基本の五臓六腑」カテゴリーアーカイブ

19−2 脾気のお困り事3つ

さて、脾気のお困りごとは3つにわかれます。

1,陽気虚損
2、寒湿困脾
3,脾陰虚損

1、陽気虚損

メインは陽気の虚損。それほどまでに脾というお釜にとっては陽気が大事なわけです。
この陽気は脾の陽気そのものと、腎の陽気からのバックアップという側面があります。

脾気が虚弱である!(脾気虚弱)

原因:飲食不摂、慢性病、過労、陽気不足

運化失調ー食欲不振、消化不良、腹部膨満感、腹部膨満感、軟便下痢、顔面萎黄、少気舌淡
升降失調ー悪心、嘔吐、ゲップ
脾不統血ー慢性出血 (脾気虚+慢性的な出血)
血便、肌忸 崩漏(生理不順量が多かったり、期間が長かったり。
参考取穴:脾兪、章門、膈兪、気海、血海、足三里、三陰交、太白

中気下陥=脾気虚+内臓下垂、脱肛、めまい

参考取穴:脾兪、胃兪、章門、膻中、気海、足三里、百会


↓(脾気虚損が長く続くと)

脾陽虚弱

原因:脾気虚弱が長く続く、腎陽不足による命門火衰
症状:脾気虚弱+内寒 (脘服冷痛(四肢の冷え、下利清穀)
参考取穴:脾兪、胃兪、章門、関元、足三里、陰陵泉、大都

2,寒湿困脾

原因:寒湿邪気(外邪) 痰湿オケツ(内)→脾の運化低下
症状:運化不利ー食欲不振、消化不良、下痢、脘服脹痛(脘服部のつかえ)大便溏薄、頭重、尾もだるい
舌太白痔、舌質痰胖嫩
:水湿停留ー身体が重くだるい、献体、浮腫、少尿、肢冷
参考取穴:脾兪、胃兪、気海兪、中脘、水分、陰陵泉、三陰交

対策:肩痺益気 昇陽益気、肩痺補中
→補気(にんじん、生甘草、黄耆)
補脾薬(白朮山薬)
補堤薬(柴胡、升麻、黄耆)
温養助運

3,脾陰虚損 これは脾の器そのものの虚損です。東洋医学よりも西洋医学でのフォローがのぞまれるところかもしれませんねえ。

19−1 脾のお困り事。命綱の胃腸の力

19 脾は胃腸の力、この力が滋養を生み全身を潤い養います。生きていくポイントですね

脾気についてはこちら
脾胃の力https://wp.me/p88CT4-qX
食べ物を実にする力:脾胃は後天の本https://wp.me/p88CT4-r1
栄養は一端あげてから散布 :脾は昇清を主るhttps://wp.me/p88CT4-r4

以上についてまとめてあります。
まあ、ようするに、脾というのは、東洋医学で言うところの胃腸の力。そして胃で受け止め脾でこなす。脾はいったん滋養を上に上げそれから散布するっていうところが東洋医学の特徴的なところでしょうか。

さて、病機を考えていきましょう。
脾気の運化、昇清、統血の作用が損なわれていくところから考えてきます。

18-2 肺の病機、肺の器そのものが虚損しています!

肺陰の失調を考えていきましょう。

これは、肺の器そのものが、外邪や内邪で侵されている状態を示しています。
肺を養う肺陰そのものの不足と、内熱によって肺陰が消耗している病態を考えていきます。

18−2:肺陰失調:肺陰不足と陰虚火旺

肺陰不足

原因
1,燥熱邪気(外邪)ー肺に滞り肺陰を消耗
2,七情内傷(内因)ー内火を化し肺陰を消耗

肺陰の滋潤作用低下ー鼻咽喉の皮膚乾燥
肺陰の気道失養ー乾いた咳、痰が少ない、息切れ、声がかれる

陰虚火旺(肺陰虚、腎陰虚(特殊)

虚火上炎ー煩熱、盗汗(夜が中心、重くなると昼も)、不眠、五心煩熱
肺絡の抄焼ー乾いた咳、喀血、痰に血が混じる

18-1 肺の病機、肺気が上げ下げの機能を失った!

