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2)不妊と不育症:解決へのアプローチが同じ場合が多い!

今日はいいお天気です。
みなさん、元気にやっていますか(^^)。
さて、今日は、不育、不妊のお話の続きをさせていただこうと思います。

☆初診でいらしたSさんの物語

初診でいらしたSさん、41歳。主訴は不妊
長らくの不妊治療をされていました。
体外受精も10回以上の胚移植をなさっています。

 

☆妊娠反応がでるも、若いときには胎嚢確認、いまは化学流産を繰り返しています。

1,2度は妊娠反応が出たこともあるとのことですが、残念ながら化学流産。
治療前の年齢が若いときには、胎嚢確認まではできたのに流産になってしまっていますとのことでした。

その後、妊娠せず、不妊治療を開始、高度生殖医療を取り入れるものの不妊治療が前に
進まないというお悩みでした。

お身体を拝見して、不育症では?と思いました。
流産歴もあり不育症の検査は?とお伺いすると、

『不育症の検査は念のためということでしましたけど、不育症ではないと診断されました』
とのお返事。

 

☆不育症の検査といっても、範囲が違うという現実

うーん、
ここで考えたのは、彼女の不育症とおっしゃっているものと、私が不育のカテゴリーではと考えている中身が違うと言うこと。

そこで、『その検査は保険の範囲内ですか?』と伺いますとYESとのこと。
是非、もう少し踏み込んだ不育症の検査を受けて下さいとお勧めしたところ、自費の検査を受けられ、不育症と診断されました。そしてその後は鍼灸治療とヘパリンを使い、無事に赤ちゃんを抱くことができました。

 

☆不育症の定義を満たしてからの検査では遅いのでは?

 

不育症は、定義があります。しかしながら、現状では不育症の定義をまって不育症の検査をするのでは遅いのではないかと思うことが多々あります。

そしてこの定義で語られる不育症と、不妊にもつながり初期の着床障害や心拍確認前の流産を繰り返す不育症では少し違うように私は感じます。

 

☆不妊でひっかかり、やっと妊娠したのに、不育でもひっかかる。前に進まない

 

また不育と不妊の要素が重なっている方の場合は、不妊が解決し、妊娠反応陽性がでても、不育要因でひっかかり、出産までたどりつけないわけです。

不育の定義は、あたりまえと言えばあたりまえのことが前提です。
20代であれば、妊娠はさほど問題なく成立し、その上で流産を繰り返し、不育症の定義をみたします。

でも、不妊がある方にとっては、不妊の壁を越えてやっと成立した妊娠が、不育要因で前に進まなくなってしまえば、また不妊の壁からの挑戦となりあす。

 

☆40歳での高度生殖医療での妊娠、流産後の治療の進み方

たとえば40歳で体外受精に挑戦しながら不妊治療をしている方。

2回流産してから不育症の検査をして・・・と言っていると、不妊治療そのもののタイムリミットを越えてしまいます。

流産がからむと採卵が数ヶ月から半年先になってしまうことも多く、治療が中断するからです。

ですので、検査は自費でハードルは高いのですが、私はお身体を拝見させていただいて『おかしいな』と思われた方には、不育症の定義は充たしていなくても、不育症の検査をお勧めすることがあります。そして残念ながらなのか、早めに発見できてよかったのか、検査が陽性になり『行ってよかったです』と言う結果が多くあります。

 

☆年齢要因によっては、不妊の課題が解決し得ない状況も・・・

 

そしてときに、行って不育症の診断はもらったものの、それまでの治療歴が長く、年齢要因的な因子が強く関与し、時すでに遅し・・・となることもあります。もっと早くご相談させていただいていれば・・・となることが1度や2度ではありません。

 

☆厚生労働省のサイトよりの情報

厚生労働省の研究班によってこんなサイトがつくられています。
不育症の定義は以下の通りです。

【不育症の定義】(厚労研究班の研究成果を基にした不育症管理に関する提言
(患者様用)から)

2 回以上の流産、死産、あるいは、早期新生児死亡(生後1週間以内の赤ちゃんの死亡)
がある場合を不育症と定義します。すでに子供がいる場合でも、流産・死産、早期新生児
死亡をくり返す場合は、不育症に準じて原因精査を行っても良いとされていますので不育
症外来を受診して下さい。現在のところ、妊娠反応のみ陽性で赤ちゃんの袋が子宮内に確
認されないまま、その後に月経になってしまう化学妊娠については流産回数には含めませ
ん。ただしくり返す化学妊娠については不育症に含めるか否かにつき今後検討していく必
要があると提言されています。

