症例集」カテゴリーアーカイブ

42歳、何度も体外受精をしていますが不妊治療が前に進みません。0182

不妊治療のご相談を多くお受けしていると、あらためてそのご努力に頭が下がる思いをすることがあります。

そして、また”なかなか前に進まない不妊治療”に対して感じるストレスも

ひとそれぞれなんだなあとも思います。
大きく感じる人、小さく感じる人。

この不妊治療そのものがストレスになってしまい前に進まないケースも多く拝見してきました。
それぐらい、ストレスは強敵ですし、また逆に強敵にするかどうかはその人しだいともいえるのかなと。

今回は、その道筋を伺うと、ここまで・・・すごいと思いつつ、それを困難とかストレスとかと大きくせずに、淡々となさることをするという態度に強いと思いました。

そうなんです、ストレスに振り回されない人は、強いです。
その強さは、結局、不妊治療を前にすすめるものです。

強いというとパワフルとか、力強いというイメージがありますが、
強さというのは柔らかさで、柔軟に淡々とするべきことを積み重ねてする。その継続性が結果的に強さになると感じます。

今回は、うーんと唸らせられてしまう不妊治療であるのに、淡々と前に進み、結果として妊娠、出産にたどりついた症例です。

☆不妊治療をしていますが、良好胚ができず治療が前にすすみません。

42歳です。
31歳から妊娠を希望し、4年かけ9回目の胚移植でやっと妊娠出来、39歳で出産しました。

その後、40歳からふたりめの子供を希望し、体外受精をしています。

1度は妊娠はしたものの心拍確認後の流産となってしまいました。

採卵を繰り返していますが、なかなか移植出来る良好胚が出来ません。
また第一子の経過で途中から高血圧になってしまったことも不安です。

なんとか、妊娠、出産したいです。どうしたらいいでしょうか?

繰り返す採卵、不妊不育、妊娠高血圧を乗り切り無事の出産(43歳出産)

☆お身体の状態について

主訴:不妊 腰痛 便秘

・子供の頃から便秘がちで、薬を服用していた。いまでも、薬を並用しながら便秘とつきあっている、硬めの弁でお腹が張って痛いことが多い。

・仕事をするようになって、疲労がたまると腰が痛い

・食欲は普通、少し不規則で空腹感はあり、おいしく食べられる。

・睡眠状態はよく、翌日に疲れが残ることもめったにない。

☆婦人科の状態について

・生理の状態は28日型で5日間ぐらい出血。体調不良はめったにない。

・排卵時に卵巣のあたりが痛い

・39歳第一子妊娠

・42歳ー妊娠、心拍確認後に流産

☆不妊治療歴

31歳 妊活スタート ホルモンの状態、卵管、卵巣などの基本的な項目は問題なし。

35歳 医療介入での妊活スタート

〜38歳、不妊クリニックにて、採卵を繰り返し、4回ほど全く着床反応がない。

 不妊クリニック転院や採卵を繰り返し、4回目の凍結胚盤砲移植で妊娠

39歳: 妊娠中高血圧になり、少し小さめの赤ちゃんながら無事に出産。

40歳 妊活再スタート 体外受精再スタート

41歳 1回目胚移植にて着床反応あるものの妊娠までにはいたらず。

42歳 2回目妊娠ー7wで心拍確認後流産。

☆ご相談にお答えして:
子宮(女子胞)を支える力をあげ、妊娠、出産に向けて進みましょう

体外受精を繰り返しているのに、なかなか胚移植出来る卵にならない、またせっかく移植し妊娠出来たのに、心拍確認後に流産になってしまったとのこと。本当に残念でしたね。

第一子も、31歳から35歳までは病院へ通いながらの不妊治療をおこない、その上で、体外受精にステップアップし、かなりの採卵回数を重ねた上での妊娠、出産とのこと。

本当に頑張って前に進んでいらっしゃったのですね。

☆お身体を拝見して。

今回の心拍確認後流産は本当にお辛かったと思います。

流産は女性にとって、大きな気血の傾きとなります。お身体を拝見すると、やはり子宮(女子胞)への負担が大きいことや、元々の腰痛や年齢要因からも東洋医学で言うところの生命の土台の力である腎気がかなり落ちてしまっていることや、便秘がちなお身体、舌の状態や、お身体にでている反応などから、気の滞りを持ちやすく(気滞)その滞りが少し根深く血の滞り(オ血)まで引き起こしている可能性がうかがえます。

