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脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーから④

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその④です。
③が少し長くなったので補足の④となります。

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

YouTubeは京都女子大学 食事でこんなに変わる、脳の発達や病気

ブログでは、①、②ととりあげています。

その①https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/4655

その②https://bigmama-odawara.jp/blog/?p=4661&preview=true

その③https://bigmama-odawara.jp/blog/?p=4672&preview=true

 

☆脳の形態:低出生体重ラットの脳は小さく、大脳白質の体積は減る

 

 

15枚目のスライドです。ラットでの脳の大きさを比較しています。

脳の形態について、低出生体重の脳は小さく、大脳白質の体積は減ると語っています。これはなかなか唸ってしまいます。血流が悪く低栄養になり小さく産まれると言うことは脳の形態にも差を生じると言うことをお話ししています。

スライドの中では、

底出生体重ラットの脳は小さく、大脳白質の体積は減る

ということが示され、脳がほんの少し小さいということが、どういうことなのかということを、

大脳白質とは神経細胞と神経細胞をつなぐ、神経線維が通っている部位である。

上記のような説明をしています。

人のMRIでも、同じ。大脳白質が小さい。

脳が小さくなると言うことは、大脳白質が小さいと言うことを意味するというお話です。

大脳白質って何?大脳の白質と灰白質

→大脳の表面は神経細胞が集まっており灰白質と呼ばれます。その奥にある、神経細胞からの命令 を伝える神経線維が束となって走行している部分が大脳白質です。つまり神経線維の束がある場処が大 脳白質ということです。

整理すると、
:灰白質→脳の表面、神経細胞があるところ
:白質→灰白質の内側、神経細胞の連絡路(軸索)

☆子宮血流の低下がもたらす低出生体重モデル動物の特徴4

16枚目のスライドでは、子宮血流の低下がもたらす低出生体重モデル動物の特徴を4つあげています。

血液の流れを減らし=栄養を減らす:子宮血流の低下

この子宮血流の低下がもたらす4つの結果は、

1:低体重で生まれる

2:多動

3:社会性が低下

4:大脳白質の体積が減る

低出生体重児であることのリスクについて、脳が小さいと言うことからわかることをこのように分析し、京都女子大学の辻先生は語っているということです。

日本でいわれる、『小さく産んで大きく育てる』という言葉は、こういったリスクに踏み込んだ言葉ではなく、ただ、小さく産んでも大きく育てればいいんだよと言う言葉だと思います。
それは確かに、

 分娩は先ず第一に安全であること。(母子の生命がかかっていますからね!)

 その上で、母子共に健康であること。

その安全であることが、低体重児とされるほど小さくでもいいに直結しているのならば、ここは少し考えて、『小さく産んで大きく育てる』という言葉をもう一度考えてみるべきではないかと思います。

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーから③

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその③です。

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

YouTubeは京都女子大学 食事でこんなに変わる、脳の発達や病気

ブログでは、①、②ととりあげています。

その①https://bigmama-odawara.jp/blog/archives/4655

その②https://bigmama-odawara.jp/blog/?p=4661&preview=true

 

ADHDになりやすい!?低体重児のリスク

8枚目以降のスライドでは、低出生体重児のリスクとして、ADHDになりやすいというお話をなさっています。

8枚目のスライドでは、

注意欠陥多動性障害について簡単に説明されています。

多動、不注意、衝動性などをがあげられていらっしゃいます。

9枚目のスライドでは、

出生体重が軽いほどADHDになりやすいといことが、フィンランドのデーターで語られています。そしてなぜこんなことがおこるのか?、どうすればいいのか?という問題提起をされています。

10枚目のスライドでは、私が前回も指摘させていただいた、血流の話しです。

 

☆子宮血流が足りないとどうなるのか?

