カテゴリー : 不妊・婦人科の症例集 30代後半 40代 不妊 婦人科

子宮内膜症、チョコレート嚢胞、多難の不妊治療(43歳出産)

概要

39歳から続く不妊治療、体外受精を繰り返すも妊娠出来ない状況。子宮内膜症などの婦人科疾患も厳しい状況の中での身体作り。43歳の出産となりました。

(この症例の弁証論治→できる限りのことはしたい!! 43才出産
【case:0108】

ご相談内容

39歳で結婚しました。人工授精を4回したのち、体外受精に挑戦していますがなかなか結果がでません。

子宮内膜症があり、卵巣のチョコレート嚢胞の状態も気になります。採卵して、移植したり、胚盤胞まで培養したりしていますが、空砲が多くまじります。またせっかく採れても、分割で止まることも多く治療が前に進みません。

41歳で、子宮内膜症の状態も悪く、不妊治療そのものも厳しい状況にあるのは自分でもわかっています。

でも、できることがあるのならば、できる限りのことはしてみたいと思っています。がんばってみたいのです。

東洋医学的診立て

不妊治療、だいぶがんばっていらっしゃいますね。できる限りのことをしたいという思い、よくわかります。漢方、鍼灸、病院での治療など、いま精一杯のことをなさっているのだなと思います。

少し、問題を整理してみましょう。

昔からある背中の凝りを中心とした肩こりや腰痛は身体の力不足が根底にあります。身体の力が不足しているにもかかわらず、日々の仕事や、不妊治療を「頑張って」いるので、肩や背中を懲らせているわけです。また身体の力不足があるので、気血の巡りも悪くなって手足末端の冷えなどにつながっています。根底にあるのは「生命力不足」です。

この生命力不足を救うのに、○○さんにとって一番必要なのは、胃腸の力です。

背中の胃の裏が凝ること、お腹のおへそなどを中心に脈打つ感じがあること、そのほか胃腸の力を示す経穴が非常に弱っている感じがします。20代の頃には、直接的にストレスなどが胃腸に加わり胃炎などの状態を引き起こしていたのでしょう。そういったことがなくなっても、胃腸の力自体が健やかになったのではなかったために、凝りの部位が腰まで広がりむくみも伴うようになってきたのだと思われます。(脾胃の力不足より、腎気の不足もまねくようになった)

妊娠したいというご希望であり、卵巣の機能自体はFSHの数字などをみてもさほど低下していらっしゃらない状態です。胃腸の力をつけ、全身の気虚を救い、気血を骨盤内の子宮卵巣に導き、妊娠を現実のものとできるように頑張って行きましょう。

週に1,2回の鍼灸治療、毎日の自宅でのお灸はしっかりとやっていきましょう。また、規則正しい生活、睡眠、血や肉になる食べ物(タンパク質脂質など)も、よく噛んでしっかりと接種しましょう。

漢方薬もいろいろと先生が考えてくださっていることと思います。細かいことはさておき、まず第一に生命力をつけ、全身の気虚を救う方向でご相談をされてはと思います

東洋医学的弁証論治
弁証:脾虚を中心とする気虚 腎虚、肝鬱
論治:益気補脾 補腎
治療方針:
まず第一に脾気をたて補気し全身の気虚を救う。
主訴が妊娠であるので、下焦に気を導き腎気を養う。
肝鬱は基本的にいじらない(もともとの生きる姿勢であり、現在肝気犯胃の状態にまではなっていないため)