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41歳:子宮内膜症、チョコレート嚢胞で採卵が進まない、妊活が進まない。0110

40歳の時に、赤ちゃんが欲しいと言うことで来院されました。

人生って長いようで短い。
あっという間に時間がたちます。
妊活においては、時間は本当に貴重。

そして、35才から40才という時間も、
女性の人生の中でいろんなことがあり、ただただ
妊活だけに的を絞るわけにはいかないこともあります。

34歳から赤ちゃんを望んでいらっしゃいますが、いろいろなことがあり、
子宮内膜症や、婦人科的な状況も進行してしまい、治療が前に進んでいない状況でした。

身体作りをし、病院を選び、前に向かって進まれ、無事に41歳にて
元気なベビちゃんのお母さんになられました。

それでは、一緒に症例から考えていきましょう。
WEBの弁証論治はこちら

☆ご相談:40才です、不妊治療が前に進みません

34歳で結婚し、1年後から妊娠希望です。
36歳から婦人科にて不妊治療を始めました。
その後37歳頃から仕事の場処が変わったりして
精神的にも肉体的にも大きな負担で、風邪を引きやすく喘息っぽくなってきてしまいました。

39歳のときに自然妊娠しましたが、残念ながら化学流産してしまいました。
その後生理周期が長くなったり、短くなったりと生理が乱れてしまいました。

不妊専門のクリニックにかわり、検査もしましたが、左側卵巣に大きなチョコレート嚢胞があると指摘され、子宮内膜症もかなりひどいといわれています。

人工授精を5回し、体外受精を始めた方がいいと言われ採卵の周期に入っています。
もう40才になってしまいました。

どうしたら妊娠、出産出来るのでしょうか?

 

☆ご相談にお答えして:前に進みましょう!

いままで、いろいろとお仕事の忙しい中、がんばっていらっしゃいますね。
1度自然妊娠されていることから、人工授精を何度か挑戦されたのは
もっともなことだと思います。

カップル的な大きな要因がないわけですから、充分自然妊娠に再挑戦というのは
意味ある選択だったと思います。

しかしながら、年齢要因もあり、体外受精の選択をなさったのも、当然の
選択です。
迷わず前に進んでいきましょう。

☆☆東洋医学的な診立て

・弁証
・論治
・治療方針
腎虚 風邪の内陥
疎風散寒 益気補腎

まず第一に風邪の内陥を取り去り、全身への負担をとる。
腎気の底上げをし、妊娠し継続できるようにしていく。

 

 

☆☆不妊治療へのアドバイス

39歳のときに、自然妊娠なさっていますので、妊娠する力は充分あると思われますが、
流産をきっかけに身体の状態が、東洋医学で考えるところの生命の土台である腎の力を中心に一段低下してしまっています。このため生理周期が短くなったり生理の量が減ったりというように妊娠する力が落ちています。また、遠距離通勤をなさった当時の無理によっても身体の力が一段とおちているようです。

お身体は遠距離通勤のときと、化学流産のときと、2回大きな変動があり、かなり負担が
かかった状態になっています。

1:迷わず体外受精などの高度生殖医療に進む
2:チョコレート嚢胞、子宮内膜症の状態によっては転院の可能性も考える
3:身体の力を明確におとしているので、腹くくって立て直す、時間を無駄にしない
4:規則正しい生活、睡眠、休養

1、2について、年齢要因的に、体外受精の選択は正しいと思います。
しかしながらチョコレート嚢胞があるので治療が前に進まない場合は病院選びの再考をするつもりで、時間を無駄にしないようにした方がいいと思います。

3,4について、
身体をガクンと悪くしている明確な時期が2回あります。これは妊娠がしにくくなることにつながっていますし、素体に強く負担をかける妊娠が、再度の大きな体調不良につながる可能性を示唆しています。妊娠ー出産の時期は女性にとって虚損病の始まりにもなる可能性を秘めた時期です。

上手にこの時期を乗り切り、女性の素体のリズムの範囲で消耗し、回復していく波に乗れるような身体にしていくことが、妊娠を考える上で大事であるばかりではなく、家族をもち、お子さんとのこれからを考えるために本当にだいじなのです。

妊娠はゴールではなくはじまりです、一緒に頑張って行きましょう。

 

☆治療経過、妊娠、出産まで

初診 以降週に1度の頻度で鍼灸治療
初診:足三里(ST36)、三陰交(SP6)、右陰陵泉(SP9)、左外関(TE5)、 左合谷(LI4) 関元(CV4)
風門(BL12)、肺兪(お灸、温灸)
三焦兪(BL22) 右胆兪(BL19) 中膂兪(BL29)、気海兪(BL24)
臍に温灸

自宅施灸指示:足三里(ST36)、三陰交(SP6)、陰陵泉(SP9)、左外関(TE5)、左合谷(LI4)、臍、関元(CV4)

1ヶ月後、IVF チョコレート嚢胞のところしか卵胞育たず見送り
2ヶ月後、IVF 卵巣が腫れてしまい見送り

採卵の周期には入れているので、転院をアドバイスする。
6ヶ月後、採卵ー凍結胚ができた。病院から年齢要因もあり、子宮内膜症の進行も早いので、採卵を続けてみることをアドバイスされた。
7、8,9ヶ月後それぞれ採卵してみるも、よい卵とならず凍結出来ず。
10ヶ月後、採卵ー凍結胚盤砲が出来た。
11ヶ月後、採卵ー凍結胚盤砲が出来た。

凍結胚が3つできたので、移植周期へ
12ヶ月後、13ヶ月後、移植周期、ホルモン値があがらず見送り
14ヶ月後、移植、妊娠、無事に不妊クリニック卒業
妊娠〜10ヶ月後:3100㌘越えの元気な赤ちゃんを出産

 

☆無事の出産を迎えられて

年齢要因や、婦人科疾患、忙しいお仕事と課題がいくつもありましたが、
しっかりとご自身の人生の中で、今するべき事に焦点をあて、
前に進み、無事に赤ちゃんと出会えて本当によかったなと思います。

イラスト ツボ セルフケア

 

年齢要因と、婦人科疾患は、どんどん進み、妊活を大きく阻む壁となります。

それでも、身体作りをし、病院をしっかり選び、前に向かって進む。
不妊治療は不確実です、これをすれば絶対にということはありません。
でも、出来ることをしっかりとやってみる。期間限定の挑戦、応援してます!

