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妊活禁忌のツボが、妊活に効くとき 合谷、三陰交

鍼灸ではツボ(経穴)を使ってアプローチします。

ツボには色々な作用があります。

たとえば合谷 昇清降濁、理気、疏風、解表・・・・・などなど。

結局、そのツボの特性は、

1) 使おうとしている身体の状態
2) 使おうとしている道具
3) 使おうとしている経穴の組み合わせ

などなどによって、大きく変わってくるのです。

☆安産で使っているツボで早産になってしまうこともある

妊活で、早く妊娠したいと思っている人が、
一つの特性を 信じて使うと、他の特性がでてしまい、
効き方が真逆となってしまうことも あります。

実は第二子妊娠中に逆子で来院されたとある患者さん。
経過を伺うと、第一子は少し早産をされていました。

その方は、第一子の時に安産のためにと鍼灸を受け、治療後に
陣痛がきてしまい、出産になってしまったとのことでした。

私はその患者さんがどのような治療を受けたのかを伺いました。
この方のお腹をぱっとみると、明らかに重心が下。
そして、ご自身を引き上げる力、子宮を持ち上げる力が弱いタイプの方でした。
(中気下陥、全体も下陥タイプ)

あれこれ伺っていると、安産と信じて使った経穴がどうも真逆の作用を
だしてしまったので、安産という上向きベクトルを出したいところが、
逆の下向きベクトルになってしまい(ご本人が下陥タイプだから)早産に
つながったのかなと思われました。

まあ、真実は、他の要因もたくさん入っているので、それだけがとはいえませんし
なんら関係無いことかも知れません。

 

☆効きが良い経穴は、よくも、わるくも、効いてしまう。

ただ、やはり、効き方が問題だったのではないかと思いました。

包丁だって、上手に使えば美味しい料理を作ることが出来ます。
でも、ミスをして指を切ってしまうこともあります。

その人の身体をしっかり診て使う。 本当に大事です。

ふたりめ不妊:産後からの不調、体外受精が上手く行かない。43歳妊娠、出産。

ふたりめ不妊は、悩ましい不妊です。

ひとり、無事に出産になっているから、妊娠出来るんじゃないかというあせり。
そして、ステップアップした高度生殖医療ならばということでやってみても、
なかなか前に進まない。

年齢要因があがる、あせり。
そんなとき、もう少し立ち止まって、あなたに何が必要なのか、かんがえてみてはいかがでしょうか?

☆ご相談:40歳です、不妊治療が前にすすまず、悩んでいます。

40歳です、不妊治療がなかなか前に進まず悩んでいます。

第一子もとても苦労しました。
28歳の時に卵巣嚢腫が茎捻転をおこし、右の卵巣を摘出手術しています。
30歳から妊活を始めましたが、なかなか前に進まず、体外受精、胚移植を5回行い、やっと36歳にて第一子を出産することができました。
妊娠中からからむくみや便秘がひどくなりました。
産後も体調がとても悪化してしまいました。

39歳から第二子の妊活をしていますが、不妊治療をはじめると便秘が悪化しより体調不良となってしまっています。

不妊治療を再開した当初は体重が60㌔でしたが、現在は67㌔。不妊治療をすると体調が悪くなり、便秘が始まり、食欲不振、体重増加となってしまいます。
身体全体が重く、冷たい感じがします。
すでに体外受精を2回行いましたが、妊娠出来ませんでした。

もう一人、子供を産み、育てたいと思っています。
またアレルギー鼻炎がひどくつらいです、また便秘もつらいです。
どうしたらいいでしょうか?

