私の受けたい治療⑩ 子宮筋腫、婦人科疾患とのつきあい
妊活の鍼灸治療が多くなる中、それにつれて婦人科疾患での施術も増えてきました。
子宮内膜症や子宮筋腫などの多くのご相談をお受けすることになっていきました。
☆妊娠に壁となる婦人科疾患、全身の体調
妊活をすすめていると、子宮筋腫や内膜症などの婦人科疾患が問題となり妊活が進まないというケースを多く拝見することとなりました。子宮内膜症の状態の改善が妊娠の道を大きく開くこと、また子宮筋腫がありながらも、無事に妊活をすすめられてご出産とつながることも多かったです。
また、リウマチ、喘息や疲労感などなどの体調が悪いこと、体力がないことによる妊活の不調や、メンタルの不調などでさまざまな問題が、妊活治療と共に課題となり、一緒に解決の道を考えるということも多く経験していくことになりました。
☆☆妊娠だけではなく、幅広い課題の解決が結局妊娠につながる
私が妊活に舵を切るきっかけの頭痛の患者さんもそうですし、
・体重の課題、
・子宮筋腫、内膜症の問題、
・ご夫婦の問題、
・経済的な問題、
・思想心情的な問題
妊活の壁となるさまざまな課題は、私の鍼灸治療の幅を大きく広げていくことになりました。
また私自身の子宮筋腫とのつきあいも、婦人科疾患との付き合い方を考えるいいきっかけとなりました。
☆自分自身の子宮筋腫とのつきあい
子宮筋腫は女性にとって、結構ある疾患です。
多くの場合は、さほど問題にならず、検診で子宮筋腫があるねと指摘されるものの、妊娠にも大きな問題とはならず、共存していくような経過になることが多いのかと思います。
そして閉経と共に筋腫も小さくなり穏やかになります。
☆子宮筋腫が妊活や健康に大きな問題となるとき
子宮筋腫、子宮内膜症など、多少の課題を抱えながらも様子をみることが多いと思いますが、これらエストロゲン依存性疾患の場合は、生理がある期間は、症状が悪化していきます。
部位や大きさ、妊娠の問題などで子宮筋腫、子宮内膜症は手術や
ホルモンの調整などの処置が必要な事もあります。
私自身の子宮筋腫は、粘膜下筋腫といい、大きさは小さくとも出血がかなり多くなるタイプで、付き合いには苦労しました。40歳を過ぎた頃から過多出血気味となり、最終的にはUAE(子宮筋腫の動脈塞栓術)をおこない、全摘することなく共存となりました。
この過多月経がひどかった数年の体調管理と鍼灸、漢方は大きな学びともなりました。
また子宮筋腫の患者の会では、相談を受ける立場として長らく一般の方のお悩みについて、一緒に考えていきました。
☆子宮筋腫の患者の会でのカウンセラーとして
自分自身の子宮筋腫と向き合うために患者の会に入り、いろいろな悩み、意見を知るうちに、相談を受ける立場として、運営側に少し軸足をおいていました。
この立場をカウンセラーと呼んで良いのかどうなのかという迷いはありますが、
数人で情報を共有し、お悩みに対して、
・現状の整理、
・病院で提示されている事への理解
・今後の選択肢
などを一緒に考えていくことは、私が仕事としている不妊カウンセリングとも大きくつながっていきました。
☆☆女性の人生にとっての生殖と婦人科疾患
婦人科疾患というのは、女性にとって人生の課題を大きく意識させます。
それまで妊娠や出産ということを考えても見なかった人にとって子宮筋腫の対策のため、子宮内膜症の対応のためにこれらの人生の選択を考えることはとても唐突で戸惑いもおおいかと思います。
生殖能力があるからこそ、婦人科疾患も進行してしまいますし、出産などが終わり、生殖の課題が解決していれば、取り得る選択も広がるという側面がある場合が多いです。
つまり、卵胞が育ち排卵があるので、妊娠の可能性がありますが、
エストロゲン依存性疾患である子宮筋腫や子宮内膜症は進んでしまうのです。
病気のことだけを考えれば、エストロゲンの産生を抑えれば解決してしまいますが、
それは『妊娠の可能性が低くなる、なくなる』ということにつながります。
エストロゲン依存性疾患 子宮腺筋症
☆婦人科疾患と人生の自己決定
病気に対する決定が、子供や家族といった自分自身の人生を大きく左右する決定ともなることがあります。
迷い、悩み、どうやってつきあっていくのか。
この患者の会でのやりとりは、医療者としてではなく、いまを生きる患者として、どう婦人科疾患とともに生きていくのかというい課題を一緒に考える場となりました。
☆食事療法と婦人科疾患について。
この会では、動物性タンパク質をとらないこと、乳製品を取らないことを推奨、アドバイスしていました。
私はそれまでも、こういったことを実践している患者さんと多く対峙し、食事や食物の摂取に関しては非常に難しい課題だなと感じていました。
何かをやめれば婦人科疾患にならないというほど、単純な問題ではなく食べ物は本当に思想信条にもかかわり、また自分が気がつかない文化や習慣に依存するものであること。そして食事は単品で考えるのではなく食事全体で考えることの大切さを感じていたからです。
ですので、動物性タンパク質や乳製品に対する制限は、私の実感として、そうなんだろうか?と大きな疑問を感じていました。ただ、会の方針として明示されていましたので
私としてはその部分に関しては触れないようにするというスタンスでした。この食事指導、食事のアドバイスは、のちのち私にとって、大きな課題となり、自分自身の理解と知見を深めるきっかけとなりました。