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42歳、何度も体外受精をしていますが不妊治療が前に進みません。0182

不妊治療のご相談を多くお受けしていると、あらためてそのご努力に頭が下がる思いをすることがあります。

そして、また”なかなか前に進まない不妊治療”に対して感じるストレスも

ひとそれぞれなんだなあとも思います。
大きく感じる人、小さく感じる人。

この不妊治療そのものがストレスになってしまい前に進まないケースも多く拝見してきました。
それぐらい、ストレスは強敵ですし、また逆に強敵にするかどうかはその人しだいともいえるのかなと。

今回は、その道筋を伺うと、ここまで・・・すごいと思いつつ、それを困難とかストレスとかと大きくせずに、淡々となさることをするという態度に強いと思いました。

そうなんです、ストレスに振り回されない人は、強いです。
その強さは、結局、不妊治療を前にすすめるものです。

強いというとパワフルとか、力強いというイメージがありますが、
強さというのは柔らかさで、柔軟に淡々とするべきことを積み重ねてする。その継続性が結果的に強さになると感じます。

今回は、うーんと唸らせられてしまう不妊治療であるのに、淡々と前に進み、結果として妊娠、出産にたどりついた症例です。

☆不妊治療をしていますが、良好胚ができず治療が前にすすみません。

42歳です。
31歳から妊娠を希望し、4年かけ9回目の胚移植でやっと妊娠出来、39歳で出産しました。

その後、40歳からふたりめの子供を希望し、体外受精をしています。

1度は妊娠はしたものの心拍確認後の流産となってしまいました。

採卵を繰り返していますが、なかなか移植出来る良好胚が出来ません。
また第一子の経過で途中から高血圧になってしまったことも不安です。

なんとか、妊娠、出産したいです。どうしたらいいでしょうか?

繰り返す採卵、不妊不育、妊娠高血圧を乗り切り無事の出産(43歳出産)

☆お身体の状態について

主訴:不妊 腰痛 便秘

・子供の頃から便秘がちで、薬を服用していた。いまでも、薬を並用しながら便秘とつきあっている、硬めの弁でお腹が張って痛いことが多い。

・仕事をするようになって、疲労がたまると腰が痛い

・食欲は普通、少し不規則で空腹感はあり、おいしく食べられる。

・睡眠状態はよく、翌日に疲れが残ることもめったにない。

☆婦人科の状態について

・生理の状態は28日型で5日間ぐらい出血。体調不良はめったにない。

・排卵時に卵巣のあたりが痛い

・39歳第一子妊娠

・42歳ー妊娠、心拍確認後に流産

☆不妊治療歴

31歳 妊活スタート ホルモンの状態、卵管、卵巣などの基本的な項目は問題なし。

35歳 医療介入での妊活スタート

〜38歳、不妊クリニックにて、採卵を繰り返し、4回ほど全く着床反応がない。

 不妊クリニック転院や採卵を繰り返し、4回目の凍結胚盤砲移植で妊娠

39歳: 妊娠中高血圧になり、少し小さめの赤ちゃんながら無事に出産。

40歳 妊活再スタート 体外受精再スタート

41歳 1回目胚移植にて着床反応あるものの妊娠までにはいたらず。

42歳 2回目妊娠ー7wで心拍確認後流産。

☆ご相談にお答えして:
子宮(女子胞)を支える力をあげ、妊娠、出産に向けて進みましょう

体外受精を繰り返しているのに、なかなか胚移植出来る卵にならない、またせっかく移植し妊娠出来たのに、心拍確認後に流産になってしまったとのこと。本当に残念でしたね。

第一子も、31歳から35歳までは病院へ通いながらの不妊治療をおこない、その上で、体外受精にステップアップし、かなりの採卵回数を重ねた上での妊娠、出産とのこと。

本当に頑張って前に進んでいらっしゃったのですね。

☆お身体を拝見して。

今回の心拍確認後流産は本当にお辛かったと思います。

流産は女性にとって、大きな気血の傾きとなります。お身体を拝見すると、やはり子宮(女子胞)への負担が大きいことや、元々の腰痛や年齢要因からも東洋医学で言うところの生命の土台の力である腎気がかなり落ちてしまっていることや、便秘がちなお身体、舌の状態や、お身体にでている反応などから、気の滞りを持ちやすく(気滞)その滞りが少し根深く血の滞り(オ血)まで引き起こしている可能性がうかがえます。

