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海外での不妊治療事情 PCOS  クロミッド⑤

⑤:海外での不妊治療事情 PCOS  クロミッド

こんなメールが飛び込んできました。

ご無沙汰しております。3年ほど前にビッグママでお世話になり出産したNです。
通院中は大変お世話になり、ありがとうございました。息子はもうすぐ2歳になるところで、わんぱく盛り、毎日毎日公園で、だいぶ私も日焼けしてしまいました。

以前、お葉書でもお知らせいたしましたが、昨年の11月より主人の仕事でアメリカのサンフランシスコ近郊に住んでおります。今は生活にも慣れ、友達もでき、(日本にいたころよりも?)生活を楽しんでいます(笑)。

この度は、第二子の妊活についてご相談させていただきたく、メールさせていただきました。もちろん、現在の患者ではないので、お答えできないということでしたら、その旨お伝えください。本当なら先生の治療室に通いたいところですが、そうもいかず・・・。

わがままなお願いですが、どうぞよろしくおねがいいたします。

私は昔からPCOSと診断され、クロミッドを服用していました。
(息子を妊娠したサイクルは飲んでいなかったのですが)
一度妊娠すると改善することもあると希望を持っていたのですが、改善されず、
今年の1月よりアメリカの産婦人科へかかることにしました。

こちらでは今までの経緯を話した後、内診もなにもないまま生理を起こすためのプロゲステロンとクロミッドを処方され、生理21日目に血液検査(プロゲステロン値)を受けるよう指示されました。その後、プロゲステロン値は低く、排卵しなかっただろうと伝えられ、また内診もないまま同じ薬を処方されました。

こちらでは、「妊娠するための治療」は全て不妊治療となってしまい、保険が全くきかないそうです(涙)この薬の処方と血液検査に毎月180ドル(19800円)もかかってしまうなんて、日本では考えられません(笑)。

今度はクロミッド3錠も飲んだのですが、血液検査の結果は同じ。排卵していませんでした。もうここの病院ではお手上げだということで、不妊治療専門の病院へ行くよう指示されました。

口コミをたよりに、わりと近くにいい病院を探すことができました。先生(台湾人)はとてもハキハキしていて感じのいい先生で、病院の雰囲気も気に入ったので、そこに決めました。ところで、病院を探している間に、プロゲステロンの薬を飲まずに、45日目に生理がやってきました。つまり、時間はかかったけれど、排卵はしていたようです。

専門院では卵胞の大きさもチェックでき、クロミッドを飲んで卵胞がどうなるか見るということで、再びクロミッド(2錠)を服用しました。今回はエコーで排卵を21日目くらいに確認できました。と言っても、妊娠はしませんでしたが(笑)。今月もエコー2回と血液検査で300ドル(33000円)もかかってしまいました!

鍼治療も5月中旬から週1ペースで通っています。こちらも口コミで不妊治療に精通している先生(中国人)ということで決めました。

その先生が漢方も処方してくれるのですが、市販の漢方ではなく、先生のオリジナルブレンドで、いまいち何の薬なのかはわかりません。

そして、息子を連れての治療なので、1時間弱、全くリラックスできないままベッドに横たわり、息子の機嫌をとりながら、鍼を抜きに来てくれる先生をひたすら待っています(笑)。

基礎体温は、昔からガタガタでしたが、大きく変わったことは、体温が全体的に高くなったことです。以前、低温期は36.3前後、高温期も36.7行かないこともたくさんありました。しかし、今は低温期で36・5~6、高温期は36.9くらいあります。

低温期が高すぎるような気がして気になります。しかし、そのおかげか、出産してから全く風邪をひかなくなりました。息子がどんなにひどい風邪をひいて、それが主人に移っても、私には移ったことがありません。そのせいなのかはわからないのですが。

体温表を添付しましたので、ご覧下さい。
二人目不妊体温表

食事は、幸運なことに、日本食材もほとんど手に入れることができ、日本にいたころと変わらない食事をすることができます。病院の先生に、PCOSの患者には肥満の人が多く、炭水化物を制限すると改善することがあるので、やってみるよう指示されました。5月下旬くらいから野菜、タンパク質、豆類中心の食事を心がけています。空腹感もなく、健康的な食事なので、とても気に入って続けています。
さて、続きはこちらです。
⑥:不妊:相談 海外での不妊治療、どの様に進めたらよいでしょうか?

