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17−1心って大切 心気と心陽の問題

東洋医学では、一人の身体を五臓という肝心脾肺腎という5つの側面から考えていくことができます。

その中での心。


心っていうのは、血脉と神を主っています。

身体は血脉の運行によって生きていますからとっても大切、そしてそこに神(しん)も宿っていると考えています。詳しくはこちら、心は血脉を主る

さて心気と心陽の問題と、心血と心陰の問題に大きくわかれます。
17−1では心気心陽の問題、17−2では心血と心陰の問題を考えます。

17−1
心気と心陽の病機
・心気不足(軽)
・心陽不足(中)
・心陽暴脱(重)
心の実
・心火上炎

17−2
心血と心陰の病機
・心血不足(虚)
・心陰不足(虚)
・心血瘀滞(実)

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17−1
心気と心陽の病機(虚証)
・心気不足(軽)→心気の虚、気虚の症状
・心陽不足(中)→心気虚+内陥(これがあると陽虚)
・心陽暴脱(重)

原因:慢性病、特に脾胃(気血を化生)の問題から心の病
  :急性病、邪気が強すぎると心気の陽を消耗、心陽暴脱

心気不足(軽): 心臓の拍動が弱く(血脉を主る)、心神の鼓舞も弱い(神志を主る)、動悸、呼吸微弱、懶言、精神不振など。

心陽不足(中):血中の温煦、運行が衰弱、寒がり、冷え、前胸部刺痛(おけつっぽい)

心陽暴脱(重):心陽衰弱が過ぎると陰は陽を守らず、突然暴脱。顔面蒼白、多汗、四肢厥冷、血圧下降、脈微、混迷

冷えの軽重:軽(自覚症状:手足冷たい、他人が触ってもひどくない)
      重(他人が触るとかなり寒い感じ)

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心の実
・心火上炎

原因(火を化す)
:熱邪→外邪である
:虚火→うちから、外から火になる
:情志活動の太過、肝ー疏泄を主るー肝気は動く、その肝気を押さえると太過→化火

心火を引き起こす
→火は心に属す、心は陽臓
→心火は必要なモノ(心火がなければ血液は冷たい、流れない)
心火+火熱は大変な暑さとなってしまう。

心火上炎
1、心神憂動→動悸、心煩、不眠、多夢(火に寒する夢)イライラ、不安
2,上部に影響→顔色赤く、目赤、頭が痛い
3,舌に影響→舌、口の中の回陽、びらん、舌尖紅点、疼痛
4.小腸に下移、小便黄赤、排尿時の灼熱痛

16 病気の位置はどこにあるか? 表、半表半裏、裏。

16 病理と病証

病位についての病証

表位、半表半裏、裏と3つの病位(病気の位置)を考えています。
こちらは図で。


病情について
寒熱を考えます。
熱ー陽盛ー実熱ー発熱、高熱、口渇、煩躁、便が秘結、尿が赤い、苔が黄色、数脉、有力
 ー陰虚ー虚熱、内熱、喉渇く、五心煩熱、潮熱
寒ー陽虚ー虚寒
 ー陰性ー実寒証、寒実症  手足の冷え、下痢多尿、苔白、湿潤、脈が遅い

病勢について
 虚;喜按、脈が細くて弱い、微、疲れやすい
 実:外寒六淫の初期、瘀血、痰飲 脈があふれる、滑実

陰陽について
 陰:生体反応が賃貸、減弱、裏寒証
 陽:生体反応が発揚、増強、表熱実

2:気:生きていることは暖かい、臓腑には役割があり、関係性がある

気:生きていることは暖かい、臓腑には役割があり、関係性がある

さて、前回は気の昇降出入。

気については、基本的な概念として三臓(肺脾腎)によるものであることぐらいを押さえ、前回の気の昇降出入を押さえておけばいいんじゃないかって思います。細かくあれこれやっても承が泣くねって感じで。

一番のポイントは、気血という概念がどういう場の設定になって語られている言葉かどうかということです。

全身を気と言う言葉でくくってみているとき。
全身を気血という言葉でくくってみているとき。
全身を五臓でくくり、その中で気血の概念を使っているとき。

東洋医学での言葉遣いをみていると、この場のくくりの使い方がめちゃくちゃだったりしますよね。これが混乱の元。同じ言葉でも、場の設定が違い、使い方が違ってきているときがあります。この言葉は何を語っているのかを踏まえることがだいじっすよね。

