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ご相談:AMHが46才と言われてしまいました。どうしたらいいのでしょうか?0201

不妊カウンセリングをしています。

さまざまなお悩みの中、鉄板のように頂くご質問が、

『AMAが高いと言われました、どうしたらいいのでしょうか?』

というご質問です。

私からのお答えは、

『私の治療院にいらっしゃるかたで、AMHがいい人なんかいませんよ。それぐらいAMHっていう数字は厳しいし、不妊治療が必要なケースでは卵巣の機能低下をおこしていて、AMHが悪い人が多いんです。そしてこれは『妊娠出産出来ない』ということではまったくありませんよ』

 

ときっぱりお返事させていただいています。

そうなんです、AMHが悪いと言うことは、卵巣が機能低下をおこしています。治療を急ぎなさい!ということではあります。しかしながら妊娠出産が出来ないということではないということを、しっかりと受け止めてくださいね。

当院では沢山の具体的な症例をみなさんにシェアさせていただいております。

これら多くの症例を通じて不妊治療のお手伝いをさせていただくなかで、『AMHが良好ですね〜』と言われる方は当院ではマレだなと感じています。こちらの症例など、10才以上も高い卵巣年齢を指摘されながらも妊娠、出産されています。

AMH検査で、37才なのに47才の卵巣年齢だと言われました(39歳出産)

すでに採卵を4回もしていますが、『AMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)で卵巣年齢が高いです』と言われ続けています』という方でした。お身体の手入れをし、子宮卵巣の血流をあげ、無事に妊娠出産されています。

このケースでは、検査の表現としては、AMHが悪いということですが、結局、最終的に不妊治療で妊娠がなかなか成立しなかったのは、子宮卵巣の血流が少ないために『卵の質が悪い』ということで、こういうときには、AMHが悪いからとあせって採卵を繰り返してもダメなんだなということがわかります。

 

この女子胞力(子宮卵巣のパワー)の低下による不妊は、体外受精などの高度生殖医療で救われる部分ではありません。ご自身の生命力をあげることこそが大切なことです。

二人目不妊、何度も重ねた体外受精、体調管理で仕切り直し(44歳出産)

こちらの症例では、何度も体外受精をくりかえしおこなっていらっしゃりましたが、妊娠出来ず。結局、しっかりとした体調管理をして不妊治療に正面から取り組んだことで少し遅めとなりましたが無事にご出産なさっています。

 

☆AMHと卵の質。ー卵の質の2つの側面

卵の質といっているときに2つの側面があります。
1つは、遺伝子異常の含まれかた。
もうひとつは、卵の粗密の問題、生命力と大きく係わります。
この卵の粗密、生命力の問題はまた別のファイルでお話ししますね。

☆遺伝子異常の含まれ方でいう”卵の質”

年齢要因の話とも重なりますが、年齢要因的に落ちていく『卵の質』。つまり遺伝子異常の問題を中心とする、卵の質の問題があります。

35才であれば生理3日目に出てくる卵胞が7つ程度あり、その中の一つが選ばれて排卵するわけです。これが年齢が高くなれば、生理3日目に出てくる卵胞が2つか3つ、ときには1つだけということになり、そもそも選ばれる数が減り、これが卵の質が低下という言葉でいわれることがあります。確率論で遺伝子異常のない卵の出てくる確率は、生理3日目にエントリーしてくる卵の数が減ってくれば、仕方のないことだと思います。

1度にとれる卵の数が減ったことで、質のよい卵と出会う確率がさがったのならば、採卵数をあげ、移植の回数を増やすことが解決策となるわけです。

☆PGT(着床前診断)をして、卵の質の問題を解決することは可能なのか。

 

昨今、PGTをなさる方が増え(保険適応の関係でいまは減っていますが)、
PGTについて→加藤レディースクリニック

卵巣年齢が高いということは、不妊治療のために、卵巣刺激をおこなっても、沢山の卵胞は育ってこないということです。

年齢的に若くても、いろいろな誘発をしても、卵の数がでてこないということ。これが『卵巣年齢が高い』ということににつながり、もともとエントリーする卵が少ないので、遺伝子異常の質を問われると、脱落する卵が多いと言うことになりますね。

