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臍の温灸と血流 ☆血液凝固系タイプへのアプローチ

20241010

臍の温灸と血流

 

目次:
臍の温灸と血流
☆冷えと血流と暖めるということ
血流を・・といった言葉が意味するもの
冷えと血流、実践の中でわかってきたもの。
☆冷え改善方法(温熱の入れ方)
血液凝固系亢進タイプの冷え改善
☆棒灸の力強さ、すごさ
棒灸デメリット
箱灸がデメリットをカバー?
疏通理気に末端を使わないメリット
臍の温灸は中心を温めながら疏通理気を行うことができる??
臍の温灸を効かせるために
箱灸への期待

☆冷えと血流と暖めるということ

私は、いわゆる妊活困難事例の方を多くサポートしてきました。

その中で、血流ってのが一番ポイントだと痛感しています。

血流を・・といった言葉が意味するもの

血流を出し、子宮血流をつけ、子宮卵巣を温め養う。
血流というと、運動すればいいですか?というお返事を即答でいただくのですが、

運動で、手足を動かせば、動かした手足に血流が優先的に出ます。

時系列的に考えれば、手足が養われ、末端まで届き、全身が養われ、体力向上でOKですね。

でも、いま妊活でやりたい方は、この全身を温養していく中で子宮を養うのか(これが必要なタイプの方もいらっしゃります)、とにかく子宮血流をあげ、必要な場を温養補腎していくのか、考える必要があります。

冷えと血流、実践の中でわかってきたもの。

臨床、実践する中で、わかったのが、


1
)冷えに対する考え方(a:血液凝固系亢進タイプの冷えvs b:暖める力不足のタイプ)
2
)子宮血流に対する考え方。

1)に関して、気がついたきっかけは、4人同時に拝見して、外的要因は違うのに、足(足首から先の冷え)が一歩先取りタイプがいます。お腹は温かいのに、人による足先だけ温度差がすごい。

 このタイプを観察して、妊活とのすり合わせ(主に高度生殖医療)をした結果、不育症条件を満たさなくても不育症専門医(自費)を受診して貰うと、血液凝固系亢進の診断がつき、アスピリン、ヘパリンになります。

この流れを数多く経験して、体表観察を通じた、冷えと血液凝固系の(詰まり血栓リスクが高い)問題は私の臨床課題でもあります。

☆冷え改善方法(温熱の入れ方)

血液凝固系亢進タイプの冷え改善

血液凝固系亢進タイプの冷え改善には、動きを伴った血流改善が必要です。


冷えた場所を暖めるのではなく、動かして巡って暖かい(生きてる度)になるわけです。

このためには、動きをつける必要があり、その場を暖めるタイプのやり方(つまりカイロを貼る)なんてのは効かないです。

このための改善として、一番の道具としてきたのは、お臍を中心とする下腹ポイントへの棒灸です。

(実はもう一点、コレに組み合わせるのがよいのが、足の交代温冷浴です。話しが飛ぶのでここは省略。身体全体から見て血流の動きを出すという発想に合致します)

☆棒灸の力強さ、すごさ

妊活における鍼灸臨床を通じて、一番力強さを感じたのが、臍の棒灸です。

実践の詳細は略しますが、ご自身のセルフケアに組み入れていただき、困難事例を乗り切ったという方の症例を通じて、力強さを感じざる終えません。妊活を終えたあとでも、ここぞという一番に使っていただいているのかなと思います。

私の症例集の方々は、すべて棒灸を指導してあります。
https://bigmama-odawara.jp/category/woman/

棒灸デメリット

臍の棒灸のデメリットは、手間と技術です。
ただ、置けばよいタイプのお灸とは違って、ご自身の手で1点をあたため、押し込むという手間と技術。これはなかなかハードルが高いのですが、身につければ力強い技術です。

箱灸がデメリットをカバー?

