります。

この食事指導というのは、食事指導あるあるで、本当に食事制限をして欲しい人には届かず、これ以上食事に拘らなくてもよいという人に響いてしまいます。

たとえば体重がBMIで26をこえかなり肥満である人が膝の痛みを訴える場合はやはり体重を落とすことが大事であり食事制限が求められてますが、こういう方には声が届かず、もともと少し痩せ気味の人の方が、膝の痛みがあれば『体重を減らそう』とするのです。言葉の響き方が違うんですよね。

☆痩せ願望は妊婦さんだけの課題?

以前にNHKのラジオを聞いていて、小児科の先生が低出生体重児の問題点を語り『妊婦の体重増加は適正に増やすように』というお話をしたところ、多くの声が寄せられていました。私はこの問題に興味があったので、車の運転中でしたが道路の端に止め、聞き入ってしまいました。多くの声は『産科で強く体重のセーブを指導された』という声でした。体重が増えすぎると巨大児につながり出産が大変だからという指導が強く行われ、結果的に体重はあまり増えず、赤ちゃんも未熟児だったという声です。巨大児を心配していたのに産まれてみたら未熟児って実は私も患者さんの話を伺っていると時に耳にしていました。

辻先生はこの低体重の結果、生涯にわたってIQ6も低くなってしまうということを指摘なさっています。

小さく産んで大きく育てよの言葉の意味

うーーーーん、日本には『小さく産んで大きく育てよ』という言葉があり、小さく産まれることをあまり問題にはしませんが、『小さく』も未熟児とされる2500グラム未満だとかなり問題はあり、その問題が成人してもながくつづくという事をこのセミナーでは仰っています。

☆妊婦さんにしてほしい子宮血流増加のセルフケア!

婦人科での体重指導がきつく行われる理由は、妊婦さんの体重増加が出産時のトラブルにつながりやすいという事実があるからでしょう。

妊婦さんの体重増加の二つのポイント

→妊婦さんそのものの体重増加
→赤ちゃんの体重増加

この二つのポイントを本来は分けて考えなければいけないと思います。ラットの実験でもわかるように、子宮血流が多くあることが大事です。いくら妊婦さんが体重が増えても子宮血流にまわっていなければ赤ちゃんの体重増加にはつながりません。ここで、子宮血流増加の必要性が強く感じます。これはセルフケアも出来るので是非実践してみてください。