この定義の中で、やはり化学妊娠についても今後の課題ということで取り扱われているのは進歩だなと思います。着床障害もこのカテゴリーに入っていくのではないかという気がします。

現在(2023/08/21)、化学流産に関してはこのように提示されています。
化学流産について

”生化学的妊娠をされたからといって検査や治療を受ける必要は現時点ではありません。あまり神経質にならず、次回の妊娠に臨まれることをお勧めします。
ただし、欧州生殖医学会では2017年に生化学的妊娠を流産回数に含めるとしました。今のところ、日本、アメリカでは生化学妊娠は流産としていません。今後、繰り返す生化学的妊娠をどのように取り扱うかについて検討していく必要があります。”

化学流産、着床障害は、不育症と一般的に言い切るまでにはやはりなっていないと思われますね。
まあ化学流産の段階は、ある程度の”生殖の淘汰”の中でおきることでもあります。

 

☆鍼灸治療で血流をあげ、不妊や不育にお力になれます。

 

当院の鍼灸治療では不育症と非常に関連の強い、血流を改善して、この時期を乗り越え、無事に妊娠を継続出産に至った方を数多くいらっしゃります。

東洋医学的な体表観察や、冷え、血流といった観点からの鍼灸、セルフケアアプローチが効果的である症例も多いです。

当院の鍼灸治療では、着床の時期から、妊娠初期の12週までを特に『血流活性化の必須ゾーン』として、特に力をいれて治療をしています。是非、ご相談下さい。そしてなんとか、妊娠12週をこえ、赤ちゃんが抱けるところまで一緒にがんばりましょう。

1)妊活における血流:不妊、不育と冷え、血流の関係性

妊娠に必要な血流:不妊と、不育症。

長年、妊活にまつわるお悩みを拝見していて、大きな不妊要因は3つに分けられると思っております。

図:充実した生命と不妊の3つのパターン

充実した生命パターンに比べて、生命力が足りないもの、気血の滞りが大きいもの、年齢要因的なものが大きな区分と思われます。

その中の生命力の不足や気血の滞りを語る中で、『血流』ということが本当に大きなポイントとなってきます。

☆東洋医学でいう、気血の滞り、生命力不足、瘀血(オケツ、古血がたまる)

 

東洋医学的な書物には、気血の滞り、生命力不足、瘀血(オケツ、古血がたまる)などといった概念があります。
これら概念は、それぞれの東洋医学的なバックボーンがあり語られます。

たとえば、気血の滞りであれば、ストレスや外邪などにより、気の動きがさまたげられ、血の動きも滞る、四文字熟語で言えば、腎虚肝鬱です。

これを解消して行くには、腎気をあげ、肝鬱をとるなのですが、結局、身体作りでは腎気をあげるために、腎を育むようにその経絡を応援し、気血の動きを出すようにしていきます。

オケツという塊がある場合でも、その該当する経絡を、活性化させ、オケツという気血の停滞をぐっと呑み込み解消できるようにもっていきます。

 

☆妊活における血流

 

妊娠を考える妊活では、もともと冷えや血流は多く語られていますね。
『冷やさないようにしなくっちゃ』というのは、妊娠を考える方にとっては、よく思いつくキーワードだと思います。

この『冷え』をもう少し考えてみましょう

☆三つの観点から考える冷え

 

冷え
・①生命力の弱さ
・②動きのにぶさ
・③外因との関係

 

・①生命力の弱さ
→人間は、陰陽がまじわることで一つのまとまりをもち命となっています。そもそもの陰陽の交わったひとつの命が小さい、薄い、弱いために、全体に弱さがあるということです。

東洋医学では、気虚、気血両虚、脾肺の虚、脾虚、腎虚などさまざまな角度から考えられることになります。

生命力が弱い。それは自分を温め養う力の弱さでもあります。
冷えを感じやすいのも、自分を温養する力が不足しているからです。

・②動きのにぶさ

→人間は、気血が動きをもち、巡りながら養い育てられています。動きの鈍さは、養いが届きにくかったり、一箇所で停滞してしまったりします。動きが悪いと、3つめの要因である寒邪を中心とする外邪の侵襲を受けやすくなります。

ストレスなどで気の停滞が怒りやすい。
同じ動作を長時間続けているので、気血がめぐりにくい。

などさまざまな要因がありますが、停滞することは生命力がノビノビと
働かなくなります。
それなりの若さ勢いがある段階であれば、少しの滞りをとることで、渋滞が解消され全身の巡りがよくなり冷えも解消されますが、(肝鬱気滞の解消)長い期間にわたってその滞りが続けば、瘀血(古血がたまる)状態になり、新たな病因となります。