☆☆東洋医学的な治療方針
・弁証 腎虚を中心とした肝鬱瘀血
・論治 益気補腎
・治療方針

 腎気を補うことで、ご本人のもっている生殖の力をあげ、バックアップしていく。
瘀血に関しては、胚ができていること、着床もできているので、大きな問題としない、補腎をすることで、自然な経過として肝鬱瘀血の部分は解決していくのではないか、その上で必要な場合は考える。

☆不妊治療についての4つのアドバイス

1)今のクリニックがあっているので、継続して採卵を。

2)妊娠に必要な身体の余力をupしていく(鍼灸+セルフケア)

3)妊娠が成立したら、血圧や体調に気をつける積極的に鍼灸をしていく。

4)年齢要因は気になるが、充分妊娠、出産出来る状況。

不妊治療歴は長いものの、第一子のプロセスを拝見すると、現在通院中のクリニックのやり方が基本的にご本人にあっていると思います。転院することなく、信頼し継続していいかと思います。

また、今回は流産になってしまってとても残念なのですが、基本的な卵の状態や、妊娠する力そのものはある方だと思います。年齢要因などは気になりますが、同じクリニックで、迷わず、採卵をされるのがよいかと思います。しかしながら、少しお身体の疲れが目立ちます。妊娠は身体の余裕が非常に大切。育児で大変かとは思いますが、鍼灸治療をとりいれ、またご自身のケアも取り入れていきましょう。

一つ気になるのは、第一子の妊娠中にかなり腎臓に負担がかかった状態になり、少し小さめでのご出産になったことです。これはご自身のお身体の状態をあげること。また特に妊娠初期の血流をあげ、胎盤などの状態をよくすることで、妊娠後期の状態を改善出来て行ければと思います。

☆治療経過

初診
右外関陽池(TE4)、右臨泣、右足三里(ST36) 三陰交(SP6)
大巨(ST27)、関元(CV4) 肺兪、腎兪(BL23)、大腸兪(BL25)、次髎(BL32)、
→セルフケア 大巨(ST27)、関元(CV4)(しっかりと)右の外関陽池(TE4)

以降週に1−2回の鍼灸治療+セルフケア

・初診から3ヶ月続けて採卵ー空砲や未成熟が多いー少し休んでみたらとアドバイス。

・5ヶ月目 採卵ー培養途中で止まる。

・6ヶ月目 採卵ー凍結胚盤砲が出来た。

・8ヶ月目 移植ー妊娠
移植時の鍼灸
百会、三陰交(SP6)、陰陵泉(SP9)、右足三里(ST36)、右内関(PC6)
肺兪、胃兪(BL21)、腎兪(BL23)、次髎(BL32)

妊娠時の鍼灸(なるべく週に3日以上の鍼灸治療)
臍、中注(KI15)、大巨(ST27)、関元(CV4)、腎兪(BL23)、脾兪(BL20)、次髎(BL32)などの棒灸

妊娠30週 血圧がじりじりとあがってきた トコちゃんベルトをするようにアドバイス
妊娠32週 赤ちゃん下がってる?ートコちゃんベルトをして、少しあがる。
妊娠36週、少しタンパクがでる。第一子のときよりも良好に経過

予定帝王切開の日までしっかりとお腹にいてくれて、無事に出産。体重もしっかりとあり、元気に産まれほっとしていますとメール。

無事の出産、おめでとうございます。

☆あとがき、ご本人の淡々とした努力に頭がさがります<(_ _)>

年齢が高いこと、何度も体外受精、採卵を繰り返すものの良好胚がとれず移植に結びつかないこと、第一子の妊娠経過が厳しかったことなど、42歳での挑戦には多くの壁がありましたが、ご本人のあまり構えずに、そしてやることはすっとなさるという感じで、無事に良好胚がとれ、妊娠、出産につながったと思います。