☆ご相談にお答えして〜あせらず身体の力をあげて、前にすすみましょう。

第二子の妊活を前に進めたいというご相談ですね。
第一子の妊娠を30歳からご希望なさって、数々の努力を重ね36歳にてご出産。本当に頭が下がるような努力を続けていらっしゃったのですね。

現在、第二子への妊活、少しでもお力になれればと思います。

☆お身体の状態について

もともと身体がむくみがちで、便秘などもあり、いらないものをすっきりと排泄する力が不足気味の素体であったと思います。

妊娠出産は、身体に大きな負担となります。
健康状態がよければ、妊娠、出産の大きな気血の虚損をともなう波にも、生理的な範囲として乗り切り、生命力が充実する方向ですすみます。

しかしながら、元々の素体が虚損気味であれば、より力を失う方向になり、悪循環となります。

とくに、身体の底力である腎の力に負担となることによって、

上焦:百会熱感、心下つまり
中焦:中脘(CV12)の固さ、臍周の冷え盛り上がり、脾兪(BL20)のゆるみ
下焦:板のような下腹、少腹急結、細絡、骨盤の硬さ、次髎(BL32)の冷え

上焦から、強い気逆
中焦から脾胃の動きの悪さ
下焦から進むオ血、腎虚の状態

という状態になっています。
つまり、産後に補われずにいた 脾腎の弱さに乗じて全身に、強い気の鬱滞が生じ、身体の上部には熱感を伴う気の滞りが生じているという状態です。

身体の底力である、脾腎の力をつけ、全身の気の巡りの状態をよくしていくことが、不妊治療を一歩前に進めることになると思います。

☆不妊治療について、4つのアドバイス

1:第一子が妊娠、出産出来ているのだから、基本的な妊娠する力はある。
2:体外受精の卵のグレードの悪さは、体調を整えることを優先し、採卵を急がない。
3:病院について、あわないようならば転院も考える。
4:採卵は年齢要因もあるので、ある程度いそぐ。ただ移植は全体の体調をあげることを優先する。

第一子が妊娠出来ているのですから、妊娠する力は十分にあるカップルだと思います。40歳の現在でも、採卵ができているのですから、焦らず前にすすみましょう。

年齢要因がありますので、治療を急ぐのは大切です。ただ、現状の子宮(女子胞)の力が落ち、子宮(女子胞)卵巣に生命力(気血の流れ、血流)が届いていない状況では採卵を繰り返しても仕方がありません。

凍結胚ができるまでは、身体作りと採卵を並行し、凍結胚が出来たら、身体作りに集中し、全身の生命力をあげることが、結果的に妊娠、出産につながる近道だと思います。

病院については、現在のところ変更するお気持ちがないということですので、採卵ができているのでこのままでいいと思います。しかしながら、ある程度で転院も視野に入れる柔軟性をもっておくほうが、時間を上手に使うことにつながる可能性は高いと思います。

☆東洋医学的な診立て

・弁証
脾腎両虚 肝鬱瘀血
・論治
益気補腎 益気補脾 疏肝理気
・治療方針
まず第一に、産後から落ちたままになっている脾腎の力をあげ、悪循環で生じている肝鬱を納める。また上焦の熱感がつよければ必要に応じて疏肝理気する。

瘀血については、下焦を中心に温養することで動く範囲で対処する。
督脉上に瘀血所見が多いので、下焦を温養し督脉に陽気を導き通していく。

 

☆治療経過〜出産まで

40歳 鍼灸治療後2ヶ月
1)背中のイヤな感じが取れている
2)冷えが少し楽
3)いつもある秋からの肌荒れがなく、高い美容液を買わずにすんでいる。
治療後半年 採卵周期ー今回は卵の状態がとても良く数も多く見えていたが
排卵済み、人工授精をした。
採卵周期にはいるものの、日程があわず出来ず。
治療後1年 病院をかえる。
採卵周期 3つのうち2つがグレード1で凍結
10ヶ月後 移植 妊娠できず
18ヶ月後 HR周期ー排卵がおこって移植できず。
20ヶ月後  HR周期にて 移植ー妊娠
無事に女児を出産 おめでとうございます。

 

途中に上のお子さんの行事やイベントなどもあり、少し間があいていますが、凍結胚は待ってくれるということを信じて、あせらず前に進めることができたと思います。

しっかりとお迎えの準備をし、無事に二人目の出産となったこと、よかったなあと思います。
子育て、楽しんで頑張ってくださいね!

