ストレス」タグアーカイブ

ご相談:採卵しても移植出来る卵ができません。どうしたらいいでしょうか? 40才出産 0323

不妊治療をしていると、ご自身の状態を誰にも相談出来ずに病院に通い続けている方がいらっしゃると思います。

なかなかまわりに相談出来ない理由は、人によってさまざまですね。

・不妊治療をしていることを口外していない

・ネット情報をみても、自分にあてはまるかどうかわからない

・何をしたら良いのかわからない

・相談出来る人がみあたらない

・まわりに同じような悩みを持つ人がいない

などなどさまざまな理由があると思います。

色々なお話を伺う中で、不妊治療の相談が難しいのは、

カップルによって身体条件や経済条件などがさまざまで、同じようなケースが少ない。
病院選びもわかりにくい。
自分に何が必要なのかがみえてこないということなのかなと思います。

☆☆不妊治療は時間が勝負、しっかりとした選択を

ご自身に一番利点のあるところで、しっかりと前に進む必要があります。

しかしながら、その”自分に一番必要なところ”がわかりにくいのが不妊治療ですね。

このところ、病院を変えていただいて妊娠しました!と言う方が3人ほど続きました。

それぞれ皆さん別の病院から別の病院です。
面白いことに、ある方がやめた病院を、ほかの方が選ぶと最適ということもあるのです。
一概に、どの病院がベストということはなく、

ご自身にとってベストな病院を探すことがとても大事ですね。

☆ご相談:採卵しても移植出来る卵ができません。どうしたらいいでしょうか?

39才です。

早く妊娠したいと思い、37才頃からいろいろな治療をしていますが、不妊治療が前に進みません。

体外受精をしても、まったく卵胞がでてこなかったり、
7,8個採卵出来ても移植出来る卵にはならずに培養途中でとまってしまったりしてしまいます。
AMHも悪いといわれショックをうけています。

自分としては低血圧、低体温、便秘、冷えなどのある体質を改善していくことが必要かなとは感じますが、どうしたらいいのかわかりません。

早く妊娠につなげるには、どうしたらいいのでしょうか?

 

☆急がば回れです! 体調をあげて不妊治療をすすめましょう。

37才頃から不妊治療にご夫婦で前向きに進めていらっしゃりますね。

現時点で体外受精や顕微授精などの高度生殖医療まで進めていらっしゃるのに、なかなか治療が進まないと言うこと、どうしたらいいかわからなくなってしまいますよね。また病院で年齢要因によって卵胞の数が減っているという説明を受けられたと言うことショックでしたよね。

☆☆お身体を拝見して

いまお身体を拝見すると、全身のパワー不足、東洋医学でいうところの肺脾を中心とする気血両虚が顕著です。

妊娠には女子胞(子宮)の力が必要ですが、この女子胞(子宮)の力を支えるには腎気という生命力を下支えする力も必要です。

いま、肺、脾、腎という3つの臓腑を中心とする全身の力が不足しているため、女子胞(子宮)まではとてもパワーが回らないという状況です。

しかしながら、採卵すれば卵胞も出現し、きちんと月経もあるようですね。年齢も現時点で39才。
女子胞(子宮)の力は十分あると思います。

私はあせらずに、もう20%体力アップをはかれば、自然と余力が女子胞(子宮)へとまわり、妊娠ー出産へとつなげることが出来ると思います。

体力アップというと、すぐに『運動をすればいいんですか?』と聞かれちゃいますが、全身の気虚がある人が、今の状態で運動すれば、体力アップではなく、単なる過労になって、もっと体力ダウンです

生命力をつけるというのは、食べて、滋養を取りこみ、身体の力とするということです。

☆☆体重=体力 BMI19.5を越えるようにしていきましょう。

現時点で、体重と身長のバランスであるがBMI18.5を下回っています。とにかくこの数値が19.5を越えられるということを目標に身体作りをしていきましょう。痩せ型タイプの人にとって、『食べて太れる』ということは本当に大事なポイントです。

また、お身体を拝見すると冷えの入り込みも顕著です。全身の体力アップと、冷えの入り込みを排除して身体作りを進め、妊娠をめざしていきましょう。

☆☆東洋医学的な診方

・弁証 肺脾の虚を中心とする全身の気血両虚 風邪の内陥
・論治 益気補脾補肺 疎風散寒
・治療方針

まず第一に風邪の内陥をとりさる。益気補脾補肺をし、生命力の余力をつける。もともとこの状態でも月経があり、卵胞もでている人なので、女子胞(子宮)の力は生命の余力がつけば自然と出てくると思われるので、経過をみていく。

☆治療経過 初診から妊娠、そして出産へ

初診

左外関 右足三里 三陰交 右臨泣 大巨(ST27)、関元(CV4)
肺兪、左胃兪三焦兪 大腸兪(BL25) 次髎(BL32)