☆☆東洋医学的な治療方針
・弁証 腎虚を中心とした肝鬱瘀血
・論治 益気補腎
・治療方針

 腎気を補うことで、ご本人のもっている生殖の力をあげ、バックアップしていく。
瘀血に関しては、胚ができていること、着床もできているので、大きな問題としない、補腎をすることで、自然な経過として肝鬱瘀血の部分は解決していくのではないか、その上で必要な場合は考える。

☆不妊治療についての4つのアドバイス

1)今のクリニックがあっているので、継続して採卵を。

2)妊娠に必要な身体の余力をupしていく(鍼灸+セルフケア)

3)妊娠が成立したら、血圧や体調に気をつける積極的に鍼灸をしていく。

4)年齢要因は気になるが、充分妊娠、出産出来る状況。

不妊治療歴は長いものの、第一子のプロセスを拝見すると、現在通院中のクリニックのやり方が基本的にご本人にあっていると思います。転院することなく、信頼し継続していいかと思います。

また、今回は流産になってしまってとても残念なのですが、基本的な卵の状態や、妊娠する力そのものはある方だと思います。年齢要因などは気になりますが、同じクリニックで、迷わず、採卵をされるのがよいかと思います。しかしながら、少しお身体の疲れが目立ちます。妊娠は身体の余裕が非常に大切。育児で大変かとは思いますが、鍼灸治療をとりいれ、またご自身のケアも取り入れていきましょう。

一つ気になるのは、第一子の妊娠中にかなり腎臓に負担がかかった状態になり、少し小さめでのご出産になったことです。これはご自身のお身体の状態をあげること。また特に妊娠初期の血流をあげ、胎盤などの状態をよくすることで、妊娠後期の状態を改善出来て行ければと思います。

☆治療経過

初診
右外関陽池(TE4)、右臨泣、右足三里(ST36) 三陰交(SP6)
大巨(ST27)、関元(CV4) 肺兪、腎兪(BL23)、大腸兪(BL25)、次髎(BL32)、
→セルフケア 大巨(ST27)、関元(CV4)(しっかりと)右の外関陽池(TE4)

以降週に1−2回の鍼灸治療+セルフケア

・初診から3ヶ月続けて採卵ー空砲や未成熟が多いー少し休んでみたらとアドバイス。

・5ヶ月目 採卵ー培養途中で止まる。

・6ヶ月目 採卵ー凍結胚盤砲が出来た。

・8ヶ月目 移植ー妊娠
移植時の鍼灸
百会、三陰交(SP6)、陰陵泉(SP9)、右足三里(ST36)、右内関(PC6)
肺兪、胃兪(BL21)、腎兪(BL23)、次髎(BL32)

妊娠時の鍼灸(なるべく週に3日以上の鍼灸治療)
臍、中注(KI15)、大巨(ST27)、関元(CV4)、腎兪(BL23)、脾兪(BL20)、次髎(BL32)などの棒灸

妊娠30週 血圧がじりじりとあがってきた トコちゃんベルトをするようにアドバイス
妊娠32週 赤ちゃん下がってる?ートコちゃんベルトをして、少しあがる。
妊娠36週、少しタンパクがでる。第一子のときよりも良好に経過

予定帝王切開の日までしっかりとお腹にいてくれて、無事に出産。体重もしっかりとあり、元気に産まれほっとしていますとメール。

無事の出産、おめでとうございます。

☆あとがき、ご本人の淡々とした努力に頭がさがります<(_ _)>

年齢が高いこと、何度も体外受精、採卵を繰り返すものの良好胚がとれず移植に結びつかないこと、第一子の妊娠経過が厳しかったことなど、42歳での挑戦には多くの壁がありましたが、ご本人のあまり構えずに、そしてやることはすっとなさるという感じで、無事に良好胚がとれ、妊娠、出産につながったと思います。

ご本人、淡々とした努力がしっかりと実を結び、本当によかったなあと思います。

出産報告のメールで、『生まれるまで、ハラハラしながら過ごしていましたが』とありましたが、そう仰りながらも、すうっと落ちついた態度で、淡々と日々をすごし、セルフケアをなさるお姿が印象的でした。

ご出産、おめでとうございます。

よかったですねえ。

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妊娠中の体調ケア:免疫力がアップしますように! 0308

妊娠中のトラブル、いろいろありますね。

妊娠中は服薬は出来れば避けたいと思う方も多いと思います。
しっかりと飲まなければいけない薬は飲んでいただき、
それ以外は出来れば体力をアップさせることで解決して行ければいいですねえ。

このアンケートの方(8−2)は、妊娠21週目からのケアです。
ご本人の感想として
『風邪などに対する免疫力が上がったように感じます』とのコメントをいただきました。