 

2)妊娠初期を乗り切り、繰り返す流産から出産を。30代後半での繰り返す流産  0127

流産についての概要をおはなしさせていただきました。

概要の1)はこちら→1)『普通』にすごす『Stay home』が教えてくれた繰り返す流産を切り抜ける方法

ポイントは2つ血流と、子宮(女子胞)の不安定さです。

さて、具体的な症例からお話ししていきましょう

☆☆ご相談:心拍確認が出来ない流産を2回もしています。

 

 

最初の妊娠は、妊娠希望をしてから1年後やっと授かったと思い、病院へ行き胎嚢がみえました。

しかしながら8週になっても心拍が見えずそのまま出血がはじまってしまいました。

二回目は半年後の37歳の時、このときも同じように心拍が見えないまま出血ー流産となってしまいました。

流産後1ヶ月たつのに、出血がすっきり止まりません。

妊娠もなかなかしにくく、はじめの妊娠は1年ほどたってやっとできた妊娠。そして今回も半年たってやっと妊娠したのに、どちらも心拍確認ができず流産と言うことで本当にがっかりしています。

もしかしたら不育症なのかと悩みますが、病院の先生は問題ないとおっしゃります。

どうしたらいいのでしょうか?

また、小学校のときから、手足にしもやけができ、昔から足先がとても冷えます。頭痛も結構ひどく、肩こりになりやすいです。いつもなんとなく残尿感があります。

疲労感が強く辛いことが多いです。月経周期が長めで生理が遅れることはよくあります。

☆いままでの経過、時系列

・高校時代から左側頭部頭痛
・36歳妊娠希望ー1年後妊娠−8wで流産
・37歳 流産から半年後妊娠ー心拍見えず流産
・流産後1ヶ月たってもなかなか出血が止まらない

 

☆私からのお返事
:身体の余力がをつけることで妊娠を継続させていきましょう

なかなか妊娠しにくいなか、せっかく妊娠できたのに、2回も連続して8wでの流産、本当に辛かったでしょう、残念でしたね。

また流産後の出血も止まらないというのは身体がだいぶ弱ってしまっているのかとも思います。

残念でしたね。

次の妊娠では一緒に頑張って是非出産まで到達できるようにしていきたいですね。

☆お身体を拝見して

お身体を拝見すると、もともとのベースとなる生命力(腎気)が弱めであると思います。

そのために冷えがきつかったり、残尿感があったり、月経周期が長めでつかれやすかったりしていると思います。

腎気は全身の生命を下支えする縁の下の底力を発揮してくれる存在です。そしてこの腎気が、子宮(女子胞)を養い、赤ちゃんをしっかりと受け止め受容できる身体となるのです。

 

☆子宮(女子胞)だけではなく、全身状態の体力不足、余力不足が子宮への養い不足となっている

イラスト

子宮(女子胞)というのは、赤ちゃんの孵卵器です。その孵卵器の性能がちょっとだけ不安定ならば、孵卵器そのものをしっかりと養い守る必要があります。Uさんのお身体は、孵卵器そのものを守る全身状態が、気虚気味(パワー不足)であることが問題です。全身が気虚気味パワー不足であるので、孵卵器も不安定になり流産となってしまうわけです。妊娠は、女性にとって身体の余力でおこなわれます。余力がないと、どうしても不安定な子宮(女子胞)となるわけです。身体全体に余裕をもち、子宮(女子胞)の生命力が安定するようにしっかりとがんばっていきましょう。また強いストレスも子宮(女子胞)に負担となります。ストレスも鍼灸で調整していきましょうね。

・弁証 腎虚を中心とした気陰肝鬱 風邪の内陥 女子胞の力不足
・論治 益気補腎 疎風散寒 温養女子胞
・治療方針 腎気を中心に気虚気味の素体をたてなおし、パワー不足となっている女子胞を暖め養う。また素体に負担となっている風邪の内陥を払うことを急務とする。

 

☆治療経過、妊娠、出産まで。

治療経過

週に1度の通院、毎日の指導に基づいた自宅施灸

初診
左外関(TE5)左陽池(TE4)、左公孫(SP4)、足三里(ST36)、三陰交、下脘(CV10)、関元(CV4)、
胃兪(BL21)、左腎兪(BL23) 中膂兪(BL29)
セルフケア:下脘(CV10)、関元(CV4)、左外関(TE5)、足三里(ST36)、三陰交。腎兪(BL23)、胃兪(BL21)、中膂兪(BL29)

