ご相談にお答えして。体外受精をやり続けていくしかないのでしょうか?ステップアップとステップダウン

妊娠したいというご相談で、このところ立て続けに同じご相談をいただいています。

 

質問:
1度は自然妊娠しているのに、体外受精などしても着床すらしません。どうしたらいいでしょうか?

自然妊娠をした経験があります。
残念ながら流産になってしまいました。

その後、いろいろなことに挑戦していますが、なにをやっても、妊娠できません。
まったく妊娠の反応がでません。

病院では、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療を進められ、すでに何度も挑戦していますが、
受精卵はできるものの、移植しても全く着床反応すらなく、妊娠がものすごく遠くなってしまった
ような気がします。

私は、1度はなにも医療の手を借りずに妊娠しています。
それなのに、いっぱい努力して、体外受精などをしても、着床すらせず、
妊娠などまったく出来ていない状態です。
どうしてでしょうか?
私はどうしたらいいのでしょうか?

 

不妊治療をしていると、どうやって解決したらいいんだろうと思い、ドクターに質問しますよね。すると『妊娠できない理由』をいろいろと説明されることになると思います。

その説明は、確かに『そうだ』と頷けるものではあるのですが、では、その課題を解決すれば、妊娠出来るのか? という疑問がわきます。

私は、20年以上不妊治療に携わっていますが、最近の傾向で、

患者さんも、病院も『待てない』と感じます。

以前は、何ら原因がなくても、流産になってしまったこと、なかなか妊娠しないことを、『仕方がないね少し待ちましょうか』という感じのお返事があったような印象があります。

これは、無責任なようですし、患者さんにとっては、一刻も早く妊娠したいのにという思いに答えてくれているお返事ではないので不満が残ると思います。

ただ、やみくもに医療を積み重ねることが時に解決への道を遠ざけてしまっていると思わざる終えないことを感じたりもするのです。

 

☆流産してしまった理由探し・・・

せっかくした妊娠が流産。
それは本当に悲しくて辛いですね。
納得出来る理由を探すというお気持ちもよくわかります。

流産の中には、かなり初期の流産から、心拍確認後の流産まで含まれますね。
また不育症でとらえると、流産と言われる時期のあとにおきた出来事も、出産にたどり着かなかったケースはすべて不育症の範疇で考えていくことも理解出来ます。
初期の流産だけが妊娠における課題ではないということです。

 

☆理由として考えたい、自然な淘汰、血流、必要な安静

流産の理由の大きい物は、自然の流れ、淘汰と言うことが大きいです。
何らかの理由で、ちょっとご縁がなかった、ということもあるのかもしれません。

また、流産なさった方に言及されることはありませんが、母体側の血流など卵を受け止める力の課題もあるのかなと思います。季節要因は否定されていますが、妊娠が継続出来にくいタイプの方だと、ある季節が妊娠の初期を乗り越えやすいなと感じます。

また、昨今、胚移植などをしたあとに『普通にしていて良い』と言われるかなと思います。
この普通が本当に人によって違うなと感じます。もともと活動的な人の普通と、おとなしめの人の普通。違いますね。

 

☆昔のドクターの経験から

15年ぐらい前、あるクリニックでは、妊娠成立と共に全員安静入院。
また他のクリニックではお勤めをしている人に診断書を出して仕事を休みやすくしていました。
これらを候っていて、あー安静が必要な人がいるのをご存じなドクターがいらっしゃるなと
感じました。

これらが、全員に必要とは思いませんが、2の課題などを持っている方、状況的に仕事や家庭での生活が忙しい人には強制的な安静となり、ホッと出来たのかなと思います。
そして一生のうちのほんの少しの時間が、ある一定の方々には妊娠の継続にとってどうしても必要であり、人生をかえるチャンスになっているという事実があるんだなと思います。

☆緊急事態宣言がもたらしてくれた妊娠、出産

実は、コロナの初期。日本中、いや世界中が動くことがなくなりました。電車通勤や人と集まること。引きこもって安静、安静。ちょうどお二人ほどその時期に妊娠初期を迎えられている方がおられました。このお二人は、数回の体外受精でなかなか妊娠初期が切り抜けられなかった方です。

そして、このお二人には、『いまこそ、あなたの妊娠継続のために、しっかりと引きこもり安静生活をしてください』とお願いしました。ジタバタするのではなく、神様がくれたラッキーな時間です。

無事におふたりとも、妊娠を継続され、出産までたどりつきました。
それまで何度も繰り返していた、着床から妊娠5,6週までは到達するものの、流産という経過を乗り越えられました。

安静で妊娠初期を切り抜ける。『あなたの妊娠が成立するため』に誰もが必要であるとはいいません。ただ、いろいろな要因はあったと思いますが、ときに妊娠初期の安静は『効く』と私は感じました。

 

☆ステップアップとステップダウン

・人工授精をしてみた
→妊娠出来ない

・年齢要因があるのでステップアップ
→妊娠出来ない

人工授精、タイミングなどでは妊娠出来ないので、ステップアップして体外受精しましょう
→妊娠出来ない

さらに体外受精を続けましょう
→妊娠出来ない

着床障害の検査をしましょう
→妊娠出来ない

妊娠出来ない→→→∞の繰り返し。

 

確かにそうだとは思います、この流れでひとつの正解ではあるのでしょう。
ただ、過去のご本人の状況、今の状況などを勘案すると、ステップアップが必要ではなく、
他の要因へのアプローチが必要であり、その上で時間、年齢要因を考えながら治療を選択していくことがとても大切だなと思います。

ときに、ステップダウンも選択肢になると思うのです。

 

☆妊娠出来ない理由、探し方のコツ

ただ、漫然と『妊娠できない理由』から、不妊治療をステップアップしながら継続しているだけでは無限ループに陥るが如く混迷してしまうことがあります。
時間とお金がかかる不妊治療だからこそ、
しっかりとご自身の『妊娠につながるための努力』をして欲しいと思うのです。

解決策を探そう原因ではなく、解決策を探しましょう!そして前に進みましょう。