 

・③外因との関係

強い外からの冷え、たとえば『とても寒いところにいた』とか、『足下が寒かった』などという外因のよって、冷えが身体に入り込み、問題(外邪)となる場合があります。

身体が冷えたから風邪を引いたなどということはよく聞きますね。
これは外因によって、引き起こされた症状ですが、外因があっても、内因がそれなりの強さがあり、
防御してくれれば、邪の侵襲をうけずにすみます。

つまり、しっかりとした身体があれば、多少の寒さ、冷えははねのけちゃうことができるということであり、生命力自体の弱さや偏りがあると、外因につけこまれ、冷えにやられるということです。

 

 

☆不妊、不育と血流:妊活における血流のコツ

妊活のお手伝いをしていると、妊娠そのものをめざすときに、結局血流をあげることが解決への道筋になっていると気がつくことはよくあります。

少し詳細に語っていきたいと思いますが、その血流あげが、通常の血流上げと少し違い、女子胞(子宮)の力を養うベクトルを持つようにするというのが妊活における血流のコツです。

 

長くなりました、別ファイルでお話を続けますね。

繋留流産、自力リセットを願う方へ

流産は、本当に辛いですね。

妊娠したのかなと思い、喜んだのはつかのま、

病院でしっかりと胎嚢が確認できたのに、そのまま心拍が見えず。

妊娠の初期は、”自然の淘汰”の時期であるのは事実です。

卵ちゃん側の理由で、残念ながらということがあるのもいたしかたないところですね。

流産は、通常の場合ならば、出血があり、自然の流れでリセットになることが多いです。
ただ、残念ながら、流産は確定しているのに、出血がおこらず、手術などの医療介入が
必要な場合もあります。

今回は繋留流産について考えてみましょう。

☆繋留流産と言われたときに

 

流産と言われたときに、ドクターから色々な説明があると思います。
こんな資料もありますので、お読みいただければと思います。
どうしても、気持ちの落ち込みなどで、ドクターの言葉が入ってこないこと
多くありますよね。

繋留流産、流産について

そして、この記事をお読みの方は、次の妊娠を考えている方が多いと思います。

そのときに大事なのは、子宮内膜に対する手術の影響です。
これは、非常に気になさるドクターと、問題視しないドクターがいらっしゃるようです。

そのように、さまざまな意見があるということを踏まえて、

流産と子宮内膜

子宮内膜の厚さと D&C の既往率をみると明らかに反比例していること,6mm 未満の 症例は全例 D&C をしていたこと,D&C をしたことがある症例は有意に内膜が薄いこと, D&C をするたびに薄くなるこ

2)薄い子宮内膜の原因と対策日産婦誌60巻9号研修コーナー より

 

薄い子宮内膜は、着床、妊娠の継続に大きな影響を与えます。
これらを配慮して、手術の術式も考えられる場合もあるようですね。

 

☆鍼灸治療での繋留流産への取り組み

繋留流産への西洋医学的なお話は上記の様に、自然なリセットをまつから、手術のリセットまでさまざまな方法があることは理解していただけたかなと思います。

そのうえで、自然なリセットを待つときに、鍼灸治療でリセットを促すお手伝いが出来ると私は思っておりますので、そのお話をしていきますね。

☆☆繋留流産リセットは、便通と同じ考え方

繋留流産は、本来であれば自然にリセットされる子宮内が、血流などの滞りでリセットされないためにおこります。
これを便通と同様に考えるのは、身体の中の蓄ったものを、外に出すというベクトルが働くからです。

便秘でなかなか便がでないときには、お腹に力を充たさせるという下向きのベクトルと、排出させるという外向きのベクトルを使っていきます。同じ考えをしていくわけです。

 

☆☆繋留流産リセットへ鍼灸治療の実際

1)肺兪(BL13)をつかって、全体の肺気をアップさせます。
2)身体の軸をしっかりさせるべく、百会を使いながら、腎ー大腸の子午表裏体感経穴で
身体の力を補います(ベクトルがでやすくするため)
3)お腹のパワーがでるように、気海関元にしっかりと補いのお灸
4)合谷で肺気並びに理気を出汁、三陰交の瀉で下へ引きます。

鍼灸を学んだ人ならば、合谷の補、三陰交の瀉という言葉を聞いたことはあるかと思います。
ただ、その合谷の補、三陰交の瀉をしっかりと効かせるために、お膳立てが必要ということです。