 

1ヶ月後、今回の生理もだらだらはつづいている
3ヶ月後、生理のだらだらが減ってきた
4ヶ月後、妊娠成立

妊娠 手入れ 棒灸

 

4ヶ月後に妊娠。

妊娠中も週に1,2度のペースで鍼灸治療を継続

8w つわりがきつい→つわり治療

19w 喉に違和感があり、空気が上がる感じで食事が通りづらい

23wから逆子ー27wまで。28wで治る

30w やっと妊娠前から体重が4キロ増えることが出来た

 →間食も小さな食事として、食事回数を増やすように指導

30w 再び逆子に

31w 治ってきた感じ、お腹が突き上げて苦しい。

33w 赤ちゃんが小さめと言われた

34w 頚管長短め、ウテメリン処方された

35w 頚管長大丈夫と言われた

37w 2600㌘はあると言われて安心

38w 1㎝頚管が開いた

39w 無事に3000㌘弱の赤ちゃんを出産

おめでとうございます。

☆あとがき、無事の出産よかったですねえ。

流産というのは、辛い出来事ですね。しかも、やっとの思いで妊娠して2回も連続と言うこと。本当に辛かったと思います。

お話しを聞いていて、ご本人の辛さが痛いほど伝わってきました。

妊娠や妊娠継続について、色々な情報をお探しになっていらっしゃるようでしたが、なかなかご本人にぴたっとくる情報がないようでした。そのこともご本人の迷いや悩みを大きくされていました。

インターネットでの検索は一般論や、様々な情報は提供されますが、実際のご本人にとって

必要な情報であるのかは判断が難しいところですね。

今回のケースは、不安定な子宮(女子胞)の状態と全身のパワー不足がリンクしていました。つまり、子宮や流産のことだけを考えるのではなく全身の生命力から考えることが大事なケースであったわけです。

妊娠中も一筋縄ではいかず、いろいろなことがおこりました。もともとストレス状態になりやすいという状況があり、気が登りやすい方の妊娠でしたのでつわりもきつかったです。妊娠中は赤ちゃんを守るために、普通の状態でも気が上向きに傾きます。その上向きのベクトルに加え、ご自身の性質もくわわるとなかなか大変になります。この上向きの気を引き下ろすことは流産につながってしまいますので妊娠中の身体の手入れとしては禁じ手です。つわりは辛くとも、つわりを中心に考えずに、やはりご自身の生命力をつけることをしていくことが体調管理のコツなのです。

妊娠中も色々な事がありましたが、無事に充分な大きさの赤ちゃんにめぐりあえたこと、ご本人のコツコツと重ねられた努力とご家族の協力のたまものだと思います。おめでとうございます。

イラスト ビッグママ

妊娠中の体調ケア:免疫力がアップしますように! 0308

妊娠中のトラブル、いろいろありますね。

妊娠中は服薬は出来れば避けたいと思う方も多いと思います。
しっかりと飲まなければいけない薬は飲んでいただき、
それ以外は出来れば体力をアップさせることで解決して行ければいいですねえ。

このアンケートの方(8−2)は、妊娠21週目からのケアです。
ご本人の感想として
『風邪などに対する免疫力が上がったように感じます』とのコメントをいただきました。

また、鍼灸治療については、
『最初はとても不安に感じていた張りですが、回数通ううちに身体も楽になり、精神的な安定も得られるようになり、とても感謝しています』とのコメント。

うれしいですねえ。
妊婦さんの施術は、基本的に無理せず、出来る範囲でというのがビッグママ治療室の考え方です。
しかしながら、『妊娠は老化のシュミレーション』といわれるぐらい、妊娠は身体に負担となります。

まあ、確かに歯が悪くなったり、髪が抜けたりと老化そのものですね。

今日は少し妊婦さんの鍼灸治療に関して紹介させて頂きます。

☆妊娠20週からのケア

・風邪を引きやすい
・吐き気、頭痛が辛い
・花粉症などの症状がつらい

☆☆妊婦さんへの治療方針

 