 

さて、このシリーズの目次を出しておきますね
不妊:排卵障害でもステップアップしない 自然妊娠 出産
①:不妊:排卵障害でもステップアップしない。自然妊娠プロローグ
②:ステップアップは了解しない夫との不妊治療
③:不妊:薬をやめて不妊カウンセリング鍼灸治療での自然妊娠
④:第二子への挑戦 メールでの不妊大作戦!
⑤:海外での不妊治療事情 PCOS  クロミッド
⑥:不妊:相談 海外での不妊治療、どの様に進めたらよいでしょうか?
⑦:不妊:相談 基礎体温表の手がかり 排卵検査薬の難しさ
⑧:不妊:相談 妊娠しました! 800ドルの超音波エコー
⑨:日米カナダの妊婦健診事情 出生前診断
⑩:海外妊婦健診事情 出産報告

 

日米カナダの妊婦健診事情:出生前診断はほぼ全員ー⑨

不妊という状態。いろいろな選択肢があります。

今回は、『不妊、排卵障害でもステップアップしない』というテーマで、Nさんと一緒の旅です。第一子の不妊カウンセリング+鍼灸での旅につづき、第二子のメールでの不妊カウンセリング+アメリカでの不妊治療をへて、無事に妊娠!

 

ここからはアメリカの不妊治療事情です。このシリーズの目次を出しておきますね。
不妊:排卵障害でもステップアップしない 自然妊娠 出産
①:不妊:排卵障害でもステップアップしない。自然妊娠プロローグ
②:ステップアップは了解しない夫との不妊治療
③:不妊:薬をやめて不妊カウンセリング鍼灸治療での自然妊娠
④:第二子への挑戦 メールでの不妊大作戦!
⑤:海外での不妊治療事情 PCOS  クロミッド
⑥:不妊:相談 海外での不妊治療、どの様に進めたらよいでしょうか?
⑦:不妊:相談 基礎体温表の手がかり 排卵検査薬の難しさ
⑧:不妊:相談 妊娠しました! 800ドルの超音波エコー
⑨:日米カナダの妊婦健診事情 出生前診断
⑩:海外妊婦健診事情 出産報告

さて、スタートしましょう。
今回は⑨:日米カナダの妊婦健診事情 出生前診断

Nさんから;出生前診断はほぼ全員受けさせられます

今は無事、18週になりました。第二子なのに胎動はまだ感じていません。大丈夫かなあ。

さて、こちらの産婦人科事情は本当に日本と違ってびっくりです。

まず初診が9週ということ。それまでは予約を入れてくれません。
その時も内診のエコーはなく、血液検査で妊娠判定します。
それからエコーは、14週、22週、30週前後にあるのみで、あとは心音を聞くだけ。
そして、出生前診断(胎児ドッグ?)はほぼ全員受けさせられます
11週に血液検査、14週にエコー、16週に血液検査で総合的に判断されます。
まだ請求が来ていないので、いくらかわかりませんが・・・・。
でも14週のエコーは179ドルだったので、2万円くらいですね。
(これは保険適応での金額です)
日本では保険がきかないと文句を言っていたのですが、日本の方がずっと安いですね。

そして、エコーも35歳以上ということで、高齢出産扱い
胎児診断センターというところまでわざわざ行かなくてはなりません。
そもそも、ドクターの診察室にエコーはなく、エコー技師?のいる部屋に
診察とは別枠で予約をとって行く必要があります。運よく同じ日に取れればいいのですけどね。私の行っているのはこの辺りでは一番大きな総合病院ですが、医療機器は全く充実していません。

お腹の上からのエコー機材はあるけれど、内診のエコー機材は持っていないと言っていました。友達の行っていた個人の婦人科は、エコーの機材を持っていないため、エコー技師が月に一度出張してくるそうです。それに合わせてみなエコーの予約をとるのだとか。