 

少し栄養が足りないラットを作る。

体内に同時に宿っている10匹のラット。その10匹のラットを、子宮動脈を調整して血流の状態をわけます。すなわち、半分のラットには通常の血流、残りの半分のラットには血流を悪くするわけです。

この実験で低出生体重児を作るために、栄養そのものを変えるのではなく、血流を変えています。

つまり、

血流が悪い=栄養が行かない=低栄養=低出生体重児

ということですね。この実験、同じラットですので、血液成分的には同じですが、血流という血液の量の多寡によって高栄養と低栄養になるということが示されていると私は思います。

これは私にとっては非常に大きなポイントだと思われました。すなわち、

血流をあげるということが、『小さい赤ちゃんを予防する』ことにつながるのだということは、鍼灸、お灸、セルフケアが非常に役立つということを示唆していると思われるからです。

これは、今まで私が、胎盤形成期の鍼灸アプローチをしっかりとしていた患者さんから、

『赤ちゃんが3000グラムを超えていました!』

『胎盤が大きいって助産師さんに言われました』

こんな報告を多く受けていました。
なぜ、妊娠初期の鍼灸治療でのフォローをしっかりとなさったかたから、今回の辻先生のYouTubeは、このようなお声を多く頂くのかという大きな手がかりとなりました。やはり、胎盤形成期の鍼灸アプローチは非常に有効なのです。しっかりと鍼灸治療でのケアと、ご自宅でのセルフケアを行っていただきたいと切に願っております。

 

☆正常体重児と低体重児のオープンフィールド実験

11枚目ではオープンフィールド実験がおこなわれています。

正常体重で生まれたラットと、低体重で出生したラットを比較しています。

小児期、思春期と行動の違いをみていっています。

14枚目のスライドでは、三部屋式社会性行動試験をおこなっています。

普通の体重で生まれたラットは新しい物に興味を示し、低体重のラットは示さない社会性がないという評価が示されるというお話です。

ちょっと長くなりすぎたので、ここでいったんお仕舞いにしますね。
④に続きます。

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーから②

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーからその②です。

→その①はこちら

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

タイトルは食事、実験は血流

このYouTubeをみつけたときには、食事で脳の発達や病気がかわるのかーと思いながら見始めま した。

しかしながら、胎児の場合は母親の食事というよりも、子宮血流の多少ではないかと思われました。

なぜならば、10枚目のスライドで、ラットの子宮動脈を半分はそのまま、半分は血流を低下させた状態を作り、低出生体重児の問題を語っているのです。

ラットでの子宮血流調整実験時間は5:39のところです。

これは、『同じ栄養』であっても、『血流が悪い』と低栄養になり、低体重児になるということを語っているのではないかと思うんですよね。だから血流が大事。その上で栄養豊富な血流が大事という話ではないのかなと思いました。

ちょっと前に戻りますね。

低体重とIQの関係

2枚目、3枚目のスライドでは、

食事や生まれてきたときの体重でIQや行動をお話になっていて、

5枚目のスライドでは、IQの差を述べられています。 

 

IQの差 生まれたときの体重

    2500−3000  3000−3500  3500−4000

19才  少しIQが低い    標準    少しIQが高い

この状態が、19才でも、28才でも、50才でも続くと言うことです。

このデータは2500グラムからだが、YouTubeの講義の中では、2500グラム以下だとIQ6違ってくるとお話しされています。

 

そしてスライドの7では、先進国で低出生体重児が増えてグラフが右肩上がりになっている。特に日本のグラフがすごいですね。ぐぐぐっと右肩あがりになっていて、日本ではでいま10人に一人が2500グラム以下の低出生体重児だということです。

このグラフ先進国とのことですが、スペインとフィンランドだけは読めるのですが、他の文字がいまひとつ文字化けして読めないです。どの国のグラフなんでしょうかねえ。

そして

☆低出生体重児が生まれる理由

→辻先生は出産時の女性の痩せ、痩せ願望をあげています。

極端な栄養障害ではなく、少し栄養がたりないでも出生体重に影響がある。

これは私も臨床で強く感じます。体重が増えることを極端に嫌う方が多いこと。そして産科の検診でも『体重は増えなくたって良い』といわれたり、少しでも体重の増加が急だと『体重気をつけて!』という厳しめの指導が入ります。