赤ちゃんはお腹のなかでよく動いて成長します。
そして出産のその日までお母さんのお腹の中にしっかりと留まり日々をすごしていくわけです。
つまり、子宮(女子胞)が赤ちゃんを支え、上向きのベクトルを保ちながら日々をすごすのです。

お母さんがちょっと疲れていたり、下向きのベクトルがでがちな状況の時に、子宮(女子胞)は赤ちゃんを守り、赤ちゃんが安定を保つために強い上向きのベクトルを出します。これがつわりや逆子の状態です。

また赤ちゃんを守ることが最優先となりますから、お母さん自身をまもる表面の気(肺気、衛気)が不足したり、上向きベクトルが強いことによって、吐き気や頭痛などになったり、花粉症もきついですね。

また、血流が足りなかったりするとお腹が硬くなります。ゆとりがなくなっちゃいますね。

妊婦さんへの治療では、症状にかかわらず、血流をあげお腹を柔らかくゆったりさせること。そして適度な上向きのベクトルをもつようにと調整します。適度というのは、「上向きベクトル」は赤ちゃんが保つために必要なことですからね。

 

☆鍼灸治療の目的について:

1)身体の疲労をとる。全身の血流を改善し、健康度をupさせる
2)子宮(女子胞)の血流を改善し、柔らかいお腹を作る
3)強い上向きのベクトルがあれば調整する。

 

☆妊婦さんの鍼灸治療の実際:

20週ごろ:
1)大巨(ST27)、臍 棒灸
左外関(TE5)、足三里(ST36)、陰陵泉(SP9) お灸
2)胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)などはりしてお灸

25週ごろ:静脈瘤のお灸を加える。
臍、大巨(ST27)、関元(CV4)
胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)

30週ごろ:
耳の辛さがある:聴宮、首のスジバリにパイオネックス
臍、大巨(ST27) 関元(CV4)
脾兪(BL20)、三焦兪(BL22) 次髎(BL32)

 

☆☆鍼灸治療解説

基本的に上向きベクトルを出すようにしていきます。
そしてその方の弱りに対して、補うようなアプローチを主にとっていきます。

妊娠初期であれば、お臍は鉄板。後期になってくると、背中を中心にしていきます。
静脈瘤は、その部位を軽ーく触れて一番弱りを感じるところに隔物灸をしています。

コメント イラスト

あとがき:

妊婦さんの治療は無理せず、結果をあまり意識せず。
それでも十分効いてくれるのが妊婦さんの治療であり、効き過ぎ注意が一番大事です。

生理不順、体外受精しかないと思ったところの自然妊娠ー出産34歳 0040

不妊治療に長らくお供をさせていただいていますが、妊娠って不思議だなと思うことがよくあります。

子宮卵巣の力を、東洋医学では女子胞(子宮)の力と考えます。

この女子胞(子宮)の力は、基本的には全身の生命力と連動し、健やかな身体であることが妊娠、出産に求められます。

しかしながら、妊娠はちょっとした歯車の掛け違いや、少しのつまずきでおこっていることもあります。ある程度の体調アップをしたところで、妊活への病院でのチェックはしておくべきだと思います。

☆子宮卵巣の力と、全身の体力 女子胞(子宮)の力の不思議さ

排卵や子宮の生命力は基本的に全身の生命力と連動します。

つまり、全身の状態がよければ、排卵も順調におこり、子宮内膜もあつくなり、妊娠しなければ生理がくるといった一連の流れです。

体調をよくすることが妊活を前にすすめる基本であり、王道です。

そしてその上で妊娠には、なんらかの要因で躓いてしまうこともあります。

食事と排卵が連動することもありますし、

ストレス状態が排卵や、キャッチup障害につながることもあります。

まず体調をあげ、それでもなかなか前に進まないときには畏れずに病院での力もかりましょう。

妊娠は年齢要因も大きいポイントです。

☆☆生理排卵と女性の二つのタイプ

女性には二つのタイプがあります。

1)全身の体調と、生理の状況がリンクするタイプ
2)全身の体調と、生理の状況はリンクしないタイプ

つまり、生理や排卵の状態と全身の状態がリンクするのか、独立しているのかということです。まあ完全に同一にはなりませんが、お身体を拝見していると、同じ疲労やストレスなどの負荷が、生理や排卵についてはまったく逆の反応として身体が表現するのだなあと驚くことがあります。