ご本人、淡々とした努力がしっかりと実を結び、本当によかったなあと思います。

出産報告のメールで、『生まれるまで、ハラハラしながら過ごしていましたが』とありましたが、そう仰りながらも、すうっと落ちついた態度で、淡々と日々をすごし、セルフケアをなさるお姿が印象的でした。

ご出産、おめでとうございます。

よかったですねえ。

イラスト

つわりが辛い、吐く、食べられない、体重減少 0330 

つわりは、病気ではない。

そうはいっても辛い症状は困りますね。

鍼灸治療をくわえることで、なんとか体調を安定させ、辛い症状が緩和。
上手に妊娠ライフとのお付き合いをされ、スムーズな出産となった症例です。

☆ご相談:つわりが辛いです

 

現在妊娠9週です
第一子のつわりはそれほどでもなかったのですが、
今回の妊娠はつわりが非常に辛く、吐きつわりがおさまりません。

食べられない状態なのに、ちょっと何か食べると吐いてしまいます。
疲労が一杯で辛いです。

妊娠8週を過ぎた頃からつわりがきつくなってきていて、
仕事にいけません。

毎日の頭痛もつらく、横になっているとましになりますが、
動いていると悪化します。とくに夕方から頭痛は悪化します。

子供も小さく、仕事もしていてつわりのせいでとても毎日が辛いです。
どうしたらいいでしょうか?

イラスト

☆ご相談にお答えして つわりと上手におつきあいしましょうね

 

吐きつわりは辛いですねえ。
体重も3キロ減ってしまい、お体の疲労感も強いかと思います。
動いているとより悪化する頭痛も、
お体の疲れによってより強くなっているのかと思います。

身体の力を少し補い、体調をよくしていきましょう。

つわりについて:

つわりは、病気ではありません、身体の反応の一つです。
赤ちゃんを抱えた身体は、赤ちゃんをしっかりと支えるために、
身体の下からしっかりと支えるように上向きベクトルを強くします。

具体的にいえば、
・便通
便通は下向きベクトルで身体から排泄を行いますから、上向きベクトルが強くなると便秘が地になります。

・吐き気
胃腸は上から食物が入り、下に向かって消化吸収されていきます。上向きベクトルが強くなり過剰となると吐き気となります。

上向きベクトルは、赤ちゃんを守るためですので、
ある程度のつわりは仕方がないところです。

胎盤がしっかりと出来上がれば、過度の上向きベクトルは不要となりますので、
妊娠11-14週当たりでつわりもおちついてきます。

☆過度なつわりと付き合うために

つわりで身体に上向きベクトルが強くなるのはある程度は仕方がないことです、ただ、過度なつわりは身体に負担が大きいですね。あまりにもつわりがひどく、水分も取れないという状況であれば病院を受診し、点滴や入院など、なんらかの対処を相談をしてみるのもよいかと思います。

身体が疲労していると、上向きベクトルが過度になりがちです。なるべく疲労をしない生活を心がけましょう。休む、寝る。これが必要です。

 

☆つわりの鍼灸治療について:

基本的に、上向きベクトルは必要です。ですので、このベクトルを直接対応はしません。しかしながら過度な上向きベクトルになってしまうのは、もともとのお体の弱さが原因です。身体そのものの力をつけ、上向きベクトルと上手に付き合えるように調整します。

☆長く続いてしまうつわりについて

時に、出産のころまでつわりが続き、身体の疲労感が強いまま出産になってしまうケースがあります。身体の状態が悪いままの出産は、より体調の悪化を招き、産後のトラブルにつながりがちです。出産時までがご自身のお体をいたわるチャンスです。まず体調アップを最優先で生活しましょう。「出産すると出かけられない」とか、「出産するまでに片付けをしたい」などということは、体調がよくなってから考えることです。まずご自身の身体を、余裕ある状態にして出産を迎えましょう。

☆治療経過について

 