また、鍼灸治療については、
『最初はとても不安に感じていた張りですが、回数通ううちに身体も楽になり、精神的な安定も得られるようになり、とても感謝しています』とのコメント。

うれしいですねえ。
妊婦さんの施術は、基本的に無理せず、出来る範囲でというのがビッグママ治療室の考え方です。
しかしながら、『妊娠は老化のシュミレーション』といわれるぐらい、妊娠は身体に負担となります。

まあ、確かに歯が悪くなったり、髪が抜けたりと老化そのものですね。

今日は少し妊婦さんの鍼灸治療に関して紹介させて頂きます。

☆妊娠20週からのケア

・風邪を引きやすい
・吐き気、頭痛が辛い
・花粉症などの症状がつらい

☆☆妊婦さんへの治療方針

 

赤ちゃんはお腹のなかでよく動いて成長します。
そして出産のその日までお母さんのお腹の中にしっかりと留まり日々をすごしていくわけです。
つまり、子宮(女子胞)が赤ちゃんを支え、上向きのベクトルを保ちながら日々をすごすのです。

お母さんがちょっと疲れていたり、下向きのベクトルがでがちな状況の時に、子宮(女子胞)は赤ちゃんを守り、赤ちゃんが安定を保つために強い上向きのベクトルを出します。これがつわりや逆子の状態です。

また赤ちゃんを守ることが最優先となりますから、お母さん自身をまもる表面の気(肺気、衛気)が不足したり、上向きベクトルが強いことによって、吐き気や頭痛などになったり、花粉症もきついですね。

また、血流が足りなかったりするとお腹が硬くなります。ゆとりがなくなっちゃいますね。

妊婦さんへの治療では、症状にかかわらず、血流をあげお腹を柔らかくゆったりさせること。そして適度な上向きのベクトルをもつようにと調整します。適度というのは、「上向きベクトル」は赤ちゃんが保つために必要なことですからね。

 

☆鍼灸治療の目的について:

1)身体の疲労をとる。全身の血流を改善し、健康度をupさせる
2)子宮(女子胞)の血流を改善し、柔らかいお腹を作る
3)強い上向きのベクトルがあれば調整する。

 

☆妊婦さんの鍼灸治療の実際:

20週ごろ:
1)大巨(ST27)、臍 棒灸
左外関(TE5)、足三里(ST36)、陰陵泉(SP9) お灸
2)胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)などはりしてお灸

25週ごろ:静脈瘤のお灸を加える。
臍、大巨(ST27)、関元(CV4)
胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)

30週ごろ:
耳の辛さがある:聴宮、首のスジバリにパイオネックス
臍、大巨(ST27) 関元(CV4)
脾兪(BL20)、三焦兪(BL22) 次髎(BL32)

 

☆☆鍼灸治療解説

基本的に上向きベクトルを出すようにしていきます。
そしてその方の弱りに対して、補うようなアプローチを主にとっていきます。

妊娠初期であれば、お臍は鉄板。後期になってくると、背中を中心にしていきます。
静脈瘤は、その部位を軽ーく触れて一番弱りを感じるところに隔物灸をしています。

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あとがき:

妊婦さんの治療は無理せず、結果をあまり意識せず。
それでも十分効いてくれるのが妊婦さんの治療であり、効き過ぎ注意が一番大事です。

生理不順、体外受精しかないと思ったところの自然妊娠ー出産34歳 0040

不妊治療に長らくお供をさせていただいていますが、妊娠って不思議だなと思うことがよくあります。

子宮卵巣の力を、東洋医学では女子胞(子宮)の力と考えます。

この女子胞(子宮)の力は、基本的には全身の生命力と連動し、健やかな身体であることが妊娠、出産に求められます。

しかしながら、妊娠はちょっとした歯車の掛け違いや、少しのつまずきでおこっていることもあります。ある程度の体調アップをしたところで、妊活への病院でのチェックはしておくべきだと思います。

☆子宮卵巣の力と、全身の体力 女子胞(子宮)の力の不思議さ

排卵や子宮の生命力は基本的に全身の生命力と連動します。

つまり、全身の状態がよければ、排卵も順調におこり、子宮内膜もあつくなり、妊娠しなければ生理がくるといった一連の流れです。

体調をよくすることが妊活を前にすすめる基本であり、王道です。

そしてその上で妊娠には、なんらかの要因で躓いてしまうこともあります。

食事と排卵が連動することもありますし、

ストレス状態が排卵や、キャッチup障害につながることもあります。

まず体調をあげ、それでもなかなか前に進まないときには畏れずに病院での力もかりましょう。

妊娠は年齢要因も大きいポイントです。

☆☆生理排卵と女性の二つのタイプ

女性には二つのタイプがあります。

1)全身の体調と、生理の状況がリンクするタイプ
2)全身の体調と、生理の状況はリンクしないタイプ

つまり、生理や排卵の状態と全身の状態がリンクするのか、独立しているのかということです。まあ完全に同一にはなりませんが、お身体を拝見していると、同じ疲労やストレスなどの負荷が、生理や排卵についてはまったく逆の反応として身体が表現するのだなあと驚くことがあります。