肺は大事な臓腑、さて考えていきましょう。

肺は、気を主る、呼吸を主る、宣発粛降、通調水道などの役割があります(詳しくは肺について
そんな肺のトラブル。二つの方面から考えます

肺の病機
18−1:肺気失調
肺失宣降、肺失粛降、肺気虚弱
18−2:肺陰失調
肺陰不足、陰虚火旺

それでは、本日のテーマ、「肺気失調」です。
肺気の大事なポイント、肺気の上げ下げが不調になったということです。

18−1:肺気失調は、この3つ肺失宣降、肺失粛降、肺気虚弱から考えます。

肺の重要な役割である宣発や粛降が出来なくなったり、肺気そのものが虚損している状態について考えます。

肺失宣降

原因:外邪(風寒、風熱)、痰湿、オケツの停留

肺気が宣発作用を失った場合:せき、くしゃみ、鼻づまり、多痰、毛孔の閉塞(無汗、畏寒)

肺失粛降

肺気が粛降作用を失った場合(津液を腎へ送る作用を失っている)
:肺気上逆(気の喘息、胸悶、痰が少ない)
:水道不利(水の喘息、材料不足で尿が少ない、体表を主っている肺気が落ちるので浮腫がおきる)

肺気虚弱

原因
1、肺の宣降機能が長く改善しない、
2、脾胃虚弱による血、気、不足
3,津液代謝の異常ー痰飲、浮腫

肺の機能が低下しているということです、肺気の虚弱は全身の虚弱につながります。

案外、肺気の不調をコントロールするのは難しいです。

肺気を鍛えることそのものが生活を整えるということに直結する事が多いからです。
規則正しい生活を心がけ、生命力の積み増しをしていきたいところです。
また乾布摩擦、日光浴なども肺気を養うには効果的です、つまり皮膚の鍛錬です。

鍼灸では、肺気虚弱を肺兪、身柱、太淵、足三里などという経穴からかんげて見ることも可能です。
これまた全身の気虚を補うということとかなり近い発想になりますね。

17−2 心血と心陰の病機

さて、続きです。心陽と心陰にわけたときの、心陰の問題。心血と心陰から考えますが、なんかごっちゃ(^^ゞ。

17−2
心血と心陰の病機
・心血不足(虚)
・心陰不足(虚)
・心血瘀滞(実)

1:心陰不足

原因:七情内傷(心労)、心肝火旺(火木)によって心陰を消費→長時間や心陰不足
病態
:陰液不足、流失ー咽喉の乾燥、舌が乾く、舌が痩せる、盗汗
:虚火内生ー五心煩熱
:動悸、心神執拗、虚煩不眠

2:心血不足

原因:出血過多、精血不足
病態
:心神失養ー意識散漫、集中力、思考力の低下、健忘
:血脉空虚ー脈債、弦、無力
:心気失養ー動悸、不安
:顔面失栄ーめまい、顔面蒼白、つやがない

3:心血瘀滞(実ー原因は虚だけど症状に虚がないので実)

主因:陽気不足(心気の推動機能の低下、血行が停滞)、寒邪の停滞(血液を凝固停滞させる)
病態
:軽(狭心症)陽気不足、前胸部痛、不快感、脈が渋る、四肢不穏(一過性、自然回復可能)
:重(陽気不足+寒邪)、前胸部激痛、冷や汗、顔面蒼白、脈渋る、混迷

痰:肩痺化湿、養心怯瘀
寒:温通信用、怯寒
気滞:行気、養心
瘀血:活血化瘀、養心
痰火:瀉火去痰、安心養心