そしてこのデメリットをかばーしてくれるのが、箱灸。置いておけばよいわけで、初めはどうなんだろ?と思っていましたが、案外手応えがいい。とくに、お臍をつかって温養することで、疏通理気出来る力がつきます。

まだ試行錯誤ですが、こんな感想がよくでます。

>ここ数週間、ゲップが笑っちゃうほど止まらずでしたが、臍灸のおかげか本日0回。ちょっと驚き。先生、凄いです。

臍灸で気滞が腸からガスになって出ていった感じです。

この、疏通タイプの感想がとてもよく伺う感想です。

当院では、背中からの治療(背部兪穴の温養、補脾補腎)をおこなってから、
このタイプの箱灸をいれています。

疏通理気に末端を使わないメリット

疏通理気(気を巡らせる)は、鍼灸治療で非常に力強い治療効果ですし、期待されるところです。

巡りが良くなるというのは、身体の一部で起こった渋滞、つまり頭が痛いとか、肩がつらい、足先が冷えるなどの訴えを、「疏通」ということでめぐらせるため、

非常に効果的に感じますし、治療目的としてもココがイチオシとなりやすい理由です。

通常、疏通理気を効かせたければ、末端の経穴などをつかいます。
末端を使う方が動かしやすいのです。

柔軟剤や洗剤などを大袋から小袋に入れ替えるときに、反対側に穴を開け空気が通るようにすると、中身が動きやすくすっと出てくると思います。あのイメージです。

ただ、そうやって末端穴を使うと、生命力の漏れ出しにも繋がります。

とくに、全身の器が小さい人の場合は、場の大きさを縮小、縮小としながら

バランスをとっていくということになり、逆に生命力が小さくなり、自力でのバランスがとりにくくなります。

だから、うーーーんと考えてしまうのです。

こうなるのだったら、生命力をあげるというほうに舵を切り、

多少の症状はさておき、全体の力を上げ、自力解決を願う方が、

長期目線ではメリットがあります。

臍の温灸は中心を温めながら疏通理気を行うことができる??

臍の温灸は、中心を温めながらも、疏通理気の力がでるという、一挙両得です。

私自身、まだ臨床では試行錯誤ですが、それなりに身体の力があり、気滞がつよく悪循環をおこすタイプには効果的ではないかと思います。

臍の温灸を効かせるために

臍の温灸を効かせるために、その前のお膳立てがいることは、美容針などをしてもわかることですね。つまり、単独だとどうかなーという感じです。

まあ試してみる価値はありますね。

箱灸への期待

箱灸が期待できるのは身体の力そのものはまああるのですが、とにかくガツッと緊張タイプで気が滞る(血流が滞る、めぐりにくい、身体の中に渋滞が起こりやすい)タイプです。

まあ鍼の理気と灸の温養の組み合わせという感じですね。

妊活においても、身体の力そのものが問題ではなく、

気の滞りで、スムーズに排卵、受精、着床が進まないというタイプはむきそうです。

ご自身に、「何が必要なのか」ということを、今ひとつ考えた上で、

血流というキーワードが出てきた方には、むく治療方法なのかなと期待しています。

結論

・臍の箱灸(棒灸)は、血流を出しながら、目的の部位を温養
・カイロはその場を暖める(冷えの外的要因から守るにはOK)だけど、養いにはならない。

以上、思ったところを書いてみました。

古くからある技術の、意味するところを考えるのって楽しい!

 

 

冷え対策:冷えは動きをつけろ!

冷えについては、本当に世の中にいろいろな対策が溢れていますね。

私は長年にわたり、患者さんの『冷え』という訴えに対応してきました。

そして、タイプ別に3つあり、このことを踏まえて冷え対策をしていただきたいなと思っています。

 

 

人間には、ざくっとわけて3つのタイプがいらっしゃります。

それぞれにタイプが違います。

冷えにはおおきくわけて、三つの課題があります。 冷え

 

生命力の弱さの冷え

 

動きのにぶさの冷え :めぐり、うごく力が足りない、

温め、養う力があっても、巡らなければ、末端まで届きません。手足が冷たいのは緊張や、血流の動きの面での悪さが原因なのかも。

 

外因:外が寒い、地面が詰めたいなどの影響による冷え

 

冷え対策!

