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重度の子宮内膜症の癒着、強い痛み、鍼灸治療での付き合い方 0114

女性にとって、月経にまつわるお腹の痛みは辛いですね。

とくに、子宮内膜症などの婦人科疾患があると、痛みも強くなったり、時に手術が必要なこともあります。あまりにもひどい生理痛などの場合は、1度婦人科を受診しておくことも大切かと思います。

今回のケースは、卵巣嚢腫の手術もおこなわれ、子宮筋腫の手術歴がある、

骨盤内臓器の癒着が高度な事例であり、なかなか解決が難しい状況にありましたが、ご本人の努力によって妊娠、出産につながりました。

しかしながら、妊娠中も痛みが強く、出産後も再度痛みの出現があるという状況で、子育てもお辛い様子でした。

生理がある限り憎悪する子宮内膜症ですので、抜本的な解決はなかなか

難しい状況ですが、温補補腎という温めて下焦の力をつけるという鍼灸治療が

ご本人の辛さの軽減に役立ったようで何よりです。

☆ご相談:子宮内膜症の痛みがとても辛いです

子宮内膜症がとても辛いです。切除術やアルコール固定、剥離手術も受けていますがあまりよくなりません。

薬の影響で体重も増えました。身体が痛いです。右の骨盤骨折をしてから、左の太ももが痛くなり右の座骨神経痛も出ます。

第一子の妊娠中に痛みが強く入院しました。

産後1ヶ月たったころから、痛みが再発し、麻酔科などの注射で対応してもラテいますが、痛みは強く辛いです。

だるさや、疲れやすさ、肩こりも辛く子育てが辛いです。

子宮内膜症があるので次子も早めにと思っていますが、どうしたらいいでしょうか?

☆☆お身体を拝見して(東洋医学的な診立て)

重度の子宮内膜症による骨盤内臓器を中心とする気血の循環が悪く痛みの出ている状態(東洋医学的な用語で言うところの瘀血(おけつ))

生命力そのものが低下した状態なので、気血のよどみが大きく、症状が強くなっていると思われる。

弁証論治:腎虚オ血 補腎、活血化瘀
補腎をおこないながら、活血化オ(下焦におけるオケツを生じやすくなっている骨盤内臓器に対して温補、理気していく)

治療方針:腎気をあげ、下焦を中心に生命力の底上げをする
痛みの部位と思われる骨盤内臓器を中心とし、強く温補し気血を
動かしやすくしたうえで理気し活血化オしていく。

☆☆治療と経穴、治療方法

1)下腹に温灸指圧(痛みや塊のところを中心)、左外関、陰陵泉、三陰交、右の臨泣

2)大椎三角温灸、腎兪、次髎、左胃兪。仙骨尾骨の痛みの部位に温灸指圧とパイオネックス。

子宮内膜症のためか、手術のためか下腹部の攣ったような動きの悪い部分にしっかりと温灸指圧を入れることによって、下腹の血流改善を図る。

陰陵泉(足太陰脾経合水穴)この症例の場合は、非常に反応がきつく出ていました。内転筋群の付着部で骨盤内の反応と連動している可能

痛みが全般に軽減。とくにパイオネックスを並用することで持続的に痛みのコントロールがはかれるようです。

お灸 温灸 灸

 

三角温灸です。督脉につかいます。骨盤から頭までの背中の経絡がすうっと陽気が通じ道筋がすっきりすることで、全身の状態がよくなります。

 

 

お灸 温灸 灸

こんな感じの大きな温灸。煙が台座側にまわり、ゆっくりと温養してくれます。

 

 

 

 

 

☆☆経過:

