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辛い生理痛、なかなか妊娠しない、シンプルに体調を整え妊娠出産-②0309

きつい生理痛、シンプルに体調を整え、必要な最低限の介入で無事の妊娠、出産ー0309

妊娠に関しては、年齢が若いと言うことはなんにせよありがたいことです。

それは色々な選択肢を時間を掛けて行うことが出来ると言うことです。

『自然妊娠をしたい』ということは、多くの人があたりまえに望まれることだと思います。

その①はこちら→辛い生理痛、なかなか妊娠しない、シンプルに体調を整え妊娠出産-① 

アンケートなどを含んだWEB版症例はこちら→

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さて、症例でご説明いたしましょう

妊娠をしたい。年齢が若いけどなかなか妊娠しないと言う方のご相談。
さあ、let’sスタートです。

☆ご相談 結婚して3年なかなか妊娠しません。

29歳です。結婚して3年。タイミングなどを意識しながら過ごしていますが、なかなか妊娠しません。

昔からとても冷えやすく、お腹や足先がすぐに冷え込んでしまいます。
特に気になりだしたのは、生理が始まってからです。
生理痛がとてもつらいです。小さな塊もまじり、初日二日目ととても辛いです。
高温期の中頃から胸の張り、下腹の痛み、イライラなどもあります。

☆☆不妊治療、いままでの経過

結婚して1年半ほどたったころ、なかなか妊娠しないので病院に通いました。
そちらでは、クロミッドなどを使いタイミングをとりましたが、
妊娠にいたっておらず、最近は病院もいっていません。

排卵、ホルモンの状態、卵管の通過障害、男性側の課題など、大きな問題はないと言われています。生理は定期的に来ていますが、少しプロラクチンの値が高いとはいわれています。

生理痛が辛いこと、冷えやすいこと、なかなか妊娠しないことなどが自分としてはとても気になります。

どうしたらいいのでしょうか?

☆私からのお返事:不妊カウンセリング、東洋医学的な状況分析から治療方針

手足やお腹の冷えがきになること。生理痛、そしてなかなか妊娠しないこと。
とっても気になりますね。

割合と規則正しい生活、そして運動もお好きで、元気なお身体を保つ環境にあると思います。

お身体を拝見すると、年齢の割に皮膚が薄いことがきになります。
また冷えは少しきつい印象があります。

冷えというのは、『その場が冷えていること』ではありますが、

   身体を温める血流が届きにくい

ということが原因になっている場合が多いです。
つまり、冷えている場所が問題ではなく、”暖かい血流がない”ということが問題なのです。

東洋医学の世界で考えれば、”気血の巡りが滞りやすい” ”身体を温め養う力が不足している” ということにつながります。

この皮膚の薄さと血流の問題を解決しながら、体調をupして、妊娠、出産へとつなげていきましょう。

少し整理しておきますね。

☆お身体の状態、不妊治療の進め方

1:年齢が29歳であること、夫に大きな問題がないこと

→ご夫婦の希望が自然妊娠であるならば、鍼灸で東洋医学的観点に軸足を置き体調を整えながら、生活改善をし半年から1年程度はタイミングでよいかと思います。ただし、すでに3年あまりの時間は経過しています。ステップアップしたくなったらいつでもよいと思います。

2:皮膚の薄さ、冷えの課題に対して

→東洋医学で言うところの、気の巡りの問題、また胃腸の力で滋養をとりこみ、身体を温め養う温養する力が少し不足していると思います。食事、運動、血流に気をつけて課題にとりくんでいきましょう。また年齢が若いので大きな課題にはならないとは思いますが、ご家族に血栓などができやすい家族歴がないかはチェックした方がよいかと思います。

3:病院について

→いままでの病院は不妊治療に積極的な病院ではないと思います。転院をお勧めします

☆東洋医学的な治療方針

・弁証論治
脾虚肝鬱瘀血
・治療方針
益気補脾 疏肝理気 (必要に応じて活血化瘀)