☆気血の傾きをおおきく減じている、流産後の身体へのケア

 

流産も、出産も、そして実は便通も同じです。
外向きのベクトルをしっかりと使い、身体のなかの滞りを外に出します。
このときに、

身体自体の生命力も損傷してしまうことがあり、そこから、体調が悪いとか、なかなか妊娠が継続出来ないという状態になることがあります。流産後の身体のケア、本当に大切です。

 

☆☆流産後の身体のケア 鍼灸

写真の黄色い線、脾のラインと、青の腎のラインがポイントです。
温灸などでしっかりとケアしましょう。
また、棒灸で、気海や臍をしっかりとケアすることもポイントです。

また全身の体力アップには背中の経穴がかかせません。

 

☆☆流産から次の妊娠へ向けて身体の力をupさせる!

流産後に次の妊娠を考えるときには、足の胃経と脾経のケアがポイントです。

端的にいうと、足三里(ST36)と三陰交ラインです。
養生の基本の足三里(ST36)と、女性にとっての血の道養生の三陰交ライン。
是非、使って診て下さいね(^^)。

妊活禁忌のツボが、妊活に効くとき 合谷、三陰交

鍼灸ではツボ(経穴)を使ってアプローチします。

ツボには色々な作用があります。

たとえば合谷 昇清降濁、理気、疏風、解表・・・・・などなど。

結局、そのツボの特性は、

1) 使おうとしている身体の状態
2) 使おうとしている道具
3) 使おうとしている経穴の組み合わせ

などなどによって、大きく変わってくるのです。

☆安産で使っているツボで早産になってしまうこともある

妊活で、早く妊娠したいと思っている人が、
一つの特性を 信じて使うと、他の特性がでてしまい、
効き方が真逆となってしまうことも あります。

実は第二子妊娠中に逆子で来院されたとある患者さん。
経過を伺うと、第一子は少し早産をされていました。

その方は、第一子の時に安産のためにと鍼灸を受け、治療後に
陣痛がきてしまい、出産になってしまったとのことでした。

私はその患者さんがどのような治療を受けたのかを伺いました。
この方のお腹をぱっとみると、明らかに重心が下。
そして、ご自身を引き上げる力、子宮を持ち上げる力が弱いタイプの方でした。
(中気下陥、全体も下陥タイプ)

あれこれ伺っていると、安産と信じて使った経穴がどうも真逆の作用を
だしてしまったので、安産という上向きベクトルを出したいところが、
逆の下向きベクトルになってしまい(ご本人が下陥タイプだから)早産に
つながったのかなと思われました。

まあ、真実は、他の要因もたくさん入っているので、それだけがとはいえませんし
なんら関係無いことかも知れません。

 

☆効きが良い経穴は、よくも、わるくも、効いてしまう。

ただ、やはり、効き方が問題だったのではないかと思いました。

包丁だって、上手に使えば美味しい料理を作ることが出来ます。
でも、ミスをして指を切ってしまうこともあります。

その人の身体をしっかり診て使う。 本当に大事です。

ふたりめ不妊:産後からの不調、体外受精が上手く行かない。43歳妊娠、出産。

ふたりめ不妊は、悩ましい不妊です。

ひとり、無事に出産になっているから、妊娠出来るんじゃないかというあせり。
そして、ステップアップした高度生殖医療ならばということでやってみても、
なかなか前に進まない。

年齢要因があがる、あせり。
そんなとき、もう少し立ち止まって、あなたに何が必要なのか、かんがえてみてはいかがでしょうか?

☆ご相談:40歳です、不妊治療が前にすすまず、悩んでいます。

40歳です、不妊治療がなかなか前に進まず悩んでいます。

第一子もとても苦労しました。
28歳の時に卵巣嚢腫が茎捻転をおこし、右の卵巣を摘出手術しています。
30歳から妊活を始めましたが、なかなか前に進まず、体外受精、胚移植を5回行い、やっと36歳にて第一子を出産することができました。
妊娠中からからむくみや便秘がひどくなりました。
産後も体調がとても悪化してしまいました。

39歳から第二子の妊活をしていますが、不妊治療をはじめると便秘が悪化しより体調不良となってしまっています。

不妊治療を再開した当初は体重が60㌔でしたが、現在は67㌔。不妊治療をすると体調が悪くなり、便秘が始まり、食欲不振、体重増加となってしまいます。
身体全体が重く、冷たい感じがします。
すでに体外受精を2回行いましたが、妊娠出来ませんでした。

もう一人、子供を産み、育てたいと思っています。
またアレルギー鼻炎がひどくつらいです、また便秘もつらいです。
どうしたらいいでしょうか?