日本の産婦人科は今はホテルのように施設が充実して、何台もエコー機材があり。
それが当たり前だと思っていたら、びっくりでした。
でも第二子なので、日本との違いを楽しむ余裕もあり、
「へ~アメリカってこうなのね。」って思いながら過ごしています。
ちなみに、11週の血液検査で遺伝子レベルで性別を判定でき、お腹の子は女の子でした。嬉しい~!ここは日本より進んでいますね。

もうすぐエコー診断があるので、どれくらい大きくなっているのか楽しみです。
日本はもうすっかり秋ですね。こちらはまだ30度くらいあり、過ごしやすいです。

先生のお庭にはどんな花が咲いていますか?
風邪などひかないようお気をつけください。
PS こちらはどこもかしこもパンプキンカラーです。
N

 

私からのお返事:胎児診断の日米違いに驚きます!


非常に興味をもってメール読ませていただきました!!
アメリカなのねえ~。
>第二子なのに胎動はまだ感じていません。大丈夫かなあ。
まあ、大丈夫(^^)とは思いますが、少しお腹が硬くて感じにくいのかも知れません。
それに確かNさんの子宮の位置って少し低めだったような気がします。
それもあって、感じにくいのでは(?_?)。しっかりと棒灸をいれて、血流をよくすると
赤ちゃんがよく動くケースが多いですよ。ご参考まで。

>ちなみに、11週の血液検査で遺伝子レベルで性別を判定でき、お腹の子は女の子でした。嬉しい~!

うふふ、それはよかったですねえ。

それにしても、さすがアメリカ。いまカナダ在住の方と情報交換していますが、カナダも同じみたいです。日本でやれば胎児ドックに6-7万円、出生前診断の血液検査は20万円ぐらいでしょうかねえ。たーいへん。うちの患者さんは40歳以上が半数95%ぐらは35歳以上という現状ですが、胎児ドッグは30%ぐらい、出生前は3-5パーセントぐらいという程度の受診率です。これが無料だったらほぼ全員受けるのかなあという感じですね。ただどう選択していくのかは、なかなか難しい問題ですけどねえ。

>もうすぐエコー診断があるので、どれくらい大きくなっているのか楽しみです。

背中のお灸、骨盤のお灸ができるようだったらしっかりとやってみてください。
ご自身によいですし、赤ちゃんにもよいですよ(^^)。充分大きな赤ちゃんを産みましょうね。

我が家の庭は、明日植え替えです。夏から一気に次のシーズンの準備に入ります。日曜日は、高校時代の同級生と女子会でディズニーシーに行ってきました。ハロインで楽しかったですよ。

以下は、12週まで日本にいらして、13週からカナダに帰国なさった方のカナダレポートです。アメリカと似ていますね(^^)。面白かったので

Nさんにも送りますね~。ご参考まで。

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不妊:相談その① 病院では『問題ない』強い冷え、痩せ、お腹が弱い−0134

なかなか妊娠しない。本当に困ってしまいますね。
確かに、妊娠は自然な授かり物でもあります。
待つ時間も大切。
しかしながら、やはり、本当の課題はなんなのか、探してみることも大事ですね。

今日は、20代で妊娠をのぞみ、検査では『問題はない』といわれながらも7年の月日がたってしまったケースです。手足先の強い冷え、痩せ気味、お腹が弱い。どれも妊娠への課題となりそうですが、どれもさほど大きな問題にはならないような課題です。前に進むときには課題の整理が大切です。

どんなことが課題になっているのか、
どういう道筋をとっていけばよいのか、
一つずつ解決への道筋を一緒に悩み考えたカップルの相談です。

相談:夫も私も病院での検査は問題ないといわれています。
しかしながら結婚して7年妊娠出来ません。
35歳になりました。
人工授精も何度もしてみましたが妊娠できません。
どうしたら妊娠できるのでしょうか?

私はもともと痩せ気味(BMI16.67)で、お腹が弱くすぐに下痢をしてしまいます。
手足先の冷えも強いです。どうしたら妊娠出来るのでしょうか?