☆1)全身の体調と、生理の状況がリンクするタイプ

このタイプの方は、体調が悪いと、排卵が乱れ生理が来なくなると言うことが多く、

全身の体調と、生理の状況がリンクするタイプです。

全身の体調が悪化すると生理周期がおくれ子宮を中心とする女子胞力がおちてしまい、生理周期がのびたり、妊娠するチャンスが減ってしまいます。

また排卵そのものがなくなり、それを長期間放置してしまうと、体調が復活したり、投薬などをしても卵巣が反応しにくくなってしまうこともあります。

お身体そのものに、生理は負担となります。全身のリズムをつくり、排卵し、高温期を作る。そして妊娠していなければ生理となってリセット。この一連の生理周期は、身体にとっては負荷をかけていることそのものです。

この生理周期がお休みしてくれれば、身体は楽で、回復しやすくなります。

あまり長期間に生理、排卵がないのは問題ですが、寒い時期、疲労、暑さなどのよう院で、少し休んでくれるのは、対処の仕方によっては妊娠にもっていきやすいこともあります。

☆2)全身の体調と、生理の状況はリンクしないタイプ

人間の身体って面白いなあと思うのがこういった全身の体調が悪化という要因でも、1)のようなタイプの方もいれば、2)のようなタイプの方もいるということです。

2のタイプは、体調が悪いと、どんどん排卵がきて、妊娠を急ごうとするタイプ。つまり、全身の体調がわるいからこそ、次世代へという力が強く働き体調が悪いのに生理がしっかりと来るタイプです。

このタイプの方は、時に生理排卵によっての体調悪化が、全身に強い負荷になり続け、妊娠しにくくなってしまっている場合もあります。生理、排卵はちゃんと来ているのに妊娠しないと言うときには、やはり全身状況の点から見直してみる必要があるかと思います。

では具体的な症例からお話ししていきましょう
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☆3ヶ月に1度ぐらいしか生理がきません。私は妊娠出産できるでしょうか?

30才になります。
妊娠を希望していますが、生理が3ヶ月に1度ぐらいしか来ていない状況です。

20代の前半に体調を崩し、生理も乱れ、花粉症なども出現。なんだか体調が悪いという感じになってしまいました。

30歳で結婚し、生活に負担がかかると再び生理が3ヶ月以上こないという状況になってしまいました。

早く妊娠したいという気持ちはあるのですが、なんとも体調が悪いことが気になり、このまま妊娠したら身体がどうなってしまうのかという不安もあり、なかなか病院へ行く勇気もでません。

私はどうしたらいいでしょうか?

☆まず、体調を整えて。勇気を持って前に進みましょう。

妊娠をしたいというご希望ですね。

また体調そのものが悪いことも気になって、

病院へ行っての治療も勇気が出ないというお気持ちよくわかります。

女性には二つのタイプがあります。
1)全身の体調と、生理の状況がリンクするタイプ
2)全身の体調と、生理の状況はリンクしないタイプ

Yさんは、1)の体調悪化にともない、生理周期も伸びてしまうタイプですね。

食事や生活の不規則さが子宮(女子胞)の力に直結してしまい、体調も悪化、そして生理周期がのび、生理の量も減り妊娠しにくくなっているのではないかと思います。

20代の一人暮らしでの不調は、生理周期が伸びてしまうことだけで終わり、その後、実家暮らしによって体調が回復すると生理周期も戻っていますが、結婚後の負担のある生活は生理周期が大きく伸び、生理の量が減ってしまうという子宮(女子胞)の力を一段と落としてしまっているのではないかと思われます。

また、お身体を拝見すると、30才という若さながら、お腹の生命力をあらわすツボ(気海(CV6)関元(CV4)、大巨(ST27)など)の反応が非常に弱っていて、また足の経穴である湧泉(KI1)、復溜(KI7)、築濱なども冷えています。

足腰の冷えに反し、身体の上部は熱感を持ちやすく花粉症や頭痛となりやすく、口も渇き舌もあかくなっています。また全身をしっかりと包みまもっているはずの肺の経穴が弱りをみせています(肺兪(BL13)、列缺(LU7))また気の鬱滞をしめしています。