本格的な生理が始まり、痛みが強くなるものの、鍼灸治療を開始し、薬物無しに痛みがコントロール出来るようになる。

痛みの部位と思われる骨盤内臓器を中心に温灸やお灸を深めにおこない、またその痛みをコントロール出来る

可能性がつよい経穴を配置し、下腹の血流をよくしていきました。

頭部、頸部、頸椎、胸椎、腰椎、骨盤、仙骨と一つの流れをしっかりとした温灸を使うことで疏通させ血液の流れを活性化させ、東洋医学でいうところの活血をおこなう。

温灸指圧法、大椎督脉三角温灸法などを積極的に用いました。

とくに、子宮内膜症のためか、手術のためか下腹部の固まったような動きの悪い部位にしっかりと温灸指圧を入れることによって、下腹の血流改善をはかりました。

☆☆結果:

動きの悪い手術痕や、子宮内膜症による血流の滞りを積極的に温灸指圧法で活性化し血流を改善させることにより骨盤部と下肢内転筋群の付着部で骨盤内の反応と連動している部位も用いたことによって全般に症状が軽減することとなりました。

とくに指示した部位に自宅での施灸をし、パイオネックスを並用することで持続的に痛みのコントロールができたのがよかったです。第二子への妊娠、出産にもぶじつなげることができました

 

☆☆まとめ・・妊娠の希望と子宮内膜症

 

生理とともに悪化する子宮内膜症は妊娠を希望する方にとっては手強い疾患です。

痛みの軽減に生理を止めると言うことは排卵を止めてしまうので妊娠が出来ません。

また、子宮内膜症によって卵巣嚢腫などの問題を引き起こせば妊孕力の低下となります。

チョコレート嚢胞などで手術をすればダイレクトに卵巣の問題が大きくなります。

妊娠の希望があれば薬物の投与はあまり進められないようですね。鍼灸や温灸療法での

コントロールで、なんとか妊娠ー出産にこぎつける症例は多いです。

エストレゲンの依存性疾患ですので、抜本的な解決は妊娠希望の方にとってはなかなか

難しいのですが、暖め養い生命の賦活化をおこなうことを取り入れていきましょう。

イラスト お灸

イラスト ツボ セルフケア

子宮内膜症、チョコレート嚢胞、側湾、何度も体外受精しても妊娠できない(42歳出産)0224

子宮内膜症やチョコレート嚢胞、子宮筋腫など、エストロゲン依存性疾患は生理があるたびに悪化してしまいます。

最終的には閉経に逃げ込んでしまえば、閉経逃げ込み療法なんていう言葉があるように、問題がなくなる場合がありますが、症状がひどかったり、妊娠の希望の有無でその対処法はかわってきます。

今回は、32歳から妊娠を希望するも、子宮内膜症やチョコレート嚢胞があり、なかなか不妊治療が前に進まない39歳の方のご相談です。

WEBでの紹介はこちら→なんど体外受精しても妊娠できない

YouTubeでの紹介はこちら→39歳です、不妊治療が前にすすみません。

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☆39歳です、不妊治療が前に進みません、どうしたらいいでしょうか?

39歳です。

早く妊娠したいと思っています。

10代の頃からハウスダストでがあり、現在も継続しています。

高校ぐらいから腰痛がはじまり、側湾もしてきされています。

湿疹は年ぐらい前からで病院では脂漏性皮膚炎といわれています。薬をもらったけど、食生活がかえられないせいか、あまり効果がありません。

初経は16歳、生理周期は28−34日ぐらい、20代は30−40日ぐらいの周期で生理が来ていた。

☆☆婦人科、不妊治療歴

32歳から妊娠希望で、タイミング、人工授精などを受けた。

35才 生理痛 子宮内膜症、チョコレート嚢胞と診断される

38才子宮内膜症のためにリング装着、片側の膿疱処置→生理痛軽減

生理前の2-3日から胸が張り、イライラする、

高温期に出ていた症状は生理がくるとおさまる。

生理初日と二日目に鈍痛、色は濃く、固まり、粘った膜。

(チョコレート嚢胞の処置前は2日ぐらい前からうずくまるほど痛かった

38才 採卵 4つ凍結できた。
3月から7月にかけて 3回の移植 すべて妊娠出来ず。
頭から皮膚炎が始まる、唇の皮がむける、顎関節症になった
          重いものを持ってから腰痛発症→継続(いろいろな治療を受けて現在は少しよい)