初診:右外関、陽池。 足三里陰陵泉お灸。右の内関パイオネックス。
中注、臍、関元棒灸。脾兪、腎兪、次髎

状態に応じて適宜鍼灸治療

つわり減少
たべられるようになってきた
一日中だった頭痛が夕方だけになり、だんだんなくなってきた。

出産まで、鍼灸治療を継続。

無事に出産、おめでとうございます。

 

☆まとめ

 

つわりは、病気ではない。そうはいっても辛い症状は困りますね。

鍼灸治療をくわえることで、なんとか体調を安定させ、
辛い症状が緩和。上手に妊娠ライフとのお付き合いをされ、
スムーズな出産となりよかったなあと思います。

家族皆さんが妊婦さんを支えて、
産まれてくる赤ちゃんをとても楽しみになさっていました。

ステキな妊婦さん、ご家族のありよう。応援出来て私も嬉しかったです。

 

アンケートにお答えして

アンケートのご記入ありがとうございました。
つわりだけではなく、むくみや疲労感、身体の冷え、お腹の張りなどにも鍼灸が効果的だったようでよかったなあと思います。

また、こちらこそ、Nさんの妊娠を支えるご家族、そして赤ちゃんの誕生を心待ちにしているお子様のお話とても楽しかったです。妊娠中を一緒に寄り添い過ごせたこと、とても嬉しかったです。

賑やかな生活がはじまりそうですね。赤ちゃんを中心としたご家族の楽しい日々。応援しています。

良好胚をなんども移植していますが、一度も着床しません。どうしたらいいでしょうか?0329

なんどか良好の胚盤胞を移植しても、まったく着床すらしないというとき、色々考えることはありますね。

 

☆不妊治療、努力しているのに行き詰まってしまったときに

なんど、良好胚を移植してもダメ、
あれこれのサプリを飲んだり、
有名な病院にかかったり、

考えられることはすべてしているのに、結果が出ない。

そんなとき、一歩後に引いて、ご自身の身体の手入れをし、血流をよくして、卵ちゃんのお迎え準備をするということも、不妊治療の一つの解決プロセスになる場合があります。

どうしたらいいんだろうか?

なにをすべきなんだろうか?

そんなときに、まよったら、一緒に考えてみましょう

解決の糸口が見つけられるかも知れません。

 

☆ご相談:良好胚をなんども移植していますが、一度も着床しません。どうしたらいいでしょうか?

体外受精を挑戦中の33歳です。

昨年は、10個以上の卵が採卵出来、良好胚と呼ばれるとてもいい状態の胚盤胞を1年にわたって、4回も移植しました。

1年の間に、いろいろな方法に挑戦し、病院もくふうしてくれて、さまざまなやり方を挑戦しましたが、一度も着床すらしません。

これ以上、同じ事を何度やっても、上手く行く気がしません。

どうしたらいいのでしょうか?

私に出来ることはあるのでしょうか?

 

☆ご相談にお答えして:やれること、あります。前に進みましょう。

4回も「可能性が高い良好胚」を移植なさったのに、一度も着床すらできなかったということですね。

それはとても残念。

どうしたらいいのか、わからなくなってしまうということも

尤だと思います。

☆東洋医学的な身体の所見

お身体を東洋医学的な観点から四診という方法を用い、読み解いていきましょう

☆☆全身の気の巡りの悪さについて

お身体の状態としては、肩こりや頭痛がひどいということですね。

身体の上半身、特に肩や頭部に気が集まりやすい、ということが肩こりや頭痛の直接的な原因だとは思いますが、その気の停滞をおこしているのは、全身の気の巡りの悪さだと思います。