ご自身で、体調悪化の原因が、食生活の乱れや生活の乱れがきっかけになっているというご自覚もあるようですね。まだまだ年齢が若いです。まず体調管理し、自分の身体を信頼出来る状態にしていきましょう。その上である程度の期間がたちましたら、妊娠に向けてのステップアップも考えた方がよいかと思います。

☆不妊治療へのアドバイス

いまは、生理周期も非常に長くなってしまい、妊娠をしたいけれど、妊娠しても大丈夫だろうかという怖さもあるということですね。確かにそのお気持ちもよくわかります。ある程度までは体調をあげることを中心にしてもよいかと思います。

しかしながら妊娠は体調だけが連動しているのではなく、ちょっとした歯車の掛け違いでもおこります。半年から1年程度の期間をすぎても妊娠しない場合は、おそれずに病院を受診し、不妊治療を前に進めましょう。

イラスト ツボ セルフケア 応援

☆東洋医学的な見たて

弁証論治:腎虚を中心とする全身の気虚肝鬱 益気補腎
治療方針:腎気をたて下焦の充実をはかる。
肝鬱も症状としてはきつくあらわれているが、もともとの腎気の弱りから生じているので、腎気を中心にそこあげし、体調のupをはかる。

 

☆治療経過、体調がよくなり、自分の身体への信頼を取り戻す

初診:

列缺(LU7)、復溜(KI7)、三陰交SP6) 鍼してお灸
肺兪(BL13)、気海(CV6)、関元(CV4)、大巨(ST27) 温灸
脾兪(BL20)、三焦兪(BL22) 腎兪(BL23) 次髎(BL32) 鍼して温灸

セルフケア:列缺(LU7)、三陰交(SP6)、気海(CV6)、関元(CV4)、脾兪(BL20)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)などのお灸

ご本人の希望もあり、2年ほど鍼灸治療を継続。その後病院でのタイミングを少し誘発をしながらおこなう。半年ほど薬を使い続けたので、生理周期が再び伸びてしまったので、少し病院をお休み。

タイミングをとり、フーナー検査も良好だったので、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療しか妊娠につながらないのではということで、体調を整え、再度の病院受診を考えていたところ、自然妊娠。

34歳にて、無事に元気な男の子を出産されました。

☆養生をかさねて、すんなりとやってきてくれたコウノトリ。
よかったですねえ。

妊娠したいというお気持ちと、このままの体調で妊娠したらという不安があり、なかなか前に妊活を踏み出すことが出来ない状態でした。

不妊ということだけに焦点をしぼれば、鍼灸を開始して半年から1年での病院受診が標準的ではあります。

しかしながら、ご本人が、体調がよくなったことで自分自身で決める力もあがられたように思います。

2年後から病院を受診され、薬を使ってのタイミングを半年ほどしたことで生理周期がのびてしまったのでお休みしているときにの自然妊娠。結局、体調を整え、自然な妊娠がやってきたと言うことだと思います。またご本人の自分自身の身体を信頼することも、すんなりとコウノトリがやってきてくれることとつながったのかなと思います。