冷え対策その1 生命力の弱さ

生命力の弱さをおぎなうには、サプリや漢方なども有効でしょう。ただし、胃袋の力不足の場合は、経口摂取するモノの追加はで逆に生命力が落ちてしまうこともあります。この場合は、お灸のセルフケアです。

 

 

 


胃袋が弱いタイプには、この胃の六つ灸がききます。                             膈兪(BL17)、肝兪(BL18)、脾兪(BL20)。当院ではこのほかにその方の一番弱りを示している経穴へのセルフケアをお勧めしています。

 

冷え対策その2 動きの悪さ

 

 

 

 

 

動きの悪さです

動きが悪いということは、温める力があったとしても、なかったとしても、末端に届き、全体を巡ることができません。

巡らせるための努力が必要です。

緊張や、運動不足、瘀血、などさまざまな原因がありますが、イメージとしては昔のお風呂です。

交代温冷浴 末梢循環改善のために
1)40-42度ぐらいのお湯に膝下まで1-3分ほどつかります。
2)浴槽を出て、冷水を手や足に10秒ぐらいかけます。
3)1と2を3-4回ほど繰り返します。
4)暖かさを閉じ込めたい場合は、最後に冷水で終わりにします。

☆全身浴を行いながら、冷浴をおこなってもよいです。
☆半身浴、あるいは手足の末端のみをバケツなどのお湯と水につける交代温冷浴にしてもかまいません
☆水とお湯の温度差は30度ぐらいがよいとされていますが、冷水浴はあまり無理せずに徐々に身体をならしていきましょう。

 

冷え対策その3外因

 

生命力の弱さや、気血の巡りの悪さによって、温め養われていない部分となりやすいところである、皮膚表面や、手足などの末端は外側の影響を受けやすいですね。この場合は、その末端を外因から守る必要があります。

いわゆる、手袋をするとか、服を着るということですね。カイロなどの温度がでるものも、外因がキツいときはよいかと思います。ただし、温め養うのは、基本的にご自身の生命力でおこなうものです。あくまでも外因がきついときの防御として考えてください。

 

まとめ

 

冷えと、つめたさばかり考えがちですが、食べたものを滋養とし、全身に頒布することが究極の冷え対策です。

温め、養い気血はめぐります。
血流を意識した健やかな身体作りをしていきましょう(*^_^*)

 

 

1)妊活における血流:不妊、不育と冷え、血流の関係性

妊娠に必要な血流:不妊と、不育症。

長年、妊活にまつわるお悩みを拝見していて、大きな不妊要因は3つに分けられると思っております。

図:充実した生命と不妊の3つのパターン

充実した生命パターンに比べて、生命力が足りないもの、気血の滞りが大きいもの、年齢要因的なものが大きな区分と思われます。

その中の生命力の不足や気血の滞りを語る中で、『血流』ということが本当に大きなポイントとなってきます。

☆東洋医学でいう、気血の滞り、生命力不足、瘀血(オケツ、古血がたまる)

 

東洋医学的な書物には、気血の滞り、生命力不足、瘀血(オケツ、古血がたまる)などといった概念があります。
これら概念は、それぞれの東洋医学的なバックボーンがあり語られます。

たとえば、気血の滞りであれば、ストレスや外邪などにより、気の動きがさまたげられ、血の動きも滞る、四文字熟語で言えば、腎虚肝鬱です。

これを解消して行くには、腎気をあげ、肝鬱をとるなのですが、結局、身体作りでは腎気をあげるために、腎を育むようにその経絡を応援し、気血の動きを出すようにしていきます。

オケツという塊がある場合でも、その該当する経絡を、活性化させ、オケツという気血の停滞をぐっと呑み込み解消できるようにもっていきます。

 

☆妊活における血流

 

妊娠を考える妊活では、もともと冷えや血流は多く語られていますね。
『冷やさないようにしなくっちゃ』というのは、妊娠を考える方にとっては、よく思いつくキーワードだと思います。

この『冷え』をもう少し考えてみましょう

☆三つの観点から考える冷え

 

冷え
・①生命力の弱さ
・②動きのにぶさ
・③外因との関係

 

・①生命力の弱さ
→人間は、陰陽がまじわることで一つのまとまりをもち命となっています。そもそもの陰陽の交わったひとつの命が小さい、薄い、弱いために、全体に弱さがあるということです。

