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その4~「果物の糖分を考える」~『栄養データーを正しく知ろう』から

その4~「果物の糖分を考える」~『栄養データーを正しく知ろう』から

果物は果糖があるから、体重や血糖値を気にする人は取らないようにした方がよいとも言われますが本当でしょうか?

佐々木先生がまず、糖を理解しましょうということで単糖のお話しをされました。

糖:ブドウ糖、果糖、ガラクトース この3つは単糖と言われる。

砂糖は、ブドウ糖1個と果糖1個が結びついたモノ。
糖を食べると血糖があがる。この場合の血糖をあげるものはブドウ糖に限定される。

果糖は、食べるとブドウ糖に変換されて血糖値をあげる。しかしながら、ブドウ糖そのものよりも血糖値をあげる作用は弱い。

そして、果物のなかには、果糖以外にもカリウム、食物繊維なども入っているので、果糖の性質だけで健康に対する影響をのべるには難しい。

そうか、果糖ということだけ取り出して考えることは難しいということですね。
では、研究データーから考えてみましょう。

糖尿病にかかっている患者さん60人。2つのグループに分ける。
1:果物を食べる 320㌘
2:果物食べない 135㌘

3ヶ月間摂取、ヘモグロビンA1c を調査。3ヶ月後の変化。
1:0.5%改善
2:0.3%改善

両方のグループともやや改善、二つのグループには差はない。
つまり、果糖の影響が直接的に血糖に影響するというよりも、果物は食物繊維も含まれているので直接的に影響が少ないということがいえると。ただし、ヘモグロビンA1cの影響は個人差が多いので、医者に相談してくださいねとのことです。納得。

そして、健康な人の場合は果物を1日250㌘までの摂取は糖尿病のリスクが下がるという研究データーがあるとのこと。日本人は平均的な果物摂取量は110㌘なので、いまの2倍ぐらいは食べた方がよいと思われることでした。

確かに、確かに。
果物は果糖だということだけ取り出してやめてしまうのは、あまりにも短絡的でもったいないと。

ところで、
果物というのは、食べる習慣がないかたは全く食べませんねえ。
当院では食事のことを質問なさる方には、必ず食事記録を出していただいています。
食事って、その人が気にしていることよりも、『気になっていないこと』のほうに改善ポイントが隠れているんですよ。

果物もしかりです。
食べる人は毎日食べる、でも食べない人は食べない。
話しをきいてみると、ただ単に、買う習慣がなく、買わない、買わない、食べないという
ことに気がつきました。
習慣ってなかなか怖いです。
果物は常温でも保管ができ、スーパーなどでは入り口にありますよね。
とにかくなんでもいいから買いましょう!
そして毎日手のひら2つ分はたべましょうね。

食事バランスガイド→

では、100%のジュースは果物の代わりになるのでしょうか?

100%の果物ジュースの場合は、ジュースを飲むと糖尿病が増えるという結論です。日本の場合は1杯までは増えるとも減るともいえない。他のデータでも、増えるとも減るともいえない。つまり、ジュースは食物繊維がないので、メリットを享受できていないってことですね。

果物は、そのままを食べましょう。
先ず敷居が低いバナナあたりから。
リンゴもいいし、みかんもいい。
とにかく買う習慣、食べる習慣からですね。

食べ物にはいろいろな情報がありますね。

果物は、身体を冷やすとか、果糖がよくないとか。
私は体表観察をし、いろいろな身体に対する東洋医学的なカウンセリングをしていますが、
食事バランスガイドに従ってたべていただくことが、結局一番健康度が高いと、皆さんのお身体を拝見していて思います。

そして、もし、ご自身のお考えで何かをやめるという決断をするのならば、代替はなにでするのかということも必ず考えてほしいです。

果物をやめるのもいいでしょう。でも、それによって得られたであろうビタミン、ミネラルなどを
他の手段で取ることを考えなければ、単なる欠落になっちゃいますね。このあたりまで考えると、
まあ、とりあえずミカン食べといた方がいっかとなる方が多かったです。

 

 

その3「全粒穀物の健康効果」~『栄養データーを正しく知ろう』から

その3「全粒穀物の健康効果」~『栄養データーを正しく知ろう』から

さて、その3です。

☆「全粒穀物の健康効果」は、玄米がいいってだけ?