この食事指導というのは、食事指導あるあるで、本当に食事制限をして欲しい人には届かず、これ以上食事に拘らなくてもよいという人に響いてしまいます。

たとえば体重がBMIで26をこえかなり肥満である人が膝の痛みを訴える場合はやはり体重を落とすことが大事であり食事制限が求められてますが、こういう方には声が届かず、もともと少し痩せ気味の人の方が、膝の痛みがあれば『体重を減らそう』とするのです。言葉の響き方が違うんですよね。

☆痩せ願望は妊婦さんだけの課題?

以前にNHKのラジオを聞いていて、小児科の先生が低出生体重児の問題点を語り『妊婦の体重増加は適正に増やすように』というお話をしたところ、多くの声が寄せられていました。私はこの問題に興味があったので、車の運転中でしたが道路の端に止め、聞き入ってしまいました。多くの声は『産科で強く体重のセーブを指導された』という声でした。体重が増えすぎると巨大児につながり出産が大変だからという指導が強く行われ、結果的に体重はあまり増えず、赤ちゃんも未熟児だったという声です。巨大児を心配していたのに産まれてみたら未熟児って実は私も患者さんの話を伺っていると時に耳にしていました。

辻先生はこの低体重の結果、生涯にわたってIQ6も低くなってしまうということを指摘なさっています。

小さく産んで大きく育てよの言葉の意味

うーーーーん、日本には『小さく産んで大きく育てよ』という言葉があり、小さく産まれることをあまり問題にはしませんが、『小さく』も未熟児とされる2500グラム未満だとかなり問題はあり、その問題が成人してもながくつづくという事をこのセミナーでは仰っています。

☆妊婦さんにしてほしい子宮血流増加のセルフケア!

婦人科での体重指導がきつく行われる理由は、妊婦さんの体重増加が出産時のトラブルにつながりやすいという事実があるからでしょう。

妊婦さんの体重増加の二つのポイント

→妊婦さんそのものの体重増加
→赤ちゃんの体重増加

この二つのポイントを本来は分けて考えなければいけないと思います。ラットの実験でもわかるように、子宮血流が多くあることが大事です。いくら妊婦さんが体重が増えても子宮血流にまわっていなければ赤ちゃんの体重増加にはつながりません。ここで、子宮血流増加の必要性が強く感じます。これはセルフケアも出来るので是非実践してみてください。

脳の発達、血流と栄養:京都女子大学のセミナーから①

脳の発達、胎児と栄養:京都女子大学のセミナーから①

不妊治療と日々取り組んでいると、妊娠までの大きな課題と、妊娠してから無事に赤ちゃんを出産するという血流・不育の課題と大きな課題に取り組み、お手伝いをさせていただいております。

この『血流』、特に子宮血流の問題は、不妊のなかで着床障害化学流産初期流産流産ともつながり、また、『赤ちゃんが小さい』という低出生体重児の問題ともつながることを日々の鍼灸治療の中で実感しています。

とくに、二人目不妊の方で、第一子の妊娠、出産までの経過が非常に大変で赤ちゃんも小さめであったというお話は、二人目不妊につながり、また妊娠中毒症、低出生体重児の問題を予期させます。

不妊に悩んでいると、どうしても、赤ちゃんの課題までは気がつかない事が多いのですが、

赤ちゃんが小さい(低出生体重児)という問題は、実はとても大きな課題となるのかなと感じます。

先般、京都女子大学のYouTube公開講座でこのようなお話を聞き、とても興味深かったので掘り下げて考えていこうと思います。5回のシリーズで一緒に考えたいと思います。