☆ご相談にお答えして〜あせらず身体の力をあげて、前にすすみましょう。

第二子の妊活を前に進めたいというご相談ですね。
第一子の妊娠を30歳からご希望なさって、数々の努力を重ね36歳にてご出産。本当に頭が下がるような努力を続けていらっしゃったのですね。

現在、第二子への妊活、少しでもお力になれればと思います。

☆お身体の状態について

もともと身体がむくみがちで、便秘などもあり、いらないものをすっきりと排泄する力が不足気味の素体であったと思います。

妊娠出産は、身体に大きな負担となります。
健康状態がよければ、妊娠、出産の大きな気血の虚損をともなう波にも、生理的な範囲として乗り切り、生命力が充実する方向ですすみます。

しかしながら、元々の素体が虚損気味であれば、より力を失う方向になり、悪循環となります。

とくに、身体の底力である腎の力に負担となることによって、

上焦:百会熱感、心下つまり
中焦:中脘(CV12)の固さ、臍周の冷え盛り上がり、脾兪(BL20)のゆるみ
下焦:板のような下腹、少腹急結、細絡、骨盤の硬さ、次髎(BL32)の冷え

上焦から、強い気逆
中焦から脾胃の動きの悪さ
下焦から進むオ血、腎虚の状態

という状態になっています。
つまり、産後に補われずにいた 脾腎の弱さに乗じて全身に、強い気の鬱滞が生じ、身体の上部には熱感を伴う気の滞りが生じているという状態です。

身体の底力である、脾腎の力をつけ、全身の気の巡りの状態をよくしていくことが、不妊治療を一歩前に進めることになると思います。

☆不妊治療について、4つのアドバイス

1:第一子が妊娠、出産出来ているのだから、基本的な妊娠する力はある。
2:体外受精の卵のグレードの悪さは、体調を整えることを優先し、採卵を急がない。
3:病院について、あわないようならば転院も考える。
4:採卵は年齢要因もあるので、ある程度いそぐ。ただ移植は全体の体調をあげることを優先する。

第一子が妊娠出来ているのですから、妊娠する力は十分にあるカップルだと思います。40歳の現在でも、採卵ができているのですから、焦らず前にすすみましょう。

年齢要因がありますので、治療を急ぐのは大切です。ただ、現状の子宮(女子胞)の力が落ち、子宮(女子胞)卵巣に生命力(気血の流れ、血流)が届いていない状況では採卵を繰り返しても仕方がありません。

凍結胚ができるまでは、身体作りと採卵を並行し、凍結胚が出来たら、身体作りに集中し、全身の生命力をあげることが、結果的に妊娠、出産につながる近道だと思います。

病院については、現在のところ変更するお気持ちがないということですので、採卵ができているのでこのままでいいと思います。しかしながら、ある程度で転院も視野に入れる柔軟性をもっておくほうが、時間を上手に使うことにつながる可能性は高いと思います。

☆東洋医学的な診立て

・弁証
脾腎両虚 肝鬱瘀血
・論治
益気補腎 益気補脾 疏肝理気
・治療方針
まず第一に、産後から落ちたままになっている脾腎の力をあげ、悪循環で生じている肝鬱を納める。また上焦の熱感がつよければ必要に応じて疏肝理気する。

瘀血については、下焦を中心に温養することで動く範囲で対処する。
督脉上に瘀血所見が多いので、下焦を温養し督脉に陽気を導き通していく。

 

☆治療経過〜出産まで

40歳 鍼灸治療後2ヶ月
1)背中のイヤな感じが取れている
2)冷えが少し楽
3)いつもある秋からの肌荒れがなく、高い美容液を買わずにすんでいる。
治療後半年 採卵周期ー今回は卵の状態がとても良く数も多く見えていたが
排卵済み、人工授精をした。
採卵周期にはいるものの、日程があわず出来ず。
治療後1年 病院をかえる。
採卵周期 3つのうち2つがグレード1で凍結
10ヶ月後 移植 妊娠できず
18ヶ月後 HR周期ー排卵がおこって移植できず。
20ヶ月後  HR周期にて 移植ー妊娠
無事に女児を出産 おめでとうございます。

 

途中に上のお子さんの行事やイベントなどもあり、少し間があいていますが、凍結胚は待ってくれるということを信じて、あせらず前に進めることができたと思います。

しっかりとお迎えの準備をし、無事に二人目の出産となったこと、よかったなあと思います。
子育て、楽しんで頑張ってくださいね!