☆☆瘀血(おけつ)について

またお身体をみていきますと、それに一歩加えて東洋医学で言うところのオ血の状態を引き起こしているようです。

このオ血の状態は、足のツボに出ている反応(冷え感や滞り)、体表面にあらわれる、細絡という血管の浮き出しが年齢の割に多いことなどからうかがえます。

☆生命力の土台の力である腎気の弱さ

お腹のツボの力のなさ、背中の臓腑に係わるツボの弱りなどから、身体の力を支える腎気とよばれる土台の力の弱さがうかがえます。

この腎気の弱さがあるために、暢びやかに気血が巡ることがしづらく、血流そのものが滞りやすい素体をお持ちではないかと思われます。

日常生活を送られる範囲であれば、大きな問題とはならないと思いますが、この血が滞りやすい問題は妊娠や出産には大きな課題となります。手入れをしながら、不妊治療を前に進めていきましょう。

☆東洋医学的なみかた、治療方針
・弁証 腎虚肝鬱瘀血
・論治 益気補腎、疏肝理気、活血化瘀
・治療方針 腎気の底上げをし、気血の循環が暢びやかであるようにしていく。

☆不妊治療についての具体的な3つのアドバイス

不妊治療は、いままでの不妊治療歴、そして東洋医学的な観点から体表観察し、分析し、身体作りの方向性をみきわめたうえで、ご自身の妊活に何が必要かを具体的にしっかりと考える必要があります。

ただただ、漫然と、幅広く色々なことをやるというのは、疲れてしまうだけだと思います。
とくに、頑張り屋サンですし、お子さんに対するお気持ちも強い方だと、努力と迷い。それだけで疲れてしまい、悪循環におちいってしまいます。

少し情報を整理し、ご自身のやれることをしっかりと把握し、前にすすんでいきましょう。

1)病院選びについて

今のクリニックは薬が多く、刺激量が多いクリニックだと思います。このやり方が人によってはあうあわないが生じます。薬のせいで頭痛や肩こりがひどくなるというのは、素体に負担が強くかかっていると言うことだと思います。

良好胚を移植しても着床しないということのなかに、素体が弱ってしまっているということも可能性が高いと思われますので、転院も視野に入れて良いかとは思います。

しかしながら、移植ではうまくいかなかったものの、前回の採卵では複数胚の採卵ができています。これはとても重要なポイント。

もう1回は同じクリニックで採卵をおこない、胚移植の時にお体を整えることをしっかりとやっていくのもいいのかと思います。それでもダメな場合は転院も視野にいれましょう。転院は、何を目的に転院するのかを明確にしなければ、前に進むことができず、同じ事の繰り返しになってしまう場合があります。

 

2)卵の質に関して、着床障害の検査について

良好胚が凍結出来ているということは、卵の質の大きな問題はないと思います。着床障害について考えてもいいのかもしれません。着床障害の検査はお身体を拝見すると、血流を中心としたことを調べるのがベターではないかと私は思います。(着床の窓を調べたりする検査ではなく)

3)胚移植に向けてのお身体の整え方

お体の細絡(細かい血管の浮きだし)や、偏頭痛は、血流問題があるのではないかと思われます。体調を整えることと、不妊治療の方向性は合致します。腰骨盤の血流をあげるために、下腿から足首、足のツボや温冷浴を使い十分に血の巡りをあげるようにしていきましょう。

☆治療経過 〜採卵から胚移植、妊娠出産へ。

鍼灸治療

初診:右の外関陽池、大巨温灸 三陰交、陰陵泉、左足三里、大都(ミニ灸)肺兪温灸、左脾兪、右腎兪、三焦兪、次髎
治療後、目がぱっちりとスッキリする感じがする。
セルフケア指導

2ヶ月後、採卵、凍結胚が3つ出来た
6ヶ月後、移植、初めての着床。無事に妊娠成立し出産。

おめでとうございます。よかったですねえ。
いままでの長きにわたる不妊治療、赤ちゃんの重さをずっしり感じますね(^^)

☆あと一歩の子宮血流が妊娠を導いてくれたのかと思います。

良好胚を移植しても妊娠出来ないと言うことは、一体何をしたらいいんだろうと途方にくれてしまいますね。

結局、様々な検査でも問題がなかったということは、ご本人の子宮を養う血流の悪さが、あと一歩の妊娠成立を様食べていたと言うことなのかなと思います。妊娠はあと少しと言うところで阻まれてしまうことも多くあります。ご自身の努力を前に進めることができて、本当によかったなあと思います。