38才 リング装着、膿疱処置 →生理痛の軽減
11月 移植ー妊娠出来ず
12月 採卵ー 2段階移植 妊娠出来ず。

  気持ちを切り替えるために、体外受精の治療を休む

イラスト がっかり 辛い

イラスト ツボ セルフケア

 

39才 ビッグママ治療室受診

☆ご相談にお答えして『この状態ならば妊娠出産出来ます、あせらず前にすすみましょう』

32歳からの妊娠希望、38歳から体外受精をし、すでに6回も移植しているのに、妊娠出来ないという結果。子宮内膜症の事も頑張っていらっしゃる中での不妊治療はとても大変だと思います。そしてこれだけ頑張っているのに、とてもお辛いですね。

 

☆☆お身体を拝見して

もともと側湾や腰痛、鼻炎など、生命力の土台の力(腎気)が不足気味である素体の状態がうかがえます。

この土台の力(腎気)が弱いと、なにか身体に負荷がかかったときに、ストレスとして強めになり、気が立

ちやすくなります。これが体外受精という身体の負担のかかる治療を始めてから、頭の皮膚炎や顎関節症などの身体上部の症状がさまざま出現してくる遠因になっていると思います。

皮膚全体が薄く少し荒れており、また背部の胃腸のツボである脾兪、胃兪、土台の力をあらわす腎兪が大きく陥凹しています。また中央にある背骨が側湾(だけではなくねじれているような不安定さがある)している状態ですね。

上背部は少し腠理の疎(皮膚の粗さ)があり肺兪風門などの肺や冷えの入り込みをあらわす経穴は陥凹しています。骨盤部の皮膚は冷え、薄く固い。

手足末端にある経穴反応はあまり明瞭ではなく、脉状も甘くぼんやりとしています。舌は淡白歯痕胖大、脾腎を中心にした弱さのなか、皮膚、末端の養いが不足していると思われます。

素体としての脾腎の器が非常に小さいので、甘いものを少し食べると脾気(胃腸)への負担となり内湿(不要な湿気)を生じ、腎気(生命の土台の力)への負担ともなり肝気が立ちやすくなり上焦(身体の上背部)への熱感となりやすいと思われます。

この状態で他に大きな愁訴がないのは、ご自身ががそれなりに、睡眠、食事、無理のない範囲での生活と心がけているからだと思われます、とてもがんばっていますね。

☆不妊治療について

今のお身体の現状は、元々の素体の弱さがあるなか、ムリをして妊娠をしようという治療を行っている状態です。

しかしながら、ちゃんと採卵ができ、複数胚の凍結ができ、移植も出来、多少なりとも着床の反応がでています。これはあと一息、妊娠の初期の状態を乗り切りながら、全身状態を好転させ、出産にもっていくこと。

そして妊娠中の期間を利用して、しっかりと身体の土台作りをして、その後の出産、産後、子育ての生活にそなえていくようにと思っています。

この状態ならば、妊娠出来ます。あせらず、気負わず、するべき事をして、一点突破でがんばっていきましょう。

☆東洋医学的な診方

弁証論治
脾腎を中心とした気虚
益気補脾 補腎温養 温養子宮

治療方針
器が小さく色々な愁訴をもちやすいが、脾気を養い気虚をすくうこと、
腎気を温養し下焦を養い妊娠出産出来る身体作りをしていく。

妊娠に関しては、採卵して受精卵そのものは良好の状態で出来ているが、移植しても妊娠しないということである。現時点の体表観察からは背部腧穴にうかがわれる弱りが非常にきつい。脾腎を中心に子宮への生命力をあつめていき、妊娠、妊娠の継続をはかりたい。

