卵巣嚢腫」タグアーカイブ

その2:不妊治療をやめる前に、やるべきことはなに? 知るための不妊カウンセリング

不妊治療、やめました。―ふたり暮らしを決めた日
という本は、私の中で非常に印象的な本でした。

不妊治療をやめた日 堀田 あきお かよ

この本をもとに、もう少しお話をすすめていきましょう。

その1はこちらです。

不妊治療は体外受精の繰り返しだけではないのでは?

 

☆子宮内膜症で気がつく、「早く妊娠を!」のメリット。

エストロゲン依存性疾患は、生理があれば進行していきます。その進行を止めるには、「妊娠」というのが案外よい手段です。また、エストロゲン依存性疾患は生理がある限り進みますので、妊娠しにくくなります。早く妊娠をするのは二重の効果なのです。

 

☆☆医師から勧められた「早く妊娠を」

29歳

 子宮内膜症がかなり進行、卵巣が腫れ上がり(チョコレート嚢胞)手術
手術後、医師より内膜症のため妊娠を勧められる。

医師より、20代の間に「早く妊娠した方がいいですよ」という声がかかることは、非常にラッキーなことだと思います。

不妊治療で一番のポイントは、婦人科疾患ではなく年齢だと思います。

確かにこの本で紹介されるように、29歳の子宮内膜症は大変なことだったと思います。

しかしながら、ここで「妊娠しては?」と医師から言われた人は、案外早く結婚を考え、妊娠を考えます。

婦人科疾患をお持ちの方が、案外妊娠、出産なさるのをみると、一番の難題である年齢要因。ここの時点で、病気のせいとは言え、「早く妊娠した方がいいですよ」とアドバイスされることは、不妊治療的には、早く治療を進めようというモチベーションになり、結果的に大きなラッキーとなるケースを多々経験しています。

29才というのは、年齢要因的に若いのです。婦人科疾患には対策があるのです。今回の堀田さん達は、子宮内膜症などをお持ちの方が一番の対策となる「体外受精」は選択しませんでした。

この選択を若い時点で含めれば解決があったかも・・・と思わずにおれません。年齢が『若い』ということは、不妊治療に置いては決定的な意味を持つことが多いのです、若いときにはリアルに気がつくことができにくいのですが。

自分にとって有利になるアドバイスに気がつけないのは、よく理解出来ます。それはご自身にとってのあたりまえだからです。でも、本当に大事なことであったりもします。これを誰かがサポートしてあげられればと思わずにはおれません。

☆あきらめたら、妊娠!

タイミング、転院、排卵誘発剤を使った治療、卵管造影(両方ともOK、子宮も問題なし)、フーナーテスト(不良、精子が動いていない)、精液検査(良好 問題なし)

 フーナー不良で精液問題なしなので人工授精へー半年継続 妊娠せず

 治療中断ー自然に妊娠ー出血流産。

☆☆ストレスの解放と妊娠

あれこれと沢山のことを頑張って、休憩中に自然妊娠というのは、案外よく聞く話です。

これは休憩という肩の力の抜けたところに、気血の巡りがよくなりするっと妊娠に至ったのかなと思います。東洋医学で言うところの肝鬱気滞、この方の場合は子宮内膜症もきつかったようですから、そこから一歩進んで肝鬱気滞オケツといったところでしょう。

諦めた途端に妊娠、と言うことが案外多いのは、なにか器質的な課題があるわけではなく、気血の巡りが悪く、あと一歩妊娠成立にならないという上他栄だったと言えます。

少し症例をお出ししますね。
これらの方も思い悩み、妊娠が前に進まないときに、鍼灸を取り入れ妊娠、出産なさった症例です。

症例:0007、0021

プレッシャーからの解放、鍼灸でスンナリ自然妊娠0007

子宮が小さい、卵巣機能不全、4回の体外受精からの自然妊娠、出産0021

 

☆残念な、残念な流産とその対策

本当にここで残念なのは、せっかく妊娠なさったのに、出血し、流産してしまっていること。

可能性としては、
1)全身の気血の巡りが悪いため、妊娠によって身体に上向きのベクトルができ、大きな負担となりつわりがきつくなった。
2)かなり子宮の血流が悪く滞りやすいのではないか。

対策として、私ならば以下の2点をおこないます。

1)血流を中心とした不育症の検査をお勧めする。

2)胎盤形成期の鍼灸アプローチ

1)の不育症ですが、いわゆる不育のカテゴリーは流産を2回あるいは3回ですのであてはまらないかとは思います。しかしながら、なかなか妊娠しないという経過もありましたから、着床障害の観点もいれて、ご相談なさるのは現時点ではよいかと思います。以前は不育症だけとなっていますが、現在ではこれに着床障害もくわえていらっしゃります。