脾胃を中心に全身の力をおぎない、必要に応じて疏肝理気をし、気血の巡りをよくし、妊娠に向けての身体作りとする。

☆治療経過

2019年 8月ビッグママ治療室初診

1)右合谷(LI4)、三陰交(SP6) 右臨泣 大巨(ST27)、関元(CV4)、中注(KI15)
右足三里(ST36) 右陽陵泉(GB34)
2)肺兪(BL13)温灸
3)脾兪、三焦兪(BL22)、次髎(BL32) 鍼して温灸

自宅でのセルフケア:中注(KI15)、関元(CV4)、三陰交(SP6)、右臨泣、右合谷(LI4)、脾兪、三焦兪(BL22) 次髎(BL32)

9月 病院転院
フーナーテストをはじめてした。不良となる。人工授精をしてみる。

10月 奥歯の噛みしめ、力が入ってしまうことなどマインドフルネスを使ってのトレーニング

1年間でタイミングを挟みながらも人工授精を5回したものの妊娠せず。ステップアップ、転院をお勧めする。

2020年 8月 転院。いままでの経過から体外受精をスタート

体外受精ー新鮮胚移植 着床し少しHCGも伸びる。しかしながら胎嚢は確認出来ず化学流産
10月再度の採卵、グレードのよい胚盤胞が3つ凍結出来た。
12月、凍結胚盤砲移植ー無事の妊娠、不妊治療クリニック卒業。

☆☆妊娠中の鍼灸治療について

妊娠以来、血流問題があると思われるので、
・妊娠〜胎嚢確認までー週に4,5回
・妊娠12週まで週に3回

 その後、座骨神経痛、筋腫が大きくなるなどもあるが大きな問題とはならず。
痔の出現→ケアで乗り切る

夏のある日、無事に3000㌘越えの女児を出産 おめでとうございます。よかったねえ。

☆おわりに

無事のご出産おめでとうございます。とってもご夫婦の中がよく、お二人での楽しい日々にこれから元気なベビちゃんが加わっての生活。よかったなあと思います。

年齢が若いこと、自然妊娠がお二人の希望であったことなどから、少しゆっくりの不妊治療となりましたが、ベースとしての課題である気血の巡りの問題、身体を温養し温めていく力などを育むことができ非常によかったなあと思います。

病院選びも、その時の状況に応じて非常にスムーズな転院になったと思います。

血流の問題はちょっとだけ心配しておりました。上手なケアで乗り切れたかなと思います。

一緒に歩んで来れたこと、とっても嬉しいです。

子育て楽しんでくださいね。

辛い生理痛、なかなか妊娠しない、シンプルに体調を整え妊娠出産-① 0309

妊娠したいと思ったときに、なかなか妊娠出来ないとあれこれ考えちゃいますよね。

☆不妊治療で年齢が若いことのメリット

年齢要因は不妊治療ではおおきなメリットです。
妊娠に関しては、年齢が若いと言うことはなんにせよありがたいことです。
それは色々な選択肢を時間を掛けて行うことが出来ると言うことです。

『自然妊娠をしたい』ということは、多くの人があたりまえに望まれることだと思います。
しかしながら、年齢要因が高ければ、時間のかかってしまうことに関しては出来ることが限られます。

つまり、妊娠は人間の場合、28日に1回しか排卵しないので、
それだけしか挑戦出来ません。

半年掛けても6回。
年齢要因が厳しい40代の方の場合、半年たつと卵巣の状態も悪化ということが
めずらしくありません。
こういうときには、こういうときの作戦の仕方がありますね。

☆医療介入はなるべく少なくが生殖医療の大原則

”妊娠には、なるべく介入は少なく”というのも大原則です。
つまり、さまざまな医療介入はなるべく必要最低限でということです。

排卵をおこす、クロミフェン、クロミッド、セキソビット、レトロゾールなどの薬。
高温期を保つ、デュファストン、
薬に関してはこちらのサイトがわかりやすいですねえ。さすがはらメディカル。
不妊治療で使う薬 わかりやすい

また、人工授精(AIH)、体外受精、顕微授精、凍結・・・・などなど
沢山の医療介入があります。
私はどちらかといえば ”適切な医療介入はした方がよい”と考えています。

