夫婦で取り組んだ体調改善、男性編です
まず、奥様が来院されました。
第一子を出産後の養生がなかなかできず、授乳、子育てで一段と疲れがでてしまい、なかなか回復できず、第一子は自然妊娠しているのに、ドクターからは「顕微授精以外では妊娠出来ない」と言われ、追い詰められていらっしゃりました。
奥様が体調がよくなり笑顔が増えたということでご主人も鍼灸をスタート。
ご夫婦での体調改善で無事に第二子の出産につながった症例です。
さて、お話をはじめましょうか(^.^)
男性不妊の基本は体調アップ
男性不妊は基本的に「体調アップ」です。
そして基本的な、食事、睡眠、休息が本当によく効きます。
これは女性側からは羨ましいほどのスピードで改善されることが多いです。生殖の有り様がやはり男女では少し違いますね。
男性不妊に漢方薬
男性不妊に漢方薬もよく使われます。あまり細かくっていうよりも、結局体調の全般的なアップを狙うわけですので、大きく2つぐらいのタイプにわかれます。
八味地黄丸か補中益気湯と大きくタイプ別にしてもよいでしょう。
八味地黄丸タイプ
アンチエイジング的な発想で、身体そのものの底力をつけ若返りが必要なタイプです。
補中益気湯タイプ
胃腸の調子を整え、食べて滋養になる力をつけることが必要なタイプです。
今回のケースでは、補中益気湯タイプのご主人でした。
男性不妊ケーススタディー
30代後半男性、第一子は自然妊娠。
ドクターには、いまの精子の状態では顕微授精でしか妊娠が成立しない状態と診断される。
状況
・30代から身体が疲れやすくなった
・お酒を飲むと翌日までだるい。
体表観察ポイント
・肺兪、膏肓の抜けがきついーー風邪の内陥の可能性
・足三里、脾兪(BL20)の陥凹がきついーー脾気の弱りの可能性
・左三焦兪から腎兪(BL23)にかけての陥凹がトップ
・両大腸兪(BL25)の陥凹
・臍周抜けあり、
・右の季肋部期門にかけて突っ張りアリ。
・右の内関陥凹
・右の太淵腫れ、右の神門硬結
体表観察と問診を通じてのお体の状態について
身体が疲れやすいということから、生命力全体の底力が不足(腎気の不足)それに乗じて、冷えの入り込み(風邪の内陥、肺兪、太淵の反応)があり生命力への負担となった(腎気への負担)。この底力の不足(腎虚)があったために、もともと少し弱めの脾気の状態が悪くなり、現時点での体表観察で見られる、足三里脾兪(BL20)の陥凹となっている。
治療方針
1:先ず第一に生命力の負担となっている風邪の内陥を取り去る2:現時点では脾虚中心ではないかとは思われるが、脾気、腎気は反応が出ている方を先に手を入れる。
治療経過:
4月−9月
気海(CV6)、関元(CV4)温灸。右の内関ー左三陰交ー左公孫。
肺兪、胃兪、大腸兪(BL25)。
治療を経るたびに身体のだるさが減る感じ。
3診目から左の足の巻き爪(いつも炎症があるために手術もできず、濡れた田んぼやプールには入れない)のために左の公孫、大都(SP2)をしっかりと入れる。
3ヶ月後、妻が妊娠した。
20診後、巻き爪の調子がよくなり手術ができ、日常生活に不自由がなくなった。
あとがき:全体の治療のながれにについて。
身体への負担となっていた冷えの入り込み(風邪の内陥)がとれ、全体に体調がよくなったところで自然妊娠。
病院による検査はうけていないものの、顕微授精しか無理と言われたレベルから自然妊娠できる精子の状態へと好転したものと思われます。男性の場合はこのように大きく検査結果がぶれることはよくあります。よくも、悪くも変化が大きいので注意が必要ですね。
冷えの入り込みである風邪の内陥が取れたあとは、胃腸の力を中心とした治療で体調が安定してきています。結果として、冷えの入り込みである風邪の内陥が生命力の主軸である腎気への負担となり悪循環に陥っていたことが全体の生命力への負担となり、体調も生殖機能も低下させていたのではないかと思います。
体調がよくなり、全体がうまくいく好循環に乗れることが出来て本当によかったなと思います。
まとめ:男性不妊のポイント
1:当たり前の体調をよくするためのカラダ作りをする。
2:食事は食事バランスガイドに従う。他に添付資料参照のこと。
3:睡眠、食事、休息の当たり前のリズムを大切にする。
4:下肢の脾腎の経絡の温養、上焦の肝気(あるいは肺気)の鬱滞をとり、腎気をたてる。
体調も回復し、無事に赤ちゃんとも巡り会えてよかったなあと私もほっとしています。
こちらは、爪についてまとめてみました。
参考にしてみてくださいね↓