杉ウイメンズクリニック

2)胎盤形成期の鍼灸アプローチ

棒灸を中心とした積極的な温灸療法と、妊娠を配慮しつつの気血をめぐらせる鍼灸治療を取り入れ、妊娠15週までの初期を乗り切ります。

これは非常に有効です。

妊娠初期は流産などがおこっても、ある程度は「自然の淘汰」が考えられる時期ではあります。

しかしながら、何人もの流産経験者の方を拝見していると、「子宮血流改善、胎盤形成期の鍼灸アプローチ」をしっかりと取り入れると改善され妊娠初期を乗り切る方がおおくいらっしゃります。

沢山の漢方を飲んだけど効かない、不妊、冷え性

やりうること、セルフケアも多くありますので、取り入れていただき、妊娠初期を乗り切っていただければと思います。

その1:不妊治療をやめるまえに! やるべきことをしっかりとやってから。

この、不妊治療、やめました。―ふたり暮らしを決めた日
という本は、私の中で非常に印象的な本でした。

不妊治療をやめた日 堀田 あきお かよ

 

いまなら、Kindleの月額無料の中に入っています。

この本は、私の中で非常に印象的な本でした。

不妊治療についての、納得出来るところがいっぱいあります、

そして惜しいと思われるところが沢山あります。

 

☆不妊治療は体外受精一択ではないはず

この方は、私と同年代ですので、不妊治療としては少し古い症例になります。

しかしながら、最近つくづく思うのですが、不妊治療は案外シンプルでもよい!ということです。

そして、妊娠には、「待つ」ことも本当に大事なのです。
不妊の定義の中に、1年間妊娠しなかったらという前提があります。
これは10回から15回程度のタイミングの中で妊娠は成立するという話しです。
年齢要因もありますから、一概にこの定義を適応は出来ないとは思います。
しかしながら、妊娠しない、ということで「見切り発車」が多すぎて、
かえって不妊の状態を難しくするケースが多々あります。

妊娠しないということで、西洋医学的な医療介入はあがっていき、

最後の砦としての体外受精につきあたると、体外受精の繰り返しになる
そんなケースが多々あるのです。

年齢要因などを鑑み、可能性をよりあげると言うことにつながりますので、
納得が出来るところではあります。

しかしながら、案外、体外受精の介入=妊娠 につながらないケースがたたあるのです。

体外受精や顕微授精などの高度生殖医療は、保険適応が2022年4月からはじまります。また助成金も手厚い分野です。しかしながら回数制限があります。

体外受精に挑戦する前に「やるべきことをしっかりやる」このことが、

体外受精や顕微授精などの高度生殖医療の介入なしに「自然妊娠」のチャンスを広げますし、どうしても妊娠出来ず体外受精や顕微授精などの高度生殖医療へ進んだ場合でも、チャンスを広げます。

一人でも多くの方が、妊娠できますように

一人でも多くの方が、赤ちゃんを抱けますように。

そんな願いで、この本の方の症例を一緒に考えていきたいと思います。

☆体外受精までを考えるときの、不妊治療のプロセス。

 

さて、この不妊治療はやめましたという本は、不妊治療の体験本としては少し古い物になってきているとおもいます。しかしながら、選択肢に体外受精まで考えられる年代ですので、いまでも充分参考になると思います。

不妊治療を終えることを決断し、最後の言葉で、

『世界の広さを知ると、自分の寂しさなんてどうでもよくなるものよ』

という言葉。
私の胸をジンと打ちました。

『不妊治療、やめました。―ふたり暮らしを決めた日 』この本から、お二人の不妊治療の時系列をまずたどりたいと思います。

 年齢は女性側の年齢です

29歳:子宮内膜症のひどさ

 子宮内膜症がかなり進行、卵巣が腫れ上がり(チョコレート嚢胞)手術

 手術後、医師より内膜症のため妊娠を勧められる。

 タイミング

 転院

 排卵誘発剤を使った治療

 卵管造影(両方ともOK、子宮も問題なし)

 フーナーテスト(不良、精子が動いていない)

 精液検査(良好 問題なし)

 フーナー不良で精液問題なしなので人工授精へー半年継続 妊娠せず

 治療中断ー自然に妊娠ー出血流産。

32才 漢方でも結果がでず、不妊クリニック受診へ

 32才、引っ越し、 夫アトピー悪化ー漢方治療で良好に

 妻不妊漢方ー結果出ず

   漢方クリニック転院ー結果出ず

 最先端不妊クリニックへ転院

  フーナー良好、精子良好、頚管粘液良好

  →体外受精をすすめられる。成功率20-40%との説明

   体外受精をしないならば、通う必要はないと言われる。

  →経済的要因を考え治療中断

32才のここで治療中断は、不妊治療アルアルです。
35才未満の方は案外、治療中断しちゃいます。
でも、本来はここが踏ん張り処なんですよ・・・・
年齢が32才ならば、いろいろな選択ができます。
費用も40才の時に比べたら格段に安く出来ます。
そして結果が出やすい。