東洋医学では、気虚、気血両虚、脾肺の虚、脾虚、腎虚などさまざまな角度から考えられることになります。

生命力が弱い。それは自分を温め養う力の弱さでもあります。
冷えを感じやすいのも、自分を温養する力が不足しているからです。

・②動きのにぶさ

→人間は、気血が動きをもち、巡りながら養い育てられています。動きの鈍さは、養いが届きにくかったり、一箇所で停滞してしまったりします。動きが悪いと、3つめの要因である寒邪を中心とする外邪の侵襲を受けやすくなります。

ストレスなどで気の停滞が怒りやすい。
同じ動作を長時間続けているので、気血がめぐりにくい。

などさまざまな要因がありますが、停滞することは生命力がノビノビと
働かなくなります。
それなりの若さ勢いがある段階であれば、少しの滞りをとることで、渋滞が解消され全身の巡りがよくなり冷えも解消されますが、(肝鬱気滞の解消)長い期間にわたってその滞りが続けば、瘀血(古血がたまる)状態になり、新たな病因となります。

 

・③外因との関係

強い外からの冷え、たとえば『とても寒いところにいた』とか、『足下が寒かった』などという外因のよって、冷えが身体に入り込み、問題(外邪)となる場合があります。

身体が冷えたから風邪を引いたなどということはよく聞きますね。
これは外因によって、引き起こされた症状ですが、外因があっても、内因がそれなりの強さがあり、
防御してくれれば、邪の侵襲をうけずにすみます。

つまり、しっかりとした身体があれば、多少の寒さ、冷えははねのけちゃうことができるということであり、生命力自体の弱さや偏りがあると、外因につけこまれ、冷えにやられるということです。

 

 

☆不妊、不育と血流:妊活における血流のコツ

妊活のお手伝いをしていると、妊娠そのものをめざすときに、結局血流をあげることが解決への道筋になっていると気がつくことはよくあります。

少し詳細に語っていきたいと思いますが、その血流あげが、通常の血流上げと少し違い、女子胞(子宮)の力を養うベクトルを持つようにするというのが妊活における血流のコツです。

 

長くなりました、別ファイルでお話を続けますね。

41才 鍼灸を取り入れてのスムーズな妊娠出産、ワガママ自分勝手が妊娠のコツ。0217

41才 鍼灸を取り入れてのスムーズな妊娠、妊婦生活、出産。

人生の適齢期は人それぞれです。

確かに妊娠に関してだけ言えば、年齢が若いことは有利でしょう。

 

年齢が40代であり、妊娠としては高齢妊娠、高齢初産というハイリスクなグループではありますが、そのなかで、鍼灸を上手に取り入れ、妊活をスムーズに進め、妊娠中のトラブルも上手に対応し出産につなげることができればと私は思っています。

応援してますよ!

イラスト ツボ セルフケア

症例はこちら→41歳、1度の体外受精でスムーズに妊娠 鍼灸による出産までの体調管理

☆ご相談 40才、1年前から妊活しています。妊娠に向けてなにかできることはありますか?

タイトル

 

40歳です。1年ほど前から妊活しています。

人工授精やタイミングを行っていますが、なかなか妊娠しません。

不妊治療の一般検査では夫も私も大きな問題はありませんでしたが、

1)最近生理周期が短め(24-25日)
2)卵管の通過は左右ともOKであったが、少し左の通過が悪い
3)プロラクチンが高め
4)フーナー検査不良
5)AMAは年齢にしては良好

病院ではそろそろ、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療へのステップアップを勧められています。

身体全体の体調としては
1)疲れやすいこと
2)腰のだるさ
3)精神的なストレスに弱い

上記のことが気になります。

なにか自分にできることがあったら取り入れて、妊娠そして出産に取り組んで行きたいです。

 

☆ワガママ、自分勝手になって、ご自身の生命力をupさせて妊娠、出産につなげましょう。

 

早く妊娠出産したいとのご希望ですね。

いままで、人工授精、タイミングなどをなさってきたこと。もうすぐ41歳という年齢要因を考えても、なるべく早くステップアップをなさるのはとてもよいかなと思います。このまま時間を置かずにすすんでいきましょう。

お身体を拝見すると、大きな問題はありませんが、手足が大きく体格がよいわりに、体幹のパワーがないために、動きや動作によって体力の消耗が大きいタイプだと思います。(手足の大きい気血両虚タイプ)。