気になること:
16才と21才の時に卵管から出血があり、お腹に血と水がたまったことがあります。2,3週間入院をしましたが、妊娠には何ら問題はないといわれていますが、いまになると本当に問題がないのだろうかという思いがあります。

クーラーや暖房で体調が悪くなります。特に冷えには弱くて、手足先が芯から冷える感じです。いろいろと対策はしていますが、急な温度の上がり下がりには特に弱くて身体がだるく、つかれやすいです。

生理の2,3日前から便秘、イライラがあります。排卵時にはお腹にチクチクとした痛みがあります。2年前ぐらいから体外受精にステップアップしようと考えていますが、なかなか思い切れません。

ご相談にお答えして:
ご夫婦でいろいろな努力をなさり、がんばっていらっしゃりますね。
二つの課題を感じました。
①西洋医学的なステップアップ。
②ご自身の体調のこと。

このふたつの課題は結局、『妊娠ー出産』という課題を解決するためには、一つの道となりますが、少し分けて考えていくことが、課題の解決をスムーズにすると思います。

一つ目の課題:
西洋医学的なステップアップですが、年齢要因的に半年ぐらいを目処にスタートすべきだと思います。現在35才、一刻を争う状態ではありませんが、ご自身でおっしゃるとおり、あっという間に年月は流れてしまいます。これから半年以内に自然妊娠が成立しなかったら、自然妊娠への道を探りながらも、ステップアップして体外受精を実際に始められるようにしましょう。つまり病院受診などの準備はすぐにスタートし、体外受精のステップである採卵が半年ほどの時間が経過したらすぐに始めるように準備をしておくわけです。病院選びなども迷うと思いますので、ご自身が行ってみたいト思われる候補の病院を複数相談なさるのもよいかと思いますよ。Nさんのお気持ちを受け止め、必要なポイントを明示してくれるクリニックに通うことが大切かと思います。

二つ目の課題、ご自身のお身体についてです。
元々のお身体の状態が少し弱めですね。それは何かあるとすぐに下痢気味になり、なかなか体重が増えないという胃腸のパワー不足が根底にあるようです。

中学校のころは、BMI20.27ぐらいあり、それなりに充実し、月経も順調であったと思います。しかしながら、婦人科疾患にて入院安静がきっかけで、体重が37キロ(BMI16.67)に落ちてしまったことは、入院そのものは安静だけだったであるのに、ご自身にとっては非常に大きなストレスとなり、このストレスが弱い胃腸への負担となってしまったと思います。

そして体重が回復することなく現在にいたっていしまっているのは、ご自身の身体のスケール(器)が一段小さくなってしまったということだと思います。

仕事を始めてから、とくにお腹の弱さと手足末端の冷えが気になり始めているということは、体重が戻らないまま小さな器(気虚気味の素体)に仕事の緊張が加わったため、ストレス状態がより強く、継続的になってしまっていることを示しています。

ご自身できをつけていらっしゃるので、それなりの状態はキープしていらっしゃりますが、妊娠という身体の余力が必要な場面では、その余力が不足しているといわざるおえません。

やはり目立つのは胃腸のパワー不足ですね。空腹感がめったになく、食事も時々美味しいと感じる程度で胸焼けがするということは、胃腸の弱さは明瞭です(脾虚)

お身体を体表観察で拝見すると
1)胃兪の大きな陥凹奥の冷え抜け
2)足三里の長い陥凹など

上記から胃腸のパワー不足は明瞭です。
また、体重を落として以来胃腸のパワーが弱まったままであることから、全身を防御する肺気のパワーが低下し、外の環境変化について行けなくなっていると思います。つまり、胃腸のパワーがないために、全身を守る力が不足しているということです。

これが28才で結婚後、特段の問題はないのに妊娠が成立しずらいということに繋がっていると考えられます。

東洋医学で言う五臓の脾気を中心に肺気、腎気とも余裕がなく、気を張ってなんとか日々を過ごしている(肝気の課題)状態から、余裕のある身体作りを胃腸の状態をよくすることからはじめていきましょう。そして妊娠に影響すると言われる衝任脈に気血を注ぎ入れ女子胞(子宮)のパワーをあげていきましょう。

弁証論治
脾気を中心とする全身の気虚肝鬱 衝任脈の弱り
益気補脾 温養衝任

治療方針:
妊娠に拘わらず、まず全身の力をつけ、余力をつける。そののちに、女子胞力(子宮の力)をつけていくことがポイント。ただただ女子胞力(子宮の力)だけをつけるという目的ではなかなか到達できないと思います。全身の力up→女子胞力upです。