ただただ、”自然妊娠がよい” とか ”なにかするのは怖いから”という

理由から、なかなか次の一歩が踏み出せない方があります。

私は多くのそういった方の背中をぐいっと押してきました。

妊娠がしたいという気持ち、
不妊であると言う状態。
その地点から考えると、足がすくんでしまうことも多いでしょう。

でも、目的は妊娠することではなく、
愛するパートナーとの子供をもち、家族との生活を歩むことではないかなと思うのです。

妊娠だけを考え込んでしまうのではなく、家族をもつこと、家族との生活をスタートさせるために可能性のある選択肢を、適切に選ぶと言うことは大事だと思うのです。

☆自然妊娠したいというあたりまえの選択

確かに、”自然妊娠したい” というのも、あたりまえであり、かつ、医療介入が少ないというのは生殖医療においての大原則なのです。

医療介入はなるべく少なくというという大原則を踏まえながら、
何を選択すべきかということがとても重要です。

このあたりは、その方の状況によって、”採れる選択肢” と、”採るべき選択肢”が違ってきます。

つまり、排卵がまったくなければ、排卵誘発剤などは使うべきでしょうし、セックスが成立していないのならば、人工授精なども前向きに検討すべきでしょう。年齢が高ければ、時間を有効に使うような選択が望まれます。

☆なかなか妊娠しないとき、医療介入の少ない道を選ぶコツ

なかなか妊娠しないときには、

1)一般不妊検査を男性側も含めておこなう

2)タイミングを排卵前後を中心にに3,4回はとる。

3)体調をあげる、血流をあげる

4)医療介入をおこなう

私は長らく不妊治療に携わっていて、1−3までの段階を丁寧にすることで、案外多くの方々が、”自然に妊娠に至る”ということをよく知っています。つまり、医療介入がなくても妊娠が出来る可能性のある方が大勢いらっしゃるということです。

また、年齢が高めの方でも、40歳未満であれば、”半年程度”という期間は区切りますが、医療介入までのステップアップの時間をしっかりと1−3)に費やしていただき、4)の医療介入や体外受精の採卵をよりよい状態で迎える準備をしつつ、体調を整えていく中で自然に妊娠なさった方もおおくいらっしゃります。

年齢が若いと言うことは、1−3までのステップにかけられる期間がながいということです。今回の症例の方も、カップルのご希望が自然妊娠をしたいということでしたので、1年程度を目安にこの1−3のステップに時間をかけてもよいのではという提案をさせていただきました。

その後、4)の段階に入りましたが、それまでの準備ができていますので、スムーズなステップアップとなりました。

年齢が若いということのメリットを十分活かし、その上でご自身にとって最適な選択をできるといいですね。

それでは症例に続きます。
辛い生理痛、なかなか妊娠しない→

不妊カウンセリングのすすめ:できる限りのことをしたい。やれることはまだありますか? 0179

不妊治療をしていて、『同じ事を繰り返して、本当に妊娠にたどりつけるの??』と
考え込んでしまっている人は多いかと思います。

病院での説明、確かに「うんうん」とは思うんだけど、結論が同じ事の繰り返し。
体外受精を繰り返すだけでいつか私は妊娠出来るの?
せっかく着床したのに、母体側のせいではない???
私にやれることはなかったのでしょうか?

やるべきことがまだあるのか、一緒に考えてみよう。

妊娠しない、
体外受精しても全く着床しない、
ほんのすこし着床はするけど妊娠が継続しない。

不妊治療をしていて、いろんな状況があると思います。
とくに、ほんの少し着床はするけど、継続出来ないという初期流産、

『妊娠初期の流産は、染色体異常によるものがほとんど』と考えられています。

最近は、着床障害や、PGT(着床前診断)なども進み多くの方の課題解決に役立っていると思います。

しかしながら、あれこれと手を尽くしてもなかなか妊娠出来ない、また妊娠初期のちょっとした着床反応はでるものの、妊娠が継続出来ないというケースは多くあります。

体外受精などの判定日にドクターからの説明も、今回の治療で妊娠出来なかった理由、継続出来なかった理由を『あなたのせいではないですよ』という文脈でこのような感じで説明されることは多いと思います。

私もそれは十分理解し納得はしています。その上での今回のお話です。

☆生き物として、あたりまえのプロセス

妊娠しない、着床してもほんの僅かの数字しかでなくてリセット、というときには、
生き物としてのあたりまえの淘汰ということなのだなとは理解出来ます。
しかしながら、同じようなことがくり返されるときに、
出来ることはなにもないのでしょうか?
やるべき事の余地はまったくないのでしょうか?

