具体と抽象でみる臨床の世界
もうすぐ、針のメーカーであるセイリンさん主催のセミナーでお話しさせていただきます(鍼灸師向けのセミナーです)。
パイオネックスという、貼るタイプの小さな針。
私はこの針が大好きでよく使っており、そのご縁からお話しの機会をいただきました。
妊活や女性疾患に関する講演はこれまでも多くさせていただいていますが、今回のようなテーマはあまり経験がなく、少しドキドキ(^^)
でも、とても楽しみにしています。

具体と抽象
セミナーのスライドを作っていて、「具体と抽象」というテーマを改めて考えました。
この「具体と抽象」という考え方は、慣れてくるとそんなに難しいものではなく、ちょっとした“思考の道具”のように使える感覚になります。
参考になる本もあります。
👉 『13歳から鍛える具体と抽象』
小児はりの世界と生命観
小児はりの先生が「マニュアルを作るのは難しい〜」とおっしゃっていました。
これは、小児はりをなさるベテランの先生方の多くに、「子ども全体を眺める生命観」が自然に根づいているからだと感じます。
その生命観の発露として“技術”がある。
この順番が大事なんだと私は思っています。
つまり、抽象のレベルに生命観や論理があり、具体のレベルにノウハウや技術がある。
この両者が響き合うことで、臨床は豊かに、自由に広がっていくのだと思います。
「どこに貼る?」の背後にあるもの
パイオネックスは置き鍼なので、技術的には貼れば効きます。
一番よく出てくる質問が「どこに貼るの?」というもの。
もちろん大切な問いですが、本当に面白いのは、その「どこに」を導き出す“背景の考え方”です。
臨床の上手い先生方は、当たり前のように自分の中にある生命観(抽象)をもとに、目の前の身体に技術(具体)を落とし込んでいきます。
初心者の臨床家は、この生命観がないまま具体の質問だけをしてしまうことが多い。
だから、なかなか広がりが掴みきれないのだと思います。
同じ「どこに貼る?」という質問でも、その答えの“深み”が、受け取る人によってまったく違ってくるのだと感じます。
抽象と具体の往復が生む広がり
臨床を日々実践していく中で、この「抽象と具体の往復」を意識してみると、見える世界がぐっと豊かになります。
論理で考え、感覚で表現する。
頭と手のあいだを自由に行き来できるようになると、施術の一つひとつが、まるで“生命観の翻訳”のように感じられます。
まとめ
論理がなければ、目の前の人間を理解できない。
でも、技術の表現力がなければ、いくら論理を振りかざしても臨床は成り立たない。
抽象と具体。
どちらも欠けてはいけない、鍼灸の面白さの原点かもしれません。
うふふ、やっぱり臨床って楽しいですね😊