このタイプの方は、周りに気を使ったり、こまめに動くことで身体の中心となる臓腑や子宮(女子胞)のを予想外に使ってしまいます。

妊娠はこの臍下丹田にある女子胞(子宮)の力がとても大切です。しかしながら、手足の大きな気血両虚タイプの方は、ご自身の生命力が女子胞(子宮)に集まりにくく、手足末端に引っ張られがちです。

妊娠をめざす今は、少しわがままになり、自分中心でいきましょう

頼まれごとや、仕事の気遣いもほどほどに。自分大事、家族大事で過ごしていくことが、自分というこれから子宮という身体の中心で卵ちゃんを迎え、孵卵器となって育てて行くコツです。

また継続的な冷えの入り込みが身体にうかがえます。これは身体の負担となりますので、取り去っていきたいと思います。またセルフケアも効きますからとりいれていきましょう。

少しまとめておきますね。
1)気血を養い、全身の生命力をあげるという観点を中心に。
2)身体の中心にある女子胞(子宮)の力を育てましょう。
3)AMHがよいので、細かい婦人科的な課題は気にしない
4)自分中心にして、わがままにすごしましょう。
5)冷えの入り込みに対応していきましょう。

 

☆☆東洋医学的な観察ポイント

 

食欲あり、食べるのは遅い。食事は美味しい。口が渇く。二便に大きな問題なし。睡眠は寝つきが時々悪く夢をよくみる。寝起きが悪い。
生理周期が最近短め。塊などはない、排卵時に軽く下腹部が痛む、イライラ、眠気。

舌、色褪、瘀斑あり。舌裏怒張無し。列缺(LU7)のかげりあり。右の内関(PC6)陥凹。右の肺兪(BL13)、厥陰兪(BL14)発汗、動きが悪い。右の肝兪(BL18)、左胃兪(BL21)、両腎兪(BL23)陥凹(右の腎兪(BL23)トップ)。左右とも脾募あり。左の股関節から大腿部に若干冷え動きの悪さあり。

・弁証 腎虚肝鬱 衝任脈を中心とした気血両虚
・論治 益気補腎 衝任脈を補う
・治療方針

 女子胞(子宮)を養うために、衝任脈を中心に益気補腎をおこなう。

 必要に応じて、肝鬱などの処置もするが、基本的に女子胞(子宮)の安定に勤めていくことを中心とし、ほかのことには養生の範囲で対応していく。

☆治療経過

☆初診〜セルフケア指導

 1)右内関(PC6)、右陽池(TE4)外関(TE5)、足三里(ST36)、陰陵泉(SP9)、三陰交(SP6) 関元
2)右肺兪(BL13)(抜けをしっかり)
3)腎兪(BL23)、右胃兪(BL21) 左脾兪(BL20) 次髎(BL32)

セルフケア 関元(CV4) 右外関(TE5)陽池(TE4)、陰陵泉、三陰交(SP6) 脾兪(BL20)、腎兪(BL23)、次髎(BL32)

 ☆棒灸指導 臍、中注(KI15)、関元(CV4)

☆1ヶ月後 採卵から移植 鍼灸の頻度をぐっと増やして

 採卵ー移植ー妊娠判定陽性 ここから週に2−3日から5日の鍼灸治療、毎日のセルフケア。

☆妊娠初期の不安定さ:

 動くと出血しやすい→とにかく安静に。
鍼灸継続、セルフケア継続
切迫流産などの診断もあり、診断書をもらい仕事を休む。

☆妊娠15週〜35週まで
 子宮筋腫が目立つが、棒灸をいれて対応
鍼灸治療も継続。

☆35週:恥骨付近が痛い→トコちゃんベルト、置き鍼で対応。
遠方からの通院のため、一人での来院はここまでで終了。
出産近くになりご主人の送迎などがあれば可能であれば来院はOKと指導。

41週、3000㌘越えの男児を出産、おめでとうございます。

イラスト ツボ セルフケア

 

☆まとめ:ワガママ、自分勝手が必要な妊活、マタニティライフ

 