私は長らく不妊治療の伴走をさせていただいて、
患者さんが、ご自身の力で、大きく扉を開ける症例を数多く経験させていただきました。
私も鍼灸でお手伝いし、セルフケアなどを指導させていただいています。

そして、それを実行し、道を前に進め、扉を大きく開けるのは患者さんご自身で、いつもその努力に頭が下がるばかりです。

 

☆不妊治療、当院でアドバイス出来ること。

 

当院でのアドバイスは、
東洋医学的な四診、特にお身体を丁寧に拝見する体表観察から導いています。

それに、食事生活記録やセルフケアの状況からもアドバイスさせていただいています。

妊娠は、ただ単にステップアップし、タイミング、人工授精、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療を取り入れただけでは解決しないことも多々あります。

いや、卵子と精子の出会いがなかっただけであれば、1,2回の体外受精でパッと解決出来ることも多く、そういったケースが大多数であると思います。

しかしながら、そういった対応では治療が前に進まない、

不妊治療の扉がなかなか開かない、
そういったケースも多くあります。

目の前の患者さんの不妊状態。着床や、ちょっとした反応だけで流産となっているケースが、本当に『自然の淘汰だね、しょうがなかったねえ』という理由なのかどうかは、ほとんどのケースがそうであっても、今回のあなたのケースがそうである可能性は高いにしても、絶対にそうだということもないと思います。病院の転院も含めて、ここにあなたの『やるべきことの余地』があると私は考えます。

☆できる限りのことをしたいという希望

ご自身に『やるべきことの余地』が本当にないのかどうかは、患者さんと一緒に考え、道を開くことが出来る可能性があるのならば、挑戦してみたいという多くの方との挑戦が過去にあました。
『できる限りのことをしたいんです』と仰る方の真摯なまなざしをいままで何度も頂きました。

そして私は、『子供が欲しい』と願った方に、一人で良いから子供を抱かせてあげたいと切に切に願っています。子供、一人いると人生の流れ方がかわります。その一人の子供をあなたとパートナーが胸に抱けますようにと強く、強く願っています。

そして、患者さんと一緒に二人三脚をするなかで、さまざまなケースで、
『やるべきことの余地』はあるのではないか、というのが、現時点での私の結論です。

漠然と思っていた、『やるべきことの余地』を、ぐっと前に押し進めるきっかけとなったのは、こちらの症例です。簡易症例、詳細弁証論治、患者さんからのアンケートもupしてあります。特に基礎体温表が興味深いです。

判定日hCG14、ガッツでフォロー!妊娠継続(38歳出産)

この方が、妊娠判定日の帰り道、歩きながら電話をくださいました。

『またちょこっとだけ妊娠反応が出たけど、ほとんどダメだろうと言われました。やっぱりそうなんでしょうか。ダメなんでしょうか』と。ぼそぼそと。

私はその時に、『うーんそうだね、じゃあさあ、いまそのまま治療院にこれる?』というと、『うん、行きますとのお返事』。そして治療院で、

『病院の先生の説明同理だとは私も思う。でも、出来ることはあるのかもしれないとも思う。とにかく、次の病院受診まで一緒にジタバタしてみよう』

と提案し、いままで何度かあった同じ状況から、出産までたどり着くに致りました。

このときにしたことは、とにかく妊娠初期、それもごくごく初期から、ガンガンと子宮血流をあげることでした。血流をよくすると言うことの誤解を解くのもこの時のポイント。全身の血流と子宮血流のupは相反します、これがポイント!!。

治療に工夫や色々な事を折り込み、『自然な淘汰のせいだよね』と推定される状況での『やるべきことの余地』を広げる努力を一緒に重ね、手応えがある。そんなことがあるのです。

一般論ではそうだ。
そう、それはそう。
自然な淘汰というのも、あたりまえにあることです。

でも、東洋医学的な考察や、体表観察を重ねた上で、患者さんと話し合い、提案をさせていただき、扉を開ける挑戦をしていくことが出来ればと思うのです。

イラスト