カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 不妊 流産

判定日hCG14、ガッツでフォロー!妊娠継続(38歳出産)

概要

32才から不妊治療を始め、タイミング、人工授精と進み、IVFにて採卵2回、移植4回行うも、1度hCGが3の初期流産以外すべて陰性。基本の身体作りから始め良好胚の採卵、そして移植周期のガッツリしたフォローで無事に妊娠継続、出産となりました。

(この症例の弁証論治→判定日hcg14、ガッツでフォロー!妊娠継続。38歳出産
(この症例の患者さまの声はこちら→「妊娠中の鍼灸治療の満足度に関するアンケート」1-2
【case:0179】【神奈川/藤沢】

ご相談内容

32才から妊娠を希望して、体外受精-胚移植も4回行いましたが、化学流産かまったくの陰性で不妊治療をどうしたらいいのか悩んでいます。

身体が冷えると生理痛も辛く冷えが不妊にも影響しているのではないかと思っています。冷えて下痢をしちゃうこともよくあります。

下痢になってもお通じがあることで身体は落ちつく感じもしています。便通がでないととても辛く1日出ないと詰まった感じがしてとても辛いです。生理でも便通でもこの詰まった感じがあると吐き気がしたり体調がぐっと悪くなります。

足先の冷えは家にいるときに特にひどく、冬は水の中に入っているかのように冷えてしまいます。ただ外出すると逆にのぼせ暑くなりやすい感じがあります。汗が出始めるとドバーッと出て止まらない感じになることもあります。皮膚におできも出来やすいです。

このまま採卵をしても同じ事の繰り返しだけが起こり、治療が前に進む気がしません。どうしたらいいのでしょうか?

東洋医学的診立て

東洋医学的弁証論治
弁証:腎の陽気不足を中心とした腎虚肝鬱 肺気の虚
論治:益気温養補腎 補肺

治療方針:腎の陽気不足を補い、肺気の蓋をしっかりし、全身の気虚を救う。腎気の充実より女子胞力の充実を狙い妊娠に向けた治療とする。肝鬱は問題としない。

治療経過

36歳
初診 週に1-2日の鍼灸治療スタート 自宅施灸スタート(全体に火傷ができやすい)
1ヶ月後-HR周期2段階移植-βhCG16(今までで一番数字はよかった)-継続できず
3ヶ月後-採卵-採卵時の血流がよいと言われた。3日目でG5 胚盤胞は適応外
5ヶ月後-食事指導 全体にタンパク質が少ない、リストから指導
37歳
6ヶ月後-採卵 D3では卵が15個見えた 6個採卵3日目G3が2つ、胚盤胞G5に近い4
7ヶ月後-メインディッシュに炭水化物が多いので指導
10ヶ月後-転院 抗核抗体が高いと言われる
11ヶ月後-採卵 成熟卵-3cellで止まる 未成熟卵-6日目胚盤胞
1年後 凍結胚盤砲移植 判定日βhCG14 ここから毎日鍼灸治療 →131→1600
妊娠12週までは週に3回の鍼灸治療を継続、その後は週に1-2回で出産まで継続
38歳 無事に3300グラムオーバーの女児を出産 胎盤が大きいと言われた。

鍼灸治療:初診
右内関-左大都(SP2)、左公孫 三陰交 大巨(ST27)、肺兪、右厥陰兪、右脾兪(BL20) 左三焦兪 右腎兪(BL23)

着床のころ:
肺兪-腎兪(BL23)-次髎(BL32) 骨盤部冷え、臍 三里 三陰交 左外関

妊娠初期:
臍 三陰交 左外関、陽池(冷え取り) 陰陵泉 陰谷
脾兪(BL20) 胃兪 氣海兪 次髎(BL32) 大腸兪(BL25)など。
妊娠初期の不妊治療ポイントの図

あとがき

32才からの妊娠後希望で4年。沢山のことをすでに挑戦しダメだったというところからの鍼灸治療スタートでした。

身体作りは、ただ鍼灸を受ければよいと言うことだけではないと言うことを患者さんとふたり実感をもって歩んできたように思います。本当によく頑張られました。

生活全般を見直すということは、いままでとは違う国にいて、違う生活をするようなものですね。一日のリズム、食生活。それらを変えていくのは大変なことだったと思います。

その一つ一つをしっかりと見つめ、地道に改善へとつなげていったことで、ご本人の地道な努力、そして妊娠出産への強い希望がここまでの治療を支えてきたのだなと思います。