『なかなか妊娠しないぞ』と思ったときには、ご自身の課題を知る必要があります。

それは、妊娠にまつわる一般的な病院でのチェック(ホルモン、卵管の検査など)。
手足のおおきな気虚タイプの方は、自分の中心を守るという課題をしっかりと意識していただくことがとても大事です。臓腑、子宮のある体幹にくらべて手足が大きいと、気血や身体の力が動いているおおきな手足にひっぱられ、相対的に臓腑や子宮(女子胞)の力が薄くなります。気遣いをよくする人や優しい人に多く、少しワガママで自分勝手にしてねというアドバイスが結果的に妊娠に貢献してくれます。

妊娠し、子宮(女子胞)で赤ちゃんを育み、出産するのはご自身です。自分を守ることを最優先にした時間が、妊娠そして出産をスムーズに導いてくれたんだなと思います。

 

☆アンケートにお答えして

『私が妊娠ー出産出来た理由』その他のアンケートなどはこちら→

アンケートのご記入ありがとうございます。

初めて伺った時、「手足が大きいから、使い過さないようにして、とアドバイスを頂さ、目からウロコだったと同時に、手足を動かしまくっていた生活スタイルをどう変えよう?と戸惑いもありました。結果すぐに妊娠。

初診の時の私からの言葉が印象的だったのですね。少しあの時を思い出しました。

Mさんのように、体幹に比べ手足が大きい人タイプのかたは、中心(臓腑、体幹)に生命力が集めにくく、動いている手足にひっぱられやすいのです。

またこのタイプの方が、幸福の王子のように、他の人のために気を使い、手足をつかい、奉仕すると、自分はどんどん生命力をもっていかれてしまうのです。だから妊娠しにくい。

妊娠、出産は究極の自分と自分の子供だけに集中する必要があります。引っ張られやすい周りや末端に対して必要最低限なケアにして、中心を養う。そんなことを伝えたかったのです。

私の拙い言葉をしっかりと受け取っていただき、スムーズに妊娠され、その後もケアを早め、早めに行動してくださり、妊娠中の長い時間をすごされたこと、とてもよかったかなと思っております。

これからの子育て、楽しんでくださいね(^^)

何度やってもダメ、『妊娠する気がしません』0140

妊娠のご希望で鍼灸にいらっしゃって、一番はじめに仰ったのが、

 

とても印象的でした。
それだけ、たくさん、たくさん頑張ってきて
できることはみんなやってきた。
その上で、もう妊娠を目指しているのに、
妊娠をめざして、頑張っているんだけど、
妊娠する気がしないというお気持ち。

なんだか、切なくなってきてしまいました。
そして、なんとしても、妊娠、そして出産まで応援したいなという思いがわいてきました。

 

☆ご相談:何度も凍結胚盤砲移植しているのに妊娠出来ません。気持ちが落ち込みます。

ずっと東京にある有名クリニックにて体外受精をしています。もう6回も採卵しています。
そして妊娠する確率の高いと言われるグレードの卵を6回も移植しましたが(凍結胚盤砲移植)1度着床したことがあるだけで妊娠出来ていません。

もう何度も治療をしていて、採卵する気にも、移植する気にもなれません。

やる気がでず、気分も落ち込みがちです。

凍結胚盤砲が3つありますが、移植しても妊娠する気がしません。

もともと体調が悪く、ふらっと倒れたり、30才の時から子宮内膜症を指摘されて生理は辛いです。こうやって身体に負担をかけて不妊治療することそのものがイヤになっています。

夜トイレに起きることがおおく、眠りが浅く疲労感が残ります。便秘気味で3−4日に1度コロコロの便が出ます。

 

☆☆不妊治療歴、お身体の状態

30才で結婚 結婚後4ヶ月目に生理痛で病院受診、一般不妊検査を受ける。
タイミング指導を開始。
結婚後体重が3キロ増えた(BMI17.83から19.16へ)

31才から人工授精をする 10回 妊娠せず
34才から体外受精、顕微授精にて高度生殖医療スタート
4回採卵し、5回移植するも妊娠出来ず、転院
5回目の採卵、受精せず。
6回の採卵で4個凍結胚ができ、6回目の移植、妊娠せず。
36才、凍結胚盤砲が3つあるが、妊娠する気がしない

 