☆1)全身の体調と、生理の状況がリンクするタイプ

このタイプの方は、体調が悪いと、排卵が乱れ生理が来なくなると言うことが多く、

全身の体調と、生理の状況がリンクするタイプです。

全身の体調が悪化すると生理周期がおくれ子宮を中心とする女子胞力がおちてしまい、生理周期がのびたり、妊娠するチャンスが減ってしまいます。

また排卵そのものがなくなり、それを長期間放置してしまうと、体調が復活したり、投薬などをしても卵巣が反応しにくくなってしまうこともあります。

お身体そのものに、生理は負担となります。全身のリズムをつくり、排卵し、高温期を作る。そして妊娠していなければ生理となってリセット。この一連の生理周期は、身体にとっては負荷をかけていることそのものです。

この生理周期がお休みしてくれれば、身体は楽で、回復しやすくなります。

あまり長期間に生理、排卵がないのは問題ですが、寒い時期、疲労、暑さなどのよう院で、少し休んでくれるのは、対処の仕方によっては妊娠にもっていきやすいこともあります。

☆2)全身の体調と、生理の状況はリンクしないタイプ

人間の身体って面白いなあと思うのがこういった全身の体調が悪化という要因でも、1)のようなタイプの方もいれば、2)のようなタイプの方もいるということです。

2のタイプは、体調が悪いと、どんどん排卵がきて、妊娠を急ごうとするタイプ。つまり、全身の体調がわるいからこそ、次世代へという力が強く働き体調が悪いのに生理がしっかりと来るタイプです。

このタイプの方は、時に生理排卵によっての体調悪化が、全身に強い負荷になり続け、妊娠しにくくなってしまっている場合もあります。生理、排卵はちゃんと来ているのに妊娠しないと言うときには、やはり全身状況の点から見直してみる必要があるかと思います。

では具体的な症例からお話ししていきましょう
WEB版、オリジナル弁証論治はこちらから

 

☆3ヶ月に1度ぐらいしか生理がきません。私は妊娠出産できるでしょうか?

30才になります。
妊娠を希望していますが、生理が3ヶ月に1度ぐらいしか来ていない状況です。

20代の前半に体調を崩し、生理も乱れ、花粉症なども出現。なんだか体調が悪いという感じになってしまいました。

30歳で結婚し、生活に負担がかかると再び生理が3ヶ月以上こないという状況になってしまいました。

早く妊娠したいという気持ちはあるのですが、なんとも体調が悪いことが気になり、このまま妊娠したら身体がどうなってしまうのかという不安もあり、なかなか病院へ行く勇気もでません。

私はどうしたらいいでしょうか?

☆まず、体調を整えて。勇気を持って前に進みましょう。

妊娠をしたいというご希望ですね。

また体調そのものが悪いことも気になって、

病院へ行っての治療も勇気が出ないというお気持ちよくわかります。

女性には二つのタイプがあります。
1)全身の体調と、生理の状況がリンクするタイプ
2)全身の体調と、生理の状況はリンクしないタイプ

Yさんは、1)の体調悪化にともない、生理周期も伸びてしまうタイプですね。

食事や生活の不規則さが子宮(女子胞)の力に直結してしまい、体調も悪化、そして生理周期がのび、生理の量も減り妊娠しにくくなっているのではないかと思います。

20代の一人暮らしでの不調は、生理周期が伸びてしまうことだけで終わり、その後、実家暮らしによって体調が回復すると生理周期も戻っていますが、結婚後の負担のある生活は生理周期が大きく伸び、生理の量が減ってしまうという子宮(女子胞)の力を一段と落としてしまっているのではないかと思われます。