☆治療経過

治療経過

39才 初診 ビッグママ治療室初診 週に一度の鍼灸治療、自宅施灸

1)左外関、足三里、左公孫(鍼してミニ灸)、左三陰交灸頭鍼
ミニ灸左復溜、左湧泉 温灸気海、関元
2)左肺兪 右心兪 温灸
3)脾兪、胃兪、右腎兪 鍼して温灸

ご自宅でセルフケア指導

 

 

 

イラスト ツボ セルフケア

右の腎兪はこそげて筋腹が極端にない感じ。10番で鍼して温灸を充分にいれる。

☆側湾部の背部腧穴に対しては、ゆるみの大きい方を取ることが多い。
3ヶ月後 少しづつタンパク質を増やすように、ウオーキングをするように指導
4ヶ月後 朝食を食べるように指導
5ヶ月後 皮膚の弾力がアップしてきている、白膩苔が薄くなる
8ヶ月後 採卵→2つ胚盤胞へ凍結できず
9ヶ月後 イボが出来てウオーキングが出来ないと白膩苔が出てくる
10ヶ月後 採卵→ひとつ胚盤胞に凍結出来た、背中辛い
11ヶ月後 移植 着床、妊娠出来ず。ただ、いままでで一番妊娠判定時のホルモン数値はよかった。

13ヶ月後 採卵→空砲
14ヶ月後 採卵 成熟卵が3つ 未熟が1つ 胚盤胞2つ凍結
15ヶ月後 移植→妊娠→継続

☆☆妊娠後の鍼灸治療

 9w つわりがひどい
11w 耳がぼーっとする
13w はきすぎてけいれんするほどだ
背骨の側湾がきつくなっていっている。皮膚の薄さもます

 15w 妊娠糖尿病と診断され食事指導を受ける
21w おっぱいマッサージをしたら、お腹が痛くなってしまい動けなくなった。
背骨の不安定さ↑

 29w 右足のふくらはぎがつる、息があがっている
治療院への通院は遠方(2時間ほどかかる)ので終了とする。
なるべく安静をこころがけるように指示

 35w 血圧が高くなり入院→退院後自宅安静指示が出る
38w 出産直前まで自宅施灸を継続し、順調な経過で自然分娩にて2800㌘オーバーの

 赤ちゃんを出産。おめでとうございます。

☆あとがき

32歳という比較的若い年齢から妊娠希望をなさっていましたが、子宮内膜症やチョコレート嚢胞、そしてもともとの素体の弱さなどがあり、少し長い不妊治療となっていました。ビッグママ治療室受信後は、一点突破をするため、しっかりと身体の土台の力をつけ、体外受精をみすえ応援していきました。無事に妊娠でき、本当によかったなと思います。妊娠中も土台の力が弱いためにかなり負担がかかったような状況でしたが、なんとか乗り切り、元気な赤ちゃんの出産となり、本当によかったなと思います。

出産直前までご自宅でのセルフケアをしていただき、自然分娩での出産となったとのこと。嬉しい限りです。

 

 

子宮内膜症が辛すぎて不妊治療どころではありません。どうしたら良いでしょうか?0120

子宮内膜症で苦しんでいる方は多いと思います。

また不妊治療を前に進めるときに、問題となる場合も多いですね。

歌手の宇多田ヒカルさんは19才の時に卵巣嚢腫の手術をなさったと
ご自身のWEBでお話ししているようですね。またTwitter投稿もありました。

子宮内膜症

かなり辛い子宮内膜症でご苦労をされたようです。

そして、無事にお子さんを出産なさっています。

 