また、年齢要因もそろそろ気になるお年頃。『原因がない』ということに拘わりすぎず、逆に体外受精に挑戦してみて、そこからどんな要素が浮き上がるのかと言うことからアプローチするのもよいかと思いますよ。

続きの治療経過はこちら

冷え性で痩せすぎ、不育症検査で12因子欠乏症が判明(38歳出産)

不妊:相談その② 病院では『問題ない』強い冷え、痩せ、0134

その①はこちら→不妊:相談 病院では『問題ない』強い冷え、痩せ、お腹が弱い

治療経過:
6ヶ月後 体調は安定してよい、体重が3キロ増えることができた。
8ヶ月後 採卵 空砲
9ヶ月後 採卵(5つ取れて4つ空砲)ー移植ー着床、化学流産
11ヶ月後 カウフマン、風疹の予防注射
1年後 身体全体が疲れにくくなってきた
採卵、受精せず
1年1ヶ月後 採卵ー移植ー妊娠ーhcg20
1年4ヶ月後 採卵ー胚盤胞凍結 あまりスピードが速くない
1年5ヶ月後 採卵ードミノで移植 ー妊娠
妊娠20w 貧血が出てきて朝がくらくら、夕方は疲れる
母性連絡カードを提出し、少し遅い出勤にしてもらった
妊娠35w小柄なためか、お腹が大きく上腹部の腹満が大きいのでご自宅での安静を進める
(お腹は柔らかく状態はよいと思われる)

39w 3500㌘オーバーのべびちゃん 安産にて無事に出産
胎盤が800㌘と大きかった。
7年も待ちわびた赤ちゃん、おめでとうございます!!

結果:無事に妊娠、出産されました。おめでとうございます。

赤ちゃんと巡り会うための旅をご一緒して:

不妊治療は、原因を取り除けば、もしくは原因がわかれば前に進むことができるというものではありませんね。何かをやってみてそれで上手く行けば、それが原因だったのだろうと理由がひとつづつ明解になってくるわけです。

この方は、とりたてて原因はないと言われながら、5年の月日が流れてしまっています。そして体外受精にステップアップしてから、空砲が多いということや、化学流産などの着床の問題がはっきりしてきました。

体重をあげ、体力をつける努力を同時になさり、身体がすこしづつ『信頼できるもの』になっていったからこそ、体外受精での課題も、一つずつ解決できていったと思います。

BMIは不妊治療に大きな目安となります。
体重が多すぎるのも問題ですが、低体重も妊娠しにくい要因となります。
BMIが18.5を越えると自然妊娠をなさる方も多い印象があります。
ひとつの目安としてくださいね。

この方は、痩せの上に、冷え性もひどい状態でした。この冷えに対しても、あまり冷えに拘わるよりも全身の生命力を上げるというシンプルで当たり前のアプローチが結果的に功を奏したように思います。

東洋医学的なアプローチで半年過ぎたころ。
体調は好転しましたが、なかなか妊娠そのものが成立していないので、
ステップアプをお勧めしました。そこでもいろいろなことがありましたが、
無事に妊娠。妊娠初期から鍼灸治療をしっかり行いフォローしたおかげか、
胎盤が大きく、3500㌘オーバーの元気なベビちゃんが誕生しました。

小柄ながらも頑張り屋さん。
良いお母さんになられることでしょう(^^)。
よかったですねえ。

冷え性で痩せすぎ、不育症検査で12因子欠乏症が判明(38歳出産)

不妊:新陳代謝の調整で妊娠率up、流産率↓のお話し

不妊:TSH甲状腺刺激ホルモンでわかる、新陳代謝の調整のお話し。

ある患者さんが、伊藤病院を受診され、パンフレットをもらってきました。

写真:
伊藤病院

伊藤病院はむかーしはこのパンフレットの類いがとても充実していました。病院に行くのは面倒だけど、東京の原宿だから楽しいしと仰りながらパンフレットを私にも見せてくれる方が大勢いらっしゃりました。ふむふむなどと読ませていただいてわかりやすさに納得。

