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18-2 肺の病機、肺の器そのものが虚損しています!

肺陰の失調を考えていきましょう。

これは、肺の器そのものが、外邪や内邪で侵されている状態を示しています。
肺を養う肺陰そのものの不足と、内熱によって肺陰が消耗している病態を考えていきます。

18−2:肺陰失調:肺陰不足と陰虚火旺

肺陰不足

原因
1,燥熱邪気(外邪)ー肺に滞り肺陰を消耗
2,七情内傷(内因)ー内火を化し肺陰を消耗

肺陰の滋潤作用低下ー鼻咽喉の皮膚乾燥
肺陰の気道失養ー乾いた咳、痰が少ない、息切れ、声がかれる

陰虚火旺(肺陰虚、腎陰虚(特殊)

虚火上炎ー煩熱、盗汗(夜が中心、重くなると昼も)、不眠、五心煩熱
肺絡の抄焼ー乾いた咳、喀血、痰に血が混じる

仙人草の民間療法 喉の痛いの治ると良いな

仙人草は、古くからの民間療法で使われる薬草です。
まあ、薬草といっても煎じて飲んだり、お茶にしてというのではなく、葉っぱをカラダに貼り付けて、
水ぶくれを起こさせて炎症を利用して体調を整えるというやり方。

昔、おばあさんの背中などに大きな火傷のあとがあるのを見たことがある方もいらっしゃると思います。まあ、いまでも50台ぐらいの方の背中でみかけることがあります。そんな火傷の傷が治ることを利用した反転療法というかんじでしょうかねえ。

これが仙人草。うちの庭でも育てています。

方法は、よく揉みこんだ仙人草の葉っぱを、内関(ツボの名前、手首の内側にあります)部分に貼り付け、 30分-2時間ほどおき、水泡をつくります。 このプロセスが昔のお灸である打膿灸の要領と非常に良く似ているのではないかと思わせるところです。

この内関以外にも、扁桃炎によく効くといわれ、実際私が目にしているのは、 あごの下辺りの部分の大きめの直接灸と、曲池(肘の外側)付近の直接灸です。

また仙人草は、健康法として使われることもあります。 この場合、張る部位の指定はなく、太ももなどの目立たないところに張って、水ぶくれを作ってそのあと自然に経過させるということに なっています。

扁桃炎の熱は、喉の強い脹れを伴う発熱ということだと思います。
喉の痛みと発熱は、正常範囲であれば、生体を守る反応ですが、扁桃炎で熱を繰 り返すケースは、扁桃の肥大によるもの、過剰な反応により、強い発熱を伴うと いうことだと思われます。

扁桃の肥大は、部位的に、腎気の養いの問題が一つあげあれます。
腎気の不足により、熱の納まりがわるく、必要以上に発熱するということですの で、この必要以上に発熱してしまうことを、熱の流れをつけることで、末端に導いてやるのではないでしょうか?

曲池が良く用いられるのも、陽明の熱の出所であり、喉を直接的にまとう経穴で あるからでしょう。また、あごの下は、直接的に、喉の熱を抜くというイメージ 的な選穴かとも思われます。内関も、上焦の熱を取る場所として、選ばれている 可能性が高いのではないでしょうか?

さて、考察

仙人草を下腿に添付し、打膿灸のようにし、健康法とするということは、どういうことなのでしょうか?

下腿には、特に熱を持ちやすい経絡として、胆経があります。この少陽の熱は、 表裏の関係の肝経の熱、つまり、肝陽の上亢、肝風の内動などといういわゆる中風といわれるものの、熱の逃げ場所として、機能しているのではないかと思われます。胆経が硬く突っ張りようを示してくると、腎気のあらわれである踵の部位 にも痛みを生じてきます。腎気の虧損と、肝胆の熱のありよう。命としてては、 腎気が衰えたために、肝経の熱が昇っているのを胆経が腎経を支え、熱の出所と して安全装置になっているのではないかと私は考えています。中風よけの治療穴として、胆経上の 風市が選ばれているのも納得の出来るところです。

仙人草の打膿灸により、胆経が硬く筋張り、その機能をレベルダウンさせている ときに、刺激をあたえ、熱の逃げ所としての部位をしめすことにより、中風(肝経の内風)を予防し、健康づくりをしようという発想ではないかと思われます。

仙人草をはって4日目です。生足写真をみたい方は「ここ」をクリック。
充分に葉っぱを揉みこんで2時間ほど貼り付けました。
張った当日は、赤くなった程度
2日目は全体が膨らみ
3日目から本格的に水疱になってきました。
触わると非常に痛いです(;^^
どうなるのか、楽しみです。