☆女性の人生と子宮や卵巣にまつわる婦人科疾患

少し前に、子宮筋腫の患者友の会でメール相談を担当していました。
そこで子宮内膜症に悩む方からの問い合わせが多く、お返事をしながら色々な
ことを考えました。

婦人科疾患は、女性の人生の問題である妊娠、出産にも絡み
どのように選択していくのかということがとても難しいですね。

その人の挙児に対する希望、状況、そして現在の年齢など
病気の状態の上に、そういった将来の希望も考えながら
選択しなければなりません。

特に妊娠は、パートナーとの関係性がかかわってきます。

まだお相手がいないうちから、一人で将来の妊娠の事を考えて選択するのは

気持ち的にも煮詰まってしまいそうな感じを持つ場合も多いんだなと思います。

☆東洋医学で考える子宮や卵巣にまつわる婦人科疾患

東洋医学では、まるごと一つの身体の中に起きている出来事として捉えます。

イラスト 東洋医学

子宮内膜症は、生命力に棹さす状態としてのオ血(内生の邪)となっている状態もあれば、生命力の中で把えられる範疇の状態もあります。

この兼ね合いが、東洋医学と西洋医学の役割分担にもなってくるのかなと思います。

生命に棹さす状態としてオ血とまでなったものはやはり西洋医学の手を借りながらと言うことになるケースが多いですし、生命力の中で把えられる範疇のものは、生命力を高め気血の流れをよくし、しっかりと生理のリズムに乗っていけるように応援します。

 

それでは、具体的な症例を通じ、子宮内膜症と付き合いながらもの妊娠を考え、妊活、妊娠、そして無事の出産をなさった症例をご紹介していきましょう。

きつい子宮内膜症からの不妊治療(35歳出産)

☆ご相談:子宮内膜症がひどすぎてピル服用のため、妊活が前に進みません。

33歳妊娠を希望しています。

子宮内膜症であまりにも生理痛排卵痛がひどく日常生活もままならない状態で生理を止めるためのピルを飲んでいます。

ピルのためにのぼせ、ほてり、動悸で眠れません。妊娠のためにはピルをやめる必要がありますが、ピルをやめる度に体調が急激に悪くなり妊娠どころではありません。

この状態でどうやったら妊娠できるのかわかりません。どうしたらいいのでしょうか?

☆☆お身体の状態:子宮内膜症が辛くピルがやめられない

現在の状況:

・重度の生理痛のためにピルを服用中。

・妊娠のためにピルをやめると、生理痛がどんどんひどくなり、身体のだるさ、口渇、耳のふさがるようなキーンという感じ、いらいらや頭痛、胸の張り、そして情緒も不安定になってくる。

・20代で腎盂腎炎2回、下痢と血便での入院が2回ありその後に子宮内膜症が判明。

 

☆ビッグママからのお返事:身体の力をあげ、子宮(女子胞)のリズムを受け止められる身体にし、妊娠に向かいましょう。

子宮内膜症があまりにもひどいので、妊娠を希望するもののピルがやめられないという状態ですね。

確かに、ピルを服用しない周期の状態を伺っていますと、とても妊娠どころの騒ぎではないというのはよくわかります。

しかしながら、ピルで排卵を止めてしまっては妊娠につながらないということも、わかりすぎるぐらいわかります。

ピルをやめると、排卵のころから高温期にかけて出現する、体のだるさ、夢をよく見る、朝起き難い、口渇、耳がふさがるようなキーンとする耳鳴り、腰痛、下腹が渋るような痛み、頭痛、胸の張り、吐

き気、イライラ、情緒不安定などは、すべて排卵による高温期の時期を、ご自身のお身体が支えられていない(土台の力の不足)と、排卵による気の上衝(身体上部への衝き上げ)があまりにもきついためにおこっているのかと思います。

また、元々の素体が、胃腸の力(脾胃の力)や身体を支える底力(腎気)とも弱めであり、この状況のなか、頑張って気を張って生活していたので、気血が滞りやすい状態になり、腰骨盤内臓器などの部位において子宮内膜症がより重くなっていった一因かと思われます。