YouTubeはこちら。

食事でこんなに変わる、脳の発達や病気  / 京都女子大学 辻 雅弘先生

辻先生は、栄養学の先生で、栄養の観点から、脳の発達や病気について考えていらっしゃります。栄養の観点でいえば、結局、
  『血流の低下』が低栄養を招き、低出生体重児の出産となる

そしてこの低出生体重児は、IQの低下のリスクが高いというお話をされています。

非常に興味深く、また大きな問題を語ってくださっています。
しっかりと見ていきたいと思います。

5)不妊治療に4大課題と”冷え”(不妊鍼灸セミナー用)

⑤不妊治療における”冷え” まず中心課題が”冷え”なのか考えよう

※スライド1)

妊娠出来ない、高度生殖医療をおこなっても妊娠が成立しないというときには大きく4つの課題に分けて考えます。

これは、まず、東洋医学に基づく四診をしお体をしっかりと拝見していきます。このときにとくに当院では体表観察という観点を大事にしています。東洋医学の四診を越え、現代を生きる方を見ていく観点です。皮膚の質感、中心と末端の差なども考慮していきます。そして食事生活記録をつけていただき、現状をしっかりと把握していきます。

このように分析していくと、”不妊”という状態に、大きく4つの分類が見えてきます。

A:ドーゼの確保
B:血流問題
C:モノ取り込み能力不足
D:モノ不足

A:鍼灸、漢方、食事、休養など身体に対する方向性はOKなのだけど、必要十分な量がなされていなくて、不妊の解決にまで近づけていない症例。”冷え”の訴えがあっても、”冷え”を考えるよりも、いまの方向性での刺激量を大きくしていく必要です。つまり質よりも量が足りていないと言うことです。

B: ”冷え”の問題が根深く、一段掘り下げて”冷え”をアプローチする必要がある症例。つまり”冷え”の原因がもともとの血流の悪さにある症例で手強いです。西洋医学的なアプローチを必要とする症例も多くなります。

C、D お体を拝見すると、滋養が体内に取りこまれていない状態。この場合、二つの観点を用いる必要があります。つまり滋養は摂取しているけど身体に取りこまれていないパターンなのか、滋養そのものの摂取が不足しているのかということです。

C:モノは十分あります、自分の摂取能力不足の症例。

栄養を考え食事を摂取し、漢方ものみ、栄養療法にも通いサプリも色々摂取したけれども、「実にならない」という方です。”冷え”も当然訴えます。身体を温め養う力という生命力そのものが不足しているので、栄養も身体に取り込めず、身体を暖目養うことが出来ない状態です。まず、胃腸の力をひきあげ、滋養を取り込むの能力をアップさせていきます。

D:モノそのものの不足症例

節約レシピをみていると、もやしや粉物が中心であり、とにかく「嵩」を重視。栄養的な観点からはどうしても不足が目立つことが多いです。節約も大事ですが、食事バランスガイドに従って、肉、魚、卵などの主菜をしっかりと摂取することが必要です。この症例では、栄養摂取がよくなったらご主人の健康度がupされました。やはり栄養滋養は大切ですね。

Bの症例が、”冷え”という課題に正面から取り組んだ症例となります。しかしながら、結局どの症例も臓腑の力をアップさせることへつながり、身体を温養する力を上げることが妊娠への道であり、”冷え”も結果的に解決する道であると思います。

不妊治療をしていくときには、この課題分けをまずし、優先順位を意識的に用いて、治療を前に進めていくことがコツだと思います。あれもこれもとしていては、結局どれも中途半端で解決に至るに必要な道が見えなくなるのです。

体表観察とこれまでの状況を踏まえた問診から考え出す不妊治療の取り組み方針をしっかり持つことが、あなたの不妊治療を前に進め、結果につながる道となるのかなと思います。

一緒に頑張って行きましょう。

また、ご自身のことはなかなか自分自身ではわかりにくいものです。

是非、不妊カウンセリングを活用し、相談してみてくださいね。