不妊カウンセリング: 不妊治療で体調が悪くなるばかり、どうしたらいいのでしょうか?0188

不妊相談  体調が悪くなるばかり、不妊治療を進めることが出来る”身体作りへ

妊娠をしたいという希望。

病院にいくと、様々な提案がなされ、ときには身体に負担となる治療も多くあります。

ホルモン剤の注射や、多くの採卵を期待しての様々な治療。体外受精や顕微授精などの高度生殖医療受精は、ご自身の”健康”というい観点からはかなり負担となる側面ももっています。

しかしながら、その治療は、より妊娠、そして出産へは可能性を高めてくれる治療でもあります。

この不妊治療そのものが身体に大きな負担となること。また漢方薬や、サプリなどの栄養の観点から取り入れる対策も、経口摂取に偏りすぎると、胃腸へのふたんとなってしまい、滋養を身体に取りこむどころか、身体を素通りし、生命力への負担となってしまうことがあります。これでは、結果的に不妊治療が前に進まないという事態を招いてしまいます。

今日は、そんな、栄養を気遣い、漢方を飲み、サプリを沢山飲んでいても、不妊治療が前に進まないというお悩みに対しての、対策です。

ご相談:不妊治療が前に進みません

33才から不妊治療をはじめました。

もともと体力がなく、20代に体調が悪くなったときに体重がBMIで17.15まで落ちてしまいました。

少し回復しましたがBMIの18には届かない状態です。

体力をつけようと色々と努力しましたが、

・漢方は胃にダメで飲めない
・栄養療法はサプリが胃に負担でかえって体重ダウン
・下痢をしがちで、食べたいけど食べられない
・毎日が体力的に精一杯

こんな状態です。
栄養療法では、さまざまな栄養素が足りないといわれ、自費で高額なサプリを購入していますが、貧血の状態が多少改善されたものの、他の数字はまったくかわらず、かえって体重は落ち、胃腸の状態も悪く下痢が多くなり、体重が減ってしまいより痩せてしまいました。

病院での不妊治療は、人工授精を6回の後、体外受精もしています。

凍結胚をつくって移植しても妊娠につながりません。
このまま繰り返しても妊娠できるきがしません。

どうしたらいいでしょうか?

不妊カウンセリング:
『不妊治療、何をすべきか優先順位をたてる』ことが一番大切

お子さんが欲しいというお悩み、一緒に考えていきましょう。
ご自身で考えられることは、いろいろと頑張っていらっしゃりますね。

出来ることは精一杯やっていらっしゃると思います。

いまの状況は、『不妊の対策のために、なにかよいことをプラスする』ではなく、

『不妊の対策のために、何をすべきか優先順位をたてる』ことが一番大切だと思います。

漢方も、栄養療法のサプリも、身体作りには効果的であることも多いと思います。

ただ、ご自身にとって効果的かどうかはもう少しかんがえてみるべきですね。

いまの状況では、妊娠しないからと、あれもこれもとてんこ盛りにしていることが、かえって身体にとっては負担になり、悪循環となり、不妊治療が前に進まない大きな原因になっていると思います。

東洋医学的にお身体を拝見すると、ご自身の器が小さいということが一番の問題です。

つまり、身体のキャパシティーが小さいので、努力なさっていることを、身体が受け取りきれず栄養、滋養、漢方などが素通りするばかりでなく、胃腸の負担となりかえって身体の力をそいでしまっていますね。

また不妊治療は、身体に負担のかかる治療です。ただ、その1回で妊娠にいたれば、メリットの方が大きいと言うことです。しかしながらなかなか結果がでず、不妊治療を繰り返すことが、身体の力を奪い、悪循環となってしまっています。

ここで、やっていくことの順序立てを考えていきます。

順序立てて不妊治療を進めましょう:2つのステップ。

第一に、全身の力をつけましょう。

このステップにより、食物を受け止める力がつけば、日々の食べ物、漢方、サプリなどからの滋養を受け止めることができ、身体作りに加速がつきます。悪循環からの脱却です。

第二に生命力の余力をためましょう。

この生命力の余力は東洋医学のいうところの腎気の力、そして妊娠し子供を育てる女子胞(子宮)の力です。女子胞力があがることで、きっと不妊治療が前に進みます。

この第二のステップは第一のステップである程度身体の器ができてからにしないと前に進みません。とにかくまず第一のステップをやりとげましょう。少し時間は掛かると思いますが、前に向かって進みましょう!

弁証論治
脾肺の虚
益気補脾補肺

先ず第一に脾肺の虚を救う。不妊治療としては腎気の充実をのぞみたいところだが、脾肺の虚を救い、食物、漢方からの滋養をしっかり受け取れるようにしたのちに腎気の充実を図るようにしていく。

妊娠、出産へつながった治療経過

…初診

右内関、左公孫 太谿 足三里 気海

肺兪 左脾兪、右胃兪 三焦兪

週に2回 自宅施灸毎日でスタート

3ヶ月ぐらいまで、下痢がかなり多い(とくに生理がくるとひどい)

生理前の不正出血続く

胃の調子が整うまでサプリは少し中断。

6ヶ月ー11ヶ月後

半年後、生理がきても下痢ではなくなる。便が出るとすっきり感が出てくる

8ヶ月後採卵ー10ヶ月後移植 hcg100越えで妊娠ー心拍確認できず

13ヶ月後

流産から3ヶ月後、病院で移植出来ると言われ本人もやりたいと(米山:流産後の復調が今ひとつなされていないので、もう少し待つようにアドバイス)移植ーまったく反応出ず。

15ヶ月後

公孫しっかりしてくる。最近仕事が終わっても疲労感が少ない。体力の底が出来た感じがする。多少の体調のブレがあっても体重が減らなくなった。

17ヶ月後 採卵ー胚盤胞凍結出来た

22ヶ月後

採卵ー胚盤胞凍結出来た(いままでで一番良いグレード)

今までは夏はげっそりしていたが今年は大丈夫だった。朝からちょっと食べると下痢していたがそれもなくなった。食事や漢方などだけでは実感が出来なかったが、鍼灸によって自分の身体がぐっと変わった実感がある。

24ヶ月後

胚移植ー妊娠ー継続

無事に出産にいたる。3000㌘越えの女児を出産

2年後 残った凍結胚で二人目の出産

あとがき:体調がよくなるということ

鍼灸を始められて、16ヶ月後の感想が印象的でした。

・それまでは仕事で精一杯、あとは倒れて寝てばかりが、動ける。体力↑を感じる。
・何をやってもダメだった。胃腸の問題が大きい。食べ物が身になるのを感じる。
・自分がすごくかわったと思う。身体が信頼できる。

不妊治療は、身体の余力があって初めて前に進みます。
16ヶ月、つまり①年以上の歳月が、第一のステップをなしとげるためには、
この患者さんには必要だったのです。

しかしながら、こうやって生命の余力があがったので、第二のステップに無事に進めることができ、妊娠ー出産。そして残った凍結胚で二人目のお子さんも無事にご出産という道筋を歩めることになったと思います。

不妊治療、どうしたらいいのかと迷うばかりだと思います。

一緒に前にすすんでいきましょう。