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仙人草の民間療法をトライされる方へ

仙人草の民間療法を試したみたいと仰る方には、自己責任でということで、 仙人草の葉っぱをお分けしています(方法は、ご住所をお書きになり、返信用の 切手を貼った封筒を送ってください。その中に葉っぱを入れて返送いたします)

我が家の仙人草は、ネット上に出ているものよりも、作用が穏やかなようです。 ネット上では、5分から30分以内で水泡ができるようですが、我が家のものは、 しっかり揉みこみ、充分汁がでたはっぱを、べたっとはって2時間以上は置いた ほうがよいみたいです。私は3時間ほどで、でっかい水泡ができました。

私の患者さんの家族の方で、これが大好きな人がいらっしゃいます。 この方は、扁桃炎のためではなく、健康法として、身体の任意の場所に 貼って楽しんでいらっしゃいます(=^_^;=)

こないだなど、一晩中貼ってしまい、傷がひどくなって、白い筋が見えたほどだ と言っていました(家族の方が)。一晩中はるとひどい目にあうようですね。 でも、ご本人はご満悦だそうです。どうも身体がすっきりするから好きという ことらしいです。

私と仙人草の出会いは、私のWEBで紹介しています。

張る場所は、 扁桃炎のためだったら、やはりネット上の話題同理にやるほうがいいのではな いかと思います。

健康法としては、太ももの胆経上、”風市”という経穴。私はここで試してみました。これは中風よけの経穴で、私自身ここに反応の出やすいタイプの身体だからです。応 用編としていろいろとやってみると面白いと思います。

身体が一つ一つよくなっていくプロセスについて

裏を建てることの難しさ。

身体がよくなっていくことのプロセス

ある患者さんから、

「仕事の出来ないほどのだるさ、辛い痛みなどの症状は消えて、しっかりと動ける働ける状況になりました。でも、治療を始めてから耳の裏とお尻アタリにぐじゅぐじゅした湿疹がでています。これは体調がわるくなったということでしょうか?」

と言うご質問を頂きました。

私は、全体の流れ、つまり仕事も出来ないほどのだるさ、痛みからの解放は、身体の状態がよくなってきたことをしっかりと示していると思います。なんとか日常生活を取り戻すことができたわけです。

さて、そのうえで、なぜこの方の耳やお尻にぐじゅぐじゅの湿疹ができるのかを考えてみたいと思います。

もともと、この方は身体の疲労が非常に強くなっている疲労困憊のうえに、必死でがんばり気を建ててナントカ仕事をしているうちに、強いだるさと痛みの症状があちこちに出現し、どうにもならなくなっています。

これは、脾腎の土台がなくなっているのに、肝気(生きる意思、がんばる心)をたてているうちに、肝気が熱をもちあちこちに暴走し関節の痛みとなり、末端にどどまり、底支えする生命力が尽きてしまったために強いだるさで日常生活もおくることが不自由になっていたと思います。

 

これを脾腎の土台をしっかりとたて、肝気をそれなりの位置にもどすことによって、日常生活がとりもどせ、痛みもそれなりに落ち着いてきたと思われます。ご本人の努力のたまものです。しかしながら、肝気の暴発と鬱熱は本来は下から便となって排出されたり、汗となってでるべきですが、これが腎気の弱さと気逆が強いためにしっかりと排出できず、場として弱い耳の後ろやおしりでのぐじゅぐじゅの皮膚になっていると思われます。ですので、基本的には熱がここから漏れているということではないかと類推しています。つまり、もう一歩ではあるけれど、熱が自力ででていっている、このことによってあちこちの痛みは解決し、強いだるさも解決しているわけです。

この湿疹は、ただ治せばよいのではなく、本来の熱の排出である、汗による肌表からの発散と、便による排出でおこなわれるべきで、まだその一歩に踏み出せていないということなのです。

どうしても、目の前の症状が気になりますよね。皮膚がぐじゅぐじゅしていればそれはそのとおり気にならない分けがありません。気になるのは当たり前。それはよくわかります。
ただその気になることを中心にしてよいのかを考えてみたいなと思うのです。

身体をまるごと一つのものとして考え、生命力や気の偏在のありようをどうなっているのか考える。そしてやるべきことをやって、しっかりと前に進んでいき、気持ちの良い日々をおくって頂きたいなあと切に願っております。がんばりましょうね。