本当に、ここが、ここが頑張り所なんです!
迷ったら、不妊カウンセリングをお勧めします。

 

40才、不妊治療再開〜不妊治療をあきらめる

 不妊治療再開 某大学病院へ転院

  卵管造影、通気、1年以上通院

  不妊治療を終了

不妊鍼灸セミナー:体表観察のポイントは? 鍼灸治療頻度は?その①

不妊鍼灸セミナー:体表観察のポイントは? 鍼灸治療頻度は?

私は鍼灸師さん向けに講義などをおこなっています。

皆さんからいただいた質問にお答えするコーナーです(^^)

動画はこちら→

ご質問:米山先生はどのように体表観察をおこなっていらっしゃるのでしょうか?

東洋医学の世界では、患者さんを見立てるときに、基本を四診においています。

四診について

東洋医学では患者情報を知る方法として四診が提示されています。と望聞問切という4つの方向性からの情報収集であり、今回とくに重要視するのは、切診という体表観察のアプローチです。

切診は人の身体を直接触れて行う観察方法です。
私は皮膚を直接触れることで知り得る質感の状態が不妊治療において非常に重要となることを多く経験しています。すなわち、皮膚の質感の好転が妊娠へと繋がることや、体外受精などの治療においての採卵された卵の質の向上に貢献しているからです。

体表観察とは??

体表観察というのは、「お身体を拝見して、情報を取る」ということです。

 

病院でしたら、血液検査やその他のいろいろな検査があり、数字で表示されますが、東洋医学の場合は「観察者の視点」からの情報取得になります。それだけに経験値がものをいってしまう(^_^;)世界ではあるのですが、しっかりと見るという気持ちをいつももっていたいと米山は思っています。

体表観察のポイントです。
1)・舌、脈、腹、経穴(体幹、手足、背部、骨盤)をしっかりと見る
2)分からないものはそのままおいて、無理に評価しない
3)使う使わないはこの時点では問題にしない

→治療点を見つけ出すという視点から一歩引いて四診から全体を眺める気持ちで

見る、観察するときに一番大切なのは、思い込みや邪念(^_^;)を捨てるということです。
ただ、無心にありのままをみる。
鍼灸師さんが時にやってしまいがちなのが、「鍼灸する場処探しの体表観察」
これは本末転倒です。こういった思い込みをもって「診る」と見誤ります。

体表観察していると、沢山の矛盾につきあたります。
あれ?このツボは風邪の反応があるように出ているけれど、脈はそんな感じじゃないな?どうしてと考えながら、背中のツボをみると、肺兪が発汗していない。ということは・・・と考えていくわけです。

私は実は、この「観察」が大好きなのです(^_^;)。人をしっかり診るというのは私のテーマでもあります。

再診のとき、いつも観察させていただいている患者さんだと、弁証論治をベースにし、今日の状態を拝見していきます。そして「現時点での課題」「その方の人生での課題」を距離感をもって観察しながら施術していきます。

結構長くなってしまいました(^_^;)、質問2の鍼灸治療頻度については、別立てにしまする〜。

不妊鍼灸セミナー:体表観察のポイントは? 鍼灸治療頻度は?その②

不妊鍼灸セミナー:体表観察のポイントは? 鍼灸治療頻度は?

その①を書いていたら長文になってしまいました。いつものことですが(^_^;)。
ということで。続きをその2にします。

私は鍼灸師さん向けに講義などをおこなっています。

皆さんからいただいた質問にお答えするコーナーです(^^)

動画はこちら→https://youtu.be/m0P7iwH3s0A

ご質問:鍼灸治療の頻度は?

週に1度以上をお勧めしています。治療頻度をあげることは、不妊治療の効果をぐっとあげることを実感しています。患者さんと話し合ってきめていきます。とくに、妊娠反応は出るが妊娠が継続しないというケースには治療頻度をあげ、初期を切り抜けることをお勧めしています。

症例0179のケースが非常にわかりやすいかなと思います。
4回の胚移植、着床はするけど、胎嚢まではみえません

この方の妊娠時の治療頻度です。妊娠判定の陽性をもらってから胎嚢確認までは毎日!