☆☆体調、メンタルの状態

不妊治療そのものがイヤになっている
もともと、ふらっと倒れることがある。不妊治療をしていてその頻度が増えている。
子宮内膜症などのトラブルもあり、体調そのものもあまりよくありません。早く妊娠したくていままで治療を進めてきましたが、6回も『妊娠する可能性が高い』と言われる卵を移植しましたが、1度だけ着床したことがあるだけで、妊娠することは一度もありません。

 

☆ご相談にお答えして

『妊娠する可能性が高い』という卵を何度も移植しているのに、妊娠出来ない。
どうしたらいいのかわからないということですね。
もう妊娠への挑戦そのものも疲れてしまったのではないかと思います。

☆☆お身体を拝見して

・脉状そのものに力がなく全身の生命力の弱さを感じる。
・任脉といわれる女性の生殖を支える経絡にあるツボが弱っている(手をかざすとすうっと引く感じがあります)
・身体全体の弱さ、婦人科的な弱さに比して、末端の経穴の冷え、ストレスを表す経穴のきつさなどが明瞭。

つまり、よいグレードの卵がとれ凍結出来ているということは、もともとの女性の生殖力は充分存るはずだと思われますが、強いストレスによって全身の気血の巡りがガチガチになってしまい、巡り養われるはずの部分に力が及ばず、妊娠に致らない、精神的に参ってしまうという悪循環になっていると思われます。

そしてこの悪循環によって、妊娠を成立する生命の土台の力(腎気)に負担となってしまていると思われます。

腎気をしっかりたて、全身の力を補うことで必ず妊娠が成立すると思われます。
あまり考え込むことそのものが身体への負担です。
一緒によく考えながら、治療を進めていきましょう。
きっと出口が見えてくると思います。

前に向かって進みましょう。

イラスト

☆☆治療方針:東洋医学的な診方

もともと、身体を支える中心の力が不足していますね(腎虚)。その中でがんばって生活しているために、肉体的にもまた精神的にもかなりの負担であったと思われます。

すでに充分良いとされるグレードの凍結胚盤砲が3つあるのですから、あせらず、少し体調をよくなるようにしながら、時期を待ち、ご自身が前向きな気持ちになれるような体調になってから不妊治療については考えていきましょう。

・弁証 腎虚を中心とした気虚肝鬱
・論治 益気補腎 疏肝理気
・治療方針 まず第一に腎気の回復を図る。必要に応じて肝鬱に手を入れる。

☆☆治療経過

36才 ビッグママ治療室初診
腎虚を中心とした気虚肝鬱の症により、週に2回の鍼灸治療スタート

3診まで、治療を受けると夜までなんとなくフラフラする、翌日にすっきりする。

37才 鍼灸治療スタートから半年後 体調が全般に良くなった感じがする
10ヶ月後 胚移植ー妊娠

妊娠8週 つわりがひどい(母もつわりで入院したと)
→鍼灸でなんとか成っている感じ

妊娠12週
→子宮頚管が短いと言われた

妊娠15週
→頚管3.5ミリで経過観察 短くなればすぐに入院と言われる

妊娠22週
→仰向けになると、すうっと気持ち悪くなってしまう。

妊娠25w 赤ちゃん 900㌘
妊娠30w
昨日からトイレが近くお腹が張っている
頚管長2.7センチ 34週までもてば入院しなくてOKと言われた

妊娠32週
頚管長2.6センチ 張りやすいが検診ではOKと言われてほっとしている

妊娠37週 赤ちゃん2800㌘と言われた
妊娠39週
38才 無事に3000㌘オーバのしっかりした赤ちゃんを出産

☆☆あとがき:身体の余裕が妊娠の力を生みます

良い卵を何度も移植しても妊娠出来ずに体調が悪くばかりという状況の方でした。

幸い、凍結胚盤砲が3つありましたので、不妊治療をあせらず、体調を回復させ、気力も体調も充分整ったところでの胚移植でスムーズに妊娠され、妊娠中いろいろなことがありましたが無事に出産となりました。

体調が悪いときには一息ついて体調をあげるようにしていくことが大事です。

妊娠がゴールではなく、妊娠し、健やかに赤ちゃんをお腹ではぐくみ、無事に出産することがとても大事です。妊娠だけを考えずに一歩引き、精神的な部分も含めて体調を考えていきましょう(^^)

前に進みましょう

イラスト