30才の時に鍼灸治療をスタートし、2年。

32才病院受診、半年休んでの33才自然妊娠、34才出産となりました。

妊娠は、年齢要因などもあるので、ある程度のところでの病院受診も必要だと思います。

それでも、ぴょこんとやってくるのが妊娠。よかったですねえ。

私もとーっても嬉しいです。

赤ちゃん

赤ちゃん
イラスト ツボ セルフケア 三角温灸

症例:自然妊娠出産。婦人科疾患や体調不良、養生で解決! 0322

妊娠にとって、排卵があること、精子との出会いがあること、
そして子宮(女子胞)で育つ力があることが必須の条件です。

しかしながら、例えば排卵障害があり、毎月排卵がなくても、精子の状態に波があっても、
ひょいとその波にのり、妊娠出産につながることがありますね。

逆に言えば、何も問題がなくても、
毎月生理が来るばかりで、妊娠にたどり着かないこともよくあります。

確かに、婦人科疾患の有無、精子の状態のチェックは必須ではあります。

では、この両者がOKであれば妊娠がすぐ成立するのか、
ダメならば、絶対に自然妊娠はしないのか、

そう問えば誰もYESとは言えません。

人間にとっての妊娠はそれほど、『妊娠しにくい』ものであり、
   めぐりあわせさえあれば、『妊娠する』ものなのです。

今回の症例は、30才の女性

多嚢胞性卵巣症候群の可能性があり、病院でタイミングをみてもらっているのに、

なかなか妊娠しないというご相談です。

☆ご相談:多膿疱性卵巣症候群といわれています、なかなか妊娠しません

30才です。妊娠したいのに、なかなか妊娠できません。

病院で多嚢胞性卵巣症候群と診断され、薬を服用し、定期的に生理はきています。

しかしながら、排卵がスムーズではなく、LHも高く卵巣にネックレスサインもあります。

クロミッドやデュファストンを出してもらい服用しながらタイミングをとっていますが、
妊娠出来ません。

逆に、薬のせいか、むくみや下痢をしやすくなったりと体調が悪化するばかりです。

病院では、このまま妊娠出来ないようであれば、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療も

視野に入れて考えてはどうかという提案をされています。

今後の不妊治療はどの様に考えたら良いでしょうか?

☆ご相談にお答えして:あせらず、まず体調アップをしていきましょう

早く妊娠したいのに、なかなか妊娠できなくて困っているということですね。

確かに、年齢要因も若く、男性側にもさしたる問題がない、薬に反応して定期的に

排卵がおき、高温期のフォローもちゃんとできている(デュファストン服用)のに、

妊娠しないのはなぜ?と煮詰まってしまいますね。

少し整理していきましょう

☆☆体表観察から考えられる3つの課題

東洋医学的な四診を使い、現在のお身体を拝見しますと3つの課題が浮かびます。

1)皮膚の質感が悪い

2)オ血(血の道の滞り)

3)身体の土台である腰(腎)や子宮のパワー(女子胞力)が弱い

この3点が課題と考えられます。

1)皮膚の質感が悪いと言うことは、全体の生命力が不足しているために皮膚表面まで届いていないということです。これは胃腸や土台の力が不足しているということにつながります→気虚

2)生理の状態、皮膚のトーンの暗さ、舌や細絡の出方から血の道の滞りを伺え、全身の気虚があるために、血流が悪く滞りがちであるということです。

3)妊娠は、身体に余裕があって初めて成立します。

今の状態では、全身の余力がないために、女子胞力(子宮)に力が回らなくなっています。全身の余力をつけ、血流をよくしてオケツをとりさり、赤ちゃんがやってきてくれるようにしていきましょう。

確かにステップアップも十分候補です。

ただ、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療を受けても、上記三つの課題は解決しません。
逆に、当院では、上記三つの課題があるがゆえに、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療の
治療を受けても妊娠出来ないというお悩みに沢山応えてきました。

30才、まだまだ時間がありますから、
とにかく、この3つの課題を目標に、身体作りをし、半年程度経っても、妊娠が成立しなければ、迷わず、ステップアップもしていきましょう。

イラスト 気虚 瘀血

☆☆東洋医学的な診立て

・弁証 腎陽虚を中心とする気虚瘀血
・論治 益気補腎 活血化瘀
・治療方針

腎気をupさせ、脾気へのバックアップを大きくし、全身の状態を改善させる

☆☆不妊治療についての4つの具体的アドバイス

1)タイミングの取り方が少し早いので、高温期に入ったところでもタイミングを。

2)排卵がそれなりにあるので、体調を悪くしてまでクロミッドを服用しなくてもよいかも。

3)食事を改善(血糖値を意識し、糖質の取り方を工夫する。タンパク質、果物、乳製品の摂取を)しましょう。

4)半年ほどは、このまま体調の改善を図りながら妊娠のタイミングをとってみましょう。それでも妊娠しなければ、ステップアップを。男性側の問題がなければ、1年のタイミングがあれば体外受精や顕微授精などの高度生殖医療受精を考えてもよいかもしれません。

 

☆鍼灸スタート 妊娠、出産へ。

☆週に1,2度の鍼灸治療 自宅での養生お灸 食事の改善スタート

初診:右合谷(LI4)、復溜(KI7) 右臨泣、足三里(ST36) 気海(CV6) 関元(CV4) 腎兪(BL23)、胃兪(BL21)、次髎(BL32)

セルフケア:右合谷(LI4)、気海(CV6)、関元(CV4)、復溜(KI7) 臨泣

初診時:基礎体温表がガタガタが気になる

☆1ヶ月後:生理がきた、生理痛がほとんどなく、痛み止めを飲まなくて済んで驚いている。

合谷(LI4)、三陰交(SP6)、陽陵泉(GB34) KI6(照海)温灸
胃兪(BL21)、気海兪、腎兪(BL23)

☆2ヶ月後:足のむくみが改善、舌がキレイになってきた。生理痛がなかった。

三陰交(SP6)、右臨泣 合谷(LI4)、胃兪(BL21)、腎兪(BL23)、次髎(BL32)