セルフケア:自宅施灸 左外関、陽池 三陰交 右足三里 大巨(ST27) 関元(CV4) 背部兪穴

1ヶ月後 食べる量が増えてきて、便通改善
4ヶ月後体重が1.5キロ増えた(BMIが18.43から19.03へ)

クリニックを変えることを提案。
また同時に不育症と着床障害の検査もうけておくことを提案。
(排卵誘発がシンプルで、多数狙いにせず、なるべく休診日が少ないクリニックがあうのではないかとアドバイス。年齢要因的に不育症の検査も予めおこなっておくメリットからアドバイス)

5ヶ月後、採卵、新鮮胚移植。妊娠できず
7ヶ月後 採卵、胚盤胞を二つ凍結
8ヶ月後 採卵、凍結胚できず。
11ヶ月後体調を整えて移植、無事に妊娠!出産。

おめでとうございます。

☆治療をお供しながら

年齢要因や、治療が前に進まないというのは、辛いですね。

焦ってしまうお気持ちもよくわかります。

この症例の方は、もともと女子胞(子宮)の力はそれなりにあったと思います。

しかしながら、ご自身の体力が毎日の生活ギリギリであり、体重もぎりぎり。

妊娠は身体の余裕があってこそ成立しやすくなります。

体力アップ、そして食べる力upをしていったことで、もともとあった女子胞(子宮)の力を充分に発揮することができ、妊娠、そして3000㌘越えの元気なお子さんの出産となったと思います。よかったですね(^^)。

☆アンケートにお答えして→

アンケートのご記入ありがとうございます。(アンケートの番号4−1)

体質改善に少しでもお役に立てたようで私も嬉しいです。

食べる力というのは、『食べるもの』の選定も大事ですが、食べたものを栄養として取りこむ力もとても大切です。その胃腸の力がアップしたからこそ、全身の力がアップし、不妊治療が前に進んだのかなと思います。

病院選びは、ご自身だと判断に迷うところもあると思います。

どの病院もその病院での最良の選択肢を提示して下さっているとは思います。

しかしながら、もう少し目線を広げると、よりよい選択がある場合も多いです。

私からアドバイスでお気持ちに余裕が出来、納得のいく選択ができたのならばとてもよかったなーって思います。

そしてしっかりと丈夫な赤ちゃんにめぐまれたこと、本当にうれしいです。
妊娠初期にしっかりと血流上げの鍼灸治療をできたことが貢献出来たかなと思っています。

子育て、楽しんでがんばってくださいね(*^_^*)

二人目不妊、妊活三つのコツ。ポイントを絞り前に進もう! 

二人目不妊、ポイントを絞った妊活三つのコツ。

子供をもつと、『二人目を・・・』と思い始める方、案外多いのではないかなって思います。

はじめは、『一人居れば充分』と思っていても、子育てしてみると大変さのなかから、『人間の関係性』を感じ始め、『兄弟を・・』と思い始めたり。

☆高齢出産だからより思う『この子に同年代の親族を』の思い。

年齢の高めの方の不妊治療をサポートしていて、最初の妊活から『二人目』を意識する方は少数派。

とにかく、一人子供が授かればと思いながらの妊活でしょうし、

『もう自分自身の年齢が高いから、体力的にも無理だし。一人で充分』と思われる方も多いかなと思います。

ただ、実際に子育てしてみると、ふと”この子が大きくなったときに、誰も周りにいない・・・・・”と気になったとおっしゃった方がいらっしゃいました。

自分は40代、親はすでに他界。姉妹がいるけど、姉は独身でパートナーや子供はいない。夫がいるけど、夫の兄弟には子供は居ない。そうすると、この子が30代になったときに、親族と呼べる人は自分たち以外に誰も居なく、自分たちが亡くなったら・・・。