最近はメインのパンフレットの他1,2種類があるのみだそうです。ちょっと寂しいですね。まあ時代の流れ、インターネットや本で読んでねということでしょうね。

もうだいぶ前、体外受精でながらく日本一有名と言われる新宿の加藤レディースクリニックに通っていた患者さんが、『伊藤病院に行くように言われました』ということをおっしゃり、だんだん不妊治療をする人にTSHを測りコントロールするというメソッドが確立していったように思います。この新宿のクリニックでのやり方を横から20年ぐらい眺めていますが、統計的なデーターを集め、確立すれば広げていくという感じがします。

あ、ヨネばあちゃん、少し思い出話を。

以前に、移植時のPは十分と言うことでホルモンを何ら補充せずに移植し、4,5回移植してもダメという方がいらっしゃりました。当時の加藤レディースクリニックでは、『不要と思われるものは足さない』という方針が明確。でも、今でも思い浮かぶのですが、その人の基礎体温表の高温期は、胚盤胞移植時がピークになり、あとはするっと下がる方だったのです。今では標準的にデュファストンがでるようですが、当時は『その当日のPが10以上あれば足さない』何度かクリニックを変えては?と申し上げたのですが、その方はやはり体外受精ならばKLCがよいというご家族の意見もあり、何度か採卵ー凍結胚移植を繰り返したものの、一度も着床しないまま、治療そのものを終了されました。良好胚が出来ていたので、今ならば着床障害や、ホルモン値の課題をもう少し強く助言できるのになあと時にその方のお顔を思い浮かべます。このお話はKLCで伊藤病院の話題が出る前の出来事です。だいぶ古い話しになります・・・。高温期

 

さて、この甲状腺は、食事に含まれるヨウ素を材料にして甲状腺ホルモンを合成しています。この甲状腺ホルモンは新陳代謝の過程を刺激したり、促進したりします。また妊娠中の胎児の脳も含めた身体発育にも大きく関与します。

この甲状腺ホルモンが一定の値をキープできるようにするのが、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)です。つまりこのホルモンが甲状腺を刺激してホルモンの分泌を促すわけです。

ホルモンって、身体の中では

刺激ホルモンが分泌→本体のホルモンが分泌される

こんな流れです。

つまり甲状腺刺激ホルモンであるTSHが高いと甲状腺から出ているホルモンが足りないというわけです。

 

このパンフレットの中にある、妊娠を考える方、妊娠初期の方のTSHを2.5以下にコントロール維持することで流産を減らすということが、統計をとるうちにはっきりしてきたのかなと感じました。さすが加藤さま!(と、多くの方が呼んでいますね。私もそう思うことがたびたびあります)。実績を踏まえての前進なのでしょう。

TSHの正常値

 

甲状腺の機能低下と流産、早産の関係も明確なようで、妊娠してからもこのコントロールを行ってもらう方が最近は多くいらっしゃります。以前はわからなかったことが、検査項目になり、わかってきたということかなと思います。発展していることがいっぱいありますねえ。

 

さて、ヨウ素は、体内では作られず食物から摂取するミネラルです。ただし、逆にヨウ素を過剰に摂取すると甲状腺ホルモンが減ってしまいます。ヨウ素を含む食品は注意です。

 

ヨウ素で注意するのは昆布です。昆布はダントツにヨウ素が多いです。昆布の食べ過ぎには注意ですね。昆布だしも控えるのがよいかと思います。また改装が好きならばひじきはちょっと控えましょう。

昆布

のり、わかめ、めかぶ、もずくなどの海藻は制限する必要はないです。
ただし、イソジンのうがい薬はヨウ素が含まれていますので、使わない方がよいとのことです。

日本人は海藻類が大好きです。この中で、ヨウ素に注目した場合は昆布の摂取を控えると言うことが大事です。

妊娠を考える方。不妊治療中の方。甲状腺が気になる場合にはこの伊藤病院で1度見ていただくのもよいかもしれません。朝一番で初診の門をくぐれば、お昼までには結論がでて全て終了ってな感じで帰ってくる方が多いですよ。ご参考まで。