玄米65㌘を毎日摂取すると、循環器疾患が2割減、2型糖尿病が3割減、がんが1割減というデーターがあるそうです。

これはかなり根拠のしっかりしたデーターですねえ。65㌘とはお茶碗軽く一杯です。

ただし、これもやはり組み合わせの問題があるようですね。

玄米を食べる人は健康志向が高い→全体の食事がよいという調査があるそうです。

 

つまり、玄米を食べている人は、魚、果物が多く、食物繊維、ビタミンB1、カリウム、マグネシウム、鉄、ミネラルを多く含む玄米との組み合わせで、健康効果がより高まっているのではないかという可能性です。

玄米は身体に良い。
そして玄米を選ぶ人の食事も身体によいということですね。ふむふむ。

 

☆健康意識の高さから選ぶものが健康度をあげる

健康度をあげるのならば、玄米を食べてるから、あとはフライドポテトにコーラでいいってことにはならないわけです。

そして、こう書いていて、玄米にフライドポテトってあわないなと思います。

玄米を選ぶような人ならば、それに味噌汁をつけ、焼き魚をつける。
焼き茄子に、ほうれん草のおしたし。

うーん、健康度あがりそう(^^ゞ。

フライドポテトだったら、コーラーにハンバーガーという感じで、健康度さがりそう。

結局、単品で良否をいうことは難しくて、全体なんだなあ。

 

ロハスメディカルという雑誌があります。
情報量が多く、またとても有益です。
こちらで無料公開中

その中で大西睦子先生が食についての連載をしていらっしゃるのですが、これがなかなか面白く、私は大西先生のファンです。全粒穀物を・・という話もあった記憶があるのですが、著書としては出てきませんでした。残念。大西先生の本ではこちらが有名ですね。紹介しておきますねえ。

その2 「1日350㌘の野菜を食べよう」の真の意味は?~『栄養データーを正しく知ろう』

「1日350㌘の野菜を食べよう」の真の意味は?~『栄養データーを正しく知ろう

1日に350㌘の野菜を食べようという話し、なんとなく聞いたことがある方が多いと思います。
これは、厚生労働省が出している野菜を食べようという提案です。
厚労省のHPにデーターがあります。

カリウム、食物繊維、抗酸化ビタミン(ビタミンcなど)は野菜摂取からしやすい。これらの栄養素をバランス良く充分にとるには、350から400㌘の野菜摂取がよいと推定されるという主旨です。

☆厚労省からの提案の『数字に意味があるのか?』佐々木先生が読み解く!

そこで、佐々木先生はおっしゃります。

カリウム、食物繊維、ビタミンcは他の食品にも入っているので、350㌘という数字は直接意味があるのか?という疑問がありますと。

ううむ、そうなんですね。350㌘という数字は疑問の余地があるんですか、ふむふむ佐々木先生と思わずうなずいてしまい沁ました。

佐々木先生は続けます。

野菜を沢山食べると健康に良いという研究はあるのか?

食べる量、その後の健康、寿命のデーターは沢山ある。
タバコや人種などの影響を統計学的に取り除いたもの。
アメリカや西ヨーロッパ、中国、日本のデータがある。

沢山のデーターが色々な国で研究調査されているそうです。
そして、どの国のデーターでも、野菜を沢山食べた方が総死亡率が低くなる。
つまり寿命が長くなる。

こんな結論になるようですね。

ただし、大きなばらつきがあるので、350㌘という数字を出すまでの根拠はない。だから350㌘という数字に拘わる必要はない。

☆数字は『野菜を沢山食べましょう』というイメージキャラクター!?

数字そのものに意味がないというのは、眼からウロコ。
数字の根拠がでるようなデーターはないのですか。
なんかキツネに摘ままれたような気分です。

ここからお話しは続きます。数字をださなくて、『野菜を食べましょう』というイメージは人によって違いますねと。数字があると信憑性がある感じがでますねと。

数字を出すことで、いままで野菜が少ない人が『野菜不足』に気がつくことができる

また野菜をしっかり取っている人がもっととっても問題はないので、沢山食べてok

350という数字は数字そのものよりも、みんなでもっと野菜を食べるという方向性が大事。350㌘というのは、感心を持って貰うために作ったイメージキャラクター。

うううむ、350という数字が出ていましたから、何か根拠があるのかといえば、イメージキャラクターぐらいの意味合いしかないと。でも、野菜不足の人が摂取が増えると言うことは日本人の健康に大きな貢献にはなるということですから、イメージキャラクターにしっかりと活躍して貰いましょう。

 

☆野菜をしっかりととるための3つの注意点

さて、最後に、野菜を取るに当たっての注意です。

1,調理をする時間を短くするとビタミンcの減るのが少ない。

2,ゆで汁もなるべく食べるとカリウムまでのミネラルも摂取できる。

3,皮も剥かずに食べるのもよい(食物繊維が取りやすい)

これらの提案が佐々木先生からありました。無理せずに、好みの合わせてということです。

こんな本もありますねえ。

その1 栄養データを正しく知ろう! ワインとビールどちらもアルコール、お供は?