☆アンケートにお答えして

アンケートのご記入ありがとうございました。

体調が整うことを実感出来たということ、とてもよかったなと思います(*^_^*)。

治療方針として、血流をよくすることを中心としてあります。血流をよくするためには、身体の土台の力をつけ、その上で巡りをよくしていくというプロセスを踏んでいます。この治療(益気補腎、疏肝理気)で疲労感や肩こり、頭痛が少なくしてくれて、妊娠、出産へとつながったのかなと思います。

身体の土台の力を底上げした上で、気血の巡りをよくするという治療は(益気補腎疏肝理気)、妊娠出産だけではなく、今後の長い人生のいろいろな側面で課題になっていくとおもわれます。疲れたなと思ったときに、少しお体の手入れをしていただけるといいかなと思います。セルフケアも続けてもらえればと思います。

症例:良好胚を何度移植しても妊娠出来ません

妊娠中の体調ケア:免疫力がアップしますように! 0308

妊娠中のトラブル、いろいろありますね。

妊娠中は服薬は出来れば避けたいと思う方も多いと思います。
しっかりと飲まなければいけない薬は飲んでいただき、
それ以外は出来れば体力をアップさせることで解決して行ければいいですねえ。

このアンケートの方(8−2)は、妊娠21週目からのケアです。
ご本人の感想として
『風邪などに対する免疫力が上がったように感じます』とのコメントをいただきました。

また、鍼灸治療については、
『最初はとても不安に感じていた張りですが、回数通ううちに身体も楽になり、精神的な安定も得られるようになり、とても感謝しています』とのコメント。

うれしいですねえ。
妊婦さんの施術は、基本的に無理せず、出来る範囲でというのがビッグママ治療室の考え方です。
しかしながら、『妊娠は老化のシュミレーション』といわれるぐらい、妊娠は身体に負担となります。

まあ、確かに歯が悪くなったり、髪が抜けたりと老化そのものですね。

今日は少し妊婦さんの鍼灸治療に関して紹介させて頂きます。

☆妊娠20週からのケア

・風邪を引きやすい
・吐き気、頭痛が辛い
・花粉症などの症状がつらい

☆☆妊婦さんへの治療方針

 

赤ちゃんはお腹のなかでよく動いて成長します。
そして出産のその日までお母さんのお腹の中にしっかりと留まり日々をすごしていくわけです。
つまり、子宮(女子胞)が赤ちゃんを支え、上向きのベクトルを保ちながら日々をすごすのです。

お母さんがちょっと疲れていたり、下向きのベクトルがでがちな状況の時に、子宮(女子胞)は赤ちゃんを守り、赤ちゃんが安定を保つために強い上向きのベクトルを出します。これがつわりや逆子の状態です。

また赤ちゃんを守ることが最優先となりますから、お母さん自身をまもる表面の気(肺気、衛気)が不足したり、上向きベクトルが強いことによって、吐き気や頭痛などになったり、花粉症もきついですね。

また、血流が足りなかったりするとお腹が硬くなります。ゆとりがなくなっちゃいますね。

妊婦さんへの治療では、症状にかかわらず、血流をあげお腹を柔らかくゆったりさせること。そして適度な上向きのベクトルをもつようにと調整します。適度というのは、「上向きベクトル」は赤ちゃんが保つために必要なことですからね。

 

☆鍼灸治療の目的について:

1)身体の疲労をとる。全身の血流を改善し、健康度をupさせる
2)子宮(女子胞)の血流を改善し、柔らかいお腹を作る
3)強い上向きのベクトルがあれば調整する。

 

☆妊婦さんの鍼灸治療の実際:

20週ごろ:
1)大巨(ST27)、臍 棒灸
左外関(TE5)、足三里(ST36)、陰陵泉(SP9) お灸
2)胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)などはりしてお灸

25週ごろ:静脈瘤のお灸を加える。
臍、大巨(ST27)、関元(CV4)
胃兪(BL21)、三焦兪(BL22)、次髎(BL32)