生殖は淘汰がある意味必須のプロセスです。

卵巣年齢が若く、沢山の卵が誘発できれば、ある程度の淘汰のプロセスがあっても、移植できる良好な卵に出会えるチャンスがふえるわけです。

しかしながらAMHが高いと言うことは、数が出てこないと言うことなので、ここで卵の質がよい胚と出会う可能性が低くなると言うことにつながります。

着床前診断と、年齢が高めの人の問題を考えるには、
このはらメディカルのこの考え方が私は非常に現実的かなと思います。

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着床前診断 はらメディカル

https://www.haramedical.or.jp/content/implantation/pgt

着床前診断 PGTをしない方がいい人

  • 胚移植不成功回数は2回以上あるが、1回の採卵で得られる胚盤胞数が3個以下の場合は、胚盤胞が貴重な場合、PGTのメリット<デメリットと考えます。PGTをせずに、胚移植をして結果を得る方が、総合的な出産率は向上すると思われます。
  • 胚盤胞の外側の細胞(栄養外胚葉)のグレードが低い場合
  • 年齢が高い場合は、PGTをすることで、本来であれば妊娠・出産できる胚盤胞を排除してしまう可能性があることを慎重に検討してください。また、年齢的に生検のダメージもうけやすいです。妊娠・出産を目標にする時、PGTではなく、2個胚移植で、移植のペースを上げることで、次の採卵時期を早めることが、総合的な出産率の向上に繋がると考えます。

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このはらメディカルの、

>妊娠・出産を目標にする時、PGTではなく、2個胚移植で、移植のペースを上げることで、次の採卵時期を早めることが、総合的な出産率の向上に繋がると考えます。

は、かなり現実的な意見だと思います。

☆AMHが高いともうすぐ閉経?

 

こちらは、扇町レディースクリニックのサイトから。非常に丁寧で、誠実さを感じられる内容です。→扇町レディースクリニック

このサイトの中で紹介されていますが、AMHについては日本産科婦人科学会が、きちんとした見解を出されています。以下は、この扇町レディースクリニックのAMHに対する見解です。日本産科婦人科学会のファイルはこちらから直接ダウンロード出来ます。
→日本産科婦人科学会 抗ミュラー管ホルモン(AMH)の測定に関する留意事項

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日本産科婦人科学会は下記の声明を公表しました。AMHを検査される場合には、これらを留意して結果を判断してください。

1.AMH は卵子の質とは関連しない。
2. AMH の測定値は個人差が大きく,若年女性でも低い場合や高齢女性でも高い場合があり,測定値からいわゆる「卵巣年齢」の推定はできない。
3. 測定値と妊娠する可能性とは直接的な関連はなく,測定値から「妊娠できる可能性」を判定するのは不適切と考えられる。
4.測定値が低い場合でも「閉経が早い」という断定はできない。
5.
AMH の測定系に関しては製造会社の努力で改良されてきたが,測定感度,測定精度に関してはまだ改 良の余地があると考えられる。特に,低値の場合の再現性は不十分と考えられる。

さらに,最近,日本に おいて製造承認を得た測定系が利用できるようになったが,その取り扱い,例えば測定目的,測定値の解釈などには慎重な対応が求められる。

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AMHはひとつの指標です。でも、こういった見解が公式に出ていると言うことも知って置いていただきたいなあと思います。

 

☆不妊治療、何をしたらいいのか迷ったら不妊カウンセリングを!

早く早くと焦ってしまうお気持ちはよくわかります。でも、急がば回れです。特に高度生殖医療は金銭的な負担が多いですね、また保険適応の場合は回数制限もあります。ただやみくもに回数を重ねると、経済的な理由から治療が進められないと言うことになってしまいます。何をすればいいのかを迷ったら不妊カウンセリングをお勧めします。

赤ちゃんを授かった後、しっかりとはぐくみ力強く出産出来る身体作りは大切です。なにをすればいいのか、何をしなくてもいいのか、一緒に考えていきましょうね。

東洋医学的不妊カウンセリング

体外受精を何度もしても妊娠しないという方へのアドバイスをまとめてあります。

体外受精の周期に入っている方への、身体のフォロー – 不妊!大作戦

 

イラスト ツボ セルフケア

 

更年期、女性の身体が生まれ変わるときに出来る5つのこと

☆閉経という時期は女性であれば誰にでもあります。

閉経の年齢ー予想はつかないものです。

平均的な閉経の年齢は50才前後と言われています。
オムロン →オムロン

この時期は人によって様々です。
40才を過ぎていれば『病的な閉経』とはいえません。

また、いつぐらいに閉経するのかな?という予想はなかなかつきません。
AMHという卵巣予備能は目安にはなりますが、いつ閉経するのかという
予想は案外つかないのです。

☆生理があるメリット:女性の身体を守ります。

生理があれば、エストロゲンの分泌があります。

エストロゲンは、血流をよくしたり、真皮のコラーゲンを増やします。骨にカルシウムもたくわえさせてくれます。つまり女性の身体にとっては骨密度をあげ、血管を守ってくれる大事な要素ではあります。
これが、エストロゲンが女性を守ってくれるという理由です。