そして12週までは週に3回おこなっていきました。

その結果、何度も移植しても抜けられなかった妊娠初期の壁をこえ、無事にご出産へと。

このときの基礎体温表

不妊治療、いろいろなケースがあります。

いろいろな壁があります。
ときに、どのように壁を突破するかが一番のカナメとなるわけです。

患者さんと長い日々一緒に考えた経験から、こんな風にしたら・・・という提案ができることが喜びであり、少しでもお役に立てればという願いで日々をすごしております。

不妊鍼灸セミナー:生理痛とピル、不妊。

生理痛とピルと不妊、妊娠についてご質問を頂きました。

私は鍼灸師さん向けに講義などをおこなっています。
不妊治療や女性の鍼灸治療は、西洋医学的な不妊治療の知識が必須です。
その上で、私は鍼灸師のみなさんに、
『東洋医学的な知識と患者さんのお身体をしっかりと観察する目』
もっていただき、目の前の患者さんにとって、必要なことを一緒に考えられるような鍼灸師で
あって欲しいと思っていますし、私自身もそう願い研究研鑽を重ねています。

さて、講義を終えてからの質問をいただきました。

質問:

月経不順やPMSの軽減などを目的とした10代~30代の低容量ピルによる月経のコ ントロールは、その後に妊娠や婦人科系疾患に影響を与えていると言う実感があったりし ますか?

質問の理由:
このサイトをみて、生理痛の軽減にピルの服用は有効であると考えていました。
しかしながら、無月経を放置してはいけないというお話しを聞き、ピルの服用はいいのかしら?と
疑問に思うようになりました。

鍼灸で楽になるならばそれが一番ですが、どう考えたらいいでしょうか?

参考サイト:

 

質問にお答えして:

私がお話しした、月経が2年以上ないことが問題というのは、無月経の放置を2年以上しているという意味です。ピルのコントロール下にある場合ではありません。ピルのコントロール下で あれば長期服用でもピルをやめたあとは排卵が起こり妊娠は可能ですね。これは参考サイトの中の、

5回目 低用量ピルを使っても妊娠はできる? 太る?などの”都市伝説”に回答
こちらが答えになるのかなと思います(^^)

現代女性に月経の数が多いのは、ライフスタイルの変化からです。昔の女性は10代の後半から妊娠して月経が止まり、授乳して月経が止まり、またまた次のお子さんを妊娠して・・・と繰り返していますね。
その間、排卵が抑制され、月経が止まっているわけです。

現代の女性は、妊娠の数が非常に少ないわけですから、月経が多く、そのため、子宮内膜症や卵巣嚢腫など排卵にまつわるエストロゲン依存性疾患のリスクが高まるわけです。

”妊娠を望んでいない”女性がピルで月経のコントロール”をするというのは、メリットのあることだと思います。

さて、では、不妊の女性についてはどの様に考えたら良いのでしょうか?

不妊とピルと生理痛

ピルを服用していると、ご自身の身体の変化に気がつかない

ピルを使っていると、ご自身にもともとの排卵障害があったり、妊娠しにくい状態であるのか妊娠しやすい状態であるのかはなかなかわかりません。気がつかずに年齢が高くなると、不妊のリスクは高くなります。

つまり、ピルを飲んでいるから不妊になるではなく、年齢が高くなる、不妊の原因になり得る状態に気がつかないということがあります。

これはピルの問題ではなく、不妊のあたりまえの課題です。

生理痛がひどくてピルが手放せません

子宮内膜症や子宮腺筋症などで生理痛がひどく、ピルが手放せないという方がいらっしゃります。
妊娠はしたいのだけど、ピルをやめると生理痛がひどすぎて生活に支障が出るということです。

私はこういうときには、一気に不妊治療を進めることを提案しています
通常であれば、半年から1年程度は自然な形での妊娠、つまりタイミングや人工授精などを
提案しますが、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療受精を行い、1度の月経周期で多めに
卵胞を育て、受精卵を作り凍結します。そして月経そのものはピルでコントロールしながら、
移植周期を調整し、不妊治療を進めていくのです。

排卵があるから、生理痛がある。だから排卵を止める、だから妊娠できないというループから
高度生殖医療を使って、一気に進めます。凍結という技術も使ってみる価値があるのかなと思います。

子宮内膜症、排卵痛35才出産の弁証論治

この方も非常に重い生理痛がありました。妊娠したいという希望が明確であったので、
鍼灸治療で体調をあげたのちに、一気に不妊治療を進めました。

卵子の状態が悪く、採卵は複数回になりましたが、無事に妊娠出産につなげることができ、
よかったなあと思っています。

まとめ:

現代女性は排卵回数が多すぎるために病気になってしまっている側面もあります。
妊娠を望んでいないのならばピルにてコントロールするのは非常に良いと思います。

ただし、妊娠の希望がある場合は、ご自身の状態を良く把握し、前に進むことも必要ではないかと思います。