また、お身体を拝見すると、30才という若さながら、お腹の生命力をあらわすツボ(気海(CV6)関元(CV4)、大巨(ST27)など)の反応が非常に弱っていて、また足の経穴である湧泉(KI1)、復溜(KI7)、築濱なども冷えています。

足腰の冷えに反し、身体の上部は熱感を持ちやすく花粉症や頭痛となりやすく、口も渇き舌もあかくなっています。また全身をしっかりと包みまもっているはずの肺の経穴が弱りをみせています(肺兪(BL13)、列缺(LU7))また気の鬱滞をしめしています。

ご自身で、体調悪化の原因が、食生活の乱れや生活の乱れがきっかけになっているというご自覚もあるようですね。まだまだ年齢が若いです。まず体調管理し、自分の身体を信頼出来る状態にしていきましょう。その上である程度の期間がたちましたら、妊娠に向けてのステップアップも考えた方がよいかと思います。

☆不妊治療へのアドバイス

いまは、生理周期も非常に長くなってしまい、妊娠をしたいけれど、妊娠しても大丈夫だろうかという怖さもあるということですね。確かにそのお気持ちもよくわかります。ある程度までは体調をあげることを中心にしてもよいかと思います。

しかしながら妊娠は体調だけが連動しているのではなく、ちょっとした歯車の掛け違いでもおこります。半年から1年程度の期間をすぎても妊娠しない場合は、おそれずに病院を受診し、不妊治療を前に進めましょう。

イラスト ツボ セルフケア 応援

☆東洋医学的な見たて

弁証論治:腎虚を中心とする全身の気虚肝鬱 益気補腎
治療方針:腎気をたて下焦の充実をはかる。
肝鬱も症状としてはきつくあらわれているが、もともとの腎気の弱りから生じているので、腎気を中心にそこあげし、体調のupをはかる。

 

☆治療経過、体調がよくなり、自分の身体への信頼を取り戻す

初診:

列缺(LU7)、復溜(KI7)、三陰交SP6) 鍼してお灸
肺兪(BL13)、気海(CV6)、関元(CV4)、大巨(ST27) 温灸
脾兪(BL20)、三焦兪(BL22) 腎兪(BL23) 次髎(BL32) 鍼して温灸

セルフケア:列缺(LU7)、三陰交(SP6)、気海(CV6)、関元(CV4)、脾兪(BL20)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)などのお灸

ご本人の希望もあり、2年ほど鍼灸治療を継続。その後病院でのタイミングを少し誘発をしながらおこなう。半年ほど薬を使い続けたので、生理周期が再び伸びてしまったので、少し病院をお休み。

タイミングをとり、フーナー検査も良好だったので、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療しか妊娠につながらないのではということで、体調を整え、再度の病院受診を考えていたところ、自然妊娠。

34歳にて、無事に元気な男の子を出産されました。

☆養生をかさねて、すんなりとやってきてくれたコウノトリ。
よかったですねえ。

妊娠したいというお気持ちと、このままの体調で妊娠したらという不安があり、なかなか前に妊活を踏み出すことが出来ない状態でした。

不妊ということだけに焦点をしぼれば、鍼灸を開始して半年から1年での病院受診が標準的ではあります。

しかしながら、ご本人が、体調がよくなったことで自分自身で決める力もあがられたように思います。

2年後から病院を受診され、薬を使ってのタイミングを半年ほどしたことで生理周期がのびてしまったのでお休みしているときにの自然妊娠。結局、体調を整え、自然な妊娠がやってきたと言うことだと思います。またご本人の自分自身の身体を信頼することも、すんなりとコウノトリがやってきてくれることとつながったのかなと思います。

30才の時に鍼灸治療をスタートし、2年。

32才病院受診、半年休んでの33才自然妊娠、34才出産となりました。

妊娠は、年齢要因などもあるので、ある程度のところでの病院受診も必要だと思います。

それでも、ぴょこんとやってくるのが妊娠。よかったですねえ。

私もとーっても嬉しいです。

赤ちゃん

赤ちゃん
イラスト ツボ セルフケア 三角温灸