自分自身が、親に助けられた。

兄弟姉妹がいて、楽しかった。

大人に成ってからこそ、親族のありがたさを感じることが多かった

そんな思いを持ちながら、子供をみると、

『この子に兄姉を・・』という思いが強くなるのかもしれません。

☆多くの二人目不妊のご相談をお受けして。

二人目不妊の方を多く拝見してきました。

・一人目はスムーズに自然妊娠し、出産。それなのに二人目はなかなか妊娠出来ません。

・一人目は人工授精を数回しているうちに妊娠しました。それなのに・・

・体外受精をすれば妊娠出来ると思っていたのに、良好胚を何度戻しても妊娠出来ません。

・一人目を授かったときの残りの凍結胚を移植したのに、ちょっと着床しただけでした。

などなど、多くの二人目不妊のお声を候っています。

とくに、一人目はなんなく妊娠出来たのにと言う方が多いですね。

だからこそ、ちょっとの医療介入や、一人目の妊娠のときの経験があるからこそ、『すぐに妊娠出来るはず』と思われるのかなと感じます。

スムーズにいかない、二人目の妊活。少しコツがあります。お話ししていきますね。

☆二人目不妊、妊活3つのコツ、体調、都合、方法

1:体調
2:都合
3:方法

この三つがポイント。もう少しかいせつしますね

☆☆1:体調→一人目の妊娠時と同じ身体状態にする。

二人目不妊の方のご相談をうかがっていると、明らかに体力の低下や、疲労感、子育てに振り回されている日々で、『とても自分のことなんか〜』とおっしゃる方が多いです。

まあ、確かにその通りなんですが、これをこの言い訳同理にしていたら、いつまでも妊娠できません。

腹を括って、目の前のお子さんと一緒に、自分、そして二人目のまだみぬ赤ちゃんのためのベッドであるご自身のお身体をととのえてください。

一人妊娠し、出産したということは、血流そのものの向きは妊娠に向かう準備が出来ている身体です。ちょっとしたコツと努力でちゃんと、二人目の赤ちゃんがやってくる準備ができます。

とくに、生理前の高温期がつらい、生理の出血がダラダラしている。朝起きたときの疲労感が強いなど、あきらかに第一子妊娠前よりも体力や生命力が低下している場合には、先ず体力作りです。

 

☆☆2:都合→上の子供の年齢や、生まれつき、行事などさまざまな都合を優先しすぎない

お子さんがひとりいると、二人目の子供との年の差、また保育園などの関係もあって、何月生まれが良いとか、最近は『早生まれは避けたいんです』などという生まれつきへの拘りもあるようですね。

スムーズにサクッと妊娠するような状態の方であれば、この都合は勘案しても別に問題がないと思います。

しかしながら、『なかなか妊娠出来ない、二人目不妊』の場合、社会的な都合を優先して、チャンスを失っている場合が多いような気がします。

人間は、1年に妊娠出来るチャンスが、12−14回程度しかありません。
見送ったチャンスは大きいのかも知れませんよ。

また、早生まれちゃんの生まれる5,6、7月妊娠は、血流タイプの人には絶好のタイミング。早生まれを嫌って、この時期をやりすごしてしまうのは、お勧め出来ません。

 

☆☆3:方法→一人目と同じ方法が妊娠しやすい方法

二人目不妊の方で、よくご相談になるのが、

『一人目は自然妊娠でスムーズに妊娠しました。二人目がなかなか妊娠出来ないので、ステップアップし体外受精をし、良好な凍結胚盤砲ができています。それなのに何度戻しても妊娠しないのです。』

こんなお悩みをよくうかがうのです。

一人目は自然妊娠出来た。ならば基本的な検査はクリアし(再度しておく必要はありますが)卵管問題、子宮問題、カップルの相性などには大きな問題がないということですね。

そのうえ、受精卵をつくり、良好胚を移植しているのに・・・ということになると、

『いったいなにをすればいいのでしょうか?』

と言うことになるかと思います。

この場合は、2つの要因が考えられます。

1:体力の低下
2:胚の淘汰

☆☆☆1:体力の低下について

1の体力の低下は、一番はじめの体調の課題とつながります。そして、案外、体外受精などの精力医療の介入は、ストレス状態を引き起こしていたり、ご自身の体力低下は無視して(ホルモンの補充をしたり、医療介入で無視出来てしまうわけです。)治療がすすむために、”赤ちゃんを子宮でしっかりと受け止める力)が足りず、良好胚でも妊娠出来ずにつながります。

こういった場合は、とにかく、病院通いでどんどん削られる体力やメンタル回復のために少し病院通いをお休みし、ご自身の身体と向き合い、気持ちよく上のお子さんとの時間を楽しむようにしていただくと、気持ちも、体力も向上し、”一人目の時と同じ方法”で妊娠、出産なさる方が多いです。

つまり、医療介入がかえって、悪循環のきっかけとなっていたということです。

”こんな高度な医療を受けているんだから”

”他に出来ることがないから”

こういうお気持ち、よくわかります。

でも、やっぱりちがうんですよ。

当院にいらしていただいて、半年程度の休憩というなの、心身のお手入れ期間で、無事に第一子と同じ自然妊娠で出産なさっていく方が多いです。

ステップダウンが案外効きますよ。

☆☆☆2:胚の淘汰

着床前診断PGTという検査があります。

日本産科婦人科学会の主導のもと、なかなか検査すら出来ない状態でしたが、ある年からかなり幅広く取り入れられることになりました。

この検査自体のことは、実施機関でデーターなども出し説明があるので、詳しくはそちらをご覧ください。

加藤レディースクリニック→

はらメディカル→

ときに、何度も挑戦し、良好胚といわれる胚を移植しても妊娠出来ない場合は、着床前診断を考えることも多いでしょう。

一人目が自然妊娠だった場合、このPGTを考えることはそれほど多くはないのかもしれません。ただ、その一人目の間に流産が多かったり、さまざまなトラブルがある場合は考えてもよいのかも知れません。