で、もう一つ。
気の話で大事なのは作用の5つ。

推動:押し進める作用
温煦:暖める作用
防御:外邪の侵入を防ぐ作用
固摂:血液が外にあふれないようにする作用と、汗や尿の排泄をコントロールする作用
 (固攝作用は推動作用と補助し合っています)
気化作用:気血津液精のあいだの化成、機能をさします(たとえば、膀胱の働きである排尿は膀胱の気か作用ですね)

気の運行形式を気機といいます。昇降出入が大事。

生きていることは温かい、そして臓腑には役割があり、関係性がある。ってことがポイントね。

15-3 痰の塊が病気の原因そのものになるもの。痰飲

15−3 不内外因:痰飲

不内外因のひとつに痰飲があります。不内外因は、内因でも外因でもないものとされます。痰飲は、水液の代謝の中でできてた病理産物であり、痰飲そのものが病因となる状態であるものです。

痰:はきだすもの(有形)
無形の痰→瘰癧、腫塊、粘調性があり身体のあちこちに分布
飲:岐伯、身体の局所に分布

肺:通調水道、宣発と粛降から津液の輸送を担い、痰が停留しやすいところです。貯痰は肺ですね。

病に致る特徴

:腸間にたまると、腸鳴音がアップ
胸脇に蓄ると、胸脇腸満、咳、脇痛
横隔膜にたまると、胸悶、咳、喘息、胸部浮腫、仰向けにねれない
皮膚(筋肉と皮膚) 水腫(浮腫よりもつよい)、無汗、身痛


:肺にたまると、肺は貯痰の像、咳、多痰、喘息、
心を阻害すると、心血の流れが↓、胸悶、動悸
胃にたまると、胃の和降↓、悪心、嘔吐、胃脘脹痛
頭を犯すと、精陽不振→めまい
乳房にたまる→乳房腫塊、脹痛
経絡筋肉に留まると、痰核(リンパ結節、焼き鍼)、肢体麻痺、半身不随
咽喉にたまると、咽中に拘束感→梅核気(精神的原因)
心竅に迷走、痰呆、神志失調、混迷

注;頭は諸陽の会、精明の腑
脈は滑、苔は膩

健やかな胃腸の動きがあり、肺気がしっかりと働いて水液の輸送をおこない、腎の気化作用によって排泄がスムーズであれば痰飲が生じることはありませんし、また逆に、痰飲を解消して行くにも、不内外因として形成された痰飲を取り除くというよりも、この3つの臓腑の働きを活発にして痰飲をけしさり、生じなくしていくということがカラダ作りの基本となっていきます。

その上で、形成された痰飲の状況が独立的に悪い場合は、西洋医学外科的アプローチが奏功することもあります。どんな選択肢が「いまの健康状態」に必要であるのかはしっかりと見極める必要があると思います。痰飲を外科的に取り除いても、痰飲を引き起こす状況がそのままであれば、身体の状況が好転しません。肺、脾、腎の健やかさがのぞまれるところです。

15−2 働き過ぎも、病気の原因。

15−2 不内外因:働き過ぎ 労逸失調

14で病因(内因、外因、不内外因)
15で、そのなかの不内外因を考えています

さて、働き過ぎについて

過労は、元気を損います。働き過ぎは身体によくないよってことですねえ。
昨今のニュースでも、「過労死」などと取り上げられていますが、東洋医学の世界では
昔から病因の一つとしてこの働き過ぎをあげています。

また、単なる過労だけではなく、精神的な過労も病因としています。

過度な精神負担は、心を病みます。心血を損します
過度な重い悩みは脾を損します。脾の運化機能に影響がでて、食欲不振やお腹の張った感じ、下痢がおこります。

過度な思慮も働き過ぎになるんですね、そして気血の流れが停滞し、脾胃に影響し、胃腸の運化機能を停滞させます。

 

長時間労働削減にむけた取り組みってのが厚生労働省のサイトにあります。

太古の昔から、働き過ぎは問題で、いまもなお同じ課題はありますね。

まあ、生きている時間を何に使うか、

働く時間っていうのはなんなのか、

考えてみなくてはいけませんね。

厚生労働省働き過ぎガイドライン