子宮内膜症で苦しんでいる方は多いと思います。
また不妊治療を前に進めるときに、問題となる場合も多いですね。
歌手の宇多田ヒカルさんは19才の時に卵巣嚢腫の手術をなさったと
ご自身のWEBでお話ししているようですね。またTwitter投稿もありました。

子宮内膜症
かなり辛い子宮内膜症でご苦労をされたようです。
そして、無事にお子さんを出産なさっています。
☆女性の人生と子宮や卵巣にまつわる婦人科疾患
少し前に、子宮筋腫の患者友の会でメール相談を担当していました。
そこで子宮内膜症に悩む方からの問い合わせが多く、お返事をしながら色々な
ことを考えました。
婦人科疾患は、女性の人生の問題である妊娠、出産にも絡み
どのように選択していくのかということがとても難しいですね。
その人の挙児に対する希望、状況、そして現在の年齢など
病気の状態の上に、そういった将来の希望も考えながら
選択しなければなりません。
特に妊娠は、パートナーとの関係性がかかわってきます。
まだお相手がいないうちから、一人で将来の妊娠の事を考えて選択するのは
気持ち的にも煮詰まってしまいそうな感じを持つ場合も多いんだなと思います。
☆東洋医学で考える子宮や卵巣にまつわる婦人科疾患
東洋医学では、まるごと一つの身体の中に起きている出来事として捉えます。