☆☆☆PGTをなさるかたと時間をともにさせていただいて。

不妊治療には流行と言うことが多くあります。

流行という言葉をつかっていいのかと思いますが、

『あー流行っているんだな』っとか、『いまトレンドね』といった

感じで、同じ事がくり返されることがあります。

卵管に戻すタイプの移植も、こんな感じで時々拝見します。

長く不妊治療にお付き合いさせていただくと、そんな流行も垣間見えてきます。

これが妊娠というものの、不思議さなんでしょうねえ。

そして、一時期、多くの方がこのPGTを受けられていました。

私の個人的な印象ですが、
・問題のない胚が多く出来る人、
・遺伝子異常の胚が多く出来る人

この二つにわかれるような感じがします。

そして遺伝子異常の胚が多く見られる方であっても、良好胚はあるので、それが自然妊娠につながり、後の二人目で苦労していると言うこともあるのかなという印象です。

こういった背景を考え、また年齢要因も踏まえ、PGTを取り入れるかどうかは考えたいところですね。特に年齢の高めの方の場合は、胚へのダメージやそもそも取れる胚の数が少ないということからPGTを取り入れるよりは、胚移植をしたり、自然妊娠をそのまま考えた方がよいと言うこともあるかと思います。

ある、何度移植しても妊娠しないという方が、来院。今回の採卵はPGTしてみますとのことでした。そして胚盤胞になった6個の胚のうち、2個PGTをされ、2個とも問題のない胚でした。

私はPGTをしていない残りの4つも、多分問題がない胚が多いのではと思い、

『もし二人目を考えるのならば、PGTした卵は残して、残りのPGTしていない卵から移植したら?』と提案してみました。その方は納得され医療機関とも相談し、PGTしていない卵を移植。無事に着床し妊娠継続出産なさりました。

この方は、何度移植しても妊娠しない=胚の遺伝子異常と思われたわけですが、着床しないのは、ご自身の受け入れる体制が整っていなかったと言うことなのだと思います。

鍼灸治療とセルフケアで卵をお迎えする力をアップさせ、無事の妊娠出産につながりました。
きっと残った凍結胚で、うまく二人目も妊娠、出産につなげることが出来ると思います。

☆まとめ

二人目不妊の妊活。ちょっとしたコツがあります。

体力、都合、方法。みなおしてみると、案外スムーズに進みますよ。

不妊カウンセリングもとても力になると思います。

前に進みましょう!

イラスト

症例:何も問題がないと言われる状態での10回以上の採卵移植、44歳出産。0215

妊娠したいというご希望があり、色々取り組んでもなかなか答えにたどり着けないことがあります。

そこで、AMHや不妊治療における一般的な血液検査や、一歩踏み込んだ着床障害や、遺伝子検査、不育症などなどをおこなっても、『まあ確率の問題だね』などというコメントをいただくこともあります。

この不妊治療と確率の問題は、着床前診断(PGT)などを取り入れようというお考えも理解出来るところですが、これも道を切り開く答えにならない場合もありますね。

☆着床前診断の考え方

着床前診断については、このはらメディカルの考え方が非常に参考になると思います。

着床前診断 はらメディカル

https://www.haramedical.or.jp/content/implantation/pgt

そもそも、妊娠に挑戦しなければ前に進みません。高度生殖医療をおこなっていても移植をしなければ妊娠しない現実があります。PGTは、胚盤胞にならなければできませんが、胚盤胞にそもそもならない人のの場合はそこで泊まってしまいます。しかしながら、胚盤胞にならないという方が、その前の初期胚や三日目胚移植での妊娠出産事例を多く経験しています。
つまり、胚盤胞にならないからといって、すべてが妊娠出産出来ない卵ではなく、
初期胚で移植した方が育ちやすく、着床しやすいタイプの方がいるということかなと思います。
また、PGTは胚へのダメージと再凍結という負荷がありますから、このリスクも
PGTできる胚の数がすくなければ大きいと言うことかなと私は理解しています。

以下ははらメディカルの見解です。

着床前診断 PGTをしない方がいい人

  • 胚移植不成功回数は2回以上あるが、1回の採卵で得られる胚盤胞数が3個以下の場合は、胚盤胞が貴重な場合、PGTのメリット<デメリットと考えます。PGTをせずに、胚移植をして結果を得る方が、総合的な出産率は向上すると思われます。
  • 胚盤胞の外側の細胞(栄養外胚葉)のグレードが低い場合
  • 年齢が高い場合は、PGTをすることで、本来であれば妊娠・出産できる胚盤胞を排除してしまう可能性があることを慎重に検討してください。また、年齢的に生検のダメージもうけやすいです。妊娠・出産を目標にする時、PGTではなく、2個胚移植で、移植のペースを上げることで、次の採卵時期を早めることが、総合的な出産率の向上に繋がると考えます。

いろいろ考えちゃいますねえ。

さて、今回は、そんな、なかなか前に進まない道を、一歩、一歩淡々と継続され、無事に赤ちゃんと巡り会った症例をご紹介しながら考えていきたいと思います。

☆ご相談:何も問題がないといわれ繰り返す体外受精。どうしたらいいでしょうか?