30週ごろ:
耳の辛さがある:聴宮、首のスジバリにパイオネックス
臍、大巨(ST27) 関元(CV4)
脾兪(BL20)、三焦兪(BL22) 次髎(BL32)

 

☆☆鍼灸治療解説

基本的に上向きベクトルを出すようにしていきます。
そしてその方の弱りに対して、補うようなアプローチを主にとっていきます。

妊娠初期であれば、お臍は鉄板。後期になってくると、背中を中心にしていきます。
静脈瘤は、その部位を軽ーく触れて一番弱りを感じるところに隔物灸をしています。

コメント イラスト

あとがき:

妊婦さんの治療は無理せず、結果をあまり意識せず。
それでも十分効いてくれるのが妊婦さんの治療であり、効き過ぎ注意が一番大事です。

34才からの妊活、39歳自然妊娠での出産ができました。0196

妊娠は不思議なものですねえ。

いつもそう思わずにはいられません。
今回の症例、39歳での無事の自然妊娠、そして出産へとつながりました。

しかしながら、妊娠の希望がスタートしたのは34歳。

一人目の妊娠出産は31才の時で妊娠を希望してすぐに妊娠出産なさっています。

そして34才、妊娠を希望しながらもなかなか妊娠が成立せず。
37才でやっと成立した妊娠も心拍確認にいたらず流産。

振り返れば39才での自然妊娠、出産に致るには長い道のりがあったのです。

37歳での鍼灸治療開始。

この年齢だと、年齢要因的にも妊娠が難しくなり始めています。

体調的な問題と、年齢要因。

この両輪を考えていきながらも、どういった選択をすべきなのか。

症例を通じ、一緒に考えていきましょう。

☆妊娠を考えるときの要因

妊娠したいと思い、1年以内に医療介入せずに妊娠する。

これが大多数の人の流れです。

流産があったり、何度かはタイミングが合っていたのに妊娠しないということも

ある程度あたりまえのことではあります。

ちょっと昔までは、この1年以内が2年以内という時期もありました。

現在では、妊娠したいと思い始めるスタートが遅いので、1年以内ということになっていますね。

それほど妊娠に年齢は大切です。

☆☆基本的なチェックは早めに

いままで一度も妊娠したことがないという場合は、やはり適切な医療介入をすべきケースが多いと思います。

また案外多い要因として男性側要因。

基本的な妊娠に関するチェックは早めに受けましょう。

☆☆1度妊娠経験がある場合(流産も含む)。

1度妊娠経験があり、出産もしている場合や、流産になり出産にいたらなかったなどさまざまなケースがあるかと思います。

妊娠する力があるということは、妊娠した時と同じ体調であれば、妊娠できる可能性が高いこと。

また、受精、着床までは自然な形で出来るカップルであるということですから、
  『体外受精すれば大丈夫』とはならない場合が多いことを考えておきましょう。

こういったふたりめ不妊や、流産御妊娠しにくいと言ったケースは、多くの場合身体の力を落としたことが原因になってることが多いです。

まず体調の底上げを考えていきましょう。z
また流産要因についても、体調との兼ね合いで考えていきましょう。

☆☆年齢要因についての考え方

年齢要因は非常に大きな要因です。

ただ、医療介入によっては救えない要因でもあります。

なるべく治療を急ぐことがとても大切。

その上で、妊娠が成立している人の場合は、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療が必須にならない場合があるということも、考えておきましょう。

☆☆☆凍結は時間をお金で買えるという発想もあり。

流産が多いタイプの方の場合、妊娠のチャンスが複数回あることが大切です。

しかしながら、年齢要因が上がってきている場合は、その妊娠のチャンスそのものが少なくなってしまっています。

こういったときに、高度生殖医療を使い、凍結胚を作っておくと言うことが年齢要因を救うことにもなる場合があります。現在の保険制度では、貯卵はできませんが、ご自身の状況によっては、この発想をもつこともありではないかなあと思うことがあります。それほど年齢要因というのは大きな要素ですね。

☆症例から学ぶ:体調の回復によって自然妊娠、39才での出産に至る道のり。

・妊娠と、体調はどこまで回復させれば良いのか?
・年齢要因との兼ね合いは?
・生殖医療の介入はいつにすべきか?