しかしながら、貧血や婦人科疾患には悩まされ続けることになります。

そしていつか、このエストロゲンとさようならして、閉経という時期を迎え、新たな扉を開きます。

☆早発閉経は対応が必要です。

40才よりも早く閉経することを『早発閉経』といいます。
早発閉経は治療対象ではありますが、根本的になんらかの方法で
卵巣の機能を取り戻すということよりも、”必要な卵巣機能を確保する”と
言った感じが大切です。エストロゲンが守ってくれる時期があまりにも早く終わるのは
デメリットが大きすぎます。早く生理が止まっている方は、女性ホルモンの補充などの
対策も必要かと思いますので、婦人科にて相談されることをお勧めします。

☆更年期は『変化の時期』生まれ変わろう

女性の一生にとって、閉経は一つ変わり目です。

肝心脾肺腎の五臓のうち、大きく係わるのが腎。腎は私達の一生を支えてくれるパートナーです。

女性にとって閉経は、一生続く人生の中でこの腎が一回り小さくなるあたりまえの時期におこる変化です。

肝木の人間観

変化ですので、とても不安定になります。女性にとって身体のシステムが切り替わるときで、腎気に負担となるため、腎を土台として根を張る肝(特に肝の根である肝陰)が不安定になり、諸症状を出します。ここを乗り越えるとぐぐぐいーっと精力的になる方が多いのも頷けるところです。一皮むけたおばちゃんはずんとした安定感がありますね。

生命形態の変化(閉経時)するときに土台である腎気が負担がかかる、そして腎気が消耗するために一時的に腎気が不安定(つまり腎虚がきつくなる)になります。

とくに腎を支えにする肝陰を中心とする肝気も不安定になることが、全身のトラブルにつながりやすくなります。

五臓六腑

上下のバランスが悪い木です。根っこが不安定で、枝葉がわさわさ。ちょっと辛いですね。

肝腎同源。肝の根は腎とともにあり、私達を支えています。肝の枝葉は天空に向かって枝葉を広げ私達の生きる意思ともつながります。この枝葉が楽しい心をもたらしてくれますし、より不安定なトラブルをもたらしたりもするのです。

閉経時というのは、大きな変化の時です。私達を支える腎気が不安定になり、同源となる肝気も不安定になります。そして肝の枝葉の大暴走が更年期の大きなトラブルです。

頭がふわふわしたり、ホットフラッシュになったり、頭痛がでたり、汗がでたりというのも、気の動きが不安定で、収まるべき所に収まりにくいというトラブルです。身体の源である肝腎が不安定なのです。

変化の時を上手に乗り切り、次の楽しい季節を楽しみましょう。
生理がなくなるっていうのは、ちょっと寂しいですね。
ただ、開放されてみるとなんという自由さ!軽快さ!だと実感も出来ます。

人生の新しい季節を、自分の身体を大事にしながら楽しんで過ごしたいですね。

更年期にしたい身体の手入れ
1)食事! ビタミンACEの接種を
2)運動 毎日1万歩のお散歩を
3)睡眠 充分に寝て、朝の光を浴びましょう
4)毎日のお灸、
自分で手軽に 合谷(LI4) 曲池(LI11) 足三里 太溪(KI3)
背中にやってもらおう 脾兪 腎兪(BL23) 大腸兪(BL25) 次髎(BL32)
5)マインドフルネス瞑想 心の解放を!

 

楽しく過ごしていきたいですね(^^)

21 腎が困ったとき。腎陰と腎陽の弱り

21 腎 生命力の源として 腎陰と腎陽の虚損

腎は生命力の源です。
3つの役割がありましたね

1)蔵精、発育と生殖を主る 2)水を主る 3)納気を主る
という3点。

これは私たちの生老病死する一生を腎が下支えしていくということにつながります。
下支えする存在であるので、成長を支え、そして次の世代へとつなぐ生殖をも主ります

さて、その病機は、腎陰、腎陽のそれぞれの虚損。そして派生する問題です。

1)腎陰虚損
原因として、①房事不節(つまり、やりすぎってことですね、はい)、②邪熱が長時間尹文への侵入。③五志化火、やはり心の問題はでかい!

病態としては陰の不足と虚火内熱

陰の不足=真陰不足→補腎益精
足腰だるい、遺精、閉経、耳鳴り、視力の低下、めまい、踝疼痛

虚火内熱→滋腎養陰
虚火上炎ー潮熱、五心煩熱、咽乾盗汗、歯齦疼痛

2)腎陽不足
原因として、先天不足、房事不節、寒涼な薬剤の長期使用、心脾両虚の波及
病態としては腎気不固と陽虚内寒のふたつ。

①腎気不固
腎気の不足から、腎の不納気。性機能↓、膀胱機能↓、大腸の失禁、早産、滑産

②陽虚内寒
身体の冷え、寒がり、陽痿、早泄、水陽な白帯、不妊(男女)
小便不利、遺尿、頻尿、下利清穀、五更泄瀉(腎特有)

→温腎補陽、温養行水(八味地黄丸、五車腎気丸)