エストロゲン依存性疾患である子宮内膜症に対して、ピルを使って生理をとめ全身への負担をとったのは正しい判断だと思います。そしていまはピルをやめ、早めに妊娠のチャンスを候うスピードも必要だと思います。体外受精もそのスピードを助ける手段の一つです。積極的に不妊治療を進め、妊娠につなげましょう。

この土台の力不足と、過剰な気の上衝を調和させ、なんとか妊娠にたどりつき、ピルではなく妊娠で生理をとめ、子宮内膜症を持つお身体と上手に付き合い人生を過ごせるようにしていきたいと思います。

一緒に頑張って行きましょう。

☆☆治療方針:子宮を中心とする生命力を高め、子宮内膜症の状況が全身状況に及ばないようにしていく。

1)子宮骨盤内の生命力を高め、なるべく早く妊娠が成立するようにしていく。

2)妊娠の早期成立をはかるため、高度生殖医療の選択も早めに準備していく

3)元々の素体が、胃腸の力、身体を支える底力とも弱め、upしていく。

4)積極的なスピードアップをした不妊治療をすすめ、妊娠に早くたどり着くようにする。

 

☆治療経過

☆☆初診:

百会7 列缺(LU7) 中注(KI15)お灸+温灸、関元(CV4)温灸
足三里(ST36)灸頭鍼 三陰交(SP6)鍼+ミニ灸 左公孫(SP4)鍼+ミニ灸 左湧泉(KI1)温灸
右心兪(BL15)、右肺兪温灸
左胃兪(BL21)、腎兪(BL23)、中膂兪 鍼+温灸

花粉症がひどい→花粉症のパイオ
週に1,2回の治療頻度で進む。

1ヶ月後→首の調子がよく、身体全体が楽な感じになってきた。

☆7ヶ月 体調up積極的な不妊治療スタート

・初診から7ヶ月でだいぶ体調がよくなってきたので、不妊クリニックに本格的に通院を始め体外受精もスタートする。

1回目、一個空砲、一個移植、妊娠出来ず。

2回目(3ヶ月後)3つ採卵1つ移植、他の培養した卵は凍結出来ず。

    妊娠出来ず。

3回目 4個取れたが、一つも凍結出来ず

4回目 4個取れて1つ凍結出来た。

5回目 ドミノ、移植ー妊娠 採卵した卵は凍結出来ず。

妊娠 8週黄体ホルモンが低い、

   9週 体温が急に下がった

   13週 糖負荷検査でケトン体が出た

   15週 咳がでて気持ちが悪い。手首が痛い

   30週 糖負荷検査で引っかかった。

 40週 無事に元気な赤ちゃんをご出産となりました。

イラスト ツボ セルフケア

☆治療をご一緒させていただいて

妊娠のために、不妊治療をすすめたいけど生理がある状態だと体調がどんどん

悪化してしまうと言う悩ましい状態での不妊治療でしたね。

子宮内膜症だけではなく、もともとの体調不良の問題も大きく、この点をなんとかカバーしながらの不妊治療は大変でしたけど、ある程度の体調がよくなったところで勇気をもって体外受精へと早めに

ステップアップしたことはよかったと思います。

妊娠中も、なにかと体調不良がでて、とても大変でしたが、なんとか無事に乗り越え

出産にこぎつけることができました。私も胸をなでおろしました。

ご本人の真摯な努力のたまものです。よかったですね。

イラスト

不妊鍼灸セミナー:体表観察のポイントは? 鍼灸治療頻度は?その①

不妊鍼灸セミナー:体表観察のポイントは? 鍼灸治療頻度は?

私は鍼灸師さん向けに講義などをおこなっています。

皆さんからいただいた質問にお答えするコーナーです(^^)

動画はこちら→

ご質問:米山先生はどのように体表観察をおこなっていらっしゃるのでしょうか?