迷いが多いですね。

この症例は、せっかく成立した妊娠が流産につながり、その流産によって生命力をもう一段落としてしまうという悪循環になってしまっていました。

そのため体調の回復そのものにかなり時間を要し、年齢要因と重なってくる時期(30代後半)となってしまいましたが、ご本人のご希望により、鍼灸のみの不妊治療継続となり少し時間はかかりましたが、無事の妊娠、出産とつながりました。

このあたり、どのような選択でいくのかは迷うところですが、生殖医療は、ご夫婦のご希望にそうのが一番だと思っています。一緒にだいぶ悩みましたが、良い流れになって私も嬉しいです。

☆ご相談:37才です、なかなか妊娠できません。どうしたらいいでしょうか?

31才の時に一人目を自然妊娠、出産しています。

産後に体調を大きく崩し、腰痛や、眼の疲れやすさ、疲労感を強く感じます。

34才から二人目の妊娠を希望し、37才で1度妊娠出来たのですが、心拍確認は出来ず流産してしまい、その後は下腹部に痛みを感じたり、寝つき、寝起きが悪い状態が続いています。

冷えについて。とても気になります。お尻やふくらはぎなど下半身に冷えを感じ、足下が寒いなあと思うことがよくあります。

☆ビッグママ治療室からのお返事

31才の時に自然妊娠し、出産。また37才でも自然妊娠をされているのに、流産。とても残念でしたね。

お身体の状態を拝見したり、お話を伺うと、妊娠に一番大切な、生命の土台の力(腎気)が不足しているのではないかなと思います。

もともとこの生命力の土台の力(腎気)が不足し、その土台の力(腎気)の力の上でなりたつ女子胞(子宮)の力が足りず不妊、流産へつながっていると思われます。

そして、出産や流産はこの腎気や女子胞(子宮)の力をとても使いますので、この出産、流産後に妊娠しずらくなるという悪循環もよくおきてしまうのです。

またもともとの血流の悪さも、妊娠にしずらさ、そして着床障害、流産へとつながっています。

しっかりと生命の土台の力(腎気)をつけ、身体を温煦(暖め養う)する力をつけることが、血流アップにつながります。血流がよくなるような身体作りをしていくことが、ポイントになると思います。

一人目を自然妊娠された方は、お体の手入れによって二人目も同じ経過で妊娠されることが多いです。

一緒にがんばっていきましょう。

☆☆東洋医学的な方針

<弁証論治>
弁証:腎虚を中心とする全身的な気虚
論治:補腎益気

<治療指針>
腎の温陽を中心に、まずは腎気の立て直しを図る。また補腎下焦による腎の根を付けつつ、元々弱い肺気も同時に補うことで、肝気が収まりやすくなるようにしたい。

脾気の弱りに関しては、食事量など自己養生で注意を促したい。

☆治療経過

37才 ビッグママ治療室初診

週に2回程度の鍼灸治療を始める、自宅での養生

1年:体調が回復するもののなかなか妊娠せず、西洋医学的なアプローチもお勧めするが、ご本人の希望や仕事の忙しさにより、鍼灸のみでの不妊治療継続。

1年半:無事に自然妊娠、39才にて出産

「立派な胎盤!」と助産師さんたちにいわれましたとのこと。

おめでとうございます。

☆あとがき

しっかりと体調をあげることが自然な妊娠につながりましたね。

流産後の体調不良の回復が大きなテーマであり、それなりの回復をするものの年齢が38才を超え、通常であっても妊娠が成立しにくい状況が重なってきましたので、西洋医学的な不妊治療も平行することをお勧めしましたが、ご本人の仕事の忙しさや判断もあり、そのまま鍼灸のみでの体調管理となりました。

この年齢要因がある場合の選択は迷いも大きくなりますが、妊娠する力のある方の場合、医療介入が答えではないことも多いので、腹を決めて前に進むことも必要なことがありますね。

イラスト 猫