体外受精を繰り返しています。

AMHも問題なく、夫婦共に大きな問題もないといわれています。

38歳から不妊治療に取り組み、人工授精を5回ほどし、体外受精にステップアップしました。

初めての体外受精では、2個取れ、拡張胚盤胞となり凍結でき、移植。
残念ながら妊娠出来ませんでした。

いま次の採卵周期にはいっていますが、あまり卵胞がでてきません。
何も問題がないといわれているので、体外受精を繰り返していますが、
今後、どうしていったらいいでしょうか?

☆ご相談にお答えして、お身体の状態を整え、淡々と進みましょう

なかなか妊娠が成立しないということですね。
一緒に考えていきましょう。

お身体の状態ですが、東洋医学的な観点からの問診と体表観察とをくみあわせて考えていきます。

1)身体への冷えの入り込み

 →全身の気血の巡りが悪くなる。全身への負担

2)冷えが入り込んでいるのに、身体の中に熱がある(内熱)

→口内炎、ストレス状態の継続

3)冷えの入り込みや、内熱を解消する土台の力となるべき胃腸の力(脾胃の力)が少し弱いために、身体の内側に湿気(内湿)がたまりやすく、これが気血の巡りの悪さに拍車をかける。

4)1,2,3の状態が、生殖の力と直結する土台の力(腎気)への負担となり不妊となる。

つまり、上記、1,2、3の状態によって少しずつ積み重なった負担が
身体を支える土台の力(腎気)への負担となり、腎気と直結している生殖の力が今一歩発揮しきれないと言うことになっているのかと思います。

数は少ないながらも採卵がスムーズに出来、胚盤胞まで到達し移植出来ているということは、生殖の力はそれなりにあると言うことだと思います。

明確に方針をもってお身体の手入れをすることで、あと一歩の不妊治療を前に進めましょう。

☆不妊治療に対する5つのアドバイス

1)すでに治療周期に入っていますので、しっかりと子宮、卵巣の血流をよくしていきましょう。セルフケアのお灸もおこなってくださいね。

2)採卵後はお仕事が忙しい時期であれば、自然妊娠を考えるタイミングにしてもよいかと思います。卵巣に針を刺したということでドリリング効果を狙うことも可能だとは思います。ただ、時間を無駄にしていると考えてしまわず、病院はいけなくても、身体作りに前向きに取り組むことで思わぬ結果を呼び込むことも多々あります。

3)年齢要因は確かに厳しいですので、しっかりとしていきましょう。

4)お身体の状態の割りに、卵巣の数値であるAMHやFSHはよい数字です。これはもともとは生殖の力はあるタイプだと言うことがわかります。焦らず、気負わず前に進んでいきましょう。

5)病院選びは、ご自身の状況にあっていると思います。迷わず頼りにしてよいかと思います。

☆治療経過〜

初診:
鍼、お灸:気海(CV6)、関元(CV4)、陰陵泉(SP9)、三陰交(SP6)、右公孫(SP4)右大都(SP2)。
パイオネックス;右の内関(PC6) 陰陵泉(SP9)
温灸:肺兪(BL13)、右心兪
鍼して温灸、お灸 左腎兪(BL23)、右三焦兪(BL22)、大腸兪(BL25)、次髎(BL32)

セルフケア 気海(CV6)、関元(CV4)、陰陵泉(SP9)、三陰交(SP6) 公孫(SP4)

→すでに採卵周期に入っているので、しっかりと子宮卵巣の血流をあげていく。

→採卵、7個取れる(前回よりも多い個数の卵胞が順調に育った)しかしながら空砲5個。1個胚盤胞凍結→移植→妊娠せず。

その後、仕事の都合などにあわせて採卵をし、凍結胚にして、二段階移植、胚盤胞移植、ホルモン補充周期などの移植などに挑戦するもまったく着床せず。

着床障害、不育症検査
→まったく問題はないと言われる。
『まあ移植回数を重ねればいつかは妊娠出来るよ』>ドクターコメント

42歳43歳、採卵、凍結胚盤砲にて仕事などの都合が良いときに移植と計画する。

43歳HR周期にて二段階移植→妊娠→44歳にて出産

☆無事のご出産おめでとうございます。

何か上手く行かない原因があるというわけでもない状態から、ご自身のお仕事を生活の中心とし、淡々と採卵を重ね、努力を重ねるお姿、頭が下がる思いでした。またご主人のお子さんが欲しいというお気持ちが伝わってくる数々のエピソード。きっとご主人の思いがあったから、ここまでお二人でがんばってっくることができたんですね。