イラスト 東洋医学
子宮内膜症は、生命力に棹さす状態としてのオ血(内生の邪)となっている状態もあれば、生命力の中で把えられる範疇の状態もあります。
この兼ね合いが、東洋医学と西洋医学の役割分担にもなってくるのかなと思います。
生命に棹さす状態としてオ血とまでなったものはやはり西洋医学の手を借りながらと言うことになるケースが多いですし、生命力の中で把えられる範疇のものは、生命力を高め気血の流れをよくし、しっかりと生理のリズムに乗っていけるように応援します。
それでは、具体的な症例を通じ、子宮内膜症と付き合いながらもの妊娠を考え、妊活、妊娠、そして無事の出産をなさった症例をご紹介していきましょう。
☆ご相談:子宮内膜症がひどすぎてピル服用のため、妊活が前に進みません。
33歳妊娠を希望しています。
子宮内膜症であまりにも生理痛排卵痛がひどく日常生活もままならない状態で生理を止めるためのピルを飲んでいます。
ピルのためにのぼせ、ほてり、動悸で眠れません。妊娠のためにはピルをやめる必要がありますが、ピルをやめる度に体調が急激に悪くなり妊娠どころではありません。
この状態でどうやったら妊娠できるのかわかりません。どうしたらいいのでしょうか?
☆☆お身体の状態:子宮内膜症が辛くピルがやめられない
現在の状況:
・重度の生理痛のためにピルを服用中。
・妊娠のためにピルをやめると、生理痛がどんどんひどくなり、身体のだるさ、口渇、耳のふさがるようなキーンという感じ、いらいらや頭痛、胸の張り、そして情緒も不安定になってくる。
・20代で腎盂腎炎2回、下痢と血便での入院が2回ありその後に子宮内膜症が判明。
☆ビッグママからのお返事:身体の力をあげ、子宮(女子胞)のリズムを受け止められる身体にし、妊娠に向かいましょう。
子宮内膜症があまりにもひどいので、妊娠を希望するもののピルがやめられないという状態ですね。
確かに、ピルを服用しない周期の状態を伺っていますと、とても妊娠どころの騒ぎではないというのはよくわかります。
しかしながら、ピルで排卵を止めてしまっては妊娠につながらないということも、わかりすぎるぐらいわかります。
ピルをやめると、排卵のころから高温期にかけて出現する、体のだるさ、夢をよく見る、朝起き難い、口渇、耳がふさがるようなキーンとする耳鳴り、腰痛、下腹が渋るような痛み、頭痛、胸の張り、吐
き気、イライラ、情緒不安定などは、すべて排卵による高温期の時期を、ご自身のお身体が支えられていない(土台の力の不足)と、排卵による気の上衝(身体上部への衝き上げ)があまりにもきついためにおこっているのかと思います。
また、元々の素体が、胃腸の力(脾胃の力)や身体を支える底力(腎気)とも弱めであり、この状況のなか、頑張って気を張って生活していたので、気血が滞りやすい状態になり、腰骨盤内臓器などの部位において子宮内膜症がより重くなっていった一因かと思われます。
エストロゲン依存性疾患である子宮内膜症に対して、ピルを使って生理をとめ全身への負担をとったのは正しい判断だと思います。そしていまはピルをやめ、早めに妊娠のチャンスを候うスピードも必要だと思います。体外受精もそのスピードを助ける手段の一つです。積極的に不妊治療を進め、妊娠につなげましょう。
この土台の力不足と、過剰な気の上衝を調和させ、なんとか妊娠にたどりつき、ピルではなく妊娠で生理をとめ、子宮内膜症を持つお身体と上手に付き合い人生を過ごせるようにしていきたいと思います。
一緒に頑張って行きましょう。
☆☆治療方針:子宮を中心とする生命力を高め、子宮内膜症の状況が全身状況に及ばないようにしていく。
1)子宮骨盤内の生命力を高め、なるべく早く妊娠が成立するようにしていく。
2)妊娠の早期成立をはかるため、高度生殖医療の選択も早めに準備していく
3)元々の素体が、胃腸の力、身体を支える底力とも弱め、upしていく。
4)積極的なスピードアップをした不妊治療をすすめ、妊娠に早くたどり着くようにする。
☆治療経過
☆☆初診:
百会7 列缺(LU7) 中注(KI15)お灸+温灸、関元(CV4)温灸
足三里(ST36)灸頭鍼 三陰交(SP6)鍼+ミニ灸 左公孫(SP4)鍼+ミニ灸 左湧泉(KI1)温灸
右心兪(BL15)、右肺兪温灸
左胃兪(BL21)、腎兪(BL23)、中膂兪 鍼+温灸
花粉症がひどい→花粉症のパイオ
週に1,2回の治療頻度で進む。
1ヶ月後→首の調子がよく、身体全体が楽な感じになってきた。
☆7ヶ月 体調up積極的な不妊治療スタート
・初診から7ヶ月でだいぶ体調がよくなってきたので、不妊クリニックに本格的に通院を始め体外受精もスタートする。
1回目、一個空砲、一個移植、妊娠出来ず。
2回目(3ヶ月後)3つ採卵1つ移植、他の培養した卵は凍結出来ず。
妊娠出来ず。
3回目 4個取れたが、一つも凍結出来ず
4回目 4個取れて1つ凍結出来た。
5回目 ドミノ、移植ー妊娠 採卵した卵は凍結出来ず。
妊娠 8週黄体ホルモンが低い、
9週 体温が急に下がった
13週 糖負荷検査でケトン体が出た
15週 咳がでて気持ちが悪い。手首が痛い
30週 糖負荷検査で引っかかった。
40週 無事に元気な赤ちゃんをご出産となりました。

イラスト ツボ セルフケア
☆治療をご一緒させていただいて
妊娠のために、不妊治療をすすめたいけど生理がある状態だと体調がどんどん
悪化してしまうと言う悩ましい状態での不妊治療でしたね。
子宮内膜症だけではなく、もともとの体調不良の問題も大きく、この点をなんとかカバーしながらの不妊治療は大変でしたけど、ある程度の体調がよくなったところで勇気をもって体外受精へと早めに
ステップアップしたことはよかったと思います。
妊娠中も、なにかと体調不良がでて、とても大変でしたが、なんとか無事に乗り越え
出産にこぎつけることができました。私も胸をなでおろしました。
ご本人の真摯な努力のたまものです。よかったですね。

イラスト