☆3ヶ月後:
卵胞の成長がゆっくり、腰痛を感じるが風呂などで温めると改善

 妊娠成立ー無事の出産へ

☆妊娠成立前後

臍棒灸 足三里(ST36) 陰陵泉(SP9) 胃兪(BL21)、腎兪(BL23)、大腸兪(BL25) 次髎(BL32)

☆上手に待つことが最善の不妊治療

忙しい、体調が気になる、基礎体温表がガタガタ、排卵誘発剤を飲むと体調が悪くなる。いろんなお悩みがありましたね。

妊娠は、それらを全部解決出来なくても、ちょっとした工夫と努力でするんっとやってくることがあります。

体調をよくして、自分自身に余裕をもつこと。この体調をよくするための時間はあたかも不妊治療を止めてしまっているように、時間ばかりが無駄にすぎてしまうように感じる方も多いのかと思います。

何かをしなくては、何か出来ることはないのかな?ちゃんと病院に行かなくちゃ妊娠出来ないとばかり、いつもいつも、忙しく、いろんなことをしてしまう。これが逆に、体力をすり減らし、自身の体調が悪くなり、身体の余力の上で成り立つ妊娠を成り立たせにくくしています。

上手に自分自身を養い育て(養生)待つ時間を過ごす、そのことが全てのスタートですね。

イラスト

これからの子育て、楽しんで、ご主人と一緒にがんばっていってくださいね。

東洋医学的には、全身の気虚が救われ、子宮を中心とした女子胞(子宮)の力へ回る力が大きくなり、そこを踏まえて、タイミングをとれたり、妊娠が成立したところで、集中的に子宮血流をupするような方向性で治療をしていったのがよかったかなと思っています。

スムーズな自然妊娠、そして出産、よかったね(^^)おめでとうございます。

34才からの妊活、39歳自然妊娠での出産ができました。0196

妊娠は不思議なものですねえ。

いつもそう思わずにはいられません。
今回の症例、39歳での無事の自然妊娠、そして出産へとつながりました。

しかしながら、妊娠の希望がスタートしたのは34歳。

一人目の妊娠出産は31才の時で妊娠を希望してすぐに妊娠出産なさっています。

そして34才、妊娠を希望しながらもなかなか妊娠が成立せず。
37才でやっと成立した妊娠も心拍確認にいたらず流産。

振り返れば39才での自然妊娠、出産に致るには長い道のりがあったのです。

37歳での鍼灸治療開始。

この年齢だと、年齢要因的にも妊娠が難しくなり始めています。

体調的な問題と、年齢要因。

この両輪を考えていきながらも、どういった選択をすべきなのか。

症例を通じ、一緒に考えていきましょう。

☆妊娠を考えるときの要因

妊娠したいと思い、1年以内に医療介入せずに妊娠する。

これが大多数の人の流れです。

流産があったり、何度かはタイミングが合っていたのに妊娠しないということも

ある程度あたりまえのことではあります。

ちょっと昔までは、この1年以内が2年以内という時期もありました。

現在では、妊娠したいと思い始めるスタートが遅いので、1年以内ということになっていますね。

それほど妊娠に年齢は大切です。

☆☆基本的なチェックは早めに

いままで一度も妊娠したことがないという場合は、やはり適切な医療介入をすべきケースが多いと思います。

また案外多い要因として男性側要因。

基本的な妊娠に関するチェックは早めに受けましょう。

☆☆1度妊娠経験がある場合(流産も含む)。

1度妊娠経験があり、出産もしている場合や、流産になり出産にいたらなかったなどさまざまなケースがあるかと思います。

妊娠する力があるということは、妊娠した時と同じ体調であれば、妊娠できる可能性が高いこと。

また、受精、着床までは自然な形で出来るカップルであるということですから、
  『体外受精すれば大丈夫』とはならない場合が多いことを考えておきましょう。

こういったふたりめ不妊や、流産御妊娠しにくいと言ったケースは、多くの場合身体の力を落としたことが原因になってることが多いです。

まず体調の底上げを考えていきましょう。z
また流産要因についても、体調との兼ね合いで考えていきましょう。

☆☆年齢要因についての考え方

年齢要因は非常に大きな要因です。

ただ、医療介入によっては救えない要因でもあります。

なるべく治療を急ぐことがとても大切。

その上で、妊娠が成立している人の場合は、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療が必須にならない場合があるということも、考えておきましょう。

☆☆☆凍結は時間をお金で買えるという発想もあり。

流産が多いタイプの方の場合、妊娠のチャンスが複数回あることが大切です。

しかしながら、年齢要因が上がってきている場合は、その妊娠のチャンスそのものが少なくなってしまっています。

こういったときに、高度生殖医療を使い、凍結胚を作っておくと言うことが年齢要因を救うことにもなる場合があります。現在の保険制度では、貯卵はできませんが、ご自身の状況によっては、この発想をもつこともありではないかなあと思うことがあります。それほど年齢要因というのは大きな要素ですね。

☆症例から学ぶ:体調の回復によって自然妊娠、39才での出産に至る道のり。

・妊娠と、体調はどこまで回復させれば良いのか?
・年齢要因との兼ね合いは?
・生殖医療の介入はいつにすべきか?