 

不妊治療が進まないときに:不妊カウンセリングの勧め

妊娠には、いろいろな要素が絡みます。
不妊治療はステップアップが基本です。

不妊治療はステップアップが基本ステップアップ

様々な理由から、『妊娠しない』状態の方に対して、ステップアップで

タイミング
排卵誘発、
人工授精
体外受精と進んでいきます。

過去に『妊娠しない』という事実に基づき、検査をおこないステップアップをしていきますが、不妊治療が進まないケースを不妊カウンセリングさせていただき、妊娠へと治療を進められたケースを多く経験させていただいております。

 

体外受精や顕微授精をおこなっても、不妊治療が前に進まないケース1,2,3

ケース1:
体外受精や顕微授精などの高度生殖医療に挑戦し、採卵では7,8個とれるものの、移植できる受精卵が出来ないという方

ケース2:
受精卵は出来るものの、移植してもまったく着床しない。

ケース3:
受精卵を移植し、着床するものの、妊娠が成立するところまでたどりつかない

ほかにも、様々な『不妊治療が前に進まない』ケースを拝見しています。

ケース1,2、3は病院に通い続ければ、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療を続けることになると思います。しかしながら、いくら回数を重ねても、同じ状態が続いたり、ケース1の方が2や3になんとかなるものの、妊娠そして出産に結びつかない場合がたたあるのです。

当院のwebには数々の症例がありますが、本当に私のところにいらっしゃるまで、皆さん様々な努力を、頭の下がるほどの努力を重ねていらっしゃります。

不妊治療が前に進まない場合は、不妊カウンセリングを受けよう

このケース1の方が、アンケートで当院の不妊鍼灸治療で非常に良かった点として『自分の体調の変化について、客観的にとらえる視点がみにつき、それにちて相談できたこと』をあげてくださっています。これは別に特別なことをしたわけではありません。ただ、ご本人の気がつかないちょっとした弱点をお伝えすることで、ぐっと治療が前に進んだということなのです。

ケース1の場合であれば、
・初診のご相談:
体外受精や顕微授精などの高度生殖医療に挑戦し、採卵では7,8個とれるものの、移植できる受精卵が出来ない

・ご本人の課題
低体温 低血圧 便秘 冷えなど。
採卵しても移植できる卵が出来ない
排卵誘発剤を使い続けているので、卵胞の出現数の低下や空砲がおおくなってきている。

・不妊カウンセリングでアドバイスさせていただいたこと

1)全身のパワー不足による、気虚(肺脾を中心とする気虚)
2)女子胞(子宮)の力はあるものの、全身の力不足があるので、女子胞(子宮)にまでパワーが至らない(つまり余裕がない)。この状態でも排卵はあるので、自分の身体を信じて、とにかく全身の余裕をつけることを最優先
3)採卵すれば卵子は取れているので、現時点であせりすぎて、排卵誘発を繰り返さない(薬を3ヶ月程度やめてみましょう)
4)全身の余裕をつけるために、安静を意識した生活
5)滋養を取りこむことの胃腸のパワーアップ
6)食事を気をつけ、体重をアップさせる。BMI19.5を越えることが目標
7)クリニックの変更 年齢要因を考えて休診日の少ないクリニックへ。

1,2、3,4)は、子宮卵巣の力はあるものの、全身の力がないので、不妊治療が前に進まないという状態へのアドバイスです。とにかく急がば回れなのです。あせって、採卵を繰り返すことで余計からだが疲弊します。腹を括って生命力をupさせましょう。

5,6)は食事のアドバイスです。この方へは具体的に食事記録を提出していただき、弱点となっている点をアドバイスさせていただきました。その上で、鍼灸とご自宅での養生灸で胃腸のパワーをupさせ、ちゃんと栄養を取りこむ能力を高めることで、食事から滋養を受け取るお身体になっていただきました。

・治療経過
初診時BMI18.43
1ヶ月後、食べられる量がアップ
4ヶ月後 BMI19.03へup
クリニックを変えることをお勧めする。年齢要因をカバーしてくれるクリニックの選択。
5ヶ月後 採卵、初めて移植が出来た。妊娠できず
7ヶ月後採卵 2つ凍結する
11ヶ月後 移植 妊娠、無事に3000㌘越えの赤ちゃんを出産。

いままで、採卵を繰り返し、薬を飲み続けていた状態から結果的に5ヶ月ほど薬は止めた期間をおき、また採卵してからも、凍結胚が出来てご自身の体力が充分につくまでは移植を待ち、良い条件での移植によって妊娠することができました。妊娠成立後は鍼灸の頻度をあげしっかりと対応させて頂き、無事の出産までたどりつきました。

年齢要因的にとにかく治療を早く!というお気持ちはよくわかります。ただ、結果的に当院の初診から移植までは11ヶ月の時間がかかっていますが、『ダメなことを繰り返してはダメ』だと思います。ときに腹を括ってご自身の『妊孕力』をしっかりとupさせていくことに力を使って頂けたらと思います。