不妊治療をしていると、ご自身の状態を誰にも相談出来ずに病院に通い続けている方がいらっしゃると思います。
なかなかまわりに相談出来ない理由は、人によってさまざまですね。
・不妊治療をしていることを口外していない
・ネット情報をみても、自分にあてはまるかどうかわからない
・何をしたら良いのかわからない
・相談出来る人がみあたらない
・まわりに同じような悩みを持つ人がいない
などなどさまざまな理由があると思います。
色々なお話を伺う中で、不妊治療の相談が難しいのは、
カップルによって身体条件や経済条件などがさまざまで、同じようなケースが少ない。
病院選びもわかりにくい。
自分に何が必要なのかがみえてこないということなのかなと思います。
☆☆不妊治療は時間が勝負、しっかりとした選択を
ご自身に一番利点のあるところで、しっかりと前に進む必要があります。
しかしながら、その”自分に一番必要なところ”がわかりにくいのが不妊治療ですね。
このところ、病院を変えていただいて妊娠しました!と言う方が3人ほど続きました。
それぞれ皆さん別の病院から別の病院です。
面白いことに、ある方がやめた病院を、ほかの方が選ぶと最適ということもあるのです。
一概に、どの病院がベストということはなく、
ご自身にとってベストな病院を探すことがとても大事ですね。
☆ご相談:採卵しても移植出来る卵ができません。どうしたらいいでしょうか?
39才です。
早く妊娠したいと思い、37才頃からいろいろな治療をしていますが、不妊治療が前に進みません。
体外受精をしても、まったく卵胞がでてこなかったり、
7,8個採卵出来ても移植出来る卵にはならずに培養途中でとまってしまったりしてしまいます。
AMHも悪いといわれショックをうけています。
自分としては低血圧、低体温、便秘、冷えなどのある体質を改善していくことが必要かなとは感じますが、どうしたらいいのかわかりません。
早く妊娠につなげるには、どうしたらいいのでしょうか?
☆急がば回れです! 体調をあげて不妊治療をすすめましょう。
37才頃から不妊治療にご夫婦で前向きに進めていらっしゃりますね。
現時点で体外受精や顕微授精などの高度生殖医療まで進めていらっしゃるのに、なかなか治療が進まないと言うこと、どうしたらいいかわからなくなってしまいますよね。また病院で年齢要因によって卵胞の数が減っているという説明を受けられたと言うことショックでしたよね。
☆☆お身体を拝見して
いまお身体を拝見すると、全身のパワー不足、東洋医学でいうところの肺脾を中心とする気血両虚が顕著です。
妊娠には女子胞(子宮)の力が必要ですが、この女子胞(子宮)の力を支えるには腎気という生命力を下支えする力も必要です。
いま、肺、脾、腎という3つの臓腑を中心とする全身の力が不足しているため、女子胞(子宮)まではとてもパワーが回らないという状況です。
しかしながら、採卵すれば卵胞も出現し、きちんと月経もあるようですね。年齢も現時点で39才。
女子胞(子宮)の力は十分あると思います。
私はあせらずに、もう20%体力アップをはかれば、自然と余力が女子胞(子宮)へとまわり、妊娠ー出産へとつなげることが出来ると思います。
体力アップというと、すぐに『運動をすればいいんですか?』と聞かれちゃいますが、全身の気虚がある人が、今の状態で運動すれば、体力アップではなく、単なる過労になって、もっと体力ダウンです。
生命力をつけるというのは、食べて、滋養を取りこみ、身体の力とするということです。
☆☆体重=体力 BMI19.5を越えるようにしていきましょう。
現時点で、体重と身長のバランスであるがBMI18.5を下回っています。とにかくこの数値が19.5を越えられるということを目標に身体作りをしていきましょう。痩せ型タイプの人にとって、『食べて太れる』ということは本当に大事なポイントです。
また、お身体を拝見すると冷えの入り込みも顕著です。全身の体力アップと、冷えの入り込みを排除して身体作りを進め、妊娠をめざしていきましょう。
☆☆東洋医学的な診方
・弁証 肺脾の虚を中心とする全身の気血両虚 風邪の内陥
・論治 益気補脾補肺 疎風散寒
・治療方針
まず第一に風邪の内陥をとりさる。益気補脾補肺をし、生命力の余力をつける。もともとこの状態でも月経があり、卵胞もでている人なので、女子胞(子宮)の力は生命の余力がつけば自然と出てくると思われるので、経過をみていく。
☆治療経過 初診から妊娠、そして出産へ
初診
左外関 右足三里 三陰交 右臨泣 大巨(ST27)、関元(CV4)
肺兪、左胃兪三焦兪 大腸兪(BL25) 次髎(BL32)
セルフケア:自宅施灸 左外関、陽池 三陰交 右足三里 大巨(ST27) 関元(CV4) 背部兪穴
1ヶ月後 食べる量が増えてきて、便通改善
4ヶ月後体重が1.5キロ増えた(BMIが18.43から19.03へ)
クリニックを変えることを提案。
また同時に不育症と着床障害の検査もうけておくことを提案。
(排卵誘発がシンプルで、多数狙いにせず、なるべく休診日が少ないクリニックがあうのではないかとアドバイス。年齢要因的に不育症の検査も予めおこなっておくメリットからアドバイス)
5ヶ月後、採卵、新鮮胚移植。妊娠できず
7ヶ月後 採卵、胚盤胞を二つ凍結
8ヶ月後 採卵、凍結胚できず。
11ヶ月後体調を整えて移植、無事に妊娠!出産。
おめでとうございます。
☆治療をお供しながら
年齢要因や、治療が前に進まないというのは、辛いですね。
焦ってしまうお気持ちもよくわかります。
この症例の方は、もともと女子胞(子宮)の力はそれなりにあったと思います。
しかしながら、ご自身の体力が毎日の生活ギリギリであり、体重もぎりぎり。
妊娠は身体の余裕があってこそ成立しやすくなります。
体力アップ、そして食べる力upをしていったことで、もともとあった女子胞(子宮)の力を充分に発揮することができ、妊娠、そして3000㌘越えの元気なお子さんの出産となったと思います。よかったですね(^^)。
☆アンケートにお答えして→
アンケートのご記入ありがとうございます。(アンケートの番号4−1)
体質改善に少しでもお役に立てたようで私も嬉しいです。
食べる力というのは、『食べるもの』の選定も大事ですが、食べたものを栄養として取りこむ力もとても大切です。その胃腸の力がアップしたからこそ、全身の力がアップし、不妊治療が前に進んだのかなと思います。
病院選びは、ご自身だと判断に迷うところもあると思います。
どの病院もその病院での最良の選択肢を提示して下さっているとは思います。
しかしながら、もう少し目線を広げると、よりよい選択がある場合も多いです。
私からアドバイスでお気持ちに余裕が出来、納得のいく選択ができたのならばとてもよかったなーって思います。
そしてしっかりと丈夫な赤ちゃんにめぐまれたこと、本当にうれしいです。
妊娠初期にしっかりと血流上げの鍼灸治療をできたことが貢献出来たかなと思っています。
子育て、楽しんでがんばってくださいね(*^_^*)