産後2ヶ月からの職場復帰、がんばっていらっしゃりますね。
漢方薬や少しのお身体の手入れは、これからの人生を支えてくれると思います。

頑張りたいからこそ、少しお時間を取って頂いてケア出来ると、おこさんのため、そしてこれからも元気で働いていくご自身のために非常になると思います。

頑張ってくださいね。

妊娠18週、38週のアンケート 11−5

アンケートへのご記入ありがとうございました。

☆鍼灸治療を初めて見ようと思ったのは、なぜですか?という項目のご記入について

→確かに鍼灸というのは通って頂くことが必要ですので、先に漢方やサプリを試してみたというのはよくわかります。その上での鍼灸への挑戦が、お身体の調子を整え、妊娠につなげることができとてもよかったなあと思います。

☆鍼灸による体調の変化についてのご記入について

基礎体温が整ったと言うことは、お身体全体に余裕ができ、妊娠に向かう一歩前に進んだと言うことと思います。

☆当院でのアドバイスについて

不妊治療は、本当に人によって状況が違います。また選んでいる病院や治療法によっても、考え方が違うことがあります。よりベターな選択はどういったことであるのか、ドクターのコメントはどういった背景があるのかなど、一緒に考えることができたことが、前向きな選択、安心につながったのであれば幸いです。

 

イラスト

血行の改善ー王道は軽い運動、その上での下腹に納める安静の勧め 

血行の改善ー王道は軽い運動、その上での下腹に納める安静の勧め 

血行というのは、人間の滋養強壮のもとの血液が行くということです。

とーーーっても大切ですね。

血行をどうやってよくすればいいの?という質問をよくいただきます。

これってなかなか難しいですね。

☆運動をすれば血行がよくなる?。

運動すれば血行がよくなる。

これは一義的には正解だと思います。

軽いジョギングやウオーキングなどの全身運動をすれば、おおきな筋肉をリズミカルに

動かすことになり、静止状態よりも全身の血がよりダイナミックに巡るというのは

よくわかります。

☆歩いてきた妊婦さんからわかること、血流は手足末端へ、では子宮は?

しかしながら、妊婦さんで歩いてきた方の子宮に手を当てると、大抵の方が

『硬い子宮』『温かい手足』です。

全身の血行がよくなり、手足のすみずみまでよく気血がめぐっていることが

わかります。

しかしながら身体の中心である子宮は硬く血行がよいときの柔らかい柔軟な感じがありません。

血流は運動によって、動いている手足に引っ張られ、身体の中心の子宮などへは薄くなるのです。

つまり、血流は、今動いているところ!   へむかい第一優先とされるので、手足を使って動けば、そちらにいき、欲しい子宮卵巣の血流は薄くなってしまうのです。安静にすればだんだんとおさまりますので、普通の妊婦さんであれば大きな問題ではありません。