その1「イメージに惑わされないよう」。~『栄養データーを正しく知ろう』から

『栄養データーを正しく知ろう』佐々木敏先生のお話から。

1:「イメージに惑わされないように」
2:「1日350㌘の野菜を食べよう」の真の意味は?
3:「全粒穀物の健康効果」
4:「果物の糖分を考える」
5:「食べる順序と糖尿病管理」

さて、その第一回目

☆第一回目「イメージに惑わされないように」

食品の栄養効果を正しく理解するには、栄養について正しく理解することが大切でイメージを先行させないようにというお話しでした。

このなかで、

『ワインは身体に良い』と言われますねえということでお話しが進みました。
デンマークでの15万人の調査でお酒の種類と頻度を調べ、11年経過を追い、ビール、ワイン、ウイスキーを飲んでいる人の死亡率を調べた調査です。

このなかで、

☆ワインを沢山飲んでいた人の死亡率が小さい

☆別の調査で、ワインにはポリフェノールが含まれており、抗酸化作業によって動脈硬化を予防するという研究があった。

この二つのことで、ワインは心筋梗塞を予防して長生きするという結論が導き出され、
『ワインは身体によい』というストーリーが作られたと。

聞いたことがありますねえ、ワインは身体に良い。そしてこれら調査を示されれば納得しちゃいます。ポリフェノールがたくさん入ったワインはいいのねえと。

そして、佐々木先生はお話しを続けます。

☆☆ワイン、ビールと一緒に買う食材はなに?

同じデンマークで、スーパーのカゴの調査があると。300万件!
この調査では、アルコールを買った人が他にどんな食材を買っているかという調査です。

すると
ビールを買った人のカゴには
1、ソーセージ
2,マーガリン
3,バター
4,豚肉

飽和脂肪酸やトランス脂肪酸たっぷり!

そしてワインを買った人のカゴには
1,植物オイル
2,野菜
3,果物
うーんヘルシー

この調査から、アルコールの種類そのものよりも、アルコールと一緒に食べるお友達食材の方が影響が大きいのではないかという結論が導き出されています。

つまり、ワインそのものがよいという点もあるが、それ以上に一緒に取る食材が健康に貢献するモノであり、これが死亡率を下げている可能性が高いということで、ワインそのものが良いのではなくて、組あわせがよい!ということなんですね。

☆そもそもアルコールは身体に必要?

また、ワインそのものはアルコールです。アルコールはガンの発生を増やしたり、事故や怪我が増えるので適正な範囲での飲酒が大切です。この適正な範囲とは

           アルコールの適正量
       1日7㌘!! つありワイングラス半分です。

お酒を好きな人が聞いたら、えーーーーーって言いそうな量ですね。
ではアルコールの一日当たりの限界量はというと1日40㌘。つまりワイングラス4杯弱です。これがギリギリの量。

アルコールと上手に付き合いたいですね。

『栄養データーはこう読む!』東京大学教授 佐々木敏先生 NHKラジオ

佐々木敏の「データ栄養学のすすめ」というツイッターがあります。
https://t.co/6bb4wpWxTG

データ 本

Twitterはなかなか楽しくて、最近はテレビのお供(^^ゞ。

テレビをみながら、『えーそうかな?』とか、『ひえーこんなこと言ってるよ』と思ったときに、
ツイッターをみると、みんなもそうそう、と言っていたり、違う意見がきけたりで、情報ツールとしてなかなか楽しいです。

そんなTwitter、情報をしるのにも役立ちます。

 

☆佐々木敏先生 東京大学最終講義

 

そのツイッターで、佐々木敏先生が、東京大学で最終講義をなさると知りました。

東京大学社会予防疫学分野

私は栄養関係ならば、佐々木敏先生が一番と思っています。
データ栄養学の勧めという本を読んでいて、結論への慎重な導き、そして食を知った上での提案。
納得と思わずにいられません。この本も非常に興味深いです。

以前に、NHKラジオで、佐々木先生が放送されていました。

復習しようと思いますので、どうぞお付き合いください(^^)

☆栄養データを正しく知ろう 5つのテーマ

 

テーマは5つ『栄養データーを正しく知ろう』
1:「イメージに惑わされないように」
2:「1日350㌘の野菜を食べよう」の真の意味は
3:「全粒穀物の健康効果」
4:「果物の糖分を考える」
5:「食べる順序と糖尿病管理」

 

私の治療室でも「何を食べたら良いですか?」というご質問をよくいただきます。

これは本当に難しい質問です。まず今のご自身の食生活はどうなっているのかという認識なくしては語れません。だいたい、食べ物の質問をなさる方はそれだけで案外食べ物に関しては合格点の方が多くて、逆にやり過ぎ組の方が気になります。

そんな点でも、佐々木先生のお話ははっとさせるものが多いです。

では、復習を始めましょう