東洋医学の世界では、患者さんを見立てるときに、基本を四診においています。

四診について

東洋医学では患者情報を知る方法として四診が提示されています。と望聞問切という4つの方向性からの情報収集であり、今回とくに重要視するのは、切診という体表観察のアプローチです。

切診は人の身体を直接触れて行う観察方法です。
私は皮膚を直接触れることで知り得る質感の状態が不妊治療において非常に重要となることを多く経験しています。すなわち、皮膚の質感の好転が妊娠へと繋がることや、体外受精などの治療においての採卵された卵の質の向上に貢献しているからです。

体表観察とは??

体表観察というのは、「お身体を拝見して、情報を取る」ということです。

 

病院でしたら、血液検査やその他のいろいろな検査があり、数字で表示されますが、東洋医学の場合は「観察者の視点」からの情報取得になります。それだけに経験値がものをいってしまう(^_^;)世界ではあるのですが、しっかりと見るという気持ちをいつももっていたいと米山は思っています。

体表観察のポイントです。
1)・舌、脈、腹、経穴(体幹、手足、背部、骨盤)をしっかりと見る
2)分からないものはそのままおいて、無理に評価しない
3)使う使わないはこの時点では問題にしない

→治療点を見つけ出すという視点から一歩引いて四診から全体を眺める気持ちで

見る、観察するときに一番大切なのは、思い込みや邪念(^_^;)を捨てるということです。
ただ、無心にありのままをみる。
鍼灸師さんが時にやってしまいがちなのが、「鍼灸する場処探しの体表観察」
これは本末転倒です。こういった思い込みをもって「診る」と見誤ります。

体表観察していると、沢山の矛盾につきあたります。
あれ?このツボは風邪の反応があるように出ているけれど、脈はそんな感じじゃないな?どうしてと考えながら、背中のツボをみると、肺兪が発汗していない。ということは・・・と考えていくわけです。

私は実は、この「観察」が大好きなのです(^_^;)。人をしっかり診るというのは私のテーマでもあります。

再診のとき、いつも観察させていただいている患者さんだと、弁証論治をベースにし、今日の状態を拝見していきます。そして「現時点での課題」「その方の人生での課題」を距離感をもって観察しながら施術していきます。

結構長くなってしまいました(^_^;)、質問2の鍼灸治療頻度については、別立てにしまする〜。

不妊鍼灸セミナー:体表観察のポイントは? 鍼灸治療頻度は?その②

不妊鍼灸セミナー:体表観察のポイントは? 鍼灸治療頻度は?

その①を書いていたら長文になってしまいました。いつものことですが(^_^;)。
ということで。続きをその2にします。

私は鍼灸師さん向けに講義などをおこなっています。

皆さんからいただいた質問にお答えするコーナーです(^^)

動画はこちら→https://youtu.be/m0P7iwH3s0A

ご質問:鍼灸治療の頻度は?

週に1度以上をお勧めしています。治療頻度をあげることは、不妊治療の効果をぐっとあげることを実感しています。患者さんと話し合ってきめていきます。とくに、妊娠反応は出るが妊娠が継続しないというケースには治療頻度をあげ、初期を切り抜けることをお勧めしています。

症例0179のケースが非常にわかりやすいかなと思います。
4回の胚移植、着床はするけど、胎嚢まではみえません

この方の妊娠時の治療頻度です。妊娠判定の陽性をもらってから胎嚢確認までは毎日!

そして12週までは週に3回おこなっていきました。

その結果、何度も移植しても抜けられなかった妊娠初期の壁をこえ、無事にご出産へと。

このときの基礎体温表

不妊治療、いろいろなケースがあります。

いろいろな壁があります。
ときに、どのように壁を突破するかが一番のカナメとなるわけです。

患者さんと長い日々一緒に考えた経験から、こんな風にしたら・・・という提案ができることが喜びであり、少しでもお役に立てればという願いで日々をすごしております。