しかしながら、もし子宮に問題があったり、妊娠が不安定だったり、いままさに子宮に血流をあつめて妊娠を考えるのならば問題ですね。

安静が病気や、流早産の対策として一番効果的なのもこういった理由ではないかと思われます。

☆血行を保つための運動と安静

運動をすれば、動かしているところに血流が集中する。子宮には足りなくなる。

では、安静にすればいいのかというと、ケースバイケースですね。

☆☆全身の状態をアップさせ、結果として子宮の状態も改善していく

人間として成長し、養うという側面であれば、ある程度の時間をとって運動し、

全身の巡りをよくしていくということは王道です。

イラスト ツボ セルフケア 応援

基本的に、軽めの有酸素運動を行いながら、セルフケアのお灸をおこない、

最後にお腹(下腹中心)のツボかお臍にお灸温灸をしておさめとします。

これが王道としての血流の改善をはかりながらの身体作りです。

この血流のコツがわかるだけで、自然妊娠をするっとなさる方も多いですし、また、体外受精の採卵、移植。また不育症の方などにも効果的です。ちょっとしたコツなんですよ。

☆☆妊娠初期、着床のころの血流改善

妊娠初期や着床の頃はとくに子宮血流をあげたいときです。

この時期は、運動をしてて足に血流がいき、相対的に子宮血流が悪いという状態は

さけたいところです。

安静が効くのがこの時期。

少し安静を心がけすごしていきましょう。

イラスト ツボ セルフケア

☆☆安静がストレスになって血流改善しないタイプの方へ

安静は、手足末端への負担をゆるめ、中心に気血を集める王道です。

しかしながら、安静をするとどうも精神的なストレスがきつく、

結果的に全身の血流が悪くなり、気血の流れが悪くなる人がいます。

基本的には安静が効くのですが、このタイプだと、『安静で効かせる』ことができにくくなります。

しにくくなります。この場合は、着床の頃に限っては、安静の手を緩めることは認めます。

しかしながら、もし妊娠がわかり、その妊娠がなかなかたどり着かなかった妊娠の

場合は、『はらをくくってしっかりと安静』が本当に効きます。

これしかないと腹を括って安静にしてみてください<(_ _)>

それが、あなたの扉を開きます!

2)必要なのは、万人向けの正しい情報ではない! チョコレート嚢胞、受精障害、淡々とした努力で妊娠、出産0219

淡々と、ご本人にとって必要な選択をし、継続的な努力をしていく。

簡単なようでとても難しいことです。

その1)はこちらです。
1)必要なのは、万人向けの正しい情報ではない!

webでの症例はこちら培養室の力とガッツな努力で不妊治療の扉をあけよう!

こちらでは、具体的な症例を通してお話ししていこうと思います。

お話しします症例の方は、この困難なことを、ご本人の柔軟な意思でさくっと乗り越え、不妊治療を前に押し進めた症例です。

☆ご相談内容:子宮内膜症の進行が早いので、不妊治療を早く進めようと考えていますどうしたらいいでしょうか?。

35才女性です。

結婚して2年になりますが、なかなか子供が授かりませんでした。

先日、病院を受診したところ、子宮内膜症の進行が早く、ドクターから早めの体外受精へのステップアップを勧められ、来月には採卵の予定です。

しっかりと体調を整え、妊娠、出産につなげたいと思っています。
スムーズな治療を進めるために、なにかできることはありますでしょうか?

☆全体的な体調

子供の頃から外反母趾、高校生ぐらいから便秘がひどく、肩こりや冷え性がきになる。

春先に体調が悪化。食欲は普通、空腹感は時々、食事はいつも美味しく、時々食後の腹脹や胸焼けがある。

口は時々渇く、違和感はない。タバコは吸わない、飲酒は月に4,5回程度。

便通:三日に1回程度、お腹が張って辛いことはよくある、ウサギのようなコロコロ便。時々酸化マグネシウムを飲むと、程よい固さになって体調もよくなる。便が出きらない感じはよくある、コロコロ、量はすくない、便器に付着することは時々、よく匂う。

小便は1日に6回残尿感、尿切れの悪さなどない。夜間排尿は時々。

寝つきは普通、夢をよくみる。疲れが残ることはめったにない。

子供の頃はしもやけがあった

☆婦人科の状態

初経は13才、31日周期で7日間。小さい塊が混じる。量は普通、
生理痛はいつもある、1,2日目に鈍痛。
排卵時に時々下腹がチクチク痛む。
高温期に胸の張り、吐き気、イライラ、眠くなる。

☆不妊治療歴

1年間:自分たちでタイミングを合わせた
病院受診:ホルモン検査、エコー検査、精液検査にて子宮内膜症の指摘を受け、早めのステップアップとなった。子宮内膜症は自覚症状はなかったが、進行が早いと指摘され、不妊治療を急ぐことになった。

☆東洋医学的な体表観察

舌:潤、やや蛋白、胖嫩歯痕あり、舌裏怒張少しあり
脈:輪郭が甘く、右尺やや硬め
腹全体が暖かい、肝の相火無し、裏肝の相火ややあり。臍引きあり、臍周抜け、気海抜け、関元(CV4)左より少し冷え、少腹急結右あり、左合谷(LI4)こそげ、左外関(TE5)左陽池(TE4)左後溪(SI3)やや抜け、左神門(HT7)硬結 右曲池(LI11)、

大椎細絡あり、腠理の疎、右は胃兪(BL21)陥凹
右胆兪(BL19)左脾兪(BL20)両腎兪(BL23)抜け
腰から骨盤回り細絡多し、

右の裏内庭から大都(SP2)まで強い冷え陥凹、公孫(SP4)陥凹右<左 右臨泣つまり、三陰交(SP6)ライン冷え、陰陵泉(SP9)抜け右は冷えきつい
足の冷え:足首から下、復溜(KI7)から下に冷え細絡

☆ビッグママから:血流をよくし、不妊治療を前におしすすめましょう!