迷いが多いですね。

この症例は、せっかく成立した妊娠が流産につながり、その流産によって生命力をもう一段落としてしまうという悪循環になってしまっていました。

そのため体調の回復そのものにかなり時間を要し、年齢要因と重なってくる時期(30代後半)となってしまいましたが、ご本人のご希望により、鍼灸のみの不妊治療継続となり少し時間はかかりましたが、無事の妊娠、出産とつながりました。

このあたり、どのような選択でいくのかは迷うところですが、生殖医療は、ご夫婦のご希望にそうのが一番だと思っています。一緒にだいぶ悩みましたが、良い流れになって私も嬉しいです。

☆ご相談:37才です、なかなか妊娠できません。どうしたらいいでしょうか?

31才の時に一人目を自然妊娠、出産しています。

産後に体調を大きく崩し、腰痛や、眼の疲れやすさ、疲労感を強く感じます。

34才から二人目の妊娠を希望し、37才で1度妊娠出来たのですが、心拍確認は出来ず流産してしまい、その後は下腹部に痛みを感じたり、寝つき、寝起きが悪い状態が続いています。

冷えについて。とても気になります。お尻やふくらはぎなど下半身に冷えを感じ、足下が寒いなあと思うことがよくあります。

☆ビッグママ治療室からのお返事

31才の時に自然妊娠し、出産。また37才でも自然妊娠をされているのに、流産。とても残念でしたね。

お身体の状態を拝見したり、お話を伺うと、妊娠に一番大切な、生命の土台の力(腎気)が不足しているのではないかなと思います。

もともとこの生命力の土台の力(腎気)が不足し、その土台の力(腎気)の力の上でなりたつ女子胞(子宮)の力が足りず不妊、流産へつながっていると思われます。

そして、出産や流産はこの腎気や女子胞(子宮)の力をとても使いますので、この出産、流産後に妊娠しずらくなるという悪循環もよくおきてしまうのです。

またもともとの血流の悪さも、妊娠にしずらさ、そして着床障害、流産へとつながっています。

しっかりと生命の土台の力(腎気)をつけ、身体を温煦(暖め養う)する力をつけることが、血流アップにつながります。血流がよくなるような身体作りをしていくことが、ポイントになると思います。

一人目を自然妊娠された方は、お体の手入れによって二人目も同じ経過で妊娠されることが多いです。

一緒にがんばっていきましょう。

☆☆東洋医学的な方針

<弁証論治>
弁証:腎虚を中心とする全身的な気虚
論治:補腎益気

<治療指針>
腎の温陽を中心に、まずは腎気の立て直しを図る。また補腎下焦による腎の根を付けつつ、元々弱い肺気も同時に補うことで、肝気が収まりやすくなるようにしたい。

脾気の弱りに関しては、食事量など自己養生で注意を促したい。

☆治療経過

37才 ビッグママ治療室初診

週に2回程度の鍼灸治療を始める、自宅での養生

1年:体調が回復するもののなかなか妊娠せず、西洋医学的なアプローチもお勧めするが、ご本人の希望や仕事の忙しさにより、鍼灸のみでの不妊治療継続。

1年半:無事に自然妊娠、39才にて出産

「立派な胎盤!」と助産師さんたちにいわれましたとのこと。

おめでとうございます。

☆あとがき

しっかりと体調をあげることが自然な妊娠につながりましたね。

流産後の体調不良の回復が大きなテーマであり、それなりの回復をするものの年齢が38才を超え、通常であっても妊娠が成立しにくい状況が重なってきましたので、西洋医学的な不妊治療も平行することをお勧めしましたが、ご本人の仕事の忙しさや判断もあり、そのまま鍼灸のみでの体調管理となりました。

この年齢要因がある場合の選択は迷いも大きくなりますが、妊娠する力のある方の場合、医療介入が答えではないことも多いので、腹を決めて前に進むことも必要なことがありますね。

イラスト 猫