早くお子さんが欲しいというご相談ですね。

病院での指摘もあり、前にしっかりと向かってご夫婦で歩まれていると思います。
体外受精などの治療をスムーズにすすめ、結果につなげていきたいですね。
お身体を拝見すると、足末端の冷え、子供の頃のしもやけなど、東洋医学で言うところの気血の巡り、血流に関する問題が多くみうけられます。子宮内膜症もその血流の滞りとかんがえることもできますね。

また、便秘や身体に出来ている細絡なども、気血の巡りの悪さ、滞りが起こりやすい体質であることを示していると考えられます。(肝鬱気滞血瘀)

また、血流の悪さは気血の巡りである血流そのもの悪さと、血流を支える土台の力(腎気)素体の力強さの課題があります。この土台の力の不足があると、気血の巡りを下支えすることができません。臍の引き、力のなさなどから土台の力の不足も感じられます。

脾腎の陽気をあげ、気血の巡りをよくし、不妊治療を前に進めましょう

・弁証 脾腎の陽気不足 気滞血瘀
・論治 益気補脾補腎 疏肝理気
・治療方針

血流の悪さが目立つので、しっかりと温養補脾補腎 必要に応じて疏肝理気

☆治療経過〜妊娠まで

X年9月 35才
・ビッグママ治療室受診 鍼灸治療スタート
初診時鍼灸治療
1)気海、大巨(ST27)温灸、左外関(TE5)、左陽池(TE4)ミニ灸、足三里(ST36)三陰交(SP6)、右臨泣鍼してミニ灸、右陰陵泉(SP9)鍼してミニ灸
2)肺兪(BL13)温灸
3)脾兪(BL20)、三焦兪(BL22)、大腸兪(BL25)、次髎(BL32)鍼して温灸

セルフケア:左外関(TE5)陽池(TE4)、大巨(ST27)、気海、右足三里(ST36)、三陰交(SP6)、右臨泣、脾兪(BL20)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)

X年10月
・採卵 4つ取れたが三つ空砲、1つ変性卵

X年11月
・6月は1.6㎝だったチョコレート嚢胞が4.5㎝になっていた。
チョコレートの嚢胞など婦人科疾患の進行が早いため、婦人科疾患の検査は別の病院で把握しつつ、不妊治療はスピードアップのために体外受精の治療が早めに進められるクリニックに転院をお勧めし転院

X年12月
・採卵、空砲と変性卵で受精卵が出来ず。
X1年1月
・不妊治療のクリニック、転院
・チョコレート嚢胞、子宮内膜症は悪性の所見ないと言うことで経過観察

X+1年3月
・採卵、受精せず。受精障害の可能性があるので、次回は卵子活性化を提案された。
X+1年4月
・採卵、受精せず。培養室からまだやれることはあるのでと言われた。
・伊藤病院受診 チラージン服用開始

X+1年5月
・左右一つづつ取れた(いままで右は取れず)。2個受精、2つ成熟し受精ー移植(8分割グレード3)、残りは胚盤胞培養へ
・鍼灸治療の頻度を1日おきにする(頻度をあげる)

X+1年6月
・妊娠判定(hcg129,P20.9)残りの卵は胚盤胞にならず。
・次の判定日までほぼ毎日鍼灸治療をいれる

☆治療経過、妊娠から出産まで

妊娠の経過 5w
・胎嚢確認OK、伊藤病院再受診
鍼灸治療頻度は2,3日おきにいれる。可能ならば連日でもOKということにして頻回にする。黄体ホルモン補充

鍼灸治療、セルフケア(ミニ灸、棒灸)
1)臍、関元(CV4)、大巨(ST27)棒灸
2)脾兪(BL20)、三焦兪(BL22)、大腸兪(BL25)、次髎(BL32) 鍼して温灸

6w
・卵黄嚢見えた、出血がある(問題ないと言われる)黄体ホルモン補充

9w
・不妊クリニック卒業、大きめの病院での出産を勧める転院
・週に2〜3回の鍼灸治療

出産報告
無事に3300㌘越えのベビちゃん、胎盤が700㌘もあった。

☆あとがき

体外受精などの不妊治療は初めて見なければ分からないことが多いです。

採卵してみて、卵の質が悪い、受精卵が出来ないなどの大きな壁につきあたられましたが、

こういった不妊治療が前に進まないといったときに、力がある培養室というのはとても大切なポイントですね。培養室の前向きな工夫と努力、提言そして、出来ることはやっていこうという諦めないご本人の淡々とした努力。どちらも頭が下がる思いです。

東洋医学的な身体の状態は確かに気血の巡りの悪さ(気滞血瘀)と、身体を芯から温める力(脾腎の陽気)という課題ですが、それが不妊治療において具体的にどういったポイントとなり、病院選択になるのかということが、ご本人のシンプルな努力があったために、明確になり、困難事例でありながらも、治療がスムーズに進んだと思われます。

迷いなく、やれることはやっていく。その姿勢に頭の下がる思いです。

赤ちゃん
赤ちゃん
